太陽光発電であまり知られていない機器には、何があるかな?
あまり知られていない機器か~・・・「キュービクル」とかは、あまり馴染みがないかもしれないね!
確かに初めて聞くね!可愛い名前だけど、どんな役割があるの?
キュービクルを知らない人にために、その「役割」や「仕組み」、更に「パワーコンディショナーとの違い」などをお届けするね!
太陽光発電のキュービクルとは?
太陽光発電の「キュービクル」とは「キュービクル高圧受電設備」のことです。
簡潔に説明いたしますと、電力会社や発電所から送られてくる高圧の電力を、一般的に使用できる低圧の電力に変換する「変電設備」のことです。
引用:Ryusei
みんなも、学校やビルの屋上に設置されているのを見たことがあるんじゃないかな?
通常、電力会社などから送られてくる電力は、6600V(ボルト)と非常に高圧です。
そのままでは、家庭や会社などで使うことができないので、キュービクルを介して、100Vや、200Vの電圧に変換する必要があるのです。
なるほど!一般的な家電製品の電圧は「100V」か「200V」だもんね!
そのとおり!キュービクルのおかげで、電力会社から送られてくる電力を使うことができるんだよ!
キュービクルの役割・仕組み
ここからは、キュービクルの「役割」と「仕組み」を解説していきます。
具体的には、以下のとおりです。
- 高圧受電契約
- 低圧受電契約
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
高圧受電契約
「高圧受電契約」とは、契約電力が50kW以上の契約を指します。
50kW以上だと、電気をたくさん使う、企業や病院向けの契約だね!
高圧受電契約の場合、電力会社から送られてくる6600Vの高圧を受電します。
しかし、先に述べたとおり、このままでは、企業や病院で電力を使うことができません。
そこで、キュービクルの出番です。
画像の「高圧受電」のように、6600Vの電圧を、キュービクルが100Vや、200Vに変換することで、電力を使用することができるようになります。
敷地内にキュービクルを設置し、自前で電圧を変換するということを考慮し、電力料金単価が「低圧受電契約」より安いという特徴があります。
低圧受電契約
「低圧受電契約」とは、契約電力が50kW未満(目安)の契約を指します。
50kW未満だと、一般家庭や小規模の事業者向けの契約だね!
低圧受電契約の場合、下の画像の「低圧受電」のように、自前で電圧を変換する手間がなく、電柱などに設置されている電力会社の変圧設備を介して、100Vや200Vの電力が届けられるので、高圧受電契約と比べて、電力料金単価が高いという特徴があります。
じゃあ、低圧受電契約の場合は、キュービクルを設置する必要がないんだね!確かに、一般の家庭でキュービクルを置いている家なんて見たことないもんね!
でも、電力料金単価が高いっていうのは、デメリットじゃない?
一方で、自前でキュービクルを設置する必要がないので、導入コストを削減できるというメリットもあります。
キュービクルの値段は、規模にもよりますが、本体価格だけで200~1200万円ほどです。
参考:Resprom
上記の他にも、設置工事費や、メンテナンス費用も発生するので、キュービクルの導入コストはかなりの金額となります。
それなら、電力料金単価が高くてもお得なのかな?どちらにしても、使用する電気量に合わせて契約を選ぶ必要があるね!
区分 | 契約電力 | 電力料金単価 | キュービクルの設置 |
高圧受電契約 | 50kW以上 | 安い | 必要 |
低圧受電契約 | 50kW未満 | 高い | 不要 |
キュービクルとパワコンの違い
互いに、電力を変換する役割を持つ「キュービクル」と「パワーコンディショナー(パワコン)」ですが、その違いは明確です。
まず、パワコンは太陽光発電で発電した「直流電力」を「交流電力」に変換するという役割と持ちます。
直流電力のままでは、一般家庭で自家消費をしたり、売電をすることができません。
パワコンがあって初めて、発電した電力を有効活用することができるのです。
引用:CHANGE
一方でキュービクルは、高圧の電力を、自家消費できる低圧電力に変換する役割を持つことは、先に述べたとおりです。
パワコンでは、高圧電力に連系するには役不足だから、キュービクルが必要になるんだよ!
他にも、メガソーラーなどで売電を行う場合、パワコンが変換した電力を高圧にし、電力会社に送るという役割も担っています。
簡単に言うと、パワコンは「太陽光発電で発電した」電力、キュービクルは「電力会社で購入した」電力を使えるようにする装置ってことだよ!
キュービクルを設置するには届け出が必要
キュービクルの設置には、届け出が必要です。
キュービクルは「自家用電気工作物」に該当し、設置には電気事業法の規定により、以下のことが義務付けられています。
- 事業用電気工作物の維持 / 技術基準適合維持(法第39条)
- 保安規定の制定、届出及び尊守(法第42条)
- 主任技術者の選任及び届出(法第43条)
引用:経済産業省
上記のうち、2、及び3は、電気事業法に基づき、国への手続き等が必要になります。
各手続きは、電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部(産業保安監督部長)に対して行いますが、2以上の産業保安監督部の管轄区域になる場合は、経済産業大臣に対して行います。
届け出だけじゃなくて、主任技術者の選任も必要なのは面倒だね!
キュービクルは「単線結線図」という、電気回路系統を単線で示した結線図を用います。
「単線結線図」を簡単に説明すると、キュービクルのような電気設備の設計図のようなものだよ!
そのため、メンテンナンスなどにも、専門的な知識や経験が必要なことから、主任技術者の選任が必要なのです。
キュービクルを構築する機器
キュービクルを構築する機器は、以下のとおりです。
- 区分開閉器
- 断路器
- 遮断器
- 変圧器
- 保護継電器
- 制御装置
- 計測機器
- 低圧配電設備
随分とたくさんあるんだね!初めて聞く名前ばっかりで、全然分からないよ!
機器の詳細を、1つ1つ詳しく知る必要はありません。
呼び知識として、このような機器で構築されていることを知っておいてください。
また、自家消費用の太陽光発電で、キュービクルを設置する場合「OVGR(連系用装置)」を取り付けるための、キュービクル改造が必要になります。
「OVGR」っていうのは、電路と大地間が接触して起きる、地絡事故を検出する保護装置のことだよ!
地絡事故が起きた場合、修理をする作業員の感電事故を防ぐために、パワコンを停止する必要があります。
OVGRの地絡過電圧を監視してくれることで、速やかに地絡を検出し、パワコンを停止することができるのです。
キュービクルの設置場所
一般的に、キュービクルは建物の屋上や、敷地内の隅などに設置されるケースが多いです。
また、火災予防条例により、キュービクルを設置する場合、周囲の建物と3メートル以上の間隔を開けなければならないと定められています。
キュービクルは定期的な点検が必要だから、点検がしやすいようにスペースを確保することも重要だよ!
建物の外観を損なわないよう、キュービクルの周囲を塀で囲むケースもあるようです。
キュービクルも電気機器だから、雷や雪などの対策を施すことも大切だからね!
キュービクルの役割・仕組み まとめ
ここまで、キュービクルの「役割」や「仕組み」、パワコンとの違いを解説してきました。
まとめると、以下のようになります。
- キュービクルは高圧の電力を低圧に変換する役割を持つ
- 高圧受電契約の場合はキュービクルの設置が必要
- 低圧受電契約の場合はキュービクルの設置が不要
- キュービクルは「電力会社」、パワコンは「太陽光発電」の電力を変換する