太陽光発電って節税できるの?
具体的な節税対策を知りたい!
太陽光発電で節税できるの?
太陽光発電は、電気代の節約や発電した電気を電力会社に売る売電収入は知っていても、節税の可否について理解していない人は意外と多いものです。
ここでは、太陽光発電における節税について解説していきます。
固定資産税の軽減
太陽光発電設備は、基本的に移動することができないため固定資産税が発生します。
「1000kW以上は4分の3、1000kW未満は3分の2に軽減される」といった税制優遇制度も用意されており、こちらを利用することで3年分の固定資産税が軽減可能です。
ただし、制度利用するためには条件も設けられており、具体的には「FIT制度を受けていない」「売電していない」太陽光発電設備が対象となるので注意が必要です。
課税所得の削減
電力会社に売電を行わず太陽光発電した電気を自家消費した場合、導入した太陽光発電設備を減価償却資産として扱うことが可能です。
太陽光発電の耐用年数は17年と定められており、定額法もしくは定率法に基づいて対象期間の確定申告で導入費用を経費として計上できるため非常にお得であるといえます。
課税所得を削減したい人は、導入するタイミングを検討するようにしましょう。
税制優遇・税額控除の2つの恩恵
中小企業もしくは個人事業主が太陽光発電を導入した場合、税制優遇と税額控除の2つの恩恵を受けることが可能です。
税制優遇では購入年に導入設備を全額経費として計上可能であり、税額控除では7%(資本金3000万円以下の法人なら10%)の税額控除が可能です。
中小企業と個人事業主に限定される制度ではありますが、導入を検討している人にとっては良い後押しとなることでしょう。
太陽光発電に発生する税金とは
太陽光発電設備の導入や売電収入を得ると、各種税金が発生します。
ここでは、太陽光発電に発生する「所得税・法人税」「消費税」「固定資産税」について解説していきます。
所得税・法人税
個人事業主や法人が、導入した太陽光発電設備で作った電力で売電収入を得る場合、所得区分は事業所得に該当します。
この場合、個人事業主は所得税、場合は法人税の支払いが発生します。
いずれも年間の所得から必要経費を引いた金額に対して既定の税率を掛けて算出されるため、経費計上することで節税対策が可能です。
消費税
身近な税金の消費税も、太陽光発電に発生する税金のひとつです。
ご存知のとおり、消費税は商品やサービスを購入する際に発生する税金であるため、太陽光発電設備の機材購入費や施工費などに対して支払いが生じます。
一方で、発電した電気を電力会社に売電した場合、売電収入+消費税を受け取ることができます。
固定資産税
固定資産税とは、所有する土地や建物などのように移動することができない固定資産に対して発生する税金です。
住宅用太陽光発電設備であれば、10kW未満かつ住宅新築時に屋根一体型パネルに対して発生します。
つまり太陽光パネルを架台に設置ような場合には、取り外し可能とみなされ固定資産税はかからないということです。
なお、10kW以上の設備の場合には、設置方法問わず固定資産税の課税対象となるため注意しましょう。
個人事業主・法人向けの税金対策
太陽光発電システムの導入や収入によって、様々な税金が発生します。
ここでは、個人事業主・法人向けの税金対策について解説していきます。
自家消費用の太陽光発電設備を導入する
自家消費用の太陽光発電設備を導入すると減価償却資産扱いとなるため、節税対策となります。
太陽光発電の法定耐用年数である17年間に渡り、導入費用を分配して経費計上することが可能です。
所得税や法人税は年間所得から経費を減産した金額に対して算出されるため、税金を抑えることができるのです。
なお、減価償却費の計算方法には、一定の金額を固定で経費扱いする「定額法」と、償却率に基づいて算出する「定率法」がありいずれも任意で選べます。
税制優遇制度を利用する
太陽光発電設備の導入に際し、中小企業経営強化税制と中小企業投資促進税制の税制優遇制度を活用することで、節税対策を講じることも可能です。
即時償却と税額から直接10%または7%差し引く税額控除のいずれかを選択可能ですが、利益が高くなることが予想される際には即時償却を選ぶことで、課税所得を抑えることができます。
導入のタイミングはもちろん、課税所得となる収益の状況をきちんと把握することで、大きな効果が期待できるでしょう。
免税事業者として消費税の還付を申請する
太陽光発電設備の導入では、支払う消費税と請求できる消費税を相殺できる「消費税還付」という制度が利用可能です。
太陽光発電設備を導入する際、機材の購入費や施工費などに対し消費税が発生しますが、売電を行うことで電力会社に売電収入+消費税を請求することができます。
具体的に、設備導入において1,500万円かかった場合の支払う消費税は150万円、売電収入が150万円だった場合の請求できる消費税は15万円です。
本来であれば150万円から15万円を差し引いた135万円を支払うことになりますが、消費税還付を利用すれば相殺として扱われるのです。
相殺するための収入が必要であることから、自家消費型の場合には利用できないことも覚えておきましょう。
消費税還付の手順&注意事項
事業者が太陽光発電を導入して売電を行う際、支払う消費税と受け取る消費税を相殺できる消費税還付という制度が活用可能です。
ここでは、消費税還付の手順と注意事項を説明していきます。
消費税還付の対象となるものを把握する
消費税還付の制度利用を申し込む前に、まずは対象となるものを確認しましょう。
対象となるのは、太陽光発電設備の機材購入費や施工費、メンテナンスやローンの利息などが含まれます。
設備を設置する際に土地を購入した場合、こちらは対象外となるため注意しましょう。
消費税還付の適用条件
