太陽光発電って、仕組みが難しそうでよく分からない。
太陽光発電の概要や仕組み、メリット・デメリットを子供向けに分かりやすく解説するね!
太陽光発電の仕組みを子供向けに解説
エネルギーの枯渇が問題視されている昨今、地球にも優しい再生可能エネルギーとして注目されている太陽光発電ですが、そもそも「太陽の光でどうやって発電してるの?」と疑問に感じている人も多いことでしょう。
また、仕組みだけではなく、太陽光発電の発電量や作ったエネルギーをどのようにして電気に変換しているのかなど知られていないことは数多く存在します。
専門用語を極力使わずに子供でも分かるように解説していくので、ぜひこれを機に太陽光発電への理解を深めていきましょう。
再生可能エネルギーって何?
近年、再生可能エネルギーという言葉をよく耳にしますが、一体どのようなエネルギーのことを指すのでしょうか。
一言でいうと、太陽光をはじめ風力や地熱といった地球に常に存在するエネルギーを活用する方法のことです。その特徴は、どこにでも存在するもので、枯渇することなくCO2を排出しないことが挙げられます。
例えば身近なエネルギーとして車を動かす燃料であるガソリンがありますが、こちらは油田から算出された原油を精製して作っており、油田が枯渇してしまえば作ることができないエネルギーです。
一方、太陽や風によるエネルギーは枯渇することなく、どこにでも存在するものであり、何度も利用することができるため、環境にやさしいエネルギーであるといえるでしょう。
太陽光発電とは
太陽光発電とは、その名のとおり太陽の光を利用して発電する方法のことです。
ソーラーパネルは一般家庭に取り付けられていることもあり目にする機会が多いですが、ソーラーパネルは、実は太陽電池という太陽光エネルギーを電力に変換するための発電機がたくさん集まったものなのです。
このソーラーパネルに太陽光を集めることで電子が発生し、導線を伝わって移動することで電力が発生するという仕組みになっています。
太陽光発電研究の始まり
近年、再生可能エネルギーという言葉を耳にする機会が増えたことや、ソーラーパネルをはじめとする技術力が必要であることから、太陽光発電は現代的なエネルギーだと思われがちですが、実は太陽光発電の研究自体は約180年前から行われています。
1839年にフランスの学者が金属に光が当たることで電気が発生することを発見したことを皮切りに、1883年にはアメリカの発明家が太陽電池のもととなるものを発明しました。
日本でも1955年に太陽電池が発明され、1958年には太陽光発電システムが実用化されているため、その研究の歴史はとても長いものです。
もちろん現代においても研究は続いており、日々技術が進歩しています。
どうやって太陽光から電気を作るの?
太陽光発電で使われているソーラーパネルは、太陽光エネルギーを電気に変換する太陽電池の集合体です。
太陽電池は「n型半導体」と「p型半導体」という2種類の半導体を貼り合わせて作られており、それぞれの半導体が電気が流れる導線で結ばれています。
半導体という言葉から難しく感じてしまいますが、太陽光で集められたエネルギーはn型半導体(マイナス)、p型半導体(プラス)に電子が集まります。
n型半導体に集まった電子は導線と流れてp型半導体に移動し電気を発生させるという仕組みですが、難しく感じた人は乾電池にプラスとマイナスがあることを思い出し、そこに電子が流れていることをイメージすると理解しやすいでしょう。
どんな場所で発電しているの?
太陽光をエネルギーに変換する太陽光発電は、主に日射量の多い地域で建設されています。
大規模なメガソーラー発電所となると、広大な土地や標高が高い場所などに建設され、送電するための送電線も設置されます。
また、一般家庭においても屋根に取り付けられているほか、オフィス街のビルにも取り付けられているなど、太陽光発電はさまざまな場所に設置されているのです。
どれくらい発電できるの?
一般家庭でも取り付けられており、電気代の節約が期待できる太陽光発電ですが、気になるのはその発電量です。
一般家庭の太陽光発電で使われるソーラーパネルの多くは、システム容量が約3〜5kWであることから1日の発電量は約8.2〜13.7kWhが目安となります。
もちろんこの発電量は使用しているソーラーパネルの性能にも依存するほか、日射量をはじめ天候にも大きく影響を受けるため、あくまでも目安として参考にするようにしましょう。
発電した電気をどうやって使うの?
