太陽光パネルって、もし火災が起きても水で消せないって聞いたんだけど、本当なの?
そう言われているわよね。でも、実はその情報は間違いなの。今回は太陽光尾パネルの火災時の放水について、一緒に見ていこう!
太陽光パネルの火災は放水できない?
結論からお伝えすると、太陽光パネルの火災であろうと放水で消火することができます。
2021年に話題になり、SNSなどで拡散された下記の誤った情報を目にしたことはないでしょうか。
何度も言ってますが、ソーラーパネル 火災は水での消火が不可能です。
東京みたいな密集地で火を出したら、一体どうなるのか。
誰でも想像が付くと思いますね。#メガソーラー建設反対 https://t.co/K5TGzFr2zS pic.twitter.com/DmTyPymyTj— サナ吉(Vtuber『サナ吉のワイドちゃんねる!』)🚫AI使用禁止🚫 (@miyakosyn_35201) October 2, 2021
ただし、下記のような危険性があることが予想されます。
- 水を通して感電する
- 消火活動が遅れる
- 延焼によって損害賠償が発生する
一体なぜ火災時に太陽光パネルへ放水することが危険なのか、確認していきましょう。
水を通して感電する
太陽光パネルは、破損しても太陽光が当たる限り発電を行います。
太陽光パネルが破損したり、燃えていると発電していないと思われるでしょうが、実は炎によって発電したり、火災が日中の場合は太陽光で発電し続ける場合があるのです。
例え途中で断線していても、太陽光パネルは発電を行い電気が作られるので、触ると感電することが考えられます。
そのため、消防士による消火活動の際に私たちがよく目にする「棒状の放水」を行うと、電気が水を伝わり消防士が感電してしまう危険性があります。
EUでは実際にソーラーパネル火災事故が相次ぎ、消防士死亡事故も発生しているのです。
太陽光パネルは燃えやすく、しかも一度燃えるとなかなか消火できないのが難点と言えるでしょう。
消火活動が遅れる
2017年2月に、埼玉県のアスクル物流センターで大規模な火災が発生し、消火までに12日間という期間を要しました。
アスクル物流センターは大規模な太陽光発電システムを設置しており「太陽光パネルによる感電を防止するために消火までに時間を要したのではないか」という印象を与えました。
- 窓が小さく、数も少なかった
- 可燃物が多かった
- 建物が大きかった
以上の理由から消火が遅れたとの最終報告でしたが、太陽光パネルが無関係だったとは言い切れないでしょう。
消火活動の際、消防士は手袋や長靴など絶縁性の装備を身につけてはいますが、それも万全の装備とは言えず感電する可能性はあります。
消防士の感電事故を避けるため、消火までに時間がかかる可能性は否定できません。
延焼によって損害賠償が発生する
自然災害などで火災が発生した場合は、損害賠償の責任はありませんが、事業主がメンテナンスを怠っていたなど落ち度がある火災の場合は、損害賠償が発生します。
例えば住宅の屋根などの太陽光発電パネルから、メンテナンス不足により発火した場合、消防士の感電防止のため消火までに時間がかかり、住宅街で火を消せないということは、隣近所にも燃え広がってしまい多額の損害賠償が発生する恐れがあります。
もしもの場合に備え損害賠償保険に加入し、定期的なメンテナンスは火災や事故を未然に防ぐため必ず行いましょう。
太陽光発電で火災事故が起きる原因
そもそも何故、太陽光発電で火災事故が起こってしまうのでしょうか。
太陽光発電システムの管理方法や人災のリスクなど、それぞれ異なると言えます。
ここでは、案外知られていない火災原因をご紹介していきます。
除草作業を怠っている
