新築した住宅のキッチンにガスコンロを入れたけれど、「IHにすればよかった」と後悔しているというお話を聞いたよ。
反対に、コンロをIHクッキングヒーターにして後悔しているという口コミもあるわね。
結局、IHクッキングヒーターはおすすめなの?それともおすすめではないの?
IHクッキングヒーターのメリットやデメリットを見て、おすすめかどうかを一緒に見ていこう。
IHクッキングヒーターで後悔した口コミ
IHクッキングヒーターについて調べてみると、「IHに変えて後悔している」といった趣旨の口コミを目にすることがあります。
使い慣れたガスコンロを、電気で加熱するIHヒーターに変えたことで火加減など調理の勝手が変わって戸惑いが大きいためにあがった声かもしれません。
実際にIHクッキングヒーターを購入された方がどのような点に不満を持ったのか、口コミの事例を紹介します。
料理がまずい
うちは元々オール電化でIHでしたが、料理も美味しくなくて、悩んだ挙句都市ガスひきました。
結構お金かかったけれど、毎日のご飯が美味しくなったので良かったです。IH撤去する際、業者さんは「中々IHからガスにするご家庭はありませんよ」と驚いていました。
後悔はしていません。満足です☺️
— たま (@usednahcamat) February 5, 2021
ガスコンロでの調理と比べて、料理がおいしくないと感じた方が「ガスコンロに戻したい」と思い、実際にIHからガスコンロに戻した事例です。
味覚は個人の感覚の問題のため、ほかの全ての事例に当てはまるわけではありません。
メーカーや電力会社などがショールームで開催しているIHヒーターを使った調理の体験会に参加して、使い勝手や味を体感したうえでIHヒーターを導入されるかどうか決めることをおすすめします。
電磁波が体に悪い
横からごめんなさい。
ガスのが絶対いいよ!
IH、電磁波が体調に影響あるから…娘は家建てる時オール電化にして後悔してる。— ぷちまま (@puchikoscar) December 27, 2017
電磁波は、全ての家電製品から発生しています。IHクッキングヒーターだけが特別に電磁波を発生させていて体に悪いわけではありません。
日本電機工業会が公表している情報によると、IHヒーターから発生する電磁波の放出量はICNIRP(国際非電離放射線防護委員会)が策定したガイドラインのレベルを下回っています。
ただし、ご家族にペースメーカーを利用している方がいる場合は、IHヒーターを含めた全ての家電製品から発生する電磁波に注意する必要があります。
加熱が難しい
IHはドーナツ状に加熱されるから中央に綺麗な焼き目を付けるためにフライパンを細かく動かさないといけないので調整が難しい。
— しゃな (@487keron) February 8, 2023
IHヒーターは、フライパン自体が発熱することで具材を加熱する仕組みのため、理論上は鍋底の温度が均一で焼きむらができることはありません。
しかし、「IHヒーターは加熱が難しい」という口コミが一定数あります。
鍋の裏面の形状や、使われている素材が焼きむらを作る原因の可能性も考えられます。
フライパンが振れない
通常のチャーハンは鍋振って空中に躍らせて水分飛ばすけど、IHだと器具からフライパン離したら熱発生しなくなって冷めるよ。これによって鍋振と火力不足になってべちゃる。
冷凍ならしゃもじで混ぜればいいだけだからいけるよ。— わっちー (@watti_desyo0420) October 8, 2018
IHクッキングヒーターで鍋振りができないというのは、よくある口コミです。
機能がシンプルな低価格帯の機種であれば確かに鍋振りは厳しいです。
しかし、価格が高い上位機種には鍋底の温度を見張るセンサーが内蔵されていることが多く、鍋の温度を一定に保つ機能が付いているためIHヒーターでも鍋振りが可能になっています。
得意料理が作りやすい機能が付いているか?などを調べて、購入するIHヒーターの機種を決めると失敗を防げるでしょう。
停電時に使えない
台風や地震などの災害時以外にも、停電発生のニュースを度々見かけます。
オール電化住宅に住まれている方は、停電になるとライフラインが止まってしまい、とても不便なことでしょう。
