新築じゃないけど、カーポートをあとから設置できるのかな?
もちろん既存の住宅にもカーポートを設置できるわ。ただ、工事前の手続きが大変みたいだから、どうしたら良いのかを一緒に見ていこう。
カーポートの後付けは違法?
自家用車を所有している方が自宅敷地内の駐車スペースに後からカーポートを設置するのはよくあるケースです。
ただし、カーポートを後付けするときに建築基準法を満たしていないと違法になります。
建築基準法とは建物を建てるときに守らなくてはいけないルールのことで、カーポートは建物に分類されます。
建築基準法を守っていれば、カーポートの後付けは違法ではありません。
後付けは可能
自宅または所有している土地に広いスペースがあれば、カーポートの後付けは可能です。
カーポートを後付けするには建築基準法などのルールを守る必要があるので、業者に相談しながら設置するカーポートを決めるようにしましょう。
工事前に確認申請が必要
カーポートは法律で建築物と定義されているので、施工を開始する前に「確認申請」の手続きが必要になります。
確認申請とは住宅の新築工事やリフォームを行う前に行政に書類を提出して、完工後の建物が建築基準法を満たすかどうかを確認してもらうことです。
認定申請をせずにカーポートを設置した場合、建築基準法を守っていたとしても違法になります。
違法にならないように、着工前の確認申請は必ず行いましょう。
カーポートをあとから付けたいときの確認申請は自分でもできる?
確認申請の申請者は、「建築主」と定められています。
ですが、申請のための書類作成には建築に関する専門知識が必要で、役所での手続きも面倒なため、業者に有料で代理申請を依頼することが一般的です。
業者に確認申請の代行を依頼する際の注意点は2つです。
- 役所に支払う手数料が見積もりに含まれているか
- 業者の代行費用が見積もりに含まれているか
業者によっては、「諸費用」など見積もりの表示項目を一括りにしている可能性があるので、後からトラブルになるのを避けるためにも必ず確認することをおすすめします。
カーポート後付けの注意点
カーポートの後付け設置を検討する際に、注意したい点がいくつかあります。
注意点の項目は、次に示すとおりです。
- 建ぺい率
- 埋設物の有無
- 残土の処分方法
- 建物との距離
- 設置後の駐車や乗り降りのしやすさ
それぞれどのような点に注意が必要なのか具体的に見ていきましょう。
建ぺい率を確認する
建ぺい率とは所有している土地の広さに対して住宅などを建築できる面積のことを指し、計算式は次のとおりです。
建築面積÷敷地面積×100=建ぺい率 |
建物の用途や地域によって、建ぺい率は30%~80%の間で定められています。
例えば建ぺい率が60%と決まっている土地に、既に60%の面積を使って住まいを建てている場合は、カーポートを追加で設置できないことになります。
ただし、カーポートの設置では建ぺい率の緩和措置を受けられるケースもあるので、該当するかどうかを自治体に確認してみると良いでしょう。
水道管やガス管などの埋設物を確認する
カーポートを設置して駐車場として使用したい場所、地中に水道管やガス管などの埋設物がないかも事前に確認が必要です。
カーポート全体を支える柱の基礎部分は、地面の土を掘ってコンクリートを地中に埋めて強度を確保します。
ですので、柱を設置したい場所の地中に配管があるとその位置にはカーポートを設置できないことになるため、埋設物の有無の確認が必要になります。
埋設物が埋まっている可能性があるかどうかの確認は、業者に現地調査を依頼するときに併せて対応してもらいましょう。
残土を適切に処分しなければならない
カーポートの柱を建柱する際は、地面の土を50cm~60cm程度掘り起こしてから土台になるコンクリートを埋め込みます。
地面を掘り起こした時に、土以外にガラと呼ばれる物が出てくることがあります。
ガラとはコンクリート片や木材など建築資材の端材の総称で、本来はそこに埋まっていてはいけない物です。
柱の土台部分を地面に埋めた後に残る残土とガラは、各都道府県が決めている残土条例に従って適切に処分する必要があります。
無料で回収してくれる業者は不法投棄をする可能性があるので、費用が発生しますが残土条例で決まっているとおりに処分してくれる業者に依頼するようにしましょう。
隣家との距離を確認する
カーポートを後付けで設置する場合、隣地からの距離を適切に保つ必要があります。
