電気代補助金はいつから始まってるの?まだまだ続いて家計を助けてくれるのよね?
電気代補助金は期限が決まっていて、延長の可能性に期待したいけれど、現時点では不明なの。電気代補助金についての詳しい解説や、電気代の節約方法を紹介するから参考にしてみましょう。
電気代補助金制度とは
電気代やガス料金といった光熱費の高騰は、家計や企業経営をダイレクトに直撃します。
また、寒さが厳しい冬や暑い夏に電気代が高いからとエアコンの使用を控えてしまえば、命に関わる重大な事由に発展する恐れも。
そこで政府が導入を決めたのが電気代補助金です。
電気・ガス価格激変緩和対策事業
電気代補助金(制度)の正式名称は「電気・ガス価格激変緩和対策事業」といい、資源エネルギー庁が行っています。
世界情勢などの影響により、高騰し続ける電気代やガス代が国民の大きな負担となっているとして、負担軽減を目的に国が支援する事業になります。
対象はどこまで?
電気代の場合、家庭(低圧契約)・法人のどちらも対象ですが、法人(高圧契約)は割引額が半額になります。契約している電力会社(大手電力会社や新電力会社)及び料金プランによって対象外となることはないので安心してください。
ガス代は都市ガスの契約が対象となりますが、年間契約料が1,000万㎥以上になると対象外です。また、プロパンガスは最初から対象外となっているので注意しましょう。
電気代補助金はいつからいつまで?
電気代補助金は、期間限定で実施されます。
いつからいつまでが対象期間となるのか、さらに電気代補助金をもらうための申請方法を確認してみましょう。
2023年1月使用分から9月まで
電気代補助金の対象となる期間は、2023年(令和5年)1月使用分から2023年9月使用分です。
電気代の請求は翌月に行われるため、実際には1月使用分は2月検針分に反映され、10月検針分を以て終了となります。
申請方法
電気代補助金をもらうために、一般家庭や法人が申請の手続きを行う必要はありません。
なぜなら、同事業は電気事業やガス事業者が国に申請を行い、承認を得ることで、国が事業者に補助金を出す制度だからです。事業者は国からの補助金分を差し引いた電気代・ガス代を、家庭・法人に請求するので実質的な割引が受けられる仕組みとなっています。
そのため、「電気代補助金の受け取りに必要な口座を教えてください」のような電話が来たり、市や国の職員を装った人が訪ねて来た場合は詐欺を疑いましょう。
電気代補助金では、家庭や法人に直接現金が振り込まれることはありません。
電気代補助金はいくら値引きされる?
「2023年の電気代補助金はいくらですか?」のような質問は、オンライン上に多く見られます。電気補助金で電気代やガス代が安くなるといっても、具体的な数字が出ていないと負荷がどのくらい軽減されるのか実感が沸きにくいでしょう。
ここでは、電気及びガスの使用量別に補助金によって割引される金額を一覧表にしてご紹介します。
電気代補助金
世帯人数 | 電気使用量(平均的な目安) | 補助を受けた後の値引き額(2023年1月~8月) | 補助を受けた後の値引き額(2023年9月) |
---|---|---|---|
1~2人 | 200kWh | 1,400円 | 700円 |
3人 | 300kWh | 2,100円 | 1,050円 |
4人 | 400kWh | 2,800円 | 1,400円 |
電気代補助金で、国から電力会社に支払われる金額は以下のとおりです。
項目 | 家庭(低圧)の補助額 | 法人(高圧)の補助額 |
---|---|---|
2023年1月~8月 | 7円/kWh | 3.5円/kWh |
2023年9月 | 3.5円/kWh | 1.8円/kWh |
電気代補助金は2023年1月から9月までが実施期間ですが、8月までと9月の金額が異なり、9月はそれまでの半額の補助となります。
ガス代補助金
世帯人数 | ガス使用量(目安) | 補助を受けた後の値引き額(2023年1月~8月) | 補助を受けた後の値引き額(2023年9月) |
---|---|---|---|
2人 | 10㎥ | 300円 | 150円 |
3~4人 | 30㎥ | 900円 | 450円 |
5人以上 | 40㎥ | 1,200円 | 600円 |
電気代補助金で、国からガス会社に支払われる金額は以下のとおりです。
項目 | ガスの補助額 |
---|---|
2023年1月~8月 | 30円/1㎥ |
2023年9月 | 15円/1㎥ |
電気代と同様に、2023年8月までと9月の補助額が異なるので注意しましょう。
値引き額のチェック
多くの電力会社の場合、電気使用量の請求書には具体的な値引き額は記載されていません。
検針表には値引き単価のみが記載されているため、より具体的な値引き額が知りたい場合は、次の計算式に電気使用量を当てはめてみましょう。(2023年3月の家庭の場合)
補助額(7円/kWh)×電気使用量=値引きされる電気代 |
また、経済産業省(資源エネルギー庁)のサイト内では数字を入力するだけで、電気代の値引き額が分かります。
ガスの値引き額も同様に、以下の計算式で求められます。(2023年9月の家庭の場合)
