屋根一体型太陽光パネルは、デメリットがなくておすすめって聞いたけど本当?
見た目が綺麗という理由で人気の屋根一体型太陽光パネルだけど、デメリットもあるのよ。設置後に後悔しないように、詳しく解説するわね!
屋根一体型太陽光パネルのデメリット
新築住宅の建設に併せて太陽光発電の設置を設置する場合、屋根一体型太陽光パネルにするべきか悩んでいる人は多いでしょう。
ハウスメーカーから「屋根一体型太陽光パネルは基本的には既設の住宅に後付けできないので、これから家を建てる今しか選べません」と言われてしまうと、ついお願いしたくなってしまうもの。
しかし、屋根一体型太陽光パネルのデメリットを知らずに設置してしまうのは危険です。
固定資産税がかかる
屋根置き型は屋根の上に架台を載せ、その上に太陽光パネルを置く構成。そのため、見た目にはっきりと太陽光パネルの設置が分かります。
一方で屋根一体型太陽光パネルは、文字どおり屋根と一体化しているので見た目はスタイリッシュ。
それにも関わらず、一般的に広く普及しているのは屋根置き型が圧倒的に多い状況なのは、屋根置き型は固定資産税がかからない点が挙げられます。
屋根置き型は、住宅の機能を高める役割を担う屋根と太陽光パネルが分離しているため非課税となりますが、屋根一体型太陽光パネルは屋根と同一のパネルは住宅の一部と見なされ、課税対象となり固定資産税がかかります。
発電効率が落ちやすい
屋根一体型太陽光パネルは、同メーカーの屋根置き型パネルよりも発電効率が下がります。仮に10~20%ほど発電効率が下がるとした場合、屋根置き型の売電収入が月2万円であれば、屋根一体型は18,000円~16,000円。
選ぶパネルの種類によって、同じエリアや近隣に住んでいる家庭よりも売電収入が低くなってしまうのです。事前に知らなければ、大きな損失となるでしょう。
太陽光発電を導入する場合、FIT制度を利用した設置費用の早期回収や、相性の良いオール電化と併せて電気代の節約効果を期待するなど、家庭ごとに目的や要望があるもの。しかし、パネルの発電効率が下がってしまえば、その目的や要望を叶えるために想定よりも長い期間がかかってしまう可能性があります。
もちろんこうした状況を踏まえた上で、屋根一体型太陽光パネルで十分と納得して載せる分には問題はありません。
なお、近年は技術の進化によって発電効率が低下しにくく、安定した屋根一体型太陽光パネルも登場しています。製品によって単価などが違うので、営業担当に尋ねてみると良いでしょう。
価格が高い
屋根置き型太陽光パネルが屋根一体型太陽光パネルに比べて広く普及しているのは、屋根一体型太陽光パネルのほうが高額な点も重要な要因です。
屋根一体型太陽光パネルは、屋根に太陽光パネルの性能を組み込んでいるため特殊加工が施されておりその分製造コストがかかることや、屋根置き型に比べて流通量が少ないなどが主な理由。
住宅用太陽光発電の容量として標準的な4.5kW~5kWの場合、屋根一体型太陽光パネルは屋根置き型よりも50万円以上設置費用が上乗せされます。
なお、経済産業省が公表している資料には、太陽光発電の1kWあたりの設置費用の内訳は掲載されています。下の表は小数点以下を四捨五入で表記していますが、参考にしてください。
項目 | 価格 |
---|---|
太陽光パネル | 20万円 |
パワーコンディショナー | 5万円 |
工事費用 | 7万円 |
架台 | 2万円 |
メンテナンスが難しい
1枚ずつ架台に載っている屋根置き型とは違い、隙間なく設置されている屋根一体型太陽光パネルは配線経路が複雑になり、接点がショートして故障しやすい傾向にあります。
また、故障が起こった箇所を特定するのに時間がかかります。当然ながら修理に取りかかるまでの時間の長さは、破損の規模を広げてしまい大きな影響を与える可能性も。
そして、たとえ故障箇所を特定できた場合でも、屋根置き型のように一部を取り外して交換すれば済むという簡単な修理になりません。
