太陽光発電のFIT終了後の運用を悩む人は多いよね!
10年間~20年間はFITによって買取価格が保障されているけど、問題はその先だもんね!
具体的には、どんな選択肢があるのかな?
太陽光発電の10年/20年後の運用はどうするのが良いか、お届けするね!
太陽光発電10年後/20年後の運用どうする?
太陽光発電投資が、人気を集めている理由の1つに、固定価格買取制度(FIT)があります。
FITには、電力の買取価格が一定期間保障されるという特徴があり、初期費用の回収を助ける側面を持っています。
電力の買取価格が保証される期間は「住宅用」なのか「産業用」なのかによって異なります。
- 住宅用の太陽光発電(設備規模が10kW未満)
⇒ 10年間買取価格が保証される - 産業用の太陽光発電(設備規模が10kW以上)
⇒20年間買取価格が保証される
多くの投資家が、10年~20年で導入コストを回収できるよう返済プランを組みますが、問題はその先です。
果たして、FIT終了後は、どのように太陽光発電を運用していけばいいのでしょうか?
選択肢は、3つあります。
- 売電を継続する
- 自家消費に切り替える
- 太陽光発電事業から撤退する
それぞれ、解説していきます。
売電を継続するという選択肢
FIT終了後の運用法として、最もオススメなのが、売電を継続することです。
なぜなら、太陽光発電投資を始めた方の多くは、売電によって、長期的な収入を得ることが目的だからです。
実は、FITが適用される20年間で得た売電収入のほとんどは、ローンの返済やメンテナンス費用に充てられ、手元に残る利益は、決して多くはありません。
つまり、返済を終えてからが、本格的な稼ぎ時と言えます。
太陽光発電設備の寿命は、一般的に25年~30年なので、単純計算すると、あと5年~10年は、売電による収入が見込めます。
返済を終えてからが本番だよね♬
売電収入がまるまる懐に入るんだもんね♬
ところが、ここで問題が1つ発生します。
詳しく見ていきましょう。
そもそも10年/20年後も売電を継続できるのか
各電力会社は、FITによって20年間は電力を買い取る義務が発生します。
では、20年という縛りから解放された後、電力会社は買い取りを続けてくれるのでしょうか。
これは、予測が非常に難しいです。
2009年11月1日に「余剰電力買取制度」が始まりました。※2012年に「固定価格買取制度(FIT)」に移行
ここから20年の適用期間を経ると、2029年に最初の卒FIT者が出現します。
つまり、前例がないのです。
まだ誰も経験してないから情報が少ないんだよね!
せっかく返済が終わったのに、売電できなかったら意味がないよね!
2019年6月12日に「太陽光発電の買取制終了」というニュースが報じられました。
これには驚かれた人も多いと思います。
引用:ひだかや株式会社
もう電力を買い取ってもらえないってことなの?
報道内容を簡潔にお伝えすると、電力の買取を終了するという訳ではなく、250kW以上の大規模な発電システムに関しては、買取価格を入札制度にするということです。
10kW~250kW未満の発電システムには、FIT適用期間内であれば、従来どおり固定価格が適用されます。
現在の買取価格は、以下のとおりです。
年度 250kW以上(入札制度適用区分 50kW以上250kW未満 10kW以上50kW未満 2022年度 入札制度によって決定(一定規模以上) 10円(50kW以上入札対象未満 11円 2021年度 入札制度によって決定(第8回11円、第9回10.75円、第10回10.5円、第11回10.25円) 11円 12円 2020年度 入札制度によって決定(第6回12円、第7回11.5円) 12円 13円
よかった!ちゃんと買い取ってもらってるね!
固定出費(メンテナンス費用、賃貸料、固定資産税など)は、今後も発生してきますが、それらを差し引いても、利益を得ることは十分に可能です。
FIT終了後も、このシステムが維持されるのかな?
多くの専門家たちは、FIT終了後も電力の買い取りは継続されるという見解を示しています。
その大きな理由の1つに、再生可能エネルギーの普及率を上げるという、日本の方針があります。
日本の再生可能エネルギーに対する見解
そもそも再生可能エネルギーとは、何なのでしょうか?
経済産業省は、以下のように紹介しています。
太陽光・風力・地熱・中小力・バイオマスといった再生可能エネルギーは、温室効果ガスを排出せず、国内でも生産できることから、エネルギー安全保障にも寄与できる有望かつ多様で、重要な低酸素エネルギー源です。
つまり環境に優しい、とってもエコなエネルギーなんだよ。
地球温暖化の影響もあり、世界中で再生可能エネルギーが注目されていますが、日本の再生可能エネルギーの比率は、約14.9%程度です。
引用:産経ニュース
日本は、ドイツやイギリスといった諸外国と比べると低い水準にあります。
これを受け、日本は2030年度には、エネルギー比率を22~23%に引き上げることを目指しています。
しかし、先に述べた再生可能エネルギーは、どれも天候に大きな影響を受け、火力発電と比較すると、安定した電力を生み出せるという保障がありません。
火力発電は安定した電力を生み出せるけど、CO₂の排出量が問題なんだよね!