補助額(15円/㎥)×ガス使用量=値引きされるガス代 |
そもそも電気代が値上がりする原因とは
ここ数年電気代はジワジワと上昇していましたが、2022年は大幅に高騰し、連日ニュースで話題になりました。電力会社各社が政府に規制料金の値上げを申請し、2023年5月に認可されたため、さらに電気代が高くなると多くの国民は危機感を募らせています。
しかし、電気代やガス代の高さを身に沁みて実感しながらも、どうして高いのか詳しく理解している人は少ないのではないでしょうか。
電気代が国民の生活を圧迫する事態に陥ってしまったのは、国内外の様々な事情が複雑に絡んでいるのが原因です。
燃料価格の高騰
ウクライナ情勢により、アメリカやEUなど世界各国がロシアへの経済制裁が採択され、資源の輸出が規制されています。
ロシアは天然ガスを始め、石油や石炭といった化石燃料の輸出量が世界上位の国ですが、EUは脱ロシアを図るべく化石燃料の輸入を段階的に取りやめる方針を示しました。そのため、需要と供給のバランスが崩れてしまい、結果的に価格高騰を招く一因となってしまったのです。
日本の場合、電力の7割を火力発電が占めており、化石燃料のほとんどを輸入によって賄っています。ロシアへの制裁や世界的な化石燃料の高騰を受け、火力電力の発電に莫大な資金が必要となり、電気代が高くなる原因となりました。
発電所の停止・減少
2011年に発生した東日本大震災により、国内の原子力発電所の多くが稼働を停止。
特に海岸近くにあり津波の大きな被害を受けた福島第一原発では、3つの原子炉がメルトダウンを起こす重大事故が発生し、原発の安全性が疑問視されたことなどから、ほかの地域の原子力発電所の再稼働に反対する声が大きくなり、資源エネルギー庁の報告によると現在も多くの原子力発電所が再稼働に至っていません。
また、日本の電力の多くを担う火力発電所も、老朽化や維持費の高騰、国の再生可能エネルギーへの転換などにより休止または廃炉にするところが増えています。
こうした事情が重なり、日本全体の発電量が減っているのも電気代が高くなる大きな原因といえます。
円安
日本では2022年3月から円安が進み、同年10月には一時1ドル=150円という32年ぶりの水準となりました。
現在はやや落ち着いてはいるものの、円安の状態は変わっていません。
円安になると、海外では日本から輸出される製品を安く購入できるため、輸出を主に行っている企業にとって有利に。一方で、海外から輸入した製品を扱っている企業は、今までよりも高く製品を購入しなくてはいけなくなり不利になるのです。
火力発電所の化石燃料の多くを輸入に頼っている日本にとっては、仕入れが高くなるので、必然的に電気代も高くなってしまいます。
電気代補助金は10月以降に延長される?
経済対策は暫定的に行われる場合が、電気代補助金も2023年1月から9月と期間が決まっています。
しかし、この期間で電気代高騰の原因が解決していなければ、補助金終了後は再び国民が電気代やガス代に生活を脅かされる状況になるでしょう。
延長される可能性が高いか
政府は、電気代やガス代の支援を9月から半減する当初の予定について、2023年6月の時点で変更を発表していません。つまり、このままでは10月以降は補助金が投入される前の状態に戻ります。
電気代やガス代が値上げされるわけではないのですが、9ヶ月の間、通常よりも安く電気やガスを使えていた国民からすると、実質的な値上げと同等に感じてしまうでしょう。政府に対して引き続き何らかの対策を願う声が大きく上がると予想され、期間が延長される可能性は高いと見られています。
その根拠となるのが、2022年に実施された「燃料油価格激変緩和対策事業」。
燃料費の高騰による負担を減らすために、2022年1月から9月までの期間限定でガソリン価格に補助を行うものでしたが、期間の延長が繰り返され、2023年9月までの補助が決定しています。
このことからも分かるとおり、一度実施した経済対策を期間満了を理由に取りやめる判断を下すのは難しい状況にあるといえ、電気代補助金も延長させる可能性があります。
給付金という可能性もあり
仮に、電気代補助金の期間が延長されなかったとしても、電気代補助金に変わる対策が検討・実施される可能性があります。
家庭や法人に対して、給付金を直接支給する方法もそのひとつ。
野党第一党の立憲民主党は、電気代補助金終了後は「エネルギー手当」の支給を検討すべきとしています。
具体的には一世帯当たり6,000円/月を6ヶ月間で18,000円の支給としており、これは400kWhの電気使用量で2,800円の値引きがされている電気代補助金とほぼ同等の対策となります。
電気代を節約する方法
一般的な電気料金は、次の内容で決まります。
項目 | 詳細 |
---|---|
基本料金 | 電気の使用の有無に関係なく毎月固定でかかる料金 |
電力使用量 | 従量電灯Aなどの料金制度 |
再エネ賦課金 | 電気を使用する上で負担が義務付けられているもの |
そのため、電気プラン、家電の使い方、支払い方法の3つを最適化することで電気代の節約へとつながります。
電気プランを見直す