このように、屋根一体型太陽光パネルは故障が大きなリスクになるため、日ごろの丁寧な点検が欠かせず、おのずとメンテナンス費用も多くかかります。
一般的に太陽光発電の点検費用は1回3万円といわれていますが、設置数の多い屋根置き型が目安となっています。
屋根一面にパネルを載せている屋根一体型太陽光パネルでは、屋根の上で作業する場所を確保しにくいため、足場などを余計に組む必要もあり、その分工事費がかさむ恐れも。
屋根一体型太陽光パネルの設置を検討している場合は、点検費用がどのくらいなるのか具体的な料金を聞いておくと良いでしょう。
後から設置しにくい
既設の住宅にも屋根一体型太陽光パネルは設置できますが、元々ある屋根の一部を撤去してから載せる必要があるので、工事がとても大がかりになり、費用も高くなります。
そのため、屋根一体型太陽光パネルは、基本的に新築時か経年劣化などで屋根の葺き替え(リフォーム)のタイミングに合わせて行われるケースがほとんどです。
引っ越しや売却時に困る
引っ越し先で屋根一体型太陽光パネルを再利用する場合、現在設置している屋根からの取り外しの工事に加え、運搬、新しい住宅に再取り付けと多くの工程を踏むため、費用が多くかかります。さらに屋根一体型太陽光パネルを取り外した後の屋根の補修も必要です。
また、自宅などを売却するときに屋根一体型太陽光パネルが設置してあると、年数によっては点検やメンテナンスなどの経費がかかるため、なかなか買い手がつかない可能性もあるでしょう。
架台ごと取り外しが可能な屋根置き型に比べて、屋根一体型太陽光パネルは引っ越しや売却に手間やリスクがかかるといえます。
熱がこもりやすい
屋根と太陽光パネルの間に架台がある屋根置き型は、熱を外に逃がすスペースがあるのでパネルの表面温度が上昇しにくい構造になっています。
これに対し、屋根一体型太陽光パネルは熱を外に逃がすスペースがないので熱がこもりやすくなり、屋根置き型と比べて発電効率が下がります。
太陽光パネルの発電効率が最も良いのは25℃程度。これ以上暑くなると、太陽光パネルの内部の半導体の性能が低下して発電効率が下がります。このとき注意したいのは、25℃は外気温ではなく太陽パネル表面の温度であること。
天候が良く日光量の多い真夏は外気温が30℃を超える日もあり、太陽パネルの表面温度は最大で70~80℃まで上昇。25℃を基準として1℃上がるごとに発電効率は0.5%下がるとされるため、太陽光発電に向いていると思われがちな真夏は、実は30%近くも発電効率が落ちてしまう可能性があるのです。
同条件の環境では、より熱がこもりやすい屋根一体型太陽光パネルのほうがパネル表面の温度が上がり、発電効率が下がってしまうので注意が必要です。
屋根一体型太陽光パネルは火災リスクあり
太陽光発電は、太陽の光エネルギーが太陽電池の半導体にあたり、太陽光エネルギーから電気を生み出す仕組みとなっています。そのままでは直流電気のため家庭で使えないので、パワコンによって交流電気に変換するよう制御されていますが、電気は電流となって配線を流れるため、いくら制御されていても火災が起こる可能性は0ではありません。
しかし、それは太陽光発電に限らず家電でもいえること。火災が起こるかもしれないからと、電子レンジやエアコンを使わない生活は考えられません。
太陽光発電は火災が起こって危険だと捉えるのではなく、どのようなケースで火災が起こりやすいのか事前に把握しておくのがとても大事です。
経年劣化で発熱する恐れがある
太陽光発電設備は長期運用を前提として設計されており、太陽光パネルの寿命も20~30年と長いです。そのため、メーカーもシステム保証や出力保証を長く設定していますが、屋外に設置されている以上、経年劣化による部品の摩耗や故障は免れません。
特に配線は腐食や断線、接触不良などが原因でショートし、出火などのトラブルが起こる可能性も。
屋根一体型太陽光パネルの場合、出火したのが配線の一部であってもパネルや屋根まで延焼することもあります。
なお、耐用年数については屋根一体型と屋根置き型に差はなく、どちらも17年となっています。
鋼板等なし型で火災リスクが高め
