蓄電池のレンタル・リースと購入ってどっちがお得なの?
それぞれのメリット・デメリットを比較してみると分かりやすいわよ。蓄電池のレンタルを行っている会社も紹介するから、詳しく見てみましょう。
家庭用蓄電池のレンタル・リースとは?
毎月決まった金額(レンタル料・リース料)を支払うことで、契約期間中に蓄電池を利用できるサービスです。
蓄電池のレンタル・リースはなくても、現代はあらゆるものがレンタル・リースできる世の中なので、一度くらいは何かをレンタル・リースした経験があるはず。そのため、レンタル・リース自体の感覚は何となく分かる人が多いでしょう。
蓄電池のレンタル・リースが注目される理由
それでは、なぜ今、蓄電池のレンタル・リースが注目されているのでしょうか。
これまで、家庭用蓄電池には「太陽光パネルが日中に発電した電気を、蓄電池に貯めて夜間に使うためのもの」というイメージが強く、太陽光発電を設置していないと蓄電池は導入できないと思っている人が多くいました。
しかし、近年の電気代高騰に危機感を募らせ、その対策として蓄電池単体の導入を検討する人が増えています。実は蓄電池は単体での導入が可能なのです。
中には日産リーフを蓄電池として利用する猛者もいますので、よければ下記の記事もご覧になってみてください。
メリットがある蓄電池も容易に導入できる金額ではない
蓄電池は初期費用が高く、誰でも気軽に導入できるものではありません。
そこで、注目を集めているのが蓄電池のレンタル・リースです。
蓄電池のレンタル・リースには、購入にはないメリットがありますが、同時にデメリットもあるため、どちらが自分にとってより良い選択となるのか、しっかりと見極める必要があります。
家庭用蓄電池をレンタル・リースするメリット
レンタル・リースはお金を払い続けても自分のものになりません。
それにもかかわらず、蓄電池のレンタル・リースに注目が集まっているのはなぜなのでしょうか。
初期費用を抑えられる
蓄電池の価格は容量によって変わりますが、設置費用(工事費用)を加えると100~400万円ととても高額になります。
いくら電気代が安くなるといっても、導入に躊躇してしまう人が多いのも納得の金額ではないでしょうか。
しかし、蓄電池のレンタル・リースなら、導入のネックとなる初期費用がかかりません。
もちろん月額使用料は必要ですが、月額の目安は5,000~10,000円(一般的な家庭向けプランの場合)ほどで蓄電池が利用できます。
メンテナンス・廃棄の費用がかからない
蓄電池を安全に利用するには、定期的な点検やメンテナンスが欠かせませんが、レンタル・リース料にメンテナンス費用が含まれているため、別途メンテナンス費用を用意する必要はありません。
また、蓄電池も電化製品である以上、故障や経年劣化などによって利用不可となり、廃棄する可能性は0ではないでしょう。万が一、契約期間中に蓄電池が使えなくなっても、廃棄は業者が行います。その際、廃棄にかかる廃棄料も一切必要ありません。
なお、自分で廃棄する場合、一般ごみや粗大ごみとして捨てられません。そもそも50~200㎏の重量がある蓄電池を持ち運ばなくてはいけないため、廃棄の手間を考えずに済むのはとても安心です。
オール電化向け電気料金プランを選ばなくても良い
電気代が抑えられる、火を使わずに安心などの理由で、近年はガスではなくオール電化を選ぶ家庭が増えています。太陽光発電を設置している住宅は特にオール電化との相性が良く、専用の深夜帯割引プランに加入しているケースが多いでしょう。
しかし、こうした太陽光発電向けのオール電化プランは、日中の電気代が割高となっているため、家族の人数や生活スタイルなどによっては、必ずしも電気代を安くできるわけではありません。
それよりも、電気代が安くなる時間帯の電気を蓄電池に貯めておき、電力使用量が多くなる時間帯に使ったほうが電気代を安く抑えられます。
必ずしもオール電化向けプランに加入している必要がないので、生活に合わせた電気代の節約が可能となります。
家庭用蓄電池をレンタル・リースするデメリット
初期費用やメンテナンス費用の心配をせず、電気代の節約に繋がる家庭用蓄電池。導入に向け前向きに検討している人は多いですが、その際には必ずデメリットにもしっかりと目を向けましょう。
メリットばかりに気を取られてデメリットを軽視して、「こんなはずじゃなかった」と後悔しないために、蓄電池のレンタル・リースの契約前に必ずチェックしておくべき点をご紹介します。
途中で解約できない
契約期間は業者によって違いますが、およそ10~15年と長期に渡ります。
