アメリカの太陽光発電メーカーの世界シェア率はどうなの?
世界シェアは少なめながらも、今後の方針次第では将来性があるみたいよ。内容を確認してみよう!
アメリカの太陽光発電メーカー
現在日本では、中国をはじめとする海外メーカーの大量流入や日本製へのこだわりが根強いことなどから、アメリカの太陽光発電メーカーについてあまり知られていないのが現状です。
一方、米国のジョー・バイデン大統領が2035年までに国内電力網の二酸化炭素(CO2)排出量をゼロにする計画を掲げていることや、東南アジアの4カ国から輸入する太陽光パネルへの関税を2年間免除する発表などから、世界ではアメリカの太陽光発電産業に注目が寄せられています。
世界シェア率の拡大にむけて、水面下で着々と稼働し始めている3つのアメリカ太陽光発電メーカーについて、それぞれの特徴を見てみましょう。
マキシオン
1985年にシリコンバレーで創業したマキシオンは、これまでに3,500万件以上のソーラーパネルを設置。世界各国にある1,100社との連携により販売・設置工事を行い、今もなお世界100ヶ国以上で販売するなど、アメリカで指折りの大手太陽光発電メーカーとなっています。
マキシオン製モジュールの最大の特徴は、独自設計による耐久性と変換効率の高さ。マキシオン製のソーラーパネルは2種類ありますが、特に特許取得の銅基盤を使った「パフォーマンス太陽光パネル」のセルは風雨に対する耐腐食性も高く、耐久年数は40年と推定されています。一般的な耐久年数は20~30年と言われていますので、40年という耐久年数は驚異とも言えますね。
圧倒的な耐久性と驚異の保証期間が自慢のマキシオンだからこそ、世界中のユーザーに長年愛用されているメーカーと言えるでしょう。
項目 | 内容 |
---|---|
企業名 | マキシオン・ソーラー・テクノロジーズ(Maxeon Solar Technologies, Ltd.:MAXN) |
拠点 | 米国シリコンバレー |
創業年 | 1985年 |
法人名 | マキシオン・ジャパン株式会社 |
所在地 | 東京都港区港南2-16-1 |
パネルの種類 |
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保証・補償 |
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ファーストソーラー
ファーストソーラーは、1999年に米国・アリゾナ州で創業したアメリカきっての太陽光発電メーカー。世界で初めて発電能力1W(ワット)あたりの製造コストを1ドル未満にした企業として知られており、製造・設置導入・リサイクルまで一貫した事業展開によって生産コストの削減を実現しています。
ファーストソーラーは、以下の点でも有名。
- 主力製品は、テルル化カドミウム(CdTe)を使った化合物半導体系太陽電池(他メーカーの多くは結晶シリコンを使用)
- 2013年、変換効率18.7%の太陽電池を作り、2011年の17.3%だった世界記録を塗り替えた
など
しかしながら、近年の太陽光発電業界における中国メーカーのシェア率が急拡大し、太陽光発電の世界シェアランキング(2020年)では、中国メーカーが上位を独占。ファーストソーラーはアメリカ国内においてシェア率No. 1でありながらも、世界シェア率はわずか1%程度にとどまっています。
その後、2022年にバイデン大統領が表明した「クリーンエネルギーへの転換の必要性と対策の加速」に対して支援することを決意したファーストソーラーは、オハイオ州から6億8000万ドル(=約754億円)の投資を受け、2023年からパネル工場を新設・約500人を雇用創出をスタートさせている模様。
2050年には太陽光発電の世界シェア率を20%に拡大することが期待されているファーストソーラーは、バイデン大統領の戦略を具現化する企業として大きな注目を浴びています。
項目 | 内容 |
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企業名 | ファーストソーラー(First Solar, Inc.) |
拠点 | 米国アリゾナ州テンピ |
創業年 | 1999年 |
法人名 | ファーストソーラー・ジャパンン合同会社 |
所在地 | 東京都千代田区霞が関3丁目2番5号霞が関ビルディング31階 |
生産拠点 | 米国(オハイオ州)・ベトナム・マレーシア ※ドイツ工場は閉鎖中 |
ショールズ・テクノロジー
ショールズ・テクノロジーは、信頼性と安全性を保持しつつも低コストで太陽電池を製造する大手企業で、太陽光発電向けのEBOS(ソーラーパネルで生成された電流をインバータに流し、最終的には電力網に送るために必要な部品)を提供しています。主な顧客は、太陽光発電プロジェクトを担うEPC(設計・調達・建設)事業者です。
さらに特筆すべきは、従来のシステムで使用されているワイヤーの「クリンプ金網」ではなく、プッシュコネクタを使用する「プラグアンドプレイ(=Plug and Play)」システムの商品化に成功した業界初の企業であること。
太陽電池の製造工程を緻密に計算・明快化することにより、低コスト化に成功。それにより、昨年の売り上げは1億7600万ドル(3400万ドルの利益)になる模様。
ショールズ・テクノロジーの太陽光発電は米国でも急成長を遂げており、2020年の太陽光発電量は25%増の130GWhに達成しつつも、1KWhあたり3セント以下の安価であることから、今後さらに需要が拡大する企業として注目されています。
項目 | 内容 |
---|---|
企業名 | ショールズ・テクノロジーズ(Shoals Technologies Group, Inc.) |
拠点 | 米国テネシー州ポートランド |
創業年 | 1996年 |
創業者 | ディーン・ソロン |
アメリカの太陽光発電メーカーは世界シェアが低い
太陽光発電業界の国別では、中国メーカーが世界シェア率の上位をほとんど独占しており、アメリカの世界シェアの低さは一目瞭然。世界シェアを保持しているアメリカのメーカーとして唯一ファーストソーラーが8位にランクインしていますが、それでもシェア率は1%にとどまっています。
deallabが発表した2020年版の太陽光パネルメーカーの世界ランキングは、以下のとおり。
ランキング | メーカー名 | 国名 | シェア率 |
---|---|---|---|
1位 | ロンジ | 中国 | 4.80% |
2位 | ジンコソーラー | 3.17% | |
3位 | トリナソーラー | 2.59% | |
4位 | JAソーラー | 2.27% | |
5位 | カナディアンソーラー | カナダ | 2.05% |
6位 | ハンファ | 韓国 | 1.93% |
7位 | ライセンエネルギ― | 中国 | 1.04% |
8位 | ファーストソーラー | 米国 | 1.00% |
アメリカの太陽光発電メーカーはこれから勢いがつくかも?
2021年8月、アメリカのエネルギー省は「2035年までに総発電量の40%を太陽光発電が占める可能性がある」ことを示唆し、従来の石炭・石油・天然ガスといった化石燃料から持続可能なクリーンエネルギーに移行することを発表。
2022年にはバイデン大統領が「2035年までに国内電力網の二酸化炭素(CO2)排出量をゼロにする」政策を発表したことによって、太陽光発電事業を含む気候変動対策全体に今後10年間で5,500億ドル(約74兆円)という巨額な市場が確保されていることから、アメリカの太陽光発電業界はますます勢いがつくことが予想されています。
長年衰退してきた米国の脆弱な太陽光発電業界が今後どう好転するか、さらにアメリカの市場価格の推移が私たちの住宅環境にどう影響するのか、今後も注視していきたいと思います。