太陽光発電のほかにも色々な新しい発電方法があるよね。
「そんな発電方法があるの?」と思わず言ってしまうような面白い発電方法も開発されているから、どんな発電方法があるのか一緒に見ていこう。
従来の発電方法にはどんなものがある?
現在、様々なエネルギー源を活用した発電方法の技術が研究・開発されています。
太陽光発電や風力発電などは、ご存じの方も多いと思います。
それでは、今の私たちの生活を支えてくれている電気はどのように生み出されているのでしょうか。
従来からある発電方法は、「火力発電」と「原子力発電」です。
それぞれの発電方法を説明します。
火力発電
火力発電は、日本の電気の約8割を賄っている主力の電力です。
基本的な発電の仕組みは、最初に石油や石炭、天然ガスなどの燃料を燃やして大量にお湯を沸かします。
このお湯を沸かした時に発生する蒸気の力でタービンという羽根車を回転させることで、タービンと繋がっている発電機を動かして電気を生み出しています。
タービンとは、蒸気やガス、空気などの流れる物が持っている運動エネルギーを回転運動に変換して、動力として利用できるようにする装置のことです。
火力発電は、一度に大量の電気を作ることができるという特徴があります。
原子力発電
原子力発電は、世界中で50年ほどまえから採用されている発電方法です。
原子力発電で電気を生み出す仕組みの基本は、火力発電と同じです。
火力発電が化石燃料を燃焼して蒸気を発生させるのに対して、原子力発電では、原子炉でウランを核分裂させた時に発生する熱エネルギーを利用して大量のお湯を沸かし、発生する蒸気の力を使ってタービンを回しています。
火力発電と比べると少ない燃料で多くの電気を得られ、一度燃料を原子炉に入れたら、1年程度連続して稼働できます。
発電の過程で二酸化炭素を排出せずに、大量の電気を作り出せるという特徴があります。
従来の発電方法の問題点
従来の発電方法には、いくつかの問題点があります。
火力発電の問題点は、発電するときにCO2(二酸化炭素)を大量に排出してしまうことです。
日本の電気の約8割は火力発電による電力が供給されていますが、このまま火力発電が主力の状況が続いていくと、地球温暖化の原因と言われている二酸化炭素を排出し続けることになります。
日本はパリ協定で2030年までに対2013年比で26%の二酸化炭素を削減するという目標を掲げていますが、火力発電に頼る状況のままでは目標達成が難しくなると懸念されています。
原子力発電は、少ない燃料で大量の電気を生みだせるメリットがある半面、核燃料を使用するので東日本大震災のような重大な事故が起きた際に放射性物質を放出してしまうなど、相当深刻な被害が起きる可能性があることが最大の問題点です。
この点、太陽光発電は、太陽光を燃料とする発電方法です。
発電の過程で二酸化炭素も発生せず、核燃料も使用しないので、環境に優しい発電方法と言えます。
おもしろい発電方法一覧
テレビのニュースなどで、びっくりするような珍しい発電方法を目にしたことはないでしょうか。
私たちの身の回りにある物を発電に利用する技術の研究、開発が世界各地で進んでいます。
「こんな発電方法がある。」と、明日誰かに話したくなるような面白い発電方法を紹介します。
うどん発電
うどん発電は、うどん県である香川県が「うどんまるごと循環プロジェクト」の一環として行っている発電事業です。
香川県は、うどんの消費量が全国1位であることは有名ですが、反対に年間で1,000t以上のうどんが廃棄されていました。
この廃棄されてしまううどんをタンクに入れて発酵させて、発酵の過程で発生するメタンガスを利用してタービンを回して発電するのがうどん発電の仕組みです。
普段私たちが口にしている物が電気に変わるのは不思議な感覚がしますが、面白い発電方法ですね。
牛の排泄物発電
牛の排泄物を利用した発電方法もあります。
牛のげっぷや排泄物にはメタンガスが多く含まれています。
メタンガスが発生しにくい飼料の開発も進んでいますが、メタンガスを有効活用する取組みが牛の排泄物発電です。
発電の仕組みはうどん発電と同じで、バイオガスプラントという施設で牛の排泄物を発酵させて、発酵の過程で発生するバイオガスを発電のエネルギー源にしています。
ダンス発電
ダンス発電は、ダンスフロアの振動をエネルギー源として発電する仕組みで、床発電の一つです。
ヨーロッパでは、10数年前からダンス発電の設備が導入されているクラブがあります。
クラブで人々が踊る時に生まれるエネルギーから電気を作り出して、店舗の照明などの電源として利用しています。
汗発電
夏になると不快感が増す汗を発電のエネルギー源にする技術が汗発電です。
汗に含まれている乳酸を酸化させて発電に利用します。
従来は、汗で発電するためにランニングなどの激しい運動が必要でしたが、汗腺が多い指先に巻きつけて就寝中に発電するデバイスなどが開発されています。
体温発電
体温発電は、人の体温と気温との温度差を利用して発電する仕組みです。
充電不要なウェアラブルデバイスとして、心拍、睡眠、歩数、カロリーなどのデータを計測できる活動量計に体温発電の技術が採用された商品が発売されています。
