最近、太陽光発電が注目を集めているわよね!
再生可能エネルギーの導入は、世界中で取り組みされているわ!
実際にどれくらい広まっているのかな?
太陽光発電の普及率や、日本の今後の目標や課題について、みんなに最新の情報をお届けするね!
日本の太陽光発電の普及率
まずは、日本の太陽光発電の普及率について!
普及率の推移
日本の太陽光発電は、どのように普及しているのでしょうか?
次の表は、太陽光発電協会がまとめた「太陽光発電の累積導入件数」の推移です。
引用:太陽光発電協会
住宅用太陽光発電の導入件数(累積)は、右肩上がりに上昇しています。
導入件数で見てみると、2020年度が約282万件。10年前の2010年度では、約75万件だったので、10年間で4倍近く増えていることがわかりますね。
導入件数のデータを見て気がかりな点は、直近数年の導入ペースが落ちている点です。
2009年から2014年の5年間と、2015年から2020年の5年間を比較したものが、次の表になります。
期間 | 期間中に導入された件数 | 上昇率 |
---|---|---|
2009年から2014年 | 約134万5000件 | 3.4 |
2015年から2020年 | 約73万4000件 | 1.35 |
近年は、累積の導入件数は増えているものの、導入ペースが落ちていると言えます。
地域別の普及率
次に、都道府県別の普及率を見てみましょう。次の表は、住宅用太陽光発電補助金申込受付件数の都道府県ランキングです。
順位 都道府県 受付件数 1 愛知県 94,648件 2 埼玉県 70,434件 3 神奈川県 58,401件 4 東京都 58,201件 5 福岡県 57,104件 ⁝ ⁝ ⁝ 43 鳥取県 6,320件 44 石川県 6,077件 45 青森県 5,612件 46 福井県 5,551件 47 秋田県 3,896件 参考:太陽光発電協会
このデータは「普及率」ではなく、太陽光発電の補助金制度に申込された件数で、対象期間は、2009年1月から2014年3月までの5年間のものになります。
最も多かったのは、愛知県の94,648件。最も少なかったのは、秋田県の3,896件で、愛知県の約4%の件数でした。
地域によって、かなりの差があることがわかりますね。
下位の地域で太陽光発電が普及しない理由は、日照時間の少なさという事情が影響している可能性があります。
再生可能エネルギー全体に占める太陽光発電の割合
出典:しらかわソーラーパネル
日本のエネルギー供給において、太陽光発電はどれくらいの割合を占めているのでしょうか?
まずは、エネルギー供給全体における再生可能エネルギーの割合を見てみましょう。
エネルギー 割合 天然ガス 0.39 石炭 0.31 再生可能エネルギー(水力を除く) 0.12 水力 0.078 原子力 0.039 参考:太陽光発電協会
再生可能エネルギー(水力を除く)が、全体の12%を占めており、全体の3位です。
次に、再生可能エネルギーの中で、太陽光発電が占める割合を見てみます。
再生可能エネルギー 割合 太陽光発電 0.66 バイオマス 0.24 風力 0.075 地熱 0.025 参考:太陽光発電協会
再生可能エネルギーの中で、太陽光発電が占める割合は、7割近くあることがわかります。
つまり日本の再生可能エネルギーの中では、太陽光発電が最も普及していると言えるでしょう。
世界の太陽光発電の普及率
次は、世界の太陽光発電の普及についてよ!
世界の普及率の推移
ここまで、日本の太陽光発電の普及について見てきました。
では、日本の太陽光発電は、世界と比較するとどうでしょうか?
2020年時点の世界各国の太陽光発電導入量を、見てみましょう。
国 累積導入量 2020年の導入量 中国 253.4GW 48.2GW アメリカ 93.2GW 19.2GW 日本 71.4GW 8.2GW ドイツ 53.9GW 4.9GW インド 47.4GW 4.4GW 参考:IEA PVPS
表にある「GW(ギガワット)」については、以下のとおり。
単位の違いに気をつけましょう。
- 1GW = 1,000MW(メガワット)
- 1MW = 1,000kW(キロワット)
- 1GW = 100万kW(キロワット)
つまり、日本の累積導入量は、7,140万kWということになります。数字が大きすぎて、想像がつきませんね。
累積導入量は、中国が群を抜いて1位です。日本は、世界で3位という実績でした。
日本の太陽光発電の導入量は、世界で見ても高い水準にあることがわかりますね。
次に、太陽光発電の導入量の推移を見てみましょう。以下のグラフは、毎年世界でどれくらい太陽光発電が導入されているかをまとめたものです。
引用:IEA PVPS
2017年から2019年は、横ばいでした。しかし、2020年は、大きく増えていることがわかりますね。
2020年に増えた要因は、中国の増加が大きく影響しています。
中国では2020年に約3500万kWの太陽光発電設備が新規導入される見通しで、8年連続で世界一となる。その結果、総設備容量は年末までに2億4000万kWとなり、前年比16.2%増加するという。
引用:東洋経済ONLINE
中国政府は、2060年までにカーボンニュートラルを実現させるという目標を掲げています。
目標実現にむけて、急ピッチで再生可能エネルギーの発電設備を導入していることが伺えますね。
世界と比較して日本で普及した3つの理由
日本が世界で3位って意外だったわ。なぜなのかしら?
