災害大国の日本だと、太陽光発電の導入は、危険なのかな?
日本では、地震・台風・豪雨・洪水など、自然災害がたくさんあるわね。
洪水で太陽光発電設備が流されちゃったらどうしたらいいの!
洪水や水害のリスクと対策について、みんなに丁寧にお届けするね♪
洪水によって太陽光発電にもたらされるリスク
引用:日経XTECH
洪水によって、太陽光発電設備にもたらされるリスクには、次の4つがあります。
- 浸水した太陽光発電設備による感電
- 機器の漏電による火災
- 土砂災害によって太陽光発電設備倒壊
- 太陽光パネルから流れ出る有害物質
それぞれのリスクをしっかりと理解して、正しい対処方法を取れるようにしておきましょう。4つのリスクを詳しく見ていきます。
浸水した太陽光発電設備による感電
太陽光発電設備が浸水すると、設備に近づいただけで、感電してしまう危険性があります。太陽光発電協会(JPEA)は、次の4つの設備について、注意喚起を促しています。
引用:川越市
- 太陽光パネル
- 集電箱
- パワーコンディショナー
- 受変電設備
集電箱やパワコンは、水が引いても、中に水が残っている可能性があります。外からは、見えていない可能性があるので、不用意に開けることのないように注意してください。
復旧作業や撤去作業を、どうしても行う必要がある場合は、ゴム手袋・ゴム長靴を着用するなどの感電対策をするようにしましょう。
機器の漏電による火災
各設備の本体だけではなく、接続しているケーブル類にも注意してください。
洪水によって漂流物がケーブルに接触し、ケーブルが破損している可能性も考えられます。ケーブルが破損していると、破損個所から漏電し、火災が発生する可能性があるのです。
さらに、集電箱やパワコンは、水没によって中に湿気がたまることで、火災の原因にもなります。
太陽光発電設備の周辺に、燃え広がってしまうようなものは、置いたままにしないようにしましょう。
土砂災害によって太陽光発電設備倒壊
注意すべき点は、浸水だけではありません。
洪水によって、土や石、砂、木などが流され、太陽光発電設備に大きな被害をもたらす可能性もあります。
流れてくる土砂のスピードは、非常に早く、建物や設備を倒壊させてしまう破壊力を持っているからです。
太陽光パネルから流れ出る有害物質
太陽光パネルには、鉛、セレン、カドミウムなどの有害な物質が使われていることがあります。
洪水被害によって、太陽光パネルが破損した場合、有害物質が流れ出す可能性にも注意してください。
鉛、セレン、カドミウムは、人間の体にどれくらいの影響をもたらすのか。次の表を、ご覧ください。
有害物質 引き起こされる症状 鉛 頭痛、感覚の消失、嘔吐、便秘、貧血、関節の痛みなど セレン 爪の変形、脱毛、下痢、疲労感、焦燥感など カドミウム 悪寒、発熱、腹痛、下痢など 引用:MDSマニュアル
引用:HFNet
引用:Medical Note
状況によっては、体調不良だけではすまない症状もありますね。復旧作業を急ぐあまり、対策をしないまま触れてしまわないようにしましょう。
どれも怖いものばかりじゃない!
