オール電化は、昼間家にいると電気代が高くなるから困っちゃう!
生活スタイルに合わせて料金プランを変更したり、オール電化と相性の良い太陽光発電との併用で電気代が安くなる可能性があるの。解説を一緒に見てみよう!
オール電化は昼間家にいると電気代が高い
オール電化を導入して光熱費が節約できるはずが、反対に高くなって驚いた経験はないでしょうか。
昨今の電気代高騰の影響を受け、SNSを見ると「オール電化にして電気代が高いからオール電化をやめたい」「オール電化はやめたほうがいい」などの声が溢れており、後悔したり不安に感じている人は多いでしょう。
オール電化にすれば誰でも電気代が安くなる、と思うのは間違いです。
オール電化を導入して失敗しないためには、オール電化の料金プランの仕組みや上手な使い方を知ることが大事です。
また、オール電化で電気代が高額になる原因を分析し、自宅がオール電化に向いているのか不向きなのかを見極めていきましょう。
電気料金プランは夜間がお得
電気料金プランはライフスタイルなどに応じて自由に選ぶことができますが、一般的には以下の2つが普及しています。
- 単身者や一般的な家庭では「従量電灯B(※)」
- 大家族や業務用冷蔵庫などを使用している個人商店などは「従量電灯C(※2)」
(※)(※2)どちらも電力使用量によって電気料金が決定。
一方で、オール電化を契約しているユーザーの多くは、オール電化の料金プランを選択しています。
その理由は、オール電化の料金プランは夜間の電気を割安で使えるから。オール電化住宅に欠かすことのできないエコキュートや蓄熱温水器の給湯を深夜に行えば、電気代を安く抑えられます。
そもそも、夜間の電気料金が安いのはどうしてなのか、疑問に思う人は多いのではないでしょうか。
これは単純な理由で、夜間は使用電気量が減るからです。人が活動的な日中に対し、多くの人が寝ている夜はエネルギーが余ってしまうため、夜間の価格を割引して電化製品を使用してもらえるよう、タイミングをシフトする狙いがあります。
夜間の安い料金プランを活用するなら、夜にお風呂に入ったり、昼間に行っている洗濯機や炊飯器などの家電のタイマー機能を利用して夜間に行ってみましょう。
なお、夜間時間として平均的に設定されるのは23時から翌7時が多いですが、電力会社によって違うので必ず確認してください。
専業主婦や在宅勤務の人には向かない
オール電化の料金プランは夜間の電気を安く使える代わりに、昼間の電気代は割高になります。
電気料金が高くなる可能性があるのは、主に次の3つ。
- 専業主婦で昼間は家にいる
- リモートワークで在宅勤務をしている
- 会社をリタイアしている
つまり夫婦共働きなどで日中は家に人がいないほうが、オール電化の料金プランに向いています。
ただし、オール電化は省エネ効果が高く、在宅時間が長い場合でも工夫によって年間の電気料金を抑える効果が期待できます。
また、ihクッキングの調理はガスに比べて安全性が高く、電気ヒーターは灯油の暖房を運転・稼働させるよりもリスクが低いのも人気の理由。料金だけでオール電化は不要と決めてしまうよりも、一番大切な安全を確保できる点を重視してみるのが良いでしょう。
オール電化の電気料金が昼間安いプランはある?
2016年4月1日からスタートした電力自由化により、新電力会社が参入して様々な料金プランを展開しています。
今までは「電気を使う人が少ない夜間の電気代は安く、人が動く昼間は高い」のが常識でしたが、新電力の中には昼間に安く電気が使える料金プランを設定しているところも出てきました。
なお、昼間の電気料金が安くできる背景として、太陽光発電の設置数の増加があります。太陽光発電は日が出ている日中に電気を作るので昼間の電気が余る状況になり、昼間の電気代を安く提供できるようになったのです。
夜間の電気料金が安くなるオール電化向けのプランでは、キッチンで料理をする時間を気にしたり、タンクのお湯が切れても給湯できないなどストレスに感じる場合は、電気料金プランの切り替えを検討してみましょう。
シン・エナジー:【昼】生活フィットプラン
シン・エナジーは神戸に本社を置く新電力会社で、三井物産やオリックス、JR西日本などが出資しています。
2020年5月27日、業界初となる昼間の電気代が安くなる「【昼】生活フィットプラン」の提供を開始しており、30~60A(「従量電灯B」相当)のユーザーが対象となります。
プラン内の名称 | 時間帯 | 電力量料金 | 大手電力会社との比較 |
---|---|---|---|
デイタイム | 平日9時~18時 | 21.05円/kWh | 安い |
ライフタイム | 平日8時~9時及び18時~22時 休日扱い日の8時~22時 |
26.09円/kWh | 同等 |
ナイトタイム | 毎日22時~翌日8時 | 20.98円/kWh | 安い |
2人暮らし、4人家族、6人家族のように、世帯人数の違いによって電気の使用量や使うタイミングは変わります。
特に世帯人数が多いと、夜間に沸かしたお湯では足りずに昼間に沸かすこともあるでしょう。一般的なオール電化の料金プランでは電気代が高くなってしまいますが、昼間が安いプランであれば沸き増しをしても心配がありません。