野立ての太陽光発電の場合、雑草を放置すると火災のリスクが高まります。
雑草は除草を怠るとすぐに伸びてしまうため、次のことが原因となり火災が発生しやすい状況になります。
- 雑草に住む小動物がケーブルを齧ることで起こる漏電
- タバコのポイ捨て
乾燥して生い茂った雑草はよく燃えるので、燃え広がるまでに時間はかかりません。
さらに除草作業を怠ると、パネルに雑草が影を作り発電力が低下してしまうので、売電価格にも影響してくるでしょう。
雑草を放置することによる見た目の悪さから、周辺住民からのクレームが来るなど、雑草を放って置いてもいいことはひとつも無いので、定期的な除草は必須と言えます。
メンテナンス不足
メンテナンス不足による火災も懸念されます。
2017年に制定されたFIT法により、太陽光発電システムのメンテナンスが義務化されたのでメンテナンスは必ず行わなけばなりません。
しかし残念ながらメンテナンスを怠り、火災を起こしてしまう事業者も存在しています。
太陽光発電システムの主な出火原因には次のようなものが考えられます。
- 太陽光発電システムの経年劣化によるもの
- パワーコンディショナや接続箱からの出火
いずれも定期的なメンテナンスを行えば防げるので、必ず行いましょう。
業者により施工不良
もしも悪徳な施工業者を選んでしまった場合、施工不良による火災が発生してしまう恐れがあります。
杜撰な施工により、ケーブルから出火した事例も報告されています。
価格を重視し、激安価格で施工する業者と契約するのは、施工不良が起きやすくなるので避けたほうがいいでしょう。
価格や利益にとらわれず、信頼できる施工業者を選ぶことが重要と言えます。
盗難事故による設備の破損
2022年に千葉県の野立ての太陽光発電所で、送電用の銅線ケーブルの盗難被害が多発しました。
長野県でも同じく、送電用の銅線ケーブルの盗難被害が多発しており、銅線ケーブルのみににとどまらず、ソーラーパネルの盗難被害も各地で報告されています。
引用:ANN NEWS
銅線ケーブルやソーラーパネルは海外で高額転売できることから、ひとけのない太陽光発電所が標的にされたようです。
銅線ケーブルを切断することで漏電し、火災につながるケースもあり、二次被害を産む危険性を孕んでいます。
太陽光発電の火災事故は増加している?
太陽光発電の火災件数は増加傾向にあり、2019年に消費者庁から太陽光発電の火災について注意喚起がなされました。
2008年3月〜2017年11月の間に発生したソーラーパネル火災事例件数は、127件です。
なかでもソーラーパネル火災事故が確認されたのは「銅板無し型」のパネルであり、大手販売会社の一条工務店が建設している太陽光パネル付き住宅もこのタイプです。
一条工務店太陽光火災は、一条工務店で建てた住宅のほぼ全てに起こるリスクがあると言えます。
経済産業省が発表した、令和3年4月から令和4年4月までに発生した太陽光発電設備の事故件数は435件でした。
太陽光発電設備事故の原因の大半が設備不備・保守不備などのメンテナンス不足という結果です。
なかでも、10〜50kW未満の小規模太陽光発電設備のメンテナンス不足による事故の割合は約96%と、小規模太陽光発電設備のメンテナンス不足が浮き彫りとなる結果でした。
太陽光パネル自体は、基本的には20〜30年という長寿命ではありますが、それは定期的なメンテナンスを行なった場合の話と言えます。
- 火災のリスク
- 感電のリスク
- 損害賠償を請求されるリスク
上記のようにメンテナンスを怠ると、必ずご自分に返ってきてしまいます。
施工業者を選ぶ時は価格や利益にとらわれず、メンテンナスサービスが充実している業者と契約をすることをおすすめします。
太陽光発電が火災したらどうする?