人の体温を利用して発電するので充電のために取り外す必要がなく、健康に関するデータを24時間365日計測できます。
再生可能エネルギーを利用した発電方法一覧
「再生可能エネルギー」という言葉を、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
再生可能エネルギーとは、太陽の光や風、地熱など地球上に常に存在しているエネルギーのことを指しています。
再生可能エネルギーには、下記のような特徴があります。
- 石油や石炭、天然ガスなどの化石エネルギーと違って枯渇しない
- どこにでもある
- 発電の過程で二酸化炭素を排出しない
たくさんの新しい発電方法が開発されていますので、どのような発電方法があるかご紹介します。
太陽光発電
太陽光発電は、日本で一番導入が進んでいる再生可能エネルギーを利用した発電方法です。
住宅やビルの屋根、広い土地などに太陽光パネルが設置されているのを見たことがあるという方も多いと思います。
太陽光発電は、傾斜を付けて設置した太陽光パネルの表面に太陽の日が当たると発電する仕組みです。
太陽の光のエネルギーを太陽電池で電気に変換しています。
影ができにくい場所という以外は、どのような気候条件でも施行時の工夫次第で安定して電力を確保できます。
また、太陽光発電と蓄電池を併用すれば、災害などで電力の供給が止まった時にも電気を使える点が注目されており、補助金を利用すればお得に導入することができます。
風力発電
風力発電は、環境への負荷が少ない発電方法として世界から注目されています。
風力発電機という大きな風車を風力で回転させて電気を作るのが発電の仕組みです。
風力発電の設備は、年間を通して風速が毎秒6.5m以上の風が安定して吹いている場所に設置しなければいけないため、設置できる場所が限られているというデメリットがあります。
しかし、太陽光発電と違い、風さえ吹いていれば朝でも夜でも、雨の日でも発電できるのがメリットです。
水力発電
水資源に恵まれている日本では、水は海外からの輸入に頼らない国産の貴重な資源です。
水力発電は、高い位置から低い位置に水を流す際の水が落ちる力を利用して水車を廻し、水車と繋がっている発電機を回転させて発電しています。
天候の影響を受けることなく、安定して発電できます。
発電する時に燃料の燃焼もしないので、地球温暖化の原因となる二酸化炭素を排出せず、環境にやさしいクリーンなエネルギーと言われています。
バイオマス発電
バイオマスとは、動物や植物などから生まれる再利用可能な生物資源のことを指しています。
具体的には、木材や生ごみ、ふん尿、プランクトンなどがあります。
バイオマスは、枯渇する恐れがある化石燃料とは違い、持続的に再生可能な点が特徴と言われています。
バイオマス発電は、これらの生物資源を燃焼させる際に発生する熱を利用して発電する仕組みです。
発電した後に残る排熱は、発電所の周辺地域の暖房や温水などでの活用が進められています。
地熱発電
地熱とは、地球の中心部にある熱のことを指し、5,000~6,000℃近くの温度があると言われています。
地熱発電は、地中の奥深くにある蒸気を取り出して、この蒸気の力でタービンを回転させて発電する仕組みです。
蒸気は常に地中から噴き出しているため、時間に関係なく発電を続けることができます。
発電量はまだまだ少ないですが、火山帯に位置する日本では、安定して電力を生み出せる発電方法として地熱発電が注目されています。
太陽熱発電
太陽熱とは、文字通り太陽の「熱」のことを指しています。
太陽光発電では、太陽の光が発電のエネルギー源ですが、太陽熱発電では、太陽の熱が発電のエネルギー源になっています。
太陽熱発電は、レンズなどで太陽光を1か所に集めて熱に変換し、この熱でお湯を沸かして発生した蒸気でタービンを回転させて発電する仕組みです。
太陽光を集めて作った熱は貯めておくことができるので、時間帯の制限を受けることなく発電できます。
波力発電
波力とは、波の力のことを指しています。
海水が波打って上下に揺れる動きで発生するエネルギーを利用して発電するのが波力発電です。
波力発電は、発電の仕組みにいくつも種類があり、中でも「振動水柱型」「可動物体型」「越波型」が代表的な発電方法です。
発電の技術はまだ開発の途中で、実用化まで進んでいない発電方法もありますが、水力発電と同様に天候の影響を受けにくいため安定して発電できることがメリットです。
海洋温度差発電
海水の温度は、表層部は太陽の熱で温められるため温度が高く、反対に深海部は太陽の光が届かないので冷たくなっています。
表曽部と深海部の水温の温度差は約20~25℃あると言われており、この温度差をエネルギー源として発電しているのが海洋温度差発電の仕組みです。
2013年に久米島で海洋温度差発電の実証実験が行われており、発電した電気はエビの養殖や野菜の栽培、久米島全体で使用する電気の電力源として活用されました。
海流・潮流・潮汐流発電