半導体の仕組みを利用して作られた電気(DC電力)は、パワーコンディショナーと呼ばれる機器を通じて安定して使えるように変換(AC電力)されます。
家庭用のコンセントからはACの電気が流れているため、半導体で作られた電力を変換すれば自宅で使うことはもちろん、余った電力を売る「売電」することも可能です。
外出で自宅にいる時間が少なく、電力をあまり消費していなかった際にも作られたエネルギーを無駄にすることがなく済むのは魅力的であるといえるでしょう。
太陽光発電システムを構成する機器
太陽光発電と聞くと、太陽光のエネルギーを収集するためのソーラーパネルを思い浮かべますが、実はそのほかにも多くの機器によって構成されています。
ここでは、太陽光発電システムを構成している機器について紹介していきます。
太陽光パネル(太陽電池・モジュール・ソーラーパネル)
太陽光パネル(ソーラーパネル)は、太陽光発電の要ともいえる機器で太陽光から電気を作り出す重要な役割を担っています。
太陽光パネルは、太陽電池と呼ばれる太陽光エネルギーを電気に変換させる発電機の集合体で、最小単位をセル、複数集めたものをモジュール(ソーラーパネル)といいます。
構成は「n型半導体」と「p型半導体」という2種類の半導体を貼り合わせて作られており、半導体の仕組みを利用して発電しているのです。
パワーコンディショナー(パワコン)
パワーコンディショナーはパワコンとも呼ばれる機器で、発電した電気を安定して使用できるように変換させる役割を担っています。
具体的には、太陽光パネルによって発電された電力は直流(DC)でそのまま使うことができないため、パワーコンディショナーを通じて交流(AC)に変換しているのです。
「ACアダプター」「ACコンセント」という名称のとおり、家庭内で使用しているコンセントからはAC電力が供給されているため、パワーコンディショナーによって一般使用ができるようになっています。
接続箱
太陽光エネルギーを電力に変換する太陽光パネル、太陽光パネルによって作られた電力を安定使用できるように変換するパワーコンディショナーを紹介してきましたが、接続箱とは太陽光パネルで作られた電力をパワーコンディショナーに送るための機器のことです。
太陽光パネルで作られた電力はあくまでパワーコンディショナーを通じて変換されるため、接続箱を通過する際には直流(DC電力)ですが、パワーコンディショナーと一体型の接続箱があることにも注目です。
分電盤
太陽光発電によって作られた電力は勝手に家庭環境で使えるわけではなく、各部屋や階層に振り分けてから使用されます。
その振り分けを行っているのが、分電盤という機器です。
名称だけ聞いてもピンと来ない人が多いかと思いますが、どの家庭にもある電力ブレイカーをイメージすると分かりやすいでしょう。
電力消費をし過ぎた際「ブレイカーが落ちた」と表現しますが、すべでが落ちているわけではなく、部分的に落ちていることがあり、それは上限を超えてしまった場所を指しています。
分電盤は、このように作られた電力をどこに振り分けるのかを管理する機器と覚えておきましょう。
電力量計
電力量計とは、その名のとおり使用した電力の量を計測するための機器のことです。
名称だけ聞くと分かりにくいですが、こちらも分電盤同様、どこの家庭にもある電気メーターとも呼ばれる機器であるため、馴染み深いものであるといえるでしょう。
一般家庭では機械式電力量計と電子式電力量計といった種類が取り付けられていますが、最近ではスマートメーターという通信機能を搭載したものも登場しており、電力会社が取り替えを推進していることから、国内での普及が進んでいることにも注目です。
架台
架台とは、太陽光パネルの設置台のことを指します。
野ざらしとなる太陽光パネルを支える重要な役割であるのはもちろん、効率よく太陽光を集めるために角度の調節をしたり、積雪が多い地域では雪に埋もれないよう高さを調節したりもします。
自然災害に備えた丈夫なものを選ぶほか、効率よく太陽光を集めるために工夫が必要な機器であるといえるでしょう。
発電量モニター
発電量モニターは、太陽光発電によって作られた電力がどれほどの量なのかを確認するための機器です。
発電量だけではなく、発電容量やバッテリー電圧、消費電力を確認することができ、機器によってはパソコンでもデータを確認することが可能です。
