太陽光発電を導入しても電気代は実際そこまで安くならないと言われているけど、本当なのかな?
発電量が少ないと、あまり安くならないのかもしれないわね。太陽光発電で電気代がどう変わるか、実際にシミュレーションをしてみよう。
太陽光発電で電気代は安くならないといわれる理由
太陽光発電を自宅の屋根に設置しても、月々の電気代があまり削減できないと言われていることには理由があります。
太陽光パネルで発電できる時間帯が限られていることや、FIT単価で買い取りされる電気の価格が年々下がっていることが理由として考えられます。
なぜ太陽光発電で電気代が下がらないのか、具体的に理由を確認していきましょう。
悪天候や夜間になると発電できないから
太陽光発電はパネルに日の光が当たっていないと発電できないため、日中でも雨や曇りなど天候が良くない日は発電量が少なく夜間は完全に発電していません。
天候による太陽光の発電量の割合の違いを表にまとめました。
天候 | 発電量の割合 |
---|---|
晴れ | 100% |
曇り | 30% |
雨 | 10% |
雪 | 0%になることもあり |
※晴れを100%と仮定した場合の割合になります。
表から分かるように太陽光の発電量は天候の影響が大きいため、晴れている日に効率良く発電できるようにパネルを設置する枚数や位置など工夫が必要になります。
売電価格が下がっているから
住宅用の太陽光発電は、発電した電気を自家消費して残りの余剰電力を電力会社に売電できる仕組みです。
売電価格は固定価格買取制度で単価が決められており、設備IDを取得した年度に応じて価格が決まります。
中立的な立場である調達価格等算定委員会の意見を取り入れながら、経済産業省の資源エネルギー庁が売電単価を毎年見直しています。
2012年に固定価格買取制度が始まってから単価が毎年下がっているのが、太陽光発電では電気代が安くならないと言われている理由です。
ただ、売電単価が下がっているのは事実ですが、機器を購入する初期費用や設置工事費用も同じように値下がりを続けているため、実際に売電で得られる利益に大きな違いはないと言えます。
太陽光発電で電気料金は0円になる?
太陽光発電設備で発電した電力を家庭で活用する自家消費にすれば、月々発生する電気代を削減できますが0円にするのはかなり難しいでしょう。
理由としては、太陽光パネルが発電できる昼間は電気代を節約できますが、発電がない夜間は電力の購入が必要なためです。
以下の表は一般的な4人家族の世帯を例で見た場合の、1日あたりの発電量と電力の使用量をまとめたものです。
最適な太陽光発電の容量 | 5kW |
---|---|
1日の発電量(太陽光発電の容量5kW) | 13.7kWh |
1日の電力使用量 | 13.1kWh |
表で見ると電気代を0円にできそうな発電量と電力使用量になっていますが、あくまでも相場のため実際にはもっと発電量が少なかったり電力の使用量が多かったりします。
電気をこまめに消す、消費電力が少ない電化製品に変えるなどの対策も必要になり、限りなく0円に近づけることはできても、「0円にする」は難しいと言えます。
太陽光発電で電気料金は実際どうなるかシミュレーション
太陽光発電を利用する場合としない場合で、電気料金が実際にどのように変わるか具体例を元にシミュレーションで計算してみます。
基本条件は、下記のとおり。
項目 | 条件詳細 |
---|---|
家族構成 | 4人 |
電力会社(契約プラン) | 東京電力(従量電灯B) |
契約アンペア数 | 40A |
基本料金 | 1,180.96円 |
電力量料金(120kWhまで) | 30円 |
電力量料金(121kWhから300kWhまで) | 36.60円 |
電力量料金(301kWhから) | 40.69円 |
太陽光発電量 | 5kW |
月間発電量 | 420kWh |
月間電力使用量 | 400kWh |
売電単価 | 19円 |
※2023年6月1日以降の電気料金を元に基本条件を設定
実際にどれくらいの量の電力を自家消費するかが分からないため、本シミュレーションでは全て売電する想定といたします。
4人家族の1ケ月の電気料金
基本料金1,180.96円+電力量料金(120kWh×30円+180kWh×36.60円+100kWh×40.69円)=15,437.69円
1ケ月の売電料金
月間発電量420kWh×売電単価19円=7,980円
シミュレーション結果
太陽光発電の売電で7,980円が削減額となり、月間の電気料金が50%近くお得になることが分かりました。
太陽光発電で電気代を安くするコツ
太陽光発電を利用して電気代を安くするために、抑えておきたいポイントがいくつかあります。
例えば電力会社と契約している電気料金プランを変更したり、発電した電気を自家消費したりする方法などです。
具体的にどのようにすれば電気代を節約できるのか、詳細を見ていきましょう。
電気プランを変更する
オール電化住宅ではない場合でも深夜の電気料金が低く設定されている電気料金プランを選べば、電気代を安く抑えられます。
日中の電気料金が割高になりますが、太陽光発電システムを導入していれば昼間は電気代がほぼかからないため、家計への負担は少ないです。
自家消費する
太陽光発電で発電した電気を自家消費すれば、購入する電力量が減るため電気料金の支払い金額を安く抑えられるでしょう。
夏場や冬場に電力会社が供給量の低下が懸念されるときに節電を呼びかけているような場合でも、気兼ねなくエアコンを使える点がメリットにもなります。
蓄電池を導入する
太陽光発電と蓄電池をセットで導入すれば、光熱費の節約効果が高まります。
例えば、昼間は家族が仕事や学校で留守にしている時間は太陽光発電の電気を蓄電池に貯めておき、夜間は蓄電池の電気を使うように設定すれば購入する電力を大幅に減らせるでしょう。
太陽光発電で電気代は節約できる
ここまで、太陽光発電で電気代は安くならないのか?についてシミュレーションなどを用いて解説してきました。
太陽光発電は電力を自家消費したり、蓄電池と併用したりすれば効率良く電気代を節約できるようになります。
太陽光発電の導入を迷われている方は、本記事を参考にして電気料金がどれくらい安くなるかのシミュレーションをされてみてはいかがでしょうか。