加えて、太陽光や風力の設備投資には、膨大な費用と時間が掛かりますので、日本はなかなか、再生エネルギーの比率を上げることができません。
そこで重要となってくるのが「住居用」や「産業用」の太陽光発電の普及です。
一般家庭が積極的に太陽光発電を導入してくれれば、設置者は、売電による収入を得ることができ、国としては、建設費用を投じることなく、電力を入手することができます。
引用:南瓦工房
産業用にしても、個人投資家が設備費用を負担してくれるので、国は電力を買い取るだけの費用で済みます。
こういった相互関係から、FIT終了後も、電力の買い取りが継続されるというのが、専門家の見解です。
お互いにメリットのある話だよね♬
みんなで協力して地球を守っていくって感じだね!
FIT終了後の売電継続の可能性は電力会社に委ねられる
FIT終了後も、売電が継続できる可能性は大きいとはいえ、その決断は、各電力会社に委ねられています。
ですが、全ての電力会社が買い取りを拒否するような事態は、まず起こらないでしょう。
大手を含め、電気事業に乗り出している企業は、数多く存在します。
契約中の電力会社が、売電契約を拒否した場合でも、新たな電力会社と契約を結ぶことで、売電を継続することができるのです。
電力会社ごとに買取価格は違ってくるからね!
どうせなら、一番高い会社に売ったほうが得だから、必ず複数の電力会社でシュミレーションをしてね!
新電力という選択肢
売電を継続する際は、新たに「新電力」という選択が増えました。
既に名前は知っていても、具体的にどのような仕組みか把握している方は少ないと思います。
ここからは、新電力について、みんなが気になる特徴や仕組みを解説していくよ!
簡潔に述べますと、新電力とは、これまで電気事業に携わっていなかった異なる業種の企業が、新規参入者として、電気事業に乗り出すことを言います。
旅行会社やアパレル会社など、電力とは全く関係のなかった会社が参入するイメージです。
引用:enepi
これまで、電気が家庭に届くまでには、以下のプロセスを辿っていました。
- 発電
- 送電
- 小売
新電力の場合、最後の小売から参入します。
引用:南瓦工房
自社で発電するところもありますが、多くの企業が、電力を市場や、発電会社から買い、大手電力会社の送配電網を借りて、家庭に送電しています。
格安の携帯電話会社でも、同じ仕組みを使っているよね!
2016年4月の「電力の小売全面自由化」に伴い、各企業は、それぞれの強みを生かした販売戦略を展開しています。
これまで、大手があまりやってこなかった、セット販売とか、ほにゃらら割りとかね!
参入企業は続々と増え、2020年には、644件にまで上りました。
年度 | 件数 |
---|---|
2020年(4月) | 644件 |
2019年(4月) | 595件 |
2018年(4月) | 478件 |
2017年(4月) | 394件 |
2016年(4月) | 291件 |
新規参入者にとって、最優先事項は顧客の確保です。
そのため、電気を売るだけでなく、買い取るにしても、大手電力会社より買取価格を高めに設定している企業が多く、お得なプランを打ち出しているところもあります。
今後も、新電力は増加していくことが予想され、それに伴い、個人投資家には、豊富な選択肢が生まれるのです。
買取価格だけでなく、オプション関連も忘れずにチェックしてね!
自家消費に切り替えるという選択肢
20年後の運用法2つ目は、自家消費に切り替えるです。
自家消費といえば、家庭での電力消費を思い浮かべますが、企業でも行えます。
例えば、小売業を営む企業が、郊外の土地に、自社工場を持っていたとします。
もし、その企業が太陽光発電設備を持っていたら、発電した電力を工場で消費することにより、月々の電気代を大きく抑えることができます。
売電収入を得ることはできませんが、出費を抑えることで、間違いなく経営の助けになるでしょう。
この例はあくまで企業を前提としているから、個人投資家には向かないかもね!
自宅の側に発電所があれば、電線を使って、家庭に電力を送ることは可能だからね!