年間の発電量の確認や売電をする人は、欲しいデータが使いやすい形で入手できるものを選ぶと良いでしょう。
蓄電池
太陽光発電は、太陽光エネルギーを電力に変換する発電方法であり、夜間や雨天時など太陽光が少ないとパワーコンディショナーを起動することができず、作られた電気を使うことができません。
しかし、蓄電池という電気を充電しておくことができる機器を使うことで、こうしたデメリットを解消することが可能です。
電力の消費量は日中帯よりも夜間の方が多いため、太陽光発電を導入する際には必須の機器であるともいえるでしょう。
太陽光発電で電気を売る仕組み
電力会社から供給される電気だけではなく、一般家庭で作られた電気も売ることができます。
「売電」という言葉を耳にしたことがある人も多いかと思いますが、一体どのような仕組みで売ることができるのでしょうか。
ここでは、電気を売る仕組みについて解説していきます。
売電とは
売電とは、文字とおり一般家庭で作られた電気を売ることができる仕組みのことです。
「電気を売る」といっても家庭間同士で売り買いするのではなく、電力会社によって買い取ってもらう形で成り立っています。
電力会社が買い取る際の資金は、電力会社自身の負担や税金で賄われているわけではなく、全国民が使用している電気代の一部が使用されています。
このことからも分かるように、売電している人は発電をしていない人よりも得することができる仕組みが成り立っているのです。
電気の流れる性質
そもそも形のない電気をどうやって売ればいいのか疑問に感じている人もいることでしょう。
日常生活で電気を使うためには、電力会社から電線を通じて供給される電流を得ていますが、売電する際にはその逆を行います。
太陽光発電で作られた電力は、蓄電池を備えていない限り保持しておくことができないため、使用されなかった電力は電線を通じて電力会社に流れていくのです。
これは電流が電圧の低いところへ流れていく電気の性質を利用したものであり、流れていった電気量はメーターに記録され、それをもとにお金が支払われるという仕組みとなっています。
電圧抑制の動き
電線の電圧は95V~107V内に保たれており、太陽光発電で発電された電気は107V程度になるよう設定されています。
先ほど解説したように、電流は電圧の低いところに流れていく性質があるため売電でも活用されていますが、工場や商業施設など大量の電力を使用している施設が電気の使用を止めると一時的に電線の電圧が107Vを超えることがあります。
お察しのように、そのような状況になったら売電できないのではないかと疑問に感じる人も多いことでしょう。
しかし、パワーコンディショナーには電圧抑制の機能が備わっており、電線の電圧を監視しています。
そのため、電線の電圧が上がったとしても電流を抑制できるため心配いらないのです。
再エネ賦課金
太陽光発電で作られた電気を電力会社が買い取る際、電力会社が費用を負担していたり、税金で賄われているわけではありません。
売電の際に支払われているのは、再エネ賦課金という名目で全国民から支払われている電気代の一部のお金が使われているのです。
この再エネ賦課金は固定額ではなく、電気の使用量に応じて金額が異なり、使用料が多いほど再エネ賦課金として支払う金額も大きくなります。
FIT制度(固定価格買取制度)
FIT制度とは、太陽光をはじめ、風力や水力、地熱やバイオマスといった再生可能エネルギーを使用して発電された電力を、電力会社が固定価格で一定期間買取することを国が定めている制度です。
基本的に、発電した電力のうち自分たちで使用できなかった分の電力が対象となっています。
つまり、節電をすることで電気代を再エネ賦課金を節約できるだけではなく、売電できる対象電力が増えるため買取金額が増えるのです。
太陽光発電のメリット
ここまで太陽光発電の仕組みや、そこで作られた電気を売る「売電」について解説してきましたが、そもそも太陽光発電を導入するにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、太陽光発電の主なメリットを紹介していきます。
電気代を削減できる
太陽光発電を導入するメリットとして、まず挙げられるのが電気代の削減です。
当然ながら、太陽光発電で作られた電気は自宅で使うことができるため、本来電力会社から供給される電気を使わずに済むため電気代が浮くのです。