消費者庁の報告によると、太陽光発電の設置件数は2018年10月までに230万件を超えており、そのうち最も火災リスクが高い「鋼板等なし型」が10万件あるとしています。
「鋼板等なし型」は屋根一体型太陽光パネルの一種で、裏面に鋼板がないタイプ。ルーフィング(下葺き材と呼ばれる防水シートのこと)や野地板の間に火を遮るものがないため、火災が燃え広がりやすい特徴があります。
2008年から2017年までの9年間で、太陽光発電の火災発生件数は127件。そのうち火災が屋根にまで延焼したケースは7件あり、この7件とも「鋼板等なし型」と判明しています。
なお、屋根一体型太陽光パネルには「鋼板等なし型」の他に、「鋼板等敷設型(ルーフィング上に火を遮る鋼板が設置されている)」と「鋼板等付帯型(太陽光パネルの裏面に鋼板が付いている)」がありますが、どちらも「鋼板等なし型」よりは火災のリスクは低いものの、屋根置き型よりは高くなります。
定期点検が重要
「鋼板等なし型」に限らず、太陽光パネルは定期点検を行い、異常がないか確認する必要があります。
点検の義務は産業用太陽光発電のみであって、住宅用太陽光発電は安全基準が守られていれば必要がないと思っている人が多いのですが、2017年4月1日のFIT法の改正により、10kW未満の住宅用太陽光発電も定期点検が義務化されているので注意してください。
太陽光発電は運用期間が長期に渡るため、実績が多く、倒産する心配のない安定した業者を選んでおくのも自己防衛として必要でしょう。
屋根一体型太陽光パネルのメリット
様々なデメリットがある屋根一体型太陽光パネルですが、メリットも数多くあります。
デメリットを理解した上であれば、設置してから後悔することなく、メリットを享受できるでしょう。
パネルが目立ちにくい
「太陽光発電を始めたいけれど、屋根にいかにもパネルが載っていますというデザインになるのが嫌」と感じる人にとって、屋根一体型太陽光パネルは理想的な外観です。
屋根材にソーラーパネルが組み込まれているので、パッと見ただけでは普通の屋根とあまり変わりません。
また、屋根一体型太陽光パネルを設置していない面と比較しても、屋根の厚みに違いがなく、違和感がありません。
カネカの屋根一体型太陽光パネルは、パネルの表面の光沢を抑え、見た目が瓦と同じような質感を実現。太陽の反射光を大幅に抑制しており、自社アンケートでは約85%が「眩しくない」と答えています。屋根のキラキラで太陽光パネルの存在に気づく人も多いので、反射しにくい表面であればより気づかれにくくなるでしょう。
雨漏りしにくい
屋根置き型は架台を設置するために屋根に穴を開けるため、施工不良によって雨漏りが起こるリスクがあります。
しかし、屋根一体型太陽光パネルは穴を開けないので、雨漏りのリスクは少なくなります。
複雑な形状の屋根にも対応できる
屋根置き型が屋根材の上に架台を設置するため、屋根の形状やサイズ、面積などによって、設置できない太陽光パネルが存在します。太陽光パネルの設置数は発電量に直結するため、枚数が多く載せられなければ必然的に発電量は下がってしまいます。
一方で、屋根一体型太陽光パネルは屋根そのものにパネルが組み込まれているので、どの形状の屋根であっても「必要な枚数のパネルを載せられない」という事態にはなりません。
屋根への負担が比較的軽い
架台を設置しないので、屋根にかかる重量が減ります。
屋根は耐震性に関わり、重量が重くなるほど倒壊のリスクが上がるため、屋根置き型に比べて重量の軽い屋根一体型太陽光パネルは耐震に対して有利に働きます。
屋根を全面的にパネル設置へ充てられる
屋根置き型は架台を必要とするため、以下の部分には設置できません。
- 面積が小さい(狭い)
- 入り組んでいる部分
- 屋根の端
しかし、屋根一体型太陽光パネルは、デッドスペースを作ることなくパネルを設置できます。
屋根の加工作業を短縮できる
防水処理や架台設置のための穴開け作業が必要ないので、屋根置き型に比べて短い工事日数で設置が可能です。
