太陽光発電の収入って、確定申告は必要?
確定申告してなくてもバレない?してないとどうなるの?
太陽光発電の確定申告してない!しないとどうなる?
その年度の収入から支払う各種税金の金額を算出する確定申告ですが、確定申告していないとどうなるのでしょうか。
ここでは、太陽光発電で作った電気を売電して確定申告しなかった場合、どのような事態になるのかを解説します。
延滞税や無申告加算税が発生する
確定申告は毎年2月16日から3月15日までの期間に、所轄の税務署に申告するものです。
対象者がこちらを行わず、それが発覚すると延滞税や無申告加算税といったペナルティが課せられます。本来支払わなければならない税金に加え、ペナルティの支払いも加わるため大きく損をしてしまいます。
延滞税は2ヵ月以内で7.3%、2ヵ月以上で14.6%と国税庁のホームページにも記載されているように2倍となるため、期限を過ぎた場合でも速やかに支払いをした方がいいでしょう。
無申告加算税は、納付すべき税額が50万円までであれば15%、50万以上であれば20%が税額に加算されます。こちらも重いペナルティであるため、支払いは必ず行いましょう。
住民税の手続きを怠ってしまう
確定申告は国税である所得税の算出を行うために必要な申告ですが、こちらを行わないと地方税である住民税の手続きまで怠ってしまう可能性があります。
住民税も収入に応じて算出される税金であり、確定申告をしていると税務署にデータがあるため市区役所はそちらから情報を入手しますが、確定申告をしていないと市区役所に住民税申告(市民税申告)を行わなければなりません。
こちらの手続きを怠ると督促状が届き、支払いが完了するまで延滞金も発生します。それでも支払いをしないでいると、最悪財産を差し押さえされる可能性もあるため、確定申告が不要な場合であっても必ず住民税の手続きを行いましょう。
太陽光発電の確定申告はしなくてもバレない?
結論からいうと、バレる可能性が高いです。
2018年には、個人事業主含む太陽光発電事業者200社に対して税務調査が行われ、約70億円もの申告漏れが発覚しています。
こうした脱税事件の事例があることからも、太陽光発電における所得は税務署が目を光らせていると考えるべきといえるでしょう。
そのほかにも確定申告をしていないことがバレる理由には「毎月業者から一定額の送金がされている」「取引先が調査された」など様々なケースから発覚します。
無申告がバレた場合、過去の所得に対しても調査がされるため当然ペナルティも大きくなります。
また、マイナンバー制度の導入によって所得が把握されやすくなっていることも忘れてはなりません。
このように、個人事業主・法人問わず確定申告を行わないことは非常にリスクが高いことであることを肝に銘じておきましょう。
太陽光発電の確定申告には3つの所得区分が重要
同じ太陽光発電から得た収入であってもは、条件や設備の形態によって所得の区分は変わります。
ここでは、主な所得区分である「雑所得」「事業所得」「不動産所得」について解説します。
雑所得
所得税法で定められている所得区分には10種類あり、そのうち9種類に当てはまらない所得は雑所得に分類されるものです。
住宅用太陽光発電設備は基本的に10kW未満であるため、電気を売ることを主目的としていないと判断されます。
そのため、売電で得た収入は大半のケースで雑所得として扱われます。
事業所得
会社員であっても、10kW以上の発電量を持つ産業用太陽光発電設備で余剰売電を行い、その収入が年間20万円以上となる場合には事業所得となります。
ここでのポイントは、事業所得の場合には雑所得の20万円とは違い、38万円を超えると確定申告が必要となる点です。
また、発電量や所得金額だけではなく、個人事業として設備を整備・運用している場合も事業所得として認められる可能性があります。
このように、明確な定義だけではなく社会通念上から判断されることもあるため、悩んだ際には所轄の税務署へ相談すると良いでしょう。
不動産所得
所有する土地や物件などを貸付けた際に発生する収入は、不動産所得に分類されます。
貸し付けた物件で使用されるエレベーターや照明など、共用設備を稼働させるための電力に太陽光発電を利用し、余剰電力を売電した場合には不動産事業に付随するものとみなされ不動産所得に該当します。
太陽光発電した電気を土地や物件に使用していなければ不動産所得として扱われず、雑所得や事業所得として扱われることも覚えておきましょう。
太陽光発電の確定申告で重要な「雑所得」の計算方法
太陽光発電における雑所得の計算方法は「売電収入-経費」で算出することができます。
そのうちの経費は「経費=(設置費用-補助金)×償却率×(年間売電量÷年間総発電量)」から求められます。
確定申告に不慣れな人にとって、見慣れない言葉が並び難しく感じられるかもしれませんが、こちらの計算式にあてはめるだけで算出可能です。
それでも「この費用は経費に含まれるの?」「どの項目に該当するの?」と悩んでしまう人は、所轄の税務署に確認すると安心です。
売電収入から諸々の経費を差し引き、20万円以下であれば確定申告の義務は課せられません。
ただし、サラリーマンの副業のようにその他にも収入があり、それらの所得を合算して20万円を超える場合には確定申告をしなければならないことに留意しましょう。
太陽光発電で確定申告するのはどんな人?
