長期間運用が前提の太陽光発電は、寿命や破損などで太陽光パネルを新品に交換したり、屋根のリフォームのために一旦取り外す可能性が十分にあります。
太陽光パネル取り外し後の再設置費用はどのくらいかかるのか、気になっている人は多いでしょう。
こうした質問は事前に解決できれば、導入への不安や後悔を減らせます。
本記事では、太陽光パネル取り外し後の再設置費用や注意点などを解説します。
太陽光パネル取り外し後の再設置費用はいくら?
FIT制度(固定価格買取制度)が開始された2012年に、制度を活用して太陽光発電を設置した人の中には、10年間の適用(住宅用太陽光発電の場合)を終えるケースが出てきています。
FIT終了に伴い、太陽光発電設備を撤去する人がいる一方で、近年の電力不足や電気代高騰を受け、引き続き利用して自家発電による電気代抑制につなげたいと思う人も多いでしょう。
今後も安全に太陽光発電を運用するにあたり、10年の節目を迎えたパネルの付け替えを検討する場合、太陽光パネルの交換費用はどのくらいなのでしょうか。
パネル1枚あたりの再設置費用は2~3万円
取り外す太陽光パネルの枚数やサイズなどによって前後しますが、太陽光パネルの1枚あたりの再設置の相場は2~3万円です。
住宅用太陽光発電システムの平均積載量は4.5kW。
4.5kWの太陽光パネルを屋根に載せる場合、平均的な枚数は20枚程度になります。
単純計算になりますが、仮に20枚を取り外し後に再設置するのであれば、それだけで40~60万円の費用がかかることになります。
人件費や諸経費が追加される
太陽光パネルの取り外しや再設置は専門業者に依頼するため、人件費や下ろした太陽電池モジュールの管理、運搬などの諸経費としてかかります。
こうした人件費と諸経費の相場は、1日あたり2~4万円。
工事日数が5日間の場合なら、10~20万円が必要となります。
屋根の形状によっては追加費用が加算される可能性も
太陽光パネルを設置する場合、切妻屋根や片流れ屋根など、屋根の面積が広い形状が適していますが、複雑な形状の屋根に太陽光パネルを設置できないわけではありません。
そのため、発電量などのシミュレーションを踏まえ、複雑な形状の屋根に設置しているケースもあるでしょう。
しかし、屋根の形状によっては配線が入り組んでいたり、多くの足場が必要となるなど、費用が追加で必要となる可能性があります。
屋根業者選びをしっかり行うとお得に脱着できる
屋根葺き替えのためにパネルの脱着する場合、リフォーム業者によっては「パネル脱着の作業は設置した施工業者に依頼してください」といわれることがあります。
このケースでは、太陽光パネルの取り外しと再設置をA業者に依頼し、屋根のリフォームはB業者に依頼しなくてはならず、手間が増えて面倒と感じる人も多いでしょう。
こうした手間を減らすには、太陽光パネルの初期設置の時点で将来を見据え、パネルの脱着や屋根のリフォームを取り扱っている業者を選ぶのがおすすめです。
また、太陽光パネルの取り外し後の再設置工事を業者に依頼するときは、複数の業者から見積もりをとり、条件の良いところを選ぶようにするとコストを抑えられます。
複数の業者にそれぞれ見積もりを依頼するのが面倒な場合は、登録無料で施工会社が見つけられるソーラーパートナーズを利用すると良いでしょう。
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太陽光パネルの取り外し後に再設置する注意点
太陽光パネルの取り外し後の再設置では、費用面以外にも注意しましょう。
「安いから」と気軽な気持ちで業者を選んでしまうと、後々損をしてしまうかもしれません。
例えば太陽光パネルやパワーコンディショナー、ケーブルなどは家庭用であっても産業廃棄物の取り扱いのため、適切な処理が必要になります。
適当な業者に委託してしまうと、依頼主にも責任が及ぶ可能性があります。
以下の3つの注意点を読み、業者選びのときに役立ててください。
メーカーによる保証が切れる
太陽光パネルには10~20年のメーカー保証が付いていますが、保証期間内にパネルの脱着を行うと保証が切れてしまいます。
これは、パネルの取り外しや再設置を業者が丁寧に行ったかどうかは関係ありません。
メーカーはパネルの脱着により、パネル自体や配線が傷むリスクが高いと考えるからです。
そのため、期間内のパネル脱着は保証されないと認識しておく必要があるでしょう。
例えば太陽光パネルの設置や取り外しに慣れていない業者だと、パネルに足を乗せて割ってしまったり、高圧洗浄で故障させてしまう可能性がありますが、保証が切れているので修理や交換は実費です。
太陽光パネルの保証期間内に屋根のリフォームが必要となった場合は、リフォームの時期を遅らせられないか業者と相談するか、保証が切れる前に点検やメンテナンスを行うなど対策を考えましょう。
執拗なリフォーム営業がかけられる