太陽光発電事業から撤退するという選択肢
最後の3つ目の選択肢は、太陽光発電事業から撤退するです。
最初から20年というスパンでの運営を考えていた場合は、当然の選択肢となりますが、30年など長いスパンを検討してた方は、悔しい思いをするでしょう。
ですが、事前に撤退の可能性を考慮しておけば、いざその時になって、どうすれば良いか分からず、慌てることもなくなります。
一言で撤退と言っても、発生する費用にどんなものがあるのか、また、少しでもお金を残すにはどうすれば良いか、重要事項を解説していきます。
設備の撤去には費用が発生する
設備を撤去するには、費用が発生する場合があります。
これは、どのような形で土地契約をしているかで変わってきます。
一般的に、土地契約には「賃貸」と「売買」の2種類があります。
- 賃貸 → 地主から土地を借りる
- 売買 → 土地を購入する
賃貸の場合、月々の賃貸料に、撤去費用が含まれているケースもありますが、売買の場合は、全て自己負担で用意する必要があります。
設備の規模にもよるので一概には言えませんが、撤去費用が発生する大まかな機器は、以下のとおりです。
- モジュール(太陽光パネル)
- 架台
- ケーブル
- パワーコンディショナー
- 集電盤モニター
- その他
ここから更に、「産業用廃棄物」と「一般廃棄物」に仕分けをしていきます。
設備の撤去には、時間と労力が必要だね
おまけにお金も必要だから三重苦だよ!
確かに、設備撤去には費用が発生しますが、そこまで心配をする必要はありません。
国は、FIT終了後に、撤去費用が支払えず、太陽光発電設備が不法投棄されることを懸念し、事前に月々の売電収入から、撤去費用を源泉徴収のように積み立てする「廃棄等費用積立制度」を、2022年7月から施行しています。
これにより、太陽光発電事業から撤退する際、申請をすることで、徴取されていたお金を返してもらうことができるのです。
自分が積み立てたお金なんだから、忘れずに申請してね!
太陽光発電設備を売却する
太陽光発電設備は、自分の資産なので売却することもできます。
「廃棄等費用積立制度」によって、撤去費用の心配がいらないとはいえ、せっかくローンを組んで購入した資産ですから、できればお金に変えたいですよね?
太陽光発電設備の中古販売市場は、意外にも需要があります。
買い手からすると、以下のようなメリットがあります。
- 初期投資費用を抑えられる
- 過去のデータから、稼働実績を知ることができる
- 既に稼働済みなので、すぐに売電収入を得ることができる
- 過去の高いFIT価格が適用される
もちろん、発電システムが劣化しているなどのデメリットもありますが、全て新品で揃えるより、各段に経費を節約できます。
面倒な電力会社との連携手続きが終わっているのは、魅力的だよね♬
市場全体から見て、まだまだ太陽光発電の中古物件は少ないから、売るなら早いほうが得するかもね!
不要になった機器を買い取ってもらう
太陽光発電設備全体を売却するのが難しければ、個別にパーツごとに販売するのも1つの方法です。
まず、太陽光パネルは、中古品として業者に買い取ってもらうことができます。
金額は、メーカーやパネルの劣化度によって異なりますが、枚数が多ければ、それなりにまとまった金額になるでしょう。
その他、盗難被害に遭いやすいケーブル類、パワーコンディショナーも、劣化度によりますが、買い取りは可能です。
業者によっては、こんなものまで、と思うような機器も買い取りしてくれる場合があるので、ダメ元で査定を依頼してみましょう。
査定は無料なんだから、頼んだもん勝ちだよ!
少しでもお金が残れば嬉しいよね!
土地を処分する
賃貸の場合は、契約を更新しなければいいだけなので、何も問題はありません。
問題なのは、土地を売買で購入した場合です。
所有の土地には、毎年、固定資産税が発生します。
太陽光発電事業から撤退し、設備を撤去しても、土地を手放さなければ意味がありません。何の用途もない土地に、税金だけを延々と払い続けるハメになります。
土地を処分する方法は、以下の2つです。
- 賃貸として貸し出す
- 売却する
処分という表現とは少し違いますが、新たに太陽光発電事業に参入する投資家に、月々の賃貸料を徴取する形で、土地を貸し出す方法があります。
これなら土地を資産として残しつつ、安定した賃料を得ることができます。
アパートの大家さんみたいに、賃貸経営を始める感じだね♬
最後は、土地を売却する方法ですが、これが意外にも難しいのです。
というのも、太陽光発電事業を始めるにあたり、最初に探すのは広い土地です。
たくさんの太陽光パネルを設置するので、広さを重視するのは当然ですが、問題は場所です。
大規模な太陽光発電設備を設置できるような土地は、郊外や山奥になってしまいます。
あまりに辺境の地だと、売りたくても買い手がつかない可能性があるのです。
やっと買い手が見つかったとしても、足元を見られ、二束三文で買い叩かれるなんてケースもあります。
太陽光発電投資は、始める前から終わりのことまで考える必要があるね!
みんなが幸せになれるように、失敗しない投資法を勉強しておこうね!
太陽光発電の10年後/20年後の運用まとめ
ここまで、太陽光発電20年後の運用法を解説していきました。
まとめると、以下のようになります。
- 売電を継続する
- 自家消費に切り替える
- 太陽光発電事業から撤退する
どれも、選択肢としてはアリですが、理想は、売電契約を継続することだと思います。
今後、再生可能エネルギーの更なる普及や、新電力勢の拡大によって、個人投資家たちの未来が決まっていくでしょう。