契約したものの思うような電気代の節約にならなかったから、今すぐ解約したいと思っても、解約するには違約金の支払いが必要になります。また、引っ越しをしなくてはならなくなった、長期出張や入院など予期せず事態が生じて蓄電池の必要性が感じられなくなるケースもあるでしょう。
引っ越しや出張はやむを得ない事情ともいえますが、電気代の削減は事前にきちんとリサーチして、比較検討しておけば防ぎようのあるケースです。蓄電池導入前の電気代と比べて、本当に安くなるのかしっかりと確認しておきましょう。
メーカーや商品を選べない
蓄電池のレンタル・リースを取り扱っているメーカーや業者が少ないため、希望の蓄電池メーカーがあっても、必ずしもそのメーカーの蓄電池が導入できるとは限りません。
「パナソニックの蓄電池が使いたい」と思っても、業者によっては別の蓄電池のメーカーを指定している場合もあります。
また、太陽光発電を設置している(併用)場合は、太陽光発電と蓄電池との相性も考慮しなくてはいけません。メーカーや機種などによっては、設置したいと思っていた蓄電池はあまりおすすめできない可能性もあるでしょう。
長期的には割高になる
月額5,000円のレンタル費用を10年払えば600,000円ですが、20年では1,200,000円になります。
蓄電池の容量や使用状況などによっては、初期費用やメンテナンス費用などを総合して購入するよりも、金額が高くなる可能性があるでしょう。
特に新築住宅に蓄電池を導入する場合は、20年以上の利用が視野に入ります。長期的に利用するのが前提であれば、レンタル料を支払い続けることで発生する総額を計算した上で検討しましょう。
補助金が使えない
蓄電池の導入に対して補助金制度を設けている自治体が多いのですが、現状では購入に限られるケースが多く、レンタルやリースは対象とはなっていません。
蓄電池導入の促進に積極的な自治体では、かなりの金額を補助しているので、購入のほうが総額がお得になる場合も。
とはいえ、蓄電池の設置は今後も増えていくとされているため、レンタルやリースに対しても補助金を出す自治体が増える可能性もあります。
家庭用蓄電池を購入するメリット
家庭用蓄電池には、太陽光発電の設置がなくても導入できる「単機能型」と、太陽光発電との併用になる「ハイブリッド型」がありますが、ここでは両方のケースで得られるメリットを解説しています。
メーカーや商品を選べる
太陽光発電システムとの併用の場合、蓄電池のメーカーとの相性があるため、必ずしも全てのメーカーや機種から自由に選べるわけではありませんが、レンタルよりも選択肢は大幅に増えます。
たとえば、オール電化の住宅の場合、蓄電池の定格電圧が200Vないと、停電時にIHクッキングヒーターやエコキュート、エアコンなどが稼働しません。仕様によっては、自宅での電気の使い方に合わない場合もあるのです。
また、太陽光発電システムを設置していない状態で、蓄電池のみを導入するのであれば、太陽光発電との相性を気にする必要がなく、希望やライフスタイルなどに合わせて自由に選べます。
地方自治体の補助金が活用できる
東京都の場合、太陽光発電システムの出力が4kW以上で、蓄電容量が6.34kWh未満であれば1kWあたり19万円(最大95万円)の補助金が受けられます。(公益財団法人東京都環境公社のホームページより)
全国の自治体全てに蓄電池の補助金制度があるとは限りませんが、ZEH住宅やHEMS、V2H電気自動車などに対する補助金を活用できる例もあるので、条件が合う補助金制度がないか確認してみましょう。
長期的に見るとリースより安い
蓄電池を購入すれば、初期費用を一括支払いもしくはローンの支払いが終われば、自分の所有物となります。引き続き利用する分にはお金はかからず、使い続けるほどお得になります。
しかし、レンタルやリースは契約期間が終われば、蓄電池は業者に返却しなければいけません。または、契約期間が20年、30年と長くなるほど、レンタル料の合計が蓄電池本体の価格を上回るため、「購入していれば今ごろ自分のものになっていたのに」と後悔してしまう恐れもあります。
家庭用蓄電池を購入するデメリット
蓄電池の購入のデメリットは、主に費用関係です。
つまり、潤沢にお金を用意できる人であれば、蓄電池購入のデメリットはデメリットとはいえなくなります。しかし、そのような人は少ないのが現状で、多くの場合、お金が導入を迷う最大のネックであることは間違いないでしょう。
初期費用が高い
経済産業省の資料によると、蓄電池の1kWhあたりの価格相場は187,000円。たとえば5kWhの蓄電池を導入するのであれば、容量における価格は187,000×5=935,000円となり、さらに設置費用(工事費用)が20~30万円かかるので、合計で1,135,000~1,235,000円の初期費用が必要となります。