しかし、停電が起きたら電気が使えなくなることは、初めから分かっています。
防災対策としてカセットコンロを用意しておく、非常食を用意しておくなどの準備をしておけば、停電でIHヒーターが使えず食事に困ることがないのでおすすめです。
IH対応のフライパンを探すのが面倒
んがぁ〜鍋・フライパンなどの調理器具のIHかガス対応の選別作業が地味に面倒かつ時間とられた…やっと終わった
— CIB0 (@CIB0) December 11, 2021
IHヒーターで使えるフライパンや鍋は種類が限られています。
メーカーが推奨している条件は、概ね次の表に記載しているとおりです。
項目 | 推奨内容 |
---|---|
鍋底の直径 | 12cm~26cm程度 |
素材 | ステンレス、鉄、ホーロー |
形状 | 鍋底に脚が付いていない、平らな底面 |
上記のほかにも、SGマークが付いた商品の使用が推奨されています。
確かに種類が限られていると使えるフライパンや鍋を探すのが億劫に感じそうです。
しかし、一度選べば何年も使い続けられるものですので、根気よく探すようにしましょう。
IHクッキングヒーターのデメリット
IHはやめたほうがいいと言われる理由になっているデメリットがいくつかあります。
考えられるのは、次のようなことです。
- 初期費用が高額
- 火力の調整が難しい
- 安全装置が誤作動するときがある
- プレートが破損しやすい
- 鍋が動くことがある
それぞれがどのようなデメリットなのか、詳細を見ていきましょう。
初期費用が高額になる
IHヒーターとガスコンロでは、安価なタイプで比較すると、IHヒーターのほうが本体価格は高いです。
単純にガスコンロ本体を変更するだけなら本体の価格と交換費用が掛かるだけです。
ガスコンロからIHヒーターに変える場合は、200Vの電源を用意する必要があり電気工事が追加になります。
本体価格が少し高いのと電気工事費が掛かるため、IHヒーター導入時の初期費用が高額と言われています。
火力の調整が難しい
ガスコンロからIHヒーターに変えたばかりのときは、使い方に慣れず火力をうまく調整できないかもしれません。
IHヒーターは、操作パネルに設定している火力が表示されます。
鍋の中の具材の状態を見極めながら火力を調節していけば、体感で設定するべき火力が分かってくるでしょう。
IHヒーターは、ガスコンロと比較すると熱伝導率が高いので、火力が弱すぎるのではないか?と心配になるくらい低い火力から試して、様子を見ながら火力調整をするのがおすすめです。
安全装置が誤作動するときがある
IHヒーターには、調理中の事故や火事などを防ぐために様々な安全機能が装備されています。
電源の切り忘れや、空焼きを自動で電源OFFにしてくれる機能は安心です。
ただ、鍋底の温度を見張り自動で温度調節をする機能は、調理中に不要に感じる可能性があります。
まだ強い火力で調理していたいのに、自動で温度が低くなってしまうと料理の出来栄えにも影響するでしょう。
強い火力が必要な調理をするときは、一時的にセンサーをOFFにしてから調理をするのがおすすめです。
プレートが破損しやすい
IHヒーターのトッププレートは、耐熱性の強化ガラスでできているためよほどの強い衝撃を加えない限り破損することはありません。
間違って強い力が加わり強化ガラスに傷が付いてしまった場合は、交換が必要です。
傷やひび割れた部分から水分がIHヒーター機器の内部に入り込んだ状態で通電したら、ショートして火災の原因になりかねません。まずはIHヒーターを取り付けてもらった業者に交換について相談するようにしましょう。
鍋が動くことがある
オールメタル対応のIHヒーターで調理する場合に、鍋やフライパンが小さく軽いものを使用していると加熱中に鍋が振動して左右に動くことがあります。
鍋の重さと調理する材料と合わせて700gより重くなっていれば鍋が安定するので、手を放しても大丈夫です。
オールメタルとは、ステンレス、鉄、ホーロー以外の銅製の鍋などにも対応したIHを指します。オールメタルの機能があれば、ガラス、土鍋以外のほとんどの鍋で料理できるようになります。
IHクッキングヒーターのメリット