収入の申告と支払う所得税の金額を算出するために必要な確定申告ですが、太陽光発電による売電を行っている人すべてが対象となるわけではありません。
ここでは、太陽光発電で確定申告が必要となる人について解説していきます。
年間の売電収入が20万円を超える給与取得者
会社員として働き、副業として太陽光発電で作られた電気を売り、売電収入が年間20万円を超える人は確定申告の対象となります。
しかし、住宅用太陽光発電は発電量が10kW未満であることが多く、余剰電力の売電ではこちらの金額を超えるような収入を得ることはできないため、ほとんどの場合が確定申告は不要です。
ただし、産業用太陽光発電設備を導入して高い発電量を確保している人や、その他の副業によって収入を得ている人は注意が必要です。
雑所得は全ての副業収入から経費を差し引き20万円以上であった場合には確定申告しなければならないため、複数収入源がある人は正確に把握するようにしましょう。
年間の売電収入が38万円を超える自営業者
自営業の場合、確定申告で所得税の計算をする際に一律で引かれる基礎控除額38万円があります。
そのため、太陽光発電による売電収入を事業所得として扱う場合、基礎控除額で相殺できない38万円以上となった場合に確定申告が必要です。
事業所得として扱うためには、50kW以上の発電量や太陽光発電設備に対してフェンス・柵の設置などの条件があることも要チェックです。
太陽光発電システムが10kWを超える場合は要確認
自宅の屋根や駐車スペースなどに設置する住宅用太陽光発電システムの場合では4~5kWが平均的な容量ですが、余剰売電のみで20万円以上の収入を得ることはほぼあり得ません。
しかし、副業や投資を目的とし10kW以上の太陽光発電設備を導入すると、20万円を上回り確定申告を行う必要性が出てくるため注意が必要です。
天候や日射量などの関係から例月同額の利益になるとは限りませんが、月々の収入と見込み金額から逆算して、確定申告が必要になるか早めに確認しておきましょう。
太陽光発電に発生する税金とは
太陽光発電では、所得税・消費税・固定資産税が発生します。
ここでは、それぞれの税金の種類について解説していきます。
所得税
所得税とは、1月1日から12月31日までの1年間で得た所得から所得控除を差し引いた金額に対し、定められた税率を適用して算出される税金のことです。
所得が増えるほど税率が高くなるのが特徴で、確定申告が必要となる際には必ず発生する税金でもあります。
太陽光発電における所得では「雑所得」「不動産所得」「事業所得」が課税対象となります。
消費税
日常生活でも馴染みの深い消費税も、太陽光発電の設備導入においても発生する税金のひとつです。
ご存知のとおり、消費税は商品やサービスを購入した際に発生する税金であるため、太陽光発電においては設備の機材や施工費に対して課税されます。
なお、太陽光発電の余剰電力を電力会社に売る場合には、電力会社に対し消費税を請求できることも覚えておきましょう。
固定資産税
固定資産税とは、その名のとおり土地やビルなどのような移動できないものに対して発生する税金です。
太陽光発電設備においても基本的に移動させられないため、固定資産税が発生します。
しかし、住宅用太陽光発電の固定資産税には例外もあり、10kW未満の設備に関しては住宅を新築する際に、屋根一体型パネルを選んだ時にのみ発生します。
なお、10kW以上の太陽光発電設備の場合には、設置方法問わず固定資産税が発生することにも注意が必要です。
太陽光発電の確定申告で損をしないためには節税をしよう
何かと発生する税金ですが、太陽光発電の確定申告においても節税対策をすることが可能です。主な節税対策として、導入にかかった設備や施工費、メンテナンス費用などを経費として計上する方法です。
また、太陽光発電システムは償却資産となるため、減価償却で経費に計上することができます。太陽光発電であれば耐用年数が17年と規定されているため、その期間の確定申告で節税が可能です。
減価償却費は耐用年数に基づいて一定の金額を経費扱いする「定額法」と、償却率という割合に基づいて経費扱いする「定率法」の2種類があり任意で選択できます。
そのほか確定申告書においても通常の白色申告ではなく青色申告で作成・提出することで、控除額が大きくなるため所得税を抑えられることにも注目です。
このように、より多くの経費を所得から差し引くことで所得税は抑えられるため、何を経費として扱えるのか正しく理解をしておくようにしましょう。
太陽光発電の確定申告で経費として計上できるもの
確定申告で損しないためには、必要経費の計上が不可欠です。
ここでは、太陽光発電の確定申告において計上できる経費について紹介していきます。
減価償却費
減価償却とは、固定資産の購入費をその年の確定申告で一括で計上せずに、法定耐用年数に応じて経費計上することです。
法定耐用年数は国税庁によって定められており、太陽光発電の場合は17年とされています。
