太陽光発電で土地トラブルがあって、もうやめたいって知恵袋に書き込みがあったわ。
実際、太陽光発電の設置を隣地から反対されるトラブルも多いみたいね。
そんなにたくさんトラブルが起きているの?
太陽光発電でどんなトラブルが起きているか、事例を確認していこう。
太陽光発電トラブルの裁判事例
太陽光発電は二酸化炭素を排出しない発電方法として普及が進んでいますが、様々な原因でトラブルになり訴訟にまで発展するケースがあります。
実際にあった、太陽光発電に関する裁判事例を見ていきましょう。
建築物により発電量が低下した
最初は駐車場だった隣地の所有者が変わり、建てられた建物の影響で発電量が低下して余剰電力の売電収入が減ったとして損害賠償を請求した事例があります。訴訟を起こした原告側の主張は以下に挙げるとおりです。
- 原告側の太陽光発電に影響がないように求めたのに全く応じられなかった
- 隣地の前所有者が10年程度土地売却の予定がないとしていたので原告側の対策は不要だった
この訴えは、原告側がこの事態を十分に予見し対策できたとして棄却されています。
メガソーラー建設へ住民が反対した
静岡県伊東市で近隣住民が大規模太陽光発電所の建設中止を求めて訴訟を起こし、却下された事例があります。
原告側の住民は、該当地で太陽光発電建設の工事をすると土砂流出や崖崩れで住宅に被害が発生する可能性があると主張していました。
しかし、訴えているどの住民も土砂が流出しても直接被害を受ける場所に住宅がないと判断されて、控訴審でも棄却されています。
反射光で室温が高温になった
兵庫県姫路市で太陽光パネルからの反射光で室温が上がり、熱中症になったとして近隣住民の男性が一部パネルの撤去と損害賠償を求めて事業者を訴えた事例もあります。
近隣住民の男性は、太陽光パネルが設置されてから8月に室温が50℃以上になり夫婦で熱中症になったと訴えていましたが、その後の調査で室温の上昇が証明されませんでした。
最終的に近隣住民の男性が突然訴訟の取り下げをして、和解などもなく終了になっています。
太陽光発電のトラブル事例
訴訟にはならなくても、太陽光発電の購入前後でトラブルが起きています。トラブルの原因には施工の問題や業者とのトラブルなどがあります。
実際に報告が多い太陽光発電のトラブル事例には、どのようなものがあるのか見ていきましょう。
雨漏り
住宅用の太陽光発電で多いトラブルは、屋根からの雨漏りです。
太陽光パネルをしっかり固定するため、屋根に穴を開けて架台を設置する工事になるので防水対策が重要になります。穴を開けてはいけない場所に間違えてビスを打ってしまうと雨漏りの原因になりかねません。
太陽光発電の設置工事を依頼するときは、住宅用の設備の施工実績や知識があって信頼できる業者を選ぶようにしましょう。
火災
住宅用の太陽光発電設備が原因の火災が多く、消費者庁でも注意喚起をしています。
火災の主な原因は以下の2つです。
- パワーコンディショナーの発火
- ホットスポットによるパネルの発火
住宅用の太陽光では、パワーコンディショナは屋内に設置するケースがほとんどです。もしも、屋外用を利用する場合は、汚れやほこりが機器に溜まらないようこまめなメンテナンスをすれば火災を回避できます。
ホットスポットとは、小さい石や落ち葉などの飛来物や鳥の糞がパネルに付着したままの状態が続くと、その部分だけ異常に温度が上昇する現象を指します。屋根の上にあるパネルをこまめに点検したり、メンテナンスをしたりするのは難しいので定期メンテナンスで業者にチェックを依頼すると良いでしょう。
業者の倒産
太陽光発電の購入契約をした後や、設備の設置後に業者が倒産するトラブルも発生しています。
日本で太陽光発電システムの導入数が最も多かったのは、2012~2015年あたりでした。2016年に一度大きく年間の導入数が減った後は、毎年緩やかに下がりながらほぼ横ばいで導入数が推移しています。導入数が一気に減った時期などは、利益が出ずに廃業する業者が増えたのではないかと推測できます。
太陽光発電の設置前に業者が倒産してしまい、支払い済みの契約金が返金されなかった事例もあるので慎重な業者選びが必要です。