また、屋根置き型では経年劣化による屋根の色あせや塗装の剝がれなどが起こるため、定期的に塗装が必要。パネルが載った状態でも塗装はできます。しかし、屋根を長持ちさせるなら太陽光パネルを一度撤去し、屋根全体を塗り直すのが良いでしょう。ただし、その場合は費用が高くなります。
屋根一体型太陽光パネルは塗装する面が少ないため、屋根にかかるメンテナンス費用を安く抑えられるメリットもあります。
屋根一体型太陽光パネルを売るハウスメーカー
自社製造の太陽光パネルがあるハウスメーカーは、初期費用が抑えられる、住宅との一体感などデザインが優れているなどのメリットがありますが、どのハウスメーカーも自社製造の太陽光パネルを取り扱っているわけではありません。
それでは、自社製の太陽光パネルが設置できるハウスメーカーとは、一体どこなのでしょうか。
一条工務店
屋根置き型に比べて屋根一体型の太陽光パネルは価格が高いですが、一条工務店は自社工場で太陽光パネルを製造しているため、初期費用を抑えた工事が可能です。
また、耐火性が高く、防火性能では大臣認定を取得。世界大手の認証機関であるインターテックから品質が認められるなど、安全性を考慮したパネルを提供しています。
さらに、太陽光発電の設置後のメンテナンスや、不具合の相談などを気軽に行える独自のアプリ「i・サポ」の導入や卒FIT後の買取価格を保証する「一条でんき」など、アフターサービスやアフターフォローが充実。
こうした企業努力が実を結び、一条工務店は太陽光発電が搭載されている住宅の販売件数が世界一となりました。輝かしい実績はギネスブックにも掲載されています。
積水ハウス
2009年にグッドデザイン賞を受賞した太陽光パネルは、太陽光発電の普及にはデザイン性も重要な要素の一つと考えて作られたもの。積水ハウスオリジナルの瓦型太陽光発電システムとなっています。
平瓦と断面形状が同じであるため周辺の街並みに調和し、建物自体の美しさを損なわないデザインとなっており、積水ハウスが販売した太陽光発電搭載住宅において、採用率は約90%と高い支持を得ています。
なお、積水ハウスと名前が似ているセキスイハイムですが、実は全く別会社。元は同じ積水化学工業の会社だったものの、積水ハウスは独立した会社となっているので間違えないようにしましょう。
屋根一体型太陽光パネルのデメリットは様々
屋根一体型太陽光パネルは見栄えが良く、新築やリフォームのタイミングにしか載せられないため、業者から「今しかない」と言われてしまうと悩んでしまうかもしれません。
しかし、太陽光パネルの設置は屋根一体型だけでありません。その場の勢いで契約してしまい失敗したと後悔するよりも、すぐに決められないのであれば太陽光発電については後でゆっくりと考え、落ち着いてから複数の業者に見積もりを依頼する手もあります。
後付けでは屋根置き型しかパネルは載せられませんが、支払いは一括だけではなくローンを組めます。
2024年現在、太陽光発電の設置に対する補助金は国・各自治体を通じてありませんが、蓄電池については補助金を設けている地域も。例えば宮城県では令和5年度が対象の蓄電池の補助金は6万円となっています。
近年は投資目的で太陽光発電を始めるのではなく、蓄電池を導入して日中に発電した電気を貯めておけば停電時の安心の確保や、自家消費によって電気代の大幅な削減を役立ちます。年々高くなる再エネ賦課金は、言い換えればそれだけ太陽光発電を含めた再生可能エネルギーの活用が増えているということ。
また、太陽光発電の導入ありきで住宅建設を行うのであれば、ZEHを含めた幅広い検討をしてみる方法もあります。
太陽光発電の業者選びや相場を知るために、無料のシミュレーションサイトを利用してみるのも良いでしょう。設置場所などを入力するだけで30秒ほどで、自分向きの業者が見つけられます。新電力会社などの情報も詳しく掲載されているので、暮らしに合った最適な太陽光発電を見つけるためにもチェックしてみてください。
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