消費税還付を適用するためには、まず個人事業主の課税事業者になっていることが前提条件です。
その上で、下記のいずれかを満たすことが必要です。
- 2年前の課税売上が1,000万円以上である
- 2年前の1月1日~6月30日の間(特定期間)に、課税売上と給与収入額の合計が1,000万円以上になる
- 資本金や出資金が1,000万円を超える法人を設立した
- 消費税課税事業者選択届出書を提出した
これらの条件を確認して、新規事業の際に太陽光発電設備の導入にハードルの高さを感じるかもしれませんが、消費税課税事業者選択届出書は新規事業の開始前でも提出できるため心配いりません。
キャッシュフローに注意
消費税還付を利用した場合、初年度含めた3年間消費税を支払う義務が発生します。
そのため、目先の消費税の相殺ばかりに気を取られず、総合的にプラスとなるようキャッシュフローを考慮して利用する必要があります。
3年経過しないと免税事業者に戻れない
消費税還付を利用するためには課税事業者にならなければなりませんが、消費税の支払い義務が免除される免税事業者に戻るためには3年経過する必要がある点にも注意が必要です。
消費税額によっては、消費税還付によって得られるメリットよりも免税事業者でいる方が得をする可能性もあり得ます。
制度を利用するか否か悩んだ際には、税理士に相談してみるのも方法のひとつであるといえるでしょう。
受付期間内に申請する
消費税還付を受けるためには、太陽光発電設備を導入する前年度の12月31日までに申請しなければなりません。
事前に行わなければならないため、知らずに導入してしまうと後悔する可能性があるのです。
太陽光発電設備は高額であるため、思いつきで導入に踏み切る人は少ないですが、利用できる制度の把握と内容を理解し、申告漏れのないよう計画的に行うようにしましょう。
投資目的の副業サラリーマン向けの税金対策
太陽光発電は、給与所得を得ているサラリーマンの投資目的の副業にもなります。
ここでは、太陽光発電を副業とした際の税金対策を解説していきます。
確定申告で青色申告書を選択する
住宅用太陽光発電による余剰売電のみので、確定申告の対象となる年間20万円を超える収入を得ることは稀です。
しかし、働き方が多様化した昨今では太陽光発電の設備投資以外に副業をしている人も多く、複数の収入源を持っているケースも珍しくありません。
それらの収入を合算して20万円以上となる場合には確定申告が必要ですが、その際に通常の白色申告ではなく控除額が多い青色申告を選択することで税金対策が可能です。
所轄税務署へ開業届を含む書類提出といった手間はかかりますが、65万円控除される青色申告特別控除をはじめ多くの優遇措置を受けられます。
所得税は所得から控除額含む経費を差し引いた金額から算出されるため、節税対策になるのです。
計上可能な全ての経費を把握する
太陽光発電設備の導入・運用では、多くの経費が発生します。
具体的には、設備導入における機材の購入費や施工費、点検やメンテナンス、修理費なども経費として計上できます。
このように計上可能な経費を抜け漏れなく全て把握することで、所得税を抑える効果が得られるのです。
節税対策として経費に計上できるもの
節税対策では、課税対象となる所得額を下げられるよう経費計上を行うのが効果的です。
そのため、経費の対象になるものは正確に把握しておくことが重要なポイントになります。
太陽光発電の経費に計上できるものには、以下のものが挙げられます。
- 減価償却費
- 導入におけるローン利息
- 固定資産税
- 設備設置のための土地の賃料
- 遠隔監視システムをはじめとする管理費
- 太陽光発電設備に対する損害保険料
- 定期的に行う点検やメンテナンス費
- 故障した際の修理費
- パワーコンディショナーの電気代
太陽光発電は税金対策として優秀なの?
「太陽光発電は税金対策として優秀」と耳にしますが、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、太陽光発電が税金対策として優秀といわれる理由を解説していきます。
初期費用の回収が可能
太陽光発電の設備価格は高額であるため、金額がネックで導入に踏み切れない人も少なくありません。
しかし、一見ネックと思われる要素である初期費用は、長期的に見ると回収が可能なのです。
太陽光発電設備の導入時に補助金を利用、発電した電気を自家消費することで再エネ賦課金含む電気代の削減、電力会社に電気を買取してもらう売電収入などが挙げられます。
期間としてはおよそ10~15年程で回収できることが見込めるため、長い目で見れば初期費用は大きな問題にならないといえるでしょう。
長期に渡って利益が見込めるので投資向き
太陽光発電設備の導入は初期費用が回収できるだけではなく、長期に渡って利益が発生することも見込めます。
太陽光発電の寿命は約30年であるため、10~15年程で初期費用を回収した後は、これまでローン返済に充てていた資金を利益として扱うことができるのです。
初期費用回収後も15~20年に渡って利益を生み出せるため、長期的な投資をしたい人に向いているといえるでしょう。
太陽光発電は節税効果が大!お得に運用が可能!
太陽光発電は、導入することで固定資産税や課税所得の削減をはじめ、多くの節税効果が期待できます。
個人事業主や法人に限らず、会社員が自宅に設置した場合においても初期費用の回収が見込め、電気代の節約や売電収入によって長期的に恩恵を受けられるため、投資・副業としても向いているといえるでしょう。
再生可能エネルギーに注目が集まっている現代では、導入促進のために多くの補助金や優遇措置が用意されていることにも注目です。
太陽光発電設備の導入を検討している人は、節税対策としてぜひ本記事を参考にしてみてください。