太陽光発電システムから火災が発生したときに「やってはいけないこと」と、「やらなくてはいけないこと」の2つが存在します。
それは一体何なのか、確認していきましょう。
絶対に近寄らない
火災が起きた場合、ついつい自分で目で状況を確認したくなりますが、実は太陽光パネルには有害物質が含まれており危険ですので、絶対に近づかないでください。
太陽光パネルが火災により破損している場合は、太陽光パネルに含まれるセレンやカドミウムなどの猛毒が流れ出ている恐れがあります。
煙の中にこれらの有害物質は含まれませんが、そもそも煙は人体に悪影響なので吸い込まないよう、近付くのはやめましょう。
さらに漏電している可能性もあり、感電する危険性もあるので絶対に近づかないでください。
専門の機関に通報する
点検などを行なっている際に異常を見つけたらどうすべきか、確認しましょう。
太陽光発電システムの破損程度で煙や火が確認できない場合は契約業者、販売施工業者に連絡をしてください。
太陽光パネルは光で発電し、感電の恐れや太陽光パネルに含まれる有害物質で汚染される恐れもあるので絶対に近寄らないようにしましょう。
もしも煙や火が確認できたら、消防署に連絡してください。
- 光発電システムを導入していること
- kW数を伝える
- どの辺りからの出火であるか
上記の内容を伝えておくと、消防士も対策を取れるでしょう。
太陽光発電火災の消火活動対策
ご自身で消火をすること推奨するわけではありませんが、最終手段としてご紹介します。
郊外に設置した野立ての太陽光発電で小さな出火を確認し、周囲には雑草が生い茂っており一刻も早い消火が望まれるなど、やむを得ない状況に陥った場合に限り、次の方法を確認していきましょう。
- 近隣住民に避難を呼びかける
- 感電対策として絶縁性の優れたアイテムを身につける
- ゴーグルや厚手の衣服でガラスを防御する
- 厚手のブルーシートで発電をストップ
近隣住民に避難を呼びかける
まずは周辺の住民に、火災が起きていることを伝えましょう。
現実問題としてメガソーラーの周囲に家が立ち並ぶケースも少なくありません。
そのため、消防署に連絡した後は、周囲に危険を知らせることから始めることが重要と言えます。
住民に危険を知らせ、避難を求めることで被害を最小限にとどめるようにしましょう。
感電対策として絶縁性の優れたアイテムを身につける
やむを得ない状況に陥った場合、次に行うことはご自分の身を守ることです。
絶縁性の高いゴム性の手袋や長靴を着用し、万全の体制を整えてください。
消火活動の際、濡れてしまうことを考慮し、濡れても高い絶縁性が保てる装備を普段から用意しておくことが重要と言えます。
ゴーグルや厚手の衣服でガラスを防御する
太陽光パネルは強化ガラスで作られていますが、炎によって高温にさらされると粉々に飛び散ってしまいます。
そのため、鋭く尖ったガラスの破片から身を守るゴーグルや厚手の衣服は必須と言えます。
絶縁性の高いゴム性の手袋や長靴と共に、事前に準備しておきたいアイテムです。
厚手のブルーシートで発電をストップ
太陽光パネルは光さえあれば、例え破損していても、燃えていても発電し続けます。
そのため消火活動中に感電する危険性があり、まずは発電を止める必要があると言えるでしょう。
太陽光パネルは断線していても発電しますので、パネル自体を厚手のブルーシートで覆う必要があります。
厚手のブルーシートで覆って発電を止めてから、消火活動に入ってください。
太陽光発電の火災事故は日頃のメンテナンスで防げる
太陽光発電の火災事故を予防するには、定期的な機器メンテナンスや除草作業が重要です。
定期的なメンテナンスにより経年劣化を防ぎ、事故を未然に防ぐことが可能なので必ず行いましょう。
そのため、アフターサービスの充実した業者と契約することが望ましいと言えます。
1社だけ見積るのではなく、相見積で業者のサービス内容を比較し検討する必要があります。
口コミを確認したり、過去の成約率に注目して見るなど、良い業者を選ぶコツはありますのでしっかり見比べて、安心して任せられる業者と契約しましょう。
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