減価償却を行うことで17年という長期に渡って経費を計上できるため、経済的なメリットは非常に大きいといえるでしょう。
なお、減価償却の計算方法には、期間中一定額を計上できる「定額法」と償却率に基づく「定率法」がありますが、選択は任意で行うことが可能です。
固定資産税
固定資産税とは、移動させることができない償却資産である建物や設備などに課される地方税で太陽光発電設備も該当します。
基本的に、取り外し可能な住宅用太陽光発電設備は非課税扱いとなりますが、屋根と一体型設備の場合には家屋として課税の対象となることにも注目です。
その際、通常の屋根よりも価値があるものとみなされ税額も上がるため、経費への計上を忘れずに行いましょう。
なお、産業用太陽光発電設備の場合には出力に関わらず課税対象となります。
ローン利息
太陽光発電導入の際にローンを組んでいる場合には、その利息も経費として計上することが可能です。
ただし、住宅のローンと合わせて計上することができないため、確定申告する際には太陽光発電分のローンを算出しておく必要があります。
点検費用
太陽光発電設備は、正常に動作しているか定期的に点検を行います。
一般的に、こうした定期点検はプロの業者に依頼することになりますが、その依頼費は経費として計上することが可能です。
点検を依頼した際には、領収書や請求書を大切に保管しておきましょう。
メンテナンス費用
長期に渡り運用する太陽光発電設備は、定期的なメンテナンスが必要不可欠です。
保証期間内であれば無料でメンテナンスしてくれる業者もありますが、期間を過ぎている場合には費用を支払ってメンテナンスを行います。
その際の費用を経費として計上できるのです。
なお、業者に依頼せず自身でメンテナンスを行う場合に工具や部品を購入した場合には、その購入費もメンテナンス費として計上できます。
修理にかかった費用
点検やメンテナンス同様、太陽光発電設備の修理費も経費として計上することが可能です。
業者に依頼した場合はもちろん、故障によって交換が必要となった部品代も含めることができます。
太陽光発電はランニングコストがかかりますが、そのほとんどが経費計上できるため、結果として節税対策になるのです。
土地代
太陽光発電の確定申告では設備そのものの購入費だけではなく、ソーラーパネルを設置するために土地を購入した場合には、その土地代も経費として計上することが可能です。
なお、土地購入においては不動産取得税も発生しますが、こちらも経費扱いできるため忘れずに計上しましょう。
セキュリティーシステムなどの管理費
太陽光発電では、正常に稼働しているか確認できるセキュリティーシステム(遠隔監視システム)を設置できます。
システムの導入費だけではなく、業者に保守・運用を依頼した場合の費用も経費に含めることが可能です。
パワーコンディショナーの電気代
太陽光発電で作られた電気(DC)を家庭で使用できる電気(AC)に変換するパワーコンディショナーにかかる電気代も経費計上可能です。
確定申告時に正確な金額が把握できるよう、電気代の納付書も大切に保管しておくようにしましょう。
売電収入が高額なら消費税還付が適用される
事業者で太陽光発電の導入を検討している人は、「消費税還付」という制度も要チェックです。
太陽光発電設備の導入費には消費税の支払いが生じ、一方で発電した電気を電力会社に売ると売電収入に加え消費税が振り込まれます。
消費税還付とは、支払う消費税と受け取る費税を相殺して還付する制度であり、基本的に支払う消費税の方が多いことから消費税還付を行うことで得することが可能です。
しかし、消費税還付が受けられるのは導入した1年間かつ、課税事業者で売上高が1,000万円以上という条件も設定されているため、申請する際には注意が必要です。
また、消費税還付を受けるためには、事前に消費税課税事業者選択届出書を提出する必要があります。こちらは設備導入の前年末までと期限があるため、計画的に行うようにしましょう。
納税は国民の義務!太陽光発電でもしっかり確定申告しよう
給与所得を得ている会社員の場合、年末調整を行って所属企業が代理で確定申告をしていてくれていることからやり方がわからず「申告しなくてもバレないのでは?」と考える人もいることでしょう。
しかし、確定申告は収入に対して支払うべき所得税の金額を算出するための申告であるため、個人宅の太陽光発電の売電収入であっても年間20万円を超える場合には必ず行わなければなりません。
実際、家庭用の太陽光発電で売電契約をしている人のほとんどの場合は確定申告は不要ですが、その他の副業収入と合算して年間20万円以上の収入がある場合には注意が必要です。
税務署に行く時間の確保が難しい人は、提出書類の郵送やWeb上で必要項目に入力するだけで確定申告が行えるe-Taxを利用する方法もあります。
対象者であるにもかかわらず無申告でいると重いペナルティもあるため、しっかりと確定申告するようにしましょう。