日本は災害大国という背景
日本は、世界で見ても自然災害の多い国です。
地震や台風、近年では、豪雨災害も毎年のように発生していますよね?
日本では、さまざまな自然災害が発生するリスクがあります。
中でも、2011年に発生した東日本大震災。この大震災で、日本の防災意識は、非常に高まりました。
震災後の防災意識調査で、次のような結果が報告されています。
全国の15~59歳に防災に関心があるか尋ねたところ、「以前は高くなかったが東日本大震災をきっかけに高まった」という回答が49%、「以前から高かったが、より高まった」が25%となっており、震災をきっかけに関心が高まった人は合計で74%となりました。
引用:MACROMILL
太陽光発電システムを導入することで、災害時の停電に備えることができます。
災害の多い日本では、災害時の備えの意識が、世界と比べて太陽光発電が普及した大きな理由と言えます。
ソーラーシステム普及促進融資制度の導入
1980年に施行された「ソーラーシステム普及促進融資制度」は、太陽光エネルギーの利用促進のために作られました。
各家庭でソーラーシステムを導入する時に、設置にかかる費用の融資が低利で受けられる制度です。
1996年度まで続いたソーラーシステム普及促進融資制度は、融資件数が累計27万4000件に上り、太陽光発電の普及に一役買うことになりました。
固定価格買取制度(FIT制度)の導入
固定価格買取制度(FIT制度)は、2012年にスタートしました。
制度の概要は、経済産業省資源エネルギー庁のホームページに、次のように書かれています。
「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」は、再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が約束する制度です。電力会社が買い取る費用の一部を電気をご利用の皆様から賦課金という形で集め、今はまだコストの高い再生可能エネルギーの導入を支えていきます。この制度により、発電設備の高い建設コストも回収の見通しが立ちやすくなり、より普及が進みます。
FIT制度の導入によって、2012年度の太陽光発電導入件数は、大きく増加しました。
2011年度の累積導入件数982,919件に対して、2012年度は1,409,787件となり、426,868件の増加となっています。
日本政府の狙いどおり、2000年以降で最多の増加となりました。
太陽光発電に国として、力を入れてきたのね!
災害大国という日本の特徴も、注目を集める理由の一つと言えるわ!
太陽光発電を普及させる目的
そもそも、どうして太陽光発電の普及を進める必要があるのでしょうか?
CO2削減
太陽光発電を含む再生可能エネルギーは、利用する時にCO2を排出しないエネルギーです。
2016年に発効したパリ協定の中で、地球温暖対策のために、CO2を削減していくことが必要となりました。
再生可能エネルギーの普及は、日本だけではなく、世界中で求められているものなんです。
エネルギー自給率の向上
2018年度の日本のエネルギー自給率は、11.8%となっています。
OECD(経済開発協力機構)に加盟している35ヶ国のうち、日本は34位でした。
主要国と比較すると、日本のエネルギー自給率は、低水準と言わざるを得ないでしょう。
では、なぜエネルギー自給率を向上させる必要があるのでしょうか?
理由は、エネルギーセキュリティを向上させることにあります。
日本は、化石燃料などのエネルギー資源を、ほとんど海外からの輸入に頼っています。
つまり、再生可能エネルギー普及によって、エネルギー自給率を向上させ、エネルギーセキュリティを向上させる。
これが、太陽光発電を含む再生可能エネルギー普及の目的の一つなんです。
非常用電力としての活用
災害大国日本において、太陽光発電が非常用電力となることは、とても重要なポイントです。
災害が発生した時、火力発電や原子力発電のエネルギー供給が、災害の影響でストップしてしまう可能性もありますよね?
最近では、2022年3月16日に発生した福島県沖を震源とする地震がありました。地震の影響により、東京電力は「節電のお願い」を発表しました。
内容は、次のとおりです。
3月16日に発生した福島県沖を震源とする地震の影響により東日本における一部の発電所が継続的に停止するとともに、本日の悪天候により低気温で電力需要が増加していることで電力需給状況が厳しい状況であり、当社は、電力需給状況の改善を図るため、電力広域的運営推進機関に電力融通を依頼し、3月18日に他の一般送配電事業者から電力を受電するよう指示を受け、電力融通を受けております。
引用:東京電力ホールディングス
このように、災害時には、エネルギー供給が制限されてしまうことがあります。
太陽光発電を導入することで、災害時に起きる停電や電力不足に対して、備えることができるんです。
災害大国日本という背景も、国が太陽光発電を促進する目的の1つとなります。
CO2削減と災害対策は予想できたけど、自給率ってあまり考えたことなかったなぁ。
食料なんかも、自給率の向上については、問題視されているわよね!