IHクッキングヒーターを使用するのに、悪いことばかりではありません。
次のようなメリットがあります。
- 換気扇やコンロ周りの掃除が簡単にできる
- キッチンに熱がこもりにくい
- 火を使わないので危険性が低い
- 光熱費が安くなりやすい
それぞれのメリットの内容を詳しく説明していきます。
換気扇やコンロ周りの掃除が簡単にできる
IHヒーターのトッププレートは、ガスコンロのように五徳がなく平らでお手入れが簡単です。
調理後すぐに器具に付いた汚れを拭き取れば、基本は水拭きだけで済みます。
また、IHヒーターは調理中に火を使わないため油が飛び散りにくく、換気扇に油汚れが付着しにくいです。
お手入れが簡単なタイプの換気扇とIHヒーターをセットで使用すれば、面倒なコンロ廻りの掃除に使う時間を短縮できます。
キッチンに熱がこもりにくい
IHヒーターは、素材の加熱に火を使わないためガスコンロと比べると周囲の温度の上昇が緩やかです。
しかし、鍋自体が発熱するため全く温度が上がらないわけではありません。
近年では夏に猛暑や酷暑と言われる日が多く、夏場は火を使った調理が辛いこともあります。
調理中に熱がキッチンにこもりにくいのは、IHヒーターを利用するメリットの一つです。
火を使わないので危険性が低い
小さなお子さんがいるご家庭では、ガスコンロでの調理中にヒヤリとした場面が少なからずあるのではないでしょうか。
IHヒーターは火を使わないため、少し目を話した隙にお子さんがコンロの火に触ろうとして火傷をしそうになったというような心配が減ります。
ただし、IHヒーターの場合でも、調理した直後は鍋やトッププレートが高温になっているため、火傷をしないよう注意が必要です。
光熱費が安くなりやすい
IHヒーターを導入するご家庭は、オール電化にしているケースが多いため光熱費が抑えられることがあります。
電気料金には、オール電化住宅向けの料金プランがあり、電気代が安くなる時間帯が設定されているからです。
生活スタイルに合った料金プランの選択とオール電化を組み合わせることで電気代の節約が可能になります。
IHクッキングヒーターとガスコンロを比較
自宅を新築する、またはキッチンのリフォームでコンロの買い替えを検討している場合、IHとガスのどちらを選べば良いか悩まれる方も多いでしょう。
そこで、この章では項目ごとにIHヒーターとガスコンロを比較していきます。
比較する項目は、次の表に記載のとおりです。
比較項目 | IHクッキングヒータ | ガスコンロ |
---|---|---|
初期費用 | 本体価格が40,000円程度 | 本体価格が30,000円程度 |
料理の美味しさ | 食べる人の味覚次第 | 食べる人の味覚次第 |
掃除のしやすさ | トッププレートが平らでお手入れ簡単 | 五徳、汁受けのお手入れが面倒 |
火災リスク | センサーがあるのでガスと同等 | センサーがあるのでIHと同等 |
災害時の対応 | 被害状況によって異なる | 被害状況によって異なる |
それぞれの項目について詳細を見ていきましょう。
初期費用
機能が一番シンプルな機種で本体価格を比較すると、標準的なビルトインタイプのIHヒーターは40,000円弱、ガスコンロは30,000円弱です。
IHもガスも高機能タイプになると200,000円近い金額の商品もあります。コンロの取付け費用はIHとガスで差はありません。
IHの場合は、一般的な家庭用の100Vの電源ではなく200Vの電源が必要なため、電気工事が必要になり初期費用が高額になる傾向があります。
料理の美味しさ
料理を美味しいと感じるか、まずいと感じるかは食べる人の感じ方になりますのでIHヒーターとガスコンロのどちらのほうが美味しい料理が作れるとは一概には言えません。
IHとガスでは調理をするときの加熱の仕組みが違うため、それぞれのコンロに合わせて調理工程を変える必要があります。
料理の経験値が高い人ならすぐに慣れて家族の口に合う調理ができるようになるでしょう。
掃除のしやすさ
お手入れのしやすさで言うと、断然IHヒーターが楽です。
トッププレートの表面が平らなため吹きこぼれなどがない限りは水拭きだけでお手入れ完了できます。