お住まいの地域や契約している料金プランなどにより電気料金は変わるため、大手電力会社との比較の部分は目安として参考にしてください。
また、シン・エナジーは、北海道と一部の離島にはサービスの提供を行っていません。
Looopでんき:スマートタイムプラン
Looopでんきは、太陽光発電システムの開発や販売を行う会社として2011年に誕生した株式会社Loooが運営する新電力会社です。
オール電化住宅向けのお得な料金プラン「スマートタイムプラン」を提供しています。
スマートタイムプランの特徴 | 一般的なオール電化向け料金プランの特徴 | 一般的な電気料金プラン(従量電灯)の特徴 |
---|---|---|
基本料金が0円 | 基本料金に使用電力量に応じた料金がプラスされる | 基本料金に使用電力量に応じた料金がプラスされる |
春と秋(※)の昼間の料金設定が安い | 昼間の電気代が割高 | いつ使っても単価は変わらない |
夜間の電気料金が安い | 夜間の電気料金が安い | いつ使っても単価は変わらない |
※春は3~6月、秋は10~11月。
気温が上がる夏場の昼間はエアコンの温度を低く、気温が下がる冬はヒーターの温度を高く設定するなど、冷暖房の設定温度と外気温の差が激しいため消費電力が増える季節ですが、スマートプランでは対象外となるので注意してください。
なお、Looopでんきの各種低圧プランにおける燃料費調整単価の算定方法が変更されたことにより、2022年9月1日より実質的な電気代の値上げとなっています。
また、スマートタイムプランは、現在新規加入の申し込み受付を終了しているので注意してください。
HTBエナジー:ぜんぶでんき
HTBでんきは旅行会社大手のHISが子会社として設立し、2022年に株式会社HBDに株式譲渡された新電力会社になります。
オール電化向けの料金プラン「ぜんぶでんき」を提供しています。
電力量料金の時間帯 | HTBエナジー「ぜんぶでんき」 | 東京電力エナジーパートナー「スマートライフプラン」 |
---|---|---|
6時〜翌午前1時 | 25.28円 | 25.87円 |
1時〜6時 | 17.78円 | 18.37円 |
HTBエナジーの「ぜんぶでんき」はエリアによって加入条件が違うため、必ず確認してください。
また、対応の地域は以下のとおりとなります。
- 東京電力エリア
- 中部電力エリア
- 関西電力エリア
- 中国電力エリア
- 四国電力エリア
- 九州エリア
「ぜんぶでんき」は大手電力会社と比較するとやや割安ではあるものの、ほかの新電力会社のように昼間の料金が安く設定されているわけではありません。
オール電化で昼間家にいるときの選択肢
オール電化の電気料金が高いと、ガスに変更したほうが良いのではと考えてしまいます。
ですが、ガス料金も年々値上がりしていますし、ガスコンロへの買い替えやガス管の設備工事などで費用も必要となるほか、ガス漏れなどの危険もあるので、簡単に決めてしまうのは避けてください。
まずはオール電化で昼間に家にいる場合でも、電気料金を安く抑えられる方法を試してみましょう。
料金プランを変更する
オール電化住宅は、必ずオール電化の料金プランを選ばなければならない訳ではありません。
昼間の電気使用量が多いのであれば、電気使用量に応じて料金が加算する「従量電灯」のプランのほうが電気料金が安くなる可能性があります。
太陽光発電と蓄電池を導入する
オール電化と太陽光発電は相性が良く、同時に導入するケースは多いです。
また、蓄電池を併用すればさらに電気代を抑えられます。
オール電化のみ (太陽光なし) |
オール電化と 太陽光発電を併用 |
オール電化に太陽光発電と 蓄電池を併用 |
---|---|---|
昼間の電気代は割高 | 昼間の電気を太陽光発電によって自家消費できる | 昼間の電気を太陽光発電によって自家消費できる |
夜間の電気代は割安 | 夜間の電気代は割安 | 昼間に蓄えた太陽光発電の電気を夜間に利用することができる |
電気代を気にしながらの生活は、ストレスを感じる人も多いでしょう。
太陽光発電と蓄電池は設置には初期費用がかかるものの、太陽が出ていれば電気を賄うことができますし、余った電気は売電することも可能です。
また、自然災害が多い日本では、停電時の非常用電源の備えもしっかりと考えておきたいところ。オール電化+太陽光発電+蓄電池があれば、水道が止まらない限り災害時でもいつもと変わらない生活を送ることができますし、復旧はガスに比べて高いことが分かっています。
太陽光発電の自家消費や蓄電池についての詳しい内容は、こちらの記事を参考にしてください。
オール電化で昼間家にいるならプラン変更を検討しよう
オール電化にしたものの電気代が高いと感じる場合は、昼間に在宅している人がいて、生活スタイルと料金プランが合っていない可能性が高いです。
昼間に人が家にいることが多いのであれば、料金プランを見直してみましょう。新電力会社が提供している料金プランには、昼間の電気料金を安く設定しているものもありますが、それぞれメリット・デメリットがあるので必ず確認してください。
また、新築やリフォームのタイミングで、オール電化と相性の良い太陽光発電や蓄電池との併用も検討してみましょう。電気代が安くなるだけではなく、災害の発生など万が一の時にも安心です。