仕組みはどの電力会社でも同じですが、顧客獲得の競争が激しくなっている現在は、新電力会社を中心に様々な料金プランを提案しています。一部をご紹介しましょう。
電力会社 | 基本料金のプラン | 電力使用量のプラン |
---|---|---|
Looopでんき | 0円(50Aの場合) | 29.66円~(30分ごとに単価が変動するピークシフト制度を採用) |
新日本エネルギー | 1,287円(東京電力エリア50Aの場合) |
|
HTBエナジー | 550円(東京電力エリア50Aの場合) |
|
世帯人数や電気を主に使用する時間帯などによって最適のプランは変わるため、複数の電力会社からプラン選びをすることが大切。
電化製品の使い方を見直す
適切なプランを選んだ後は、電化製品の使い方を工夫してみましょう。節電効果が期待できる電化製品の使い方は以下のとおりになります。
電化製品 | 見直し方法 | 成果 |
---|---|---|
エアコン(冷房) | 設定温度を1度上げる | 1日9時間の使用の場合、年間で約800円の節約 |
テレビ | 明るさを最大から中間に変える | 32V型液晶テレビの場合、年間で約700円の節約 |
冷蔵庫 | 設定温度を強から中に変える | 室温によって多少変わるが、年間で約1,600円の節約 |
洗濯機 | 回数を減らす | ・まとめ洗いにすると水道代と合わせて年間約4,000円の節約 ・すすぎ2回を1回にすると水道代と合わせて年間約5,200円の節約 |
照明 | 蛍光灯からLEDに変更 | 1ヵ所の白熱電球をLEDに変更すると年間約2,500円の節約 |
温水洗浄便座 | 使用しないときは必ず蓋を閉める | 年間で約770円の節約 |
コンセント | 長期間使わない場合は抜く | 電気代が月8,000円の場合、待機電力5%を削減し、年間4,800円(最大)の節約 |
どの方法も簡単に行える節約術ですが、合計すると標準世帯で年間で20,370円の節約が可能。月々は小さい額でも、塵も積もれば山となり大きな効果を生みます。
冬の寒い時期、暖をとるのにエアコンや電気ストーブだけではなく、電気毛布やこたつ、ホットカーペットを利用するのも良いでしょう。
電気料金は電気毛布<こたつ<ホットカーペット<電気ストーブ<エアコンで高くなります。電気毛布は部屋全体を温められませんが、エアコンや電気ストーブとの併用で設定温度を低くすれば、その分電気代を抑えられます。
久しく家電を買い替えていないのであれば、最新の省エネ家電への買い替えもおすすめ。
環境省のホームページには、古い家電から省エネ家電に買い替えた場合の省エネ効果を掲載しています。テレビは6年前と比べて約29%、冷蔵庫なら10年前よりも約47%も電気代を節約できます。楽天市場などで、省エネ家電をチェックしてみてください。
支払い方法を見直す
これまでご紹介した電気代の節約方法を行ったら、最後は支払い方法でさらなるコスト削減の実現を目指しましょう。電力会社によっては口座振替を設定すると割引が受けられるところもありますが、これといった特典がなければ、ドコモカード(dカード)や楽天カードなどのクレジットカード払いにすると、毎月ポイントが付加されるのでお得です。
電気代の節約には新電力への切り替えもおすすめ
2016年4月の電力自由化により、地域の大手電力会社が独占していた電力小売市場に、様々な業種の参入が可能となりました。
当初は電気に関係していないビジネスの参入に対し、疑問の声が上がりましたが、現在は自分のライフスタイルに合ったプランやセットの割引が受けられるなどの理由で、新電力会社へ契約を変更する人が増えています。
大手電力会社と料金などを比較した上で、より自分に合った電力会社を総合的に判断して選ぶのが良いでしょう。
新電力会社への契約の切り替えについては、新電力はやばい?も参考にしてください。
電気代の削減意識を高めることが大切
近年の異常気象により35℃以上の猛暑日が各地で頻発し、夏涼しく冬寒いといわれていた北海道でも、エアコンが必須となりつつあります。
冬の燃料費高騰では、1ヵ月で電気代が10万円を超えるオール電化住宅のツイートが話題になりましたが、今後は夏も同じようなケースになるかもしれません。
あたり前ですが、北海道に限らずどの地域でも同じように注意が必要です。
電気代の削減は国からの対策を待つだけではなく、私達も何ができるか考えなくてはいけません。電気代補助金などは必ず上限があるため、いくら補助金が出てもそれ以上に料金が高くなれば、焼石に水状態になるからです。
これからを生き抜くには、私達消費者も知識を持ちましょう。例えば東京電力エナジーパートナー(TEPCO)では電気代を節約したいお客さまに対し、給湯器からエコキュートに交換するキャンペーンや、省エネのセミナーなどを開催しています。
関西電力を始めとした各電力会社では、会員登録無料で様々なお得なサービスを利用できるオンラインサイトを開設しています。こうした情報を上手く利用してみましょう。
また、太陽光発電や蓄電池の設置を検討してみてはいかがでしょうか。初期費用やメンテナンス費用は必要ですが、「猛暑でも気にせずエアコンを使えるから安心」や「災害時の停電で役に立った」などメリットや恩恵を感じている人は少なくありません。