太陽パネルを設置している場合、屋根のリフォームが必要な時期になってくると、とりあえずパネルを設置した業者にどうすれば良いのか連絡するのではないでしょうか。
しかし、太陽パネルの設置のみを行っている業者に相談する場合は注意をしてください。
パネルの設置専門業者は、屋根のリフォームは取り扱っていません。
当然ながら、実際に工事をするのは設置業者が別途依頼するリフォーム業者になりますが、その際発生する仲介料を得るために、積極的に電話や訪問でリフォームの契約迫ってくるケースもあります。
そのため、リフォーム企業に別途依頼するよりも、工事費用が高額になる可能性があります。
- 「メンテナンス保証があるので、うちに任せてください」
- 「当社の太陽光パネルなので、工事もうちに依頼したほうが安心ですよ」
などと提案されると、よく分からないままリフォームの契約を結んでしまうことになりかねません。
訪問業者も業務の一環で行っていることですが、メンテナンスや保証という言葉に惑わされず、屋根業者から別途見積りをとるなどして、費用の比較を行いましょう。
自力で屋根の状態を確認するのは厳禁
太陽光パネルの劣化状況を直接確認するために登ろうと考えている方はいるかもしれませんが、そのような対応は非常に危険です。
一般の方が屋根に登るのは危険であり、滑って屋根から地面へ落ちて大怪我をしてしまったり、太陽光パネルを踏んで割ってしまったりなどの問題が生じる恐れがあります。
一般の方が点検するよりも、専門的な知識と経験をもつプロが見たほうが本当に塗装したほうがよいのか正しく調査してもらえます。
太陽光発電撤去費用はどのくらいかかる?
太陽光パネルの性能は日々進化をしており、日本で導入が伸び始めた2009年はシリコン型で約19%の変換率だったのが、2020年は26%を記録し、近年は32%を超えるものが開発されています。
そのため、古いパネルから新しいパネルへの載せ替えを検討する人が増えていますが、パネル1枚の廃棄にかかる金額は5,000円前後が相場。
10枚なら50,000円、20枚なら100,000円がパネル撤去だけでかかります。
太陽光パネルの処分費用以外にも費用がかかる
太陽光パネルそのものの処分費用以外にも、人件費や足場代などが必要となるため、総額はもっと高くなります。
詳しくは太陽光パネルの処分費用の記事でご紹介しているので、併せてお読みください。
リサイクルで買い取ってもらうという選択肢もある
太陽光パネルをリサイクルしている業者に依頼する方法もあります。
買取価格次第では費用を抑えられる可能性があるので、一度価格を提示してもらって検討するのも良いでしょう。
詳しくは太陽光パネルのリサイクル費用の記事にてご紹介していますので、こちらも併せてお読みください。
太陽光パネル脱着の流れ
屋根の耐久性を高めるためには、太陽パネルを外して塗装するだけではなく、既存の屋根の上に新しい軽い屋根を載せるカバー工法もおすすめです。
ここでは、一般的に広く普及しているコロニアル屋根(スレート屋根)から、アイジー工業のスーパーガルテクトにカバー工法を行う場合の例をご紹介します。
土台のラックと金具を処分する
屋根から太陽パネルと架台のラック、金具を取り外します。
コロニアル屋根からスーパーガルテクトに変わるため、ラックと金具は再利用せずに処分します。
カバー工事
屋根の棟板金と雪止めの解体後、防水シートを張って、ケラバと唐草を取り付けます。
本体を葺き、棟と壁際に貫板を設置。
棟板金、換気棟などを加工して取り付けます。
新規パーツの取り付け
スーパーガルテクトへの金物の取り付けは、屋根に穴を空ける従来の方法ではなく、本体を掴み込む形で太陽パネルを固定するため、雨漏りなどのリスクが減ります。
太陽光パネルの取り付け
取り外したソーラーパネルを再度取り付けて完成です。
太陽光パネル取り外し後の再設置費用は予想以上に高額
太陽光パネル取り外し後の再設置費用は、簡単に見積もっても20~40万円程度はかかります。
太陽光パネルの老朽化などの理由で取り外しや撤去を行う場合が多いですが、思いもかけずに自宅を引っ越しすることになり、太陽光パネルの取り外しや再設置が必要となるケースもあるでしょう。
また、2023年現在、東京都は2025年4月以降に建築される新築建物(延床面積2,000㎡未満)に太陽光パネルの設置を必須とし、義務化するとしています。
各自治体も東京都に付随する形で、補助金を出すなどして太陽光パネルの普及を推進しています。
このような状況から、今後は太陽光パネルの取り外しや再設置費用に悩む人が増えるでしょう。
その際は、本記事を解決の糸口として参考にしていただければ幸いです。
一方で、太陽光パネルの設置に関して、近隣住民からの同意が認定基準になるなど、独自で条例や規約を設けているところもあります。
太陽光発電システムの導入は、太陽光パネルの撤去費用などを含め、総合的に判断するのが良いでしょう。