発電側課金って何!?わかりやすく説明してほしい!
発電側課金は2024年から導入される新しい制度よ。詳しく解説するから一緒に学んでいきましょう!
発電側課金をわかりやすく解説
発電側課金は2016年以降、経済産業省が制度設計専門会合などで議論・検討検討し、中間とりまとめをしてきた託送料金に関する制度です。
具体的にはどのような計画で、いつから始まるのでしょうか。
発電側課金について、詳しい情報をご紹介します。
発電事業者が支払う送配電のコスト
現在、発電所が発電した電気の送配電コストは、小売電気事業者が託送料金として全額負担しており、送配電によって利益を得られるのは小売電気事業者である、という基本的な考えに基づいています。
しかし、近年は電力の需要量が増加し、それに伴い太陽光発電などの再生可能エネルギー設備の拡充が続いています。
そのため、火力発電や再生可能エネルギー発電事業者も送配電で利益を得ているのではないか?とし、見直しを求める声が大きくなりました。
そこで経済産業省は、送配電コストの負担を小売電気事業者に限定するのではなく、系統(送電線・配電線)に接続する電源に対して公平に検討すべきとして議論を始めたのが、そもそもの発電側課金が考えられるようになった理由です。
対象者は?
新エネルギー財団によると、原則として系統に接続し、なおかつ逆潮させている(太陽光発電などから、電力会社の電力系統に電気を流すこと)全ての電源を対象としています。
ただし、以下の2点においては当分の間は対象外の措置となります。
- 逆潮が10kW未満(住宅用太陽光発電など)
- 既にFIT(固定価格買取制度)/FIP案件の認定を受けており、調達期間内である
住宅用太陽光発電の多くは容量が10kW未満のため、制度施行後にすぐに影響を受けるケースは少ないと考えられるでしょう。
なお、自己託送(遠隔地の発電所で発電した電力を、送配電を利用して自社設備へ送電するもの)については、系統への逆潮させている実態があるため、課金対象に該当します。
また、2015年6月以前にFIT認定を受けた案件に対しては、売電単価27円/kWh~40円/kWhは課金対象となる可能性があります。
いつから開始?
総合資源エネルギー調査会の資料によると、発電側課金は2024年4月に開始される可能性があります。
電気・ガス取引監視等委員会では、発電側課金の導入意義は十分にあるとし、早期の実現が妥当としています。
負担額はいくら?
2023年5月現在、発電側課金の負担額について、詳細は公表されていません。
ただし、発電側課金は固定料金であるkW課金と従量料金(発電量によって変動する)のkWh課金(従量料金)の2つから構成され、なおかつkW課金とkWh課金の比率は1:1とすることが決定済。
これまでの議論により、kW課金とkWh課金を合計した負担額を1kWあたり1,800円(年間)とする方向で検討されており、このままで調整が進めば、100kWnの発電所であれば年間の発電側課金の負担金は18万円となります。
なお、電気・ガス取引監視等委員会の試算では、発電事業者が支払う金額は単年度で3,856億円にのぼると見られています。
発電側課金で支出が増えるときの対策
発電側課金の施行により、発電事業者は送配電コストの負担が必要となり、これまではなかった支出が増えます。
どのように対処すべきか頭を悩ませている方に向けて、対策方法をご紹介します。
蓄電池を導入する
蓄電池の導入を行っていない場合は、後付けでの設置をおすすめします。
蓄電池の導入によって得られるメリットには、主に次の3つがあるからです。
- 出力制御や余剰電力の発生時に電力を蓄電池に貯めておけるのでロスがなくなる
- 出力制御や余剰電力の発生時に貯めた電力を、然るべきタイミングで自家消費や売電に活用できる
- 全量自家消費型への切り替えを行い、電気料金削減や再エネ賦課金の負担軽減を行える
設備の売却を検討する
稼働済中古太陽光発電設備の売却によって、次のようなメリットが得られます。
- 売却による収益を得られる
- 売却益を別の市場の投資先に運用できる
- メンテナンス費用や維持費用(清掃など)の負担が0円になる
- メンテナンスや維持に関する手間がなくなる
- 固定資産税や売電にかかる所得税などの税務処理がなくなる
資源エネルギー庁の資料によると、事業用太陽光発電の維持コストの平均値は0.54 万円/kW/年。50kWなら年間27万円、100kWなら年間54万円のコストが削減できます。
発電側課金でよくある質問
制度の施行は決定しているものの、その内容についてはまだまだ不明な点も多い発電側課金。
発電側課金に関するよくある質問をまとめているので、参考にしてください。
割引制度があるって本当?
小売電気事業者のみの送配電コストの負担では、支払いが滞り回収が難しい業者が増えているのが現状。
そこで、発電事業者にも負担をしてもらい、系統の維持管理や拡充費の確保を目的に施行されるのが発電側課金です。
そのため、系統へ接続する電源が少ない一部のエリアでは、系統への影響が少ないことから、発電側課金の負担軽減が妥当とされ、割引制度が設定される予定です。
説明会はある?
送配電網協議会のホームページでは、過去に発電契約者向けに発電側課金の概要説明会の案内がされていましたが、今現在は実施されていません。
もっと詳しく内容を知りたい、今のうちに不安や疑問を解消しておきたいなどの場合は、今後、説明会が開催される予定があるのか、問い合わせてみると良いでしょう。
また、代理回収の運用方法などについては、一般送配電事業者への問い合わせになります。
発電側課金をわかりやすく言うと発電事業者が払う維持コスト
これまで送配電コストを考慮せずに発電所の運用を行っていた発電事業者にとっては、発電側課金は収益が減額となってしまう制度といえます。
2024年4月以降の制度施行後、負担額が大きな影響を及ぼしていると感じた場合は、蓄電池の導入や太陽光発電設備の売却などを視野に入れる必要があるでしょう。
なお、発電側課金の導入後は、発電事業者と小売電気事業者の間で円滑な協議や会合が行えるように、経済産業省は「発電側課金に関する既存契約見直し指針」(転嫁ガイドライン)を策定するとしています。
発電事業者だけではなく、日本に住む一国民として今後も注目していきましょう。