大丈夫!ここから、リスクへの対策を紹介するね♪
太陽光発電設備への水害対策
ここまで、洪水による太陽光発電設備のリスクについて、お伝えしてきました。では、リスクを最小限に抑えるためには、どのような対策があるのかを見ていきましょう。
洪水ハザードマップの確認
太陽光発電の導入を検討されている人は、必ず、洪水ハザードマップを確認するようにしましょう。
災害は、人の手によって、発生させないようにするのは不可能です。太陽光発電を導入したい地域が、ハザードマップの該当地域であれば、それだけ洪水のリスクが高いことになります。
検討している地域のハザードマップがどうなっているかは、国土交通省が運営しているハザードマップポータルサイトで確認することができます。
例えば「洪水」のリスクがある地域を調べて見ると、
引用:国土交通省
赤く色がついている地域が、洪水のリスクがある地域です。
さらに、特定の地域をクリックすると「想定最大規模」を見ることができます。今回の例では、最大の浸水規模は、5メートルということになります。
赤くなっている地域だからといって、太陽光発電を導入することができないわけではありません。しかし、導入の検討を進める上での判断材料として、必ず確認しておくようにしましょう。
メーカー保証及び保険加入
無償のメーカー保証
メーカー保証とは、太陽光発電設備に無償でついている保証です。メーカー保証には、次の2種類があります。
- システム保証
- 出力保証
システム保証とは、製造上の不具合が発生した場合や、通常の使い方で故障してしまった場合に、修理や交換の保証をしてくれるものです。
一般的な保証期間は、10年~15年。メーカーによって、保証期間に違いがあります。購入を検討する際は、必ず比較検討するようにしましょう。
出力保証とは、太陽光パネルの発電量(出力値)がメーカーの規定する数値を下回った場合に、修理・交換を保証してくれるものです。
保証期間は、10年〜25年と、システム保証と同じくメーカーによって異なります。保証を受けるには、メーカーが規定する数値を下回ったことを証明しなければなりません。
設置後は、発電量を月々チェックし、控えておくようにしましょう。
自然災害の補償は有償になる
ここまで、無償のメーカー保証について、お伝えしました。無償の保証では、製品上の問題に対してのみ保証範囲となっていますよね?
自然災害は、基本的には保証範囲外となっているメーカーがほとんどです。つまり、自然災害に対する保証をつけるには、有償で保険に加入する必要があるということになります。
自然災害の補償は、メーカーによって、内容が異なっています。想定される災害リスクが、補償内容に含まれているかを、購入前に必ず確認するようにしておきましょう。
水害の被害にあった後に、補償されない!なんてことにならないようにね♪
定期的なメンテナンス
水害対策には、設備の定期的なメンテナンスも大切です。
経済産業省は、台風の時期になる前に太陽光設備の点検を行うように、太陽光発電事業者へ注意喚起を促しています。
経済産業省が発表している点検内容には、次のような項目があります。
- 太陽光発電設備が技術基準を満たしているか
- 架台・基礎が必要な強度を保てているか
- 構造・強度に影響する接合部にゆるみやサビ、破損がないか
引用:経済産業省
台風は、ある程度時期が決まっていますが、豪雨災害は、1ヶ月先も予想できません。洪水は、台風だけでなく、豪雨でも発生します。
台風が発生しやすい時期だけではなく、いつ災害が発生してもいいように、定期的な点検を行うようにしましょう。
リスクを抑える方法がこんなにあるなら、少し安心したわ♪
洪水・水害が起きたときにとるべき行動
次に、洪水・水害が実際に発生してしまったときに、とるべき対処法をお伝えします。
浸水した太陽光発電設備には近づかない
浸水した太陽光発電は、触れたり近づいたりするだけで感電する可能性があります。水が引いたとしても、むやみに近づかないようにしましょう。
近隣住民が近寄らないように周囲にロープを張る
周辺に住んでいる人が、水没した太陽光発電設備に近づかないように、周囲にロープを張りましょう。ロープを張る時は、自分も設備に近づかないように、少し広い範囲に張るようにしてください。
復旧作業はゴム製手袋・ゴム製長靴を着用する
復旧作業などで、どうしても設備に触れなければならない場合は、ゴム手袋・ゴム長靴を着用しましょう。素手で触れると、感電するおそれがあります。
復旧作業は、なるべく施工業者へ依頼しましょう。
販売店・施工業者へ連絡する
水害が発生した場合、50kW未満の太陽光発電設備は、販売店・施工業者へ連絡し、対処してもらうようにしましょう。
復旧作業や撤去作業を、自分で行うのは、感電のリスクが伴い大変危険です。必ず専門的な知識をもった業者に依頼するようにしてください。
洪水の被害にあったら、太陽光発電にはむやみに近づかないようにしなきゃ!
水害にあった太陽光発電設備の処分方法
壊れてしまった太陽光発電設備は、どのように処分すればいいのでしょうか?