また、全国民が電気代の一部として支払っている再エネ賦課金は、電気の使用量が多いほど金額も大きくなりますが、太陽光発電によって使用量を抑えられればその分も節約になるのです。
電気代が高騰しても影響が少ない
年々、電気代が高騰していますが、太陽光発電を導入していれば自家発電した電気を優先的に使うことができるため、社会情勢からの影響も少ないメリットがあります。
電気代の高騰から節電するために、家の使用していないコンセントを抜くといった工夫をする人も増えていますが、オール電化の住宅だと対応が難しいこともあるでしょう。
太陽光発電で自家発電すれば、こうした電気代の高騰からの影響を受けにくいため魅力的であるといえます。
売電収入が得られる
太陽光発電で作られた電気は、電力会社に売ることができます。
価格はFIT制度によって変動しますが、2022年度では17円と設定されていました。
これは、年間の売電量が4,000kWhだった場合、年間で68,000円の収入が得られる計算です。
買取価格の変動にも左右されますが、単純計算すると10年で約70万円、20年で100万円以上の収入を得られることは大きなメリットであるといえるでしょう。
災害時にも電気が使える
災害時に電力の供給が止まり、電気が使えなくなってしまうことがあります。
しかし、太陽光発電で自家発電をしていれば、平時と比べてすべてを賄えなくても、発電できた分の電気を災害時であっても使うことが可能です。
また、蓄電池を備えておけば夜間でも使用できるため、部屋に明かりをつけることもできます。
スマートフォンをはじめ、日常生活では電気が欠かせないもので溢れている現代において、災害時に電気を使えるのは安心することができるでしょう。
地球環境の保護に繋がる
太陽光発電は、枯渇することなく、地球上どこにでもある太陽光をエネルギーとしており、発電においてもCO2を排出することがありません。
地球環境の保護は世界的にも大きな課題とされており、身近なところではレジ袋の有料化されるといった取り組みもされています。
太陽光発電は、再生可能エネルギーを活用した発電方法であるため、導入することで環境保護にも繋がっているといえるでしょう。
太陽光発電のデメリット
電気代の節約や災害時の電気使用、売電収入や地球環境の保護など多くのメリットがある太陽光発電ですが、その一方でデメリットも存在します。
ここでは、太陽光発電を導入するデメリットについて紹介します。
初期費用が高い
太陽光発電は、電気代の節約や売電ができるため、長い目で見れば得することが可能です。
その一方で、設置するためには80万~130万円程度と決して安くはない初期費用がかかるデメリットもあります。
しかし、環境保全の観点から補助金を支給している地域があることをはじめ、同じ容量であってもメーカによって費用を抑えることも可能です。
居住地の制度の確認や、複数社の見積もりを比較するなど少しでも費用を安くできるよう工夫してみましょう。
天候次第で期待していた発電量を得られない
太陽光発電は、太陽光エネルギーを使用するため日射量は非常に重要な要素です。
雨天をはじめ、悪天候が続くと十分な日射量を確保することができず、期待していた発電量を得られない可能性もあります。
太陽光パネルを設置する際には、少しでも日射量を増やせるよう角度や高さなど、しっかりと考慮して取り付けるようにしましょう。
メンテナンス費などランニングコストが発生する
太陽光発電は、設備を設置したら終了というわけではなく、定期的なメンテナンスも必要となります。
また、購入ではなくリーズ品であれば月々のランニングコストも発生します。
こうした保守費や月額費用を抑えるためには、導入時に1つの業者で即決せず、複数の業者から見積もり(相見積もり)を提示してもらい、最適なものを選ぶのがおすすめです。
太陽光発電は今後どんどん普及していく
太陽光発電は、再生可能エネルギーである太陽光を活用した発電方法です。
近年、石油をはじめとする地球上のエネルギー資源の枯渇が問題視されていることから、どこにでもある枯渇することのない自然エネルギーの活用は注目を集めています。
また、CO2を排出しないことから地球環境にも優しく、国が推奨していることもあり今後ますますの発展が期待されています。
導入することでさまざまなメリットが得られますが、蓄電池を組み合わせることで夜間使用や災害時に備えることもできるため、導入時には組み合わせることも検討してみましょう。