家族の人数やライフスタイルによっては、5kWhでは足りずに10kWhの蓄電池が適切かもしれません。そうなると初期費用は200万円を超えてしまいます。
お住まいの市町村に支給対象となる補助金があれば費用が抑えられますが、なければかなり高額な買い物を決断しなければいけません。
メンテナンスの費用・手間が発生する
蓄電池の点検にかかる費用は1回あたり数万円。
メンテナンスについては、蓄電池のメーカーの多くが10~15年の保証期間を設けているため、この期間内の修理・交換などについては、基本的には無償で対応してもらえるでしょう。
しかし、保証期間が終了すれば、全て実費(自己負担)となります。
蓄電池の故障や修理では、一部の部品交換のみであれば5~10万円ほどで済む場合もありますが、本体を丸ごと交換するのであれば費用は70~250万ほどと、ほぼ新品との取替くらいかかることも。
また、大きな破損などがなくても、経年劣化によって蓄電能力が低下していけば、「新しいものに交換したい」と思うかもしれません。
蓄電池は永遠に使えるのではなく、消耗品であることも、購入における大きなデメリットといえるでしょう。
蓄電池はレンタル・リースと購入ではどっちがお得?
蓄電池はレンタル・リースすべきか、購入すべきか。
メリットやデメリットを比較してみたものの、どうしても決められないという場合は、自分がどちらのほうが向いているのか、以下を参考にして見極めてみましょう。
レンタル・リースの利用が向いている人
レンタル・リースに向いている人の特徴 | レンタル・リースが向いている理由 |
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初期費用を抑えたい |
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点検・メンテナンス費用を抑えたい |
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レンタル・リース用の蓄電池の容量が使用電力量に合っている |
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長期の利用を考えていない |
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電気代がレンタル料を上回っている |
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購入が向いている人
購入が向いている人の特徴 | 購入が向いている理由 |
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引っ越しや途中解約などの可能性がある |
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メーカーや機種を自分で決めたい |
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ニーズに合った容量を選びたい |
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長期間の利用を予定している |
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蓄電池をレンタル・リースできる会社
日本国内では、2013年にONEエネルギー(オリックス・NEC・エプコが共同出資して設立した会社)が初となる蓄電池レンタルサービスを開始しています。
現状としては、蓄電池を取り扱っている全てのメーカーや業者で、レンタルやリースが行われているわけではなく、利用できる地域も限定されているため、蓄電池をレンタルしたいと思っても、必ず叶えられるとは限りません。
とはいえ、昨今の電気代高騰や、再生可能エネルギーへの切り替えの促進により、今後ますます蓄電池のレンタル・リース市場は活性化していくでしょう。
今現在、蓄電池のレンタル・リースが行える会社をいくつかピックアップしてご紹介します。
ヤマダ電機
ヤマダ電機が提供している「ZEROレジ」は、太陽光発電設備と蓄電池の導入がセット(もしくは太陽光発電のみでも可)で、初期費用0円で導入できるサービスです。
契約期間によって10年または15年の機器保証、工事保証、そして自然災害補償が付帯しており、24時間365日対応のコールセンター(TEPCOホームテック)に無料で電話相談や問合せ、安心して蓄電池の導入や運用が行えます。