太陽光パネルは産業廃棄物に該当
太陽光発電設備の中で、太陽光パネルは、産業廃棄物に該当します。その他の架台やパワーコンディショナー、接続箱などは、粗大ごみという扱いです。
太陽光パネルは、猛毒となる鉛やセレン、カドミウムなどの有害物質を含んでいるため、適切な処理を行う必要があるからです。
撤去作業は専門業者へ依頼
早く撤去したいからといって、破損した太陽光パネルを自分で撤去するのは、大変危険です。
太陽光パネルの有害物質や、感電する危険性、高所作業など、素人では難しい作業を必要とするからです。
必ず、専門業者へ依頼して、撤去してもらいましょう。
撤去作業にかかる費用は?
太陽光パネルの撤去にかかる費用は、住宅用太陽光発電では、15万〜20万円が相場とされています。費用は、次の3つで構成されています。
- 撤去費
- 運搬費
- 処分費
この中では、撤去費の占める割合が最も高く、10万~15万円が相場です。
運搬費は、距離により変動します。処分費とは、
太陽光パネルを、産業廃棄物として処分するのにかかる費用のことです。
太陽光パネルの処分費は、1枚あたり5,000円前後が相場になります。
太陽光パネルの処分は、手間がかかるのね。
災害大国日本で太陽光発電はリスクがある?
メガソーラーのパネルが台風で飛ばされた事故事例
引用:JAPAN UPDATE
日本は、災害大国と呼ばれるほど、自然災害が多い国です。地震や水害、火山など、災害もさまざまあります。
災害の多い日本では、太陽光発電を自宅に導入するのは、リスクが高いのでしょうか?
どんな地域でも、自然災害のリスクは、ゼロにはなりません。それでも日本では、太陽光発電の導入件数は、年々増えています。
つまり、災害のリスクと太陽光発電導入のメリットを比較して、メリットの方が多いと考える事業者が多いということです。
太陽光発電のメリットは、災害時の緊急電源にもなることです。地震などの災害時には、自立運転モードにより自宅の家電製品を動かすこともできます。
太陽光発電を導入する上で、災害のリスクを考える必要があります。リスクと、導入するメリットを比較して、どちらを取るべきかを検討しましょう。
太陽光発電を導入する前に、十分にリサーチしてね!
太陽光設備が原因で土砂崩れが起きる?
太陽光発電設備を設置すると、土砂崩れが発生するのか。結論から言うと、まだ因果関係は、解明されていません。
住宅用の太陽光発電では、自宅に設置するだけなので、土砂崩れとは関係ありません。
問題視されているのはメガソーラーです。なぜメガソーラーが土砂崩れの原因と言われるのでしょうか?懸念される理由は、次の2つです。
- 森林を切り開くことで保水機能が失われてしまう
- 太陽光パネルによって雨水の流れ方が変わってしまう
実際に、メガソーラー施設付近で、土砂災害が発生した事例も複数あります。
経済産業省は、次のような省令を出しました。
支持物を土地に自立して施設する場合には、施設による土砂流出又は地盤の崩壊を防止する措置を講じなければならない。
引用:経済産業省
環境を良くしようとするための太陽光発電が、環境を壊してしまっては、元も子もありません。今後は、周囲への影響に配慮しつつ、太陽光発電の普及が期待されます。
太陽光発電の洪水被害と対策 まとめ
ここまで、太陽光発電の洪水被害と対策について、お伝えしてきました。
自然災害は、いつどこで発生するかわかりません。しかし、ハザードマップの確認や保険への加入など、少しでもリスクを抑える対策は、事前に行うことができます。
太陽光発電の導入を検討されている方は、太陽光発電のメリットと、リスクをしっかり比較検討して、導入するようにしましょう。
最後に、このページのおさらいをするね♪
洪水によって太陽光発電にもたらされるリスク
- 浸水した太陽光発電設備によって感電する可能性がある
- 機器の漏電によって火災が発生する可能性がある
- 土砂災害によって太陽光発電設備が倒壊する可能性がある
- 太陽光パネルから有害物質が流れ出る可能性がある
太陽光発電設備への水害対策
- 洪水ハザードマップを事前に確認しておく
- メーカーの保険に有償で加入しておく
- 設備を定期的にメンテナンスしておく