業者の経営状況を把握するのは難しいですが、少しでも「おかしい」と感じる点があったら契約を急がないようにしましょう。
太陽光発電の近隣住民とのトラブル事例
太陽光発電において、近隣住民とのトラブルの原因には次のようなものがあります。
- パネルからの太陽光の反射
- パワーコンディショナの稼働音
- 積雪
- 電磁波
- 雑草
雑草に関しては、隣地に伸びていかないように境界付近は念入りに除草などの対策が必要です。
雑草以外の原因については、太陽光発電の周囲への影響を考えながら施工計画を立てればトラブルを避けられるでしょう。
太陽光発電の悪質業者とのトラブル事例
太陽光発電では悪質業者一覧が公表されるほど、業者とのトラブルが消費者センターに相談されています。中でも、一部の業者の悪質な営業行為や契約に関する相談が多い傾向です。
太陽光発電の販売業者と消費者の間で実際にどのようなトラブル事例があるのか、詳細を見ていきましょう。
山梨県北杜市で事業者が住民へ暴行した
山梨県北杜市で太陽光発電事業者に義務付けられている住民説明会で、事業者側の男性の行動がニュースになっています。
2022年5月と7月に行われた説明会の中で住民に対して声を荒げたり、拳を振り上げて殴るマネをしたりしていたという参加者の証言があります。7月の説明会では市議会議員の男性が腕をわしづかみにされて怪我をしており、事業者の男性は略式起訴されました。
北杜市は、この事業者が今後太陽光発電事業の申請を行っても一切受理しないとしています。
不当に高額な費用で契約させられる
太陽光発電を販売する費用の相場はありますが、「いくらで売らなければいけない」といった法的な決まりはありません。
ビジネスでは、原価に自社の利益を上乗せした価格で販売するのが一般的です。どんなに高額でも、消費者がその金額を妥当と思うなら問題ありません。とはいえ、少しでも「費用が高い」「おかしい」などと感じる場合は契約を避けたほうが良いでしょう。
また、「今だけ」「限定」などの特別感を出すのはよくあるセールスの手法ですが、高い買い物なのに業者が即決を迫ってくる場合は注意が必要です。
契約内容を守らない
営業が契約を取るためにオーバートークをして、契約後は約束が守られないというトラブルの事例もあります。
例えば事前の説明で売電収入をローンの支払いに利用できると言われていたのに、実際はシミュレーションよりも発電量が少なかったというような内容です。太陽光発電は設置場所の環境や近所の建物の状況などで発電量が変わるものなので、全てが悪質な営業とは限りません。
実際の発電量が契約前の説明と大きく乖離しているのは、契約内容が守られていないことになるので、業者が対応しない場合は消費者センターなどへの相談が必要です。
太陽光発電でトラブルが起きたときの相談先
トラブルは起きないほうが良いのですが、万が一のときのために相談先を把握していれば安心です。
太陽光発電に関するトラブルが発生した場合の相談先を2つ紹介します。
消費者センター
太陽光発電でトラブルが起きた場合は、最初に消費者センターに相談しましょう。
通話料は自己負担ですが、「188」に電話をすれば、相談料は無料で対策などをアドバイスしてもらえます。相談するときに契約内容などを質問されることがあるので、関連する書類を手元に用意してから電話をかけるとスムーズです。
もしも消費者センターへの相談でトラブルが解決しない場合は、国民生活センターへの相談がおすすめです。
弁護士
契約関連でトラブルになった場合は、弁護士に相談する方法もあります。太陽光発電に関するトラブルを多く扱っている弁護士事務所を探して相談するのがおすすめです。
相談料や依頼料が発生しますが泣き寝入りをしたくないとお考えの場合は、費用を負担してでも解決する方向で考えるのが良いでしょう。
太陽光発電でトラブルが起きたら相談しよう
ここまで、太陽光発電で実際にあったトラブルの事例を紹介してきました。
太陽光発電では、近隣住民や業者とのトラブルが起きていて訴訟にまでなっているケースもあります。
もしも太陽光発電に関連してトラブルが起きた場合は、しかるべきところに相談しながら解決するようにしましょう。