太陽光パネルの今後の普及の見通し
日本の太陽光発電は、これからどうなっていくのでしょうか。
2030年の太陽光発電導入量の目標
太陽光発電協会(JPEA)は、太陽光発電の累積導入量を、2030年までに125GWにするという目標を掲げています。
引用:太陽光発電協会
125GWの内訳は、10kW未満(住宅用)を約31GW。10kW以上(非住宅用)を約94GWです。
JPEAは、目標を達成するためには、2025年に年間導入量が約1.8GWになっていること。2030年には約2.5GWになっていることが必要であることも伝えています。
2020年の日本の導入量が、8.2GWだったので、5年で2倍以上にする必要があるということ。
そのためには、太陽光発電設備の利用率が、住宅用で約13.7%、非住宅用で約16%が前提となることも伝えられています。
FIT制度の導入以降、加速度的に導入が進んだ太陽光発電。さらに普及させるには、どういった施策が必要になるのでしょうか?
さらに太陽光発電を普及させるための施策
太陽光発電をさらに普及させるために、様々な施策が実施されています。
国によるFIP制度の導入
FIT制度に続いて、2022年4月に導入されるのが「FIP制度」です。
FIP制度とは「フィードインプレミアム(Feed-in Premium)」の略称で、再エネの導入が進む欧州などでは、すでに取り入れられている制度です。この制度では、FIT制度のように固定価格で買い取るのではなく、再エネ発電事業者が卸市場などで売電したとき、その売電価格に対して一定のプレミアム(補助額)を上乗せすることで再エネ導入を促進します。
引用:経済産業省資源エネルギー庁
FIP制度の導入で、次の2つの課題をクリアすることが期待されています。
- 再生可能エネルギーを自立した電源にする
- 国民の負担を軽減する
FIT制度では、電力の買取義務者は電力会社です。買取価格は、国が定めています。
FIP制度では、電力の買取義務者は存在しません。つまり、電力の販売先を発電事業者が探すことになるんです。
さらに、買取価格は、需要と供給に合わせて変動するようになり、そこにプレミアム固定価格が上乗せされます。
FIP制度の導入で、再生可能エネルギーの自立を促してるんだね!
完全な自由競争になることが期待されているわ♪
FIT制度における固定買取価格は、国民の「賦課金」でまかなわれています。
FIP制度においても、プレミアム価格への負担は、国民の「賦課金」が使われることに違いはありません。
しかし、電力の売買が完全に自由競争になれば、コストが促成されるようになります。その結果、賦課金という国民への負担も軽減されることが期待されているのです。
太陽光発電システムの導入コスト低減
経済産業省資源エネルギー庁は、太陽光発電の課題として、次のように伝えています。
導入コストも次第に下がってはいるものの、今後の更なる導入拡大のため、低コストに向けた技術開発が重要です。
今後、太陽光発電がさらに普及するには、初期費用が高いというハードルをさげることが一つのポイントとなります。
これからは、国が全力で補助するんじゃなくて、自由競争の中で普及していくべきということね。
太陽光発電が普及すると電気代が上がる?
現在導入されているFIT制度において、電力会社から発電事業者へ支払われる買取価格の一部は、国民の電気料金からまかなわれています。
これが「賦課金」と呼ばれるものです。
つまり、FIT制度で太陽光発電の普及がより進めば、その分国民が徴収される賦課金も高くなる可能性がありますよね?
この国民の負担を軽減する目的で、国は新たにFIPという制度を導入します。FIP制度においても、国民の「賦課金」が電力売買へまかなわれますが、その負担が軽減されることが期待されています。
太陽光発電が普及すると補助金は減る?
太陽光発電設備導入の補助金は、今後なくなっていくと考えておきましょう。
国からの補助金制度は、2014年に終了していますし、今後新しく補助金制度を設けるという動きもありません。
独自に補助金制度を行っている自治体もありますが、普及が進んでいくことで、それも終了していくでしょう。
どうして、どんどん補助制度がなくなっていくのかな?
普及が進めば、導入コストも下がるからよ。
補助金制度の目的は、太陽光発電の導入コストを抑えて「補助金が出るなら、やろうかな」と普及を促すことでした。
普及がこの先進めば、その導入コストも下がっていくと考えられます。
導入コストが下がれば、初期投資のハードルが下がるので、補助金制度が不要になりますよね?
太陽光発電の普及が進めば、補助金制度はなくなると考えておきましょう。
太陽光発電の普及率まとめ
太陽光発電は、2012年のFIT制度導入により、大きく普及しました。
今後は、FIP制度導入によって、自立した電源として普及していく必要があります。
太陽光発電を導入する際は、この新しい制度をしっかり理解した上で、導入を検討するようにしましょう。
最後に、このページのおさらいをするね♪
日本の太陽光発電の普及率
- 日本全体の累積導入数は増え続けている
- 都道府県別では地域によって大きな差がある
- 再生可能エネルギーの中では最も普及している
世界の太陽光発電の普及率
- 日本の累積導入数は世界第3位の実績
- 世界全体の累積導入数も増え続けている