建物は隣地との境界線から最低50cmの距離を空けて設置しなくてはいけない決まりがあるからです。
ほかにも積雪が多い地域では、屋根の傾斜方向によってはカーポートに積もった雪が隣家の敷地内に落ちてしまいご近所トラブルになる可能性があります。
雨や雪が隣家のほうに流れていかないカーポートの設置方法を業者に相談しながら、施工計画を立てることをおすすめします。
設置による影響を確認する
カーポートを設置した後の使い勝手などを事前にシミュレーションしておくことも重要です。
カーポートを設置する位置によっては駐車がしにくかったり、自動車の乗り降りがしにくくなる可能性があります。
玄関からの動線を踏まえて、行き来がしやすいようにカーポートの設置方法を決めるのがおすすめです。
また、カーポートは住宅の真ん前に設置することが多いので、外壁の外観とマッチするデザインを選ばないと「新築した時に設置しておけば良かった」などと後悔するかもしれません。
カーポートをあとから付ける費用
いざカーポートを購入しようとなっても、費用をどれくらいで考えるのが妥当なのか悩むところです。
ここでは、カーポート本体の費用相場と設置費用の費用相場を紹介していきますので、カーポート購入費用の予算決めの参考にしてください。
カーポートの費用相場
一般的なカーポート本体の購入費用の相場は、次の表のようになっています。
駐車台数 | 本体価格相場 |
---|---|
1台用 | 100,000円~ |
2台用 | 200,000円~ |
駐車する車の台数のほかに、形状や素材、デザインなどでも金額が前後しますので、気になる製品の価格詳細は業者に問い合わせましょう。
設置費用相場
カーポートを新規で設置する場合の施工費用の相場感は、次の表のとおりです。
駐車台数 | 新規設置工事費用相場 |
---|---|
1台用 | 40,000円~ |
2台用 | 70,000円~ |
上記は地面の材質が土の土地にカーポートを新設する場合の工事費用の相場になります。
地面がコンクリートの場合にハツリ工事(コンクリートに穴を開けたり削る工事)が必要になったり、残土の処分費用が追加になったりするため、工事費用の詳細は業者に見積りを依頼して確認しましょう。
カーポートに固定資産税はかかる?
カーポートを後付けする場合、種類によって固定資産税がかかります。
固定資産税とは、土地や建物などその場所に固定された資産を所有している人に課される地方税のことです。
カーポートも次に挙げる3つの要件を満たすと家屋とみなされて固定資産税の対象になります。
- 外気分断性
- 土地への定着性
- 用途性
土地への定着性と用途性はカーポートの構造上、全てのカーポートが該当します。
標準的な柱と屋根のみ、壁が片側1面のみなどのカーポートの場合は外気が分断されないため対象外です。
しかし、三方向に壁がある車庫のようなカーポートは外気分断性の条件も満たすため固定資産税の課税対象になります。
★
カーポート業者の選び方
カーポートの後付けで後悔しないように、業者選びは慎重に行いましょう。
業者選定時に注目したいポイントは、次に挙げるようなことです。
- 専門業者に依頼する
- 複数の業者から相見積もりを取る
- 施工実績が多い業者を選ぶ
- 保証やアフターサービスが充実している業者を選ぶ
それぞれのポイントで何に注意したいのか、詳細を説明していきます。
エクステリア・外構の専門業者を選ぶ
カーポートの施工に必要な資格などはありませんが、エクステリアや外構を専門にしている業者を選ぶのがおすすめです。
カーポートは住宅の建築工事の中でエクステリアに分類されるので、エクステリアや外構の専門業者なら知識や経験が豊富な職人が多く、安心して施工を依頼できます。
相見積もりを取る
業者を決める前に、必ず複数の業者から見積りを取るようにしましょう。
同じメーカー、サイズのカーポートの見積りでも、業者によって見積り金額は異なります。
項目ごとに細かく比較を行うと、明らかに価格が高い項目や、何のために必要なのかが分からない箇所が見つかるかもしれません。
相見積もりを取った中で、適正価格で見積をしている業者に決めるのがおすすめです。
しかし、建築主と業者の担当者との相性などもあるので、価格だけでなく総合的に判断する必要があります。
施工実績が豊富な業者を選ぶ
カーポートの施工実績が多い業者を選ぶことも重要です。
カーポートは敷地の広さや隣地からの距離などで施工できる条件が異なるため、実績が多い業者なら過去の施工事例を参考にして最適な提案をしてもらえるでしょう。