海流とは、常に一定の方向に流れる海水の動きを指し、潮流とは、潮の満ち引きによって引き起こされる潮の流れを指しています。
また、潮汐とは、海面の水位がゆっくりと上下することを指し、潮汐流とはこの海面の水位が上下することで起きる海水の流れです。
海流・潮流・潮汐流発電は、これらの海水が動く運動エネルギーを水車によって機械エネルギーに変換してから発電機で発電する仕組みです。
四方を海で囲まれている日本で注目されており、研究・開発が進んでいる発電方法です。
次世代の新しい発電方法一覧
再生可能エネルギーを活用した発電方法の他にも、二酸化炭素を排出せず、再利用可能なエネルギー源で発電する次世代発電方法の技術がたくさん開発されています。
次世代発電方法にはどのような種類があり、どのようなシステムで発電するのかを紹介していきます。
音力発電
音は、空気の振動が伝わって音として耳に伝わっています。
この空気の振動を電圧素子というデバイスで捕まえて、電気に変えます。電圧素子とは、電源がなくても電圧を作り出せる装置のことです。
電圧素子が空気の振動をエネルギーに変換するときに振動が減少することが分かっています。
工事中の音や、鉄道、航空機の音など不快に感じてしまう騒音を電気に変換することで軽減させることができるのです。
騒音が減るだけでなく、環境に優しい電気が作れるので、人にも地球にも良いことだらけの発電方法です。
床発電
床を電気を発電するためのエネルギーを発生させる場所として利用する発電方法です。
踏むだけ発電とも言われています。
圧電素子というデバイスを床や地面に設置して、その上を人々が通るときに発生する床の振動がエネルギー源になっています。
2006年から数回にわたってJR東日本の東京駅で床発電の実証実験が行われてきた結果、床発電は、発電量が少なく、耐久性が低いというデメリットがあるということが分かりました。
振動発電
振動発電は、人が歩いたり車が走行したりする時に発生する振動をエネルギー源として電気を作ります。
床発電も振動発電の一つです。
振動のエネルギーをいかに効率よく吸収して発電効率が上がるようにできるかが重要です。
振動発電利用の取組みとして、歩行者が歩く振動を利用して廊下の曲がり角に設置したLEDライトを発光させて、反対側から来ている歩行者に見えない所に人がいることを知らせて出会い頭の事故を防ぐという事例があります。
Wi-Fi無線電波発電
Wi-Fiの無線電波には、2.4GHz帯と5GHz帯の2つの周波数があります。
この電波はマイクロ波という電磁波です。2.4GHz帯のWi-Fi無線電波をエネルギー源として電気を作り出すのがWi-Fi無線電波発電になります。
Wi-Fiルーターが無線電波を飛ばした先に、電波を受け取るスマートフォンやパソコンなどのデバイスがなかったら、この無線電波は消滅してまいます。
Wi-Fi無線電波発電では、この消滅してしまう無線電波を活用しています。
排熱発電
排熱は、工場の製造工程で発生する熱やゴミ焼却炉で発生する熱、エアコンから発生する熱、電車や自動車のエンジンから発生する熱などを指しています。
これらの不要になった排熱をエネルギー源として、ヒートポンプ技術で電気を作り出すのが排熱発電の仕組みです。
温泉の熱を排熱発電に活用している温泉施設などもあります。
エンジン熱発電
エンジン熱発電は、排熱発電の技術の一つです。
電車やバス、自動車が走行した後に残っているエンジンの熱をエネルギー源として発電します。
走行後すぐのエンジン本体や周辺の機器は非常に高温になっているので、この熱と冷却水との温度差を発電に利用しています。
自動車にエンジン熱発電の仕組みを搭載し、自動車自体に発電機能を持たせることができれば自動車の製造コストの削減に繋がるのではないかと言われています。
進化型風力発電
進化型風力発電は、文字通り風力発電が進化した発電方法です。
風力発電では風車のプロペラに風が当たると風車が動く力をエネルギー源としていますが、進化型風力発電では風車もプロペラもありません。
進化型風力発電は、EWICON(静電風力エネルギー変換)というシステムを採用しており、電気を帯びた荷電粒子を風の力で電界と反対方向に動かす力を発電に利用しています。
電界とは、電圧が掛かっている空間の状態を指しています。
マイナス環境負荷発電
アイスランドにあるヘトリスヘイジ地熱発電所は、世界で初めて「マイナス環境負荷」に成功した発電所です。
地熱発電の工程で二酸化炭素を排出していますが、空気中に浮遊している二酸化炭素を吸収して地球温暖化に影響がない炭酸塩鉱物に変化させる技術を開発しました。
2016年には、排出する二酸化炭素よりも吸収した二酸化炭素量のほうが多かったことが発表されています。
新しい発電方法のアイディアで地球環境を守る
ここまで、さまざまな新しい発電方法を紹介してきました。
全て環境にやさしい発電方法として技術開発されています。
地球温暖化は他人事ではなく、私たち一人一人が向き合う必要のある問題です。
太陽光発電なら一般家庭でも導入することができます。
自分ができることを考えて行動していく意識が、今後の地球環境を守ることに繋がると言えます。