利用期間終了後は設備が無償譲渡されるので、レンタル料を支払うことなく、太陽光発電や蓄電池の利用が可能。
新築・リフォームのどちらでも申し込みでき、災害時は非常用電源として活用できます。
参考価格として、新築で太陽光発電システム約5kW・蓄電池容量10kWh使用の場合、15年の契約で月額16,298円(税別)などがあります。
中部電力
中部電力が提供しているのは、蓄電池を始めとした住宅設備の機器を初期費用0円でリースできる「カテエネリース」サービス。
蓄電池のリース期間は10年または15年の2つあり、故意もしくは地震・津波などによる故障や破損以外であれば、中部電力が修理を無償で行います。
リース終了後は設備が無償譲渡され、火災や落雷、洪水などの災害においては無償対応。
プランは太陽光発電+蓄電池、蓄電池のみの2つあり、蓄電池プランでは容量4.9kWhの10年間リース期間で月額15,800円~となっています。
なお、対応地域は以下のとおりです。
- 愛知県
- 岐阜県
- 三重県
- 静岡県(富士川以西)
- 長野県
東京電力グループ
東京電力グループのTEPCOホームテックが提供している「エネカリ」は、省エネ機器を初期費用0円で定額利用できるサービスです。
故障時の修理費がかからず、TEL番号0120-948-356のコールセンターが24時間365日対応します。もちろん、サポート費用もかかりません。
利用期間は10年または15年となっており、利用期間終了後は蓄電池が無償譲渡。
利用料金は利用するメーカー(機種)や年数などによって変わりますが、たとえば容量5kWhの京セラEnerezzaを使用し、利用期間が15年の場合は月額8,900円~となります。
契約期間中の自然災害(落雷・火災・破損・盗難など)を始め、飛行機の墜落や車両の衝突などの偶発的な事故は補償対象です。
伊藤忠グループ
伊藤忠商事が提供する「Smart Star(スマートスター)」は、累計販売台数が5万台を突破し、多くの人に選ばれている蓄電池リースプランです。
初期費用0円、定期点検メンテナンス(設置から1年後、10年後、14年後の3回)はリース料に組み込まれているので、別途準備する必要はありません。
また、イギリスで開発された電気や蓄電池に関する人工知能(AI)が、蓄電池の能力を最大限に引き出し、電気代削減を実現します。
契約期間は15年、月額リース料は1万円台からとなっています。契約終了後は、太陽光発電及び蓄電池は無償譲渡されます。
蓄電池をレンタル・リースするなら購入と比較検討しよう
蓄電池レンタル・リース業者によっては、無償譲渡ではなく、再契約という形で利用期間を延長できるプランもあります。
自分に合った蓄電池の導入方法を知るには、WEBの口コミなどを見たり、複数の業者に見積りを依頼するのが良いでしょう。太陽光発電・蓄電池のサイトでは、簡単な情報を入力するだけで業者をピックアップしてくれるところもあります。見積りは総額と一緒に必ず内訳も確認して、本体価格や工事費用を相場と照らし合わせてみてください。
今回詳しくはご紹介していませんが、中国電力も蓄電池や太陽光発電、V2Hのリースを行っています。お住まいの地域の電力会社などがレンタル・リースを行っているか、この機会に調べてみるのも良いかもしれません。
なお、年単位のレンタルではなく、数日、数週間単位での蓄電池のレンタルやリースを行っている業者もあります。たとえば、キャンプやイベントなどで数日間、蓄電池の充電を利用したいケースもあるでしょう。
アズワンの可搬型蓄電池システムPOWER YIILE3は、特大1台5日間のレンタル料は標準価格で62,500円。
ポータブル蓄電池をお客さまの要望に合わせて最短5日から1日単位でのレンタルが可能となっており、7日間や2ヵ月以上のレンタル、前日までのお届けの受付などはしていますが、1日のみ、3日間といったレンタルできないので注意してください。
また、レンタルにはレンタル料以外に往復の送料が必要。見積依頼やご注文はご利用ガイドに「AXELショップへの登録もしくは弊社販売店へ連絡」となっています。
その他、在庫があれば即日発送可能の業者もあるので、利用目的などに合わせて柔軟な対応が比較的可能な状況が整いつつあります。
コンビニではモバイルバッテリーのレンタルを開始するなどして、通常時だけではなく災害時の備えを考える時代となりました。蓄電池の出荷台数は年々増えており、コンビニ向けの蓄電池の設置や導入を行う業者が増えているのも、今の時代を反映しているといえるでしょう。
今後はより、蓄電池のレンタル・リースが一般的になるのかもしれません。