カーポート施工の実績が少ない業者では問題があるということではなく、確認申請の手続きや技術面などで不安に感じることがあるかもしれません。
保証やアフターサービスで選ぶ
施工後の保証やアフターサービスが充実しているかどうかも、カーポートの業者選びでは重要なポイントです。
国税庁が定めているカーポートの耐用年数は45年ですが、15年に短縮できる制度があることから実質15年程度と考えられます。
もしも台風や積雪などの被害でカーポートの修理が必要になった場合、地元の業者ならすぐに現地に駆け付けてもらえるので気軽に相談できそうです。
アフターサービスを依頼しやすいかどうかも確認して、業者を選ぶようにしましょう。
カーポートをあとから付ける流れ
カーポートを後付けで施工する際の、業者選定から施工完了までを順を追って説明していきます。
1~4までは順番が前後する可能性がありますが、概ね次のような流れです。
- 業者選定
- カーポート選定
- 現地調査
- 見積もり依頼
- 契約締結
- カーポート施工
それぞれの工程について、詳細を見ていきましょう。
業者を選ぶ
まずはカーポートの施工を依頼する業者を選びます。
自宅を建てた工務店やハウスメーカーにエクステリア部隊があれば、同じところに依頼するのも良いでしょう。
築年数が長いと住宅を建てた業者が廃業しているケースもあるので、この場合はカーポートの施工実績が豊富な業者を探します。
あるいは先に設置を希望する製品を決めてから、販売している業者を探す方法もあります。
メーカーと販売店の取引状況によっては、同じ製品を他社よりも安く購入できるかもしれません。
設置したいカーポートを選ぶ
最初にカーポートに求める機能やデザインなど、金額や自宅に設置できるかどうかにかかわらず、一旦要望を全て書き出してみましょう。
要望の中で絶対に譲れない点と妥協できる点に振り分けた状態で業者に相談すれば、希望が叶うカーポートを提案してもらえます。
イメージが湧きにくい場合は、メーカーの展示場やホームセンターなどに設置されている実物を見て選択するのがおすすめです。
太陽光発電が同時に行えるソーラーカーポートという選択肢もありますので、後悔のないようにじっくり検討してください。
業者と現場の下見を行う
施工を依頼する業者と設置したいカーポートが決まったら、カーポート設置場所の現地調査を業者に依頼します。
最終的に現地調査をしてもらわないと、希望するカーポートが本当に設置できるかどうかが分かりません。
また、現地を確認しないと業者でも正式な見積もりを作れないのが現地調査を依頼する理由です。
カーポートの設置について心配な点がある場合は、現地調査の時に一緒に確認してもらうようにしまよう。
見積もりを依頼する
現地調査の結果を反映した正式な見積もりの作成を業者に依頼します。
もしも現地調査を行わずに出てくる見積もりがあれば、後から追加費用をいくら請求されるか分からないので、概算見積もりなのか正式見積もりなのかを確認するようにしましょう。
見積りの内容は内訳まで細かく確認を行い、何のために必要なのかが分からない費用などがあれば納得できるまで業者に確認することをおすすめします。
契約する
見積もり内容に問題なく合意できたら、業者と請負契約を締結します。
契約書は、業者が用意している雛型を利用することがほとんどです。
契約書の条文は独特の言い回しが分かりにくい部分が多いものですが、後々トラブルになることを避けるために隅々までしっかりと内容を確認するようにしましょう。
どのように解釈したら良いのか分からない条文については、業者に確認して詳細を理解した上で契約締結するのがおすすめです。
工事を行う
請負契約締結後は、カーポートの施工完了を待つのみです。
最初に柱の基礎を地面に打ち込む作業ですが、雨や雪が続く季節だとコンクリートを型に流し込める日が限定されたり、コンクリートが乾きにくかったりするため時間がかかるかもしれません。
基礎工事が終われば、残り部分の施工は数日で作業が完了します。
カーポート完成後に業者から引き渡しを受ければ、正式に自分の駐車場になります。
カーポートをあとから付けるなら確認申請が必要
ここまで、カーポートの後付け工事について解説してきました。
確認申請など必要な手続きをしていればカーポートはあとから設置できます。
大切なご家族を乗せる愛車の駐車スペースを確保したいとお考えの方は、まずは業者への問い合わせを行ってみてはいかがでしょうか。