ガスコンロは、五徳やバーナー部分に汚れが付きやすく、こまめなお手入れができない人は掃除が面倒に感じるでしょう。
ガスコンロでもガラストップ製の汁受けがないシームレスタイプは凹凸が少なく、お手入れが簡単になります。
火災リスク
東京消防庁によると、住宅火災の原因で一番多いのは揚げ物の油によるものです。
油は温度が360℃付近になると発火し、近くに燃えやすいものがあると火が燃え移ります。
15年ほど前までは、ガスコンロに鍋底の温度を測るセンサーが搭載されておらず、ガスのほうが圧倒的に火災のリスクが高い状況でした。
現在では、ガスコンロにもセンサー搭載が義務付けられているため、揚げ物中に目を離したら火災になるリスクはIHでもガスでも同じくらいと言えます。
災害時の対応
災害の影響で停電が起きた場合には、家電製品であるIHヒーターは当然利用できなくなります。
しかし、災害で起きる被害は停電だけとは限りません。ガスの配管に影響が出ればガスの供給が止まることも考えられます。
また、地震発生時にガスコンロを使用していれば火災の原因になることもあり得ます。
災害で起きた被害状況によっては、IHヒーターもガスコンロも使えなくなる可能性があるのです。
IHクッキングヒーターがおすすめなタイプ・しないタイプ
IHヒーターのご家庭への導入が向いている人、向いていない人は次の表のとおりです。
おすすめのタイプ | おすすめしないタイプ |
---|---|
真夏のキッチンの暑さを避けたい | 高額な初期費用を確保できない |
掃除を簡単に終わらせたい | 火で調理することにこだわりがある |
オール電化と合わせて電気代を節約したい | 停電のリスクに備えたい |
コンロの入れ替えを検討されている方は、上記の表を参考にしてみてはいかがでしょうか。
IHクッキングヒーターからガスコンロに戻したい場合の費用
IHヒーターからガスコンロに戻す場合に掛かる費用は、次に挙げる3つです。
- ガスコンロ本体の価格
- ガスコンロの設置費用
- ガス工事費
それぞれ確認していきましょう。
ガスコンロの本体価格
本体価格は備わっている機能やトッププレートの大きさにもよりますが、30,000円~200,000円程度になります。
ガスコンロの設置費用
設置費用の相場は、15,000円~20,000円程度です。
ガス工事費
ガス工事の費用はガス会社ごとに異なるため、契約予定のガス会社に問い合わせが必要です。
IHクッキングヒーターを停電時にも利用したいなら蓄電池
「停電したら使えない」と嘆かれることが多いIHクッキングヒーターですが、蓄電池を導入すれば停電している場合でも使用できます。
蓄電池とは、充電した電気を貯めておく機能が付いた電池のことです。
蓄電池をどのように利用できるのかを見ていきましょう。
蓄電池で電気を貯めておけば停電時も安心
もしも停電が起きた場合でも、蓄電池に電気を貯めていればIHヒーターを使うことができます。
寒い季節の停電中に温かい食べ物を口にできれば、不安も和らぐでしょう。
ただし、蓄電池があるからといって、通常時と同じように電気を消費するとすぐに電気が使えなくなります。
携帯電話の充電やIHヒーターでの調理など用途は限定する必要があります。
停電の時でも電気を使えるように備えたいとお考えの場合は、蓄電池の導入がおすすめです。
電気代を節約できる
太陽光発電と蓄電池をセットで導入すれば、太陽光で発電した電気を蓄電池に貯められます。
例えば日中に学校や職場へ行って家族全員が留守にする場合、電気を使うのは夜だけです。昼間に太陽光発電で蓄電池に貯めた電気を夜間に利用すれば、電力の使用量が減り電気代が節約できます。
停電が数日間続いた場合でも、太陽光があれば発電できるため電気を使い続けられます。停電に備えられるだけでなく、電気代の節約効果もある太陽光発電と蓄電池のセットがあると安心です。
IHクッキングヒーターで後悔しないために準備しよう
IHクッキングヒーターのデメリットの部分が取り上げられることが多いのは、業者に勧められ、よく分からないままIHヒーターを購入している方がいるからかもしれません。
IHクッキングヒーターにしたことを後悔しないように、災害対策として太陽光発電や蓄電池の導入を検討されてみてはいかがでしょうか。