太陽光発電を設置するためには、どれくらいの面積が必要になるの?
設置する太陽光発電の容量で必要な面積が変わるのよ。
広い土地があれば容量が大きい太陽光発電を設置できるということ?
土地が広くても有効面積が狭い場合もあるよ。土地選びのポイントや太陽光発電を設置する面積の計算方法を一緒に見ていこう。
太陽光発電の面積パネル別一覧表
太陽光パネルを設置したいけれど、どれくらいの面積が必要なの?とお悩みではないでしょうか?
住宅用の太陽発電の場合、屋根の面積は25平方メートル~30平方メートル程度必要と言われています(設置容量が5kwの場合の目安)。
屋根の形状や使用するパネルのサイズによって、必要面積は変わります。
産業用の太陽光発電の設置容量ごとに必要な面積を一覧で紹介します。
設置容量 | パネル枚数 | 必要な面積 |
---|---|---|
~10kW | 34枚~ | 130~180㎡ |
~30kW | 100枚~ | 295~400㎡ |
~50kW | 167枚~ | 490~700㎡ |
~80kW ※低圧・過積載 |
267枚~ | 700~930㎡ |
~100kW ※低圧・過積載 |
334枚~ | 940~1340㎡ |
過積載とは、パワーコンディショナーの合計出力よりも太陽光パネルの出力を大きくして発電量を増やす方法です。
太陽光発電の設置容量ごとの売電収入
太陽光発電は設置容量の違いで売電収入が変わります。
発電量は天候や土地の条件やメンテナンスの状況で変動するため、想定の売電収入を一覧で紹介します。
21円/kWh(税別)として計算した結果が下記のとおり。
設置容量 | 年間発電量 | 年間売電収入 |
---|---|---|
~10kW | 1000~1.2万kW | 21~25万円 |
~30kW | 3万~3.6kW | 63~75万円 |
~50kW | 5万~6万kW | 105~125万円 |
~80kW※低圧・過積載 | 8万~9.6kW | 168~200万円 |
~100kW※低圧・過積載 | 10万~12万kW | 210~250万円 |
太陽光発電の設置面積を導き出すための基礎知識
自宅の屋根に太陽光発電を設置できるのか、必要な面積を調べてみたけれど、「専門用語がたくさん出てきてよく分からない」と思われた人もいることでしょう。
ここでは、太陽光発電を始める前に覚えておきたい基礎知識について説明していきます。
屋根の形状によって必要面積が異なる
太陽光パネルの設置に適している屋根の形状は、「切妻屋根」と「片流れ屋根」です。
一般的に、太陽光発電の設置容量の7~8倍の面積が屋根に必要と言われています。
屋根の面積が分かっている場合は、面積を7か8で割ると自宅の屋根に設置できる太陽光発電の設置容量が算出できます。
屋根の形状が「切妻屋根」と「片流れ屋根」以外の場合、太陽光パネルを設置できる枚数が少ないか、太陽光パネルが設置できない可能性があります。
まずはパネルの設置可否を業者に相談すると良いでしょう。
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メーカーによって太陽光パネルのサイズが違う
同じ太陽光パネルでも、メーカーによって若干サイズが異なります。
太陽光パネルを設置する場所の面積に合わせて最適なパネルを選ぶようにしましょう。
また、同じメーカーの同じ型式の太陽光パネルであっても仕様変更があると、パネルの厚さが変わることもあります。
パネルの厚さが違うと施工に必要な部材のサイズも変わりますので、間違いがないようにしましょう。
太陽光パネルの「セル」と「アレイ」
太陽光パネルは、セルが集合してできています。
セルは10cm~15cm四方サイズの半導体で、1枚のパネルに60枚か72枚使われており、60セルや72セルなどと表現されます。
引用:SoRA
アレイは、パネルを集合して1列に設置した状態を言います。
例えば4段5列のアレイは縦に4枚、横に5枚のパネルを設置した1つのアレイということになります。
太陽光パネル1枚あたりの面積
太陽光パネル1枚あたりの面積は1.7平方メートル程度です。
ただし、メーカーによって太陽光パネルのサイズが異なるため、1.7平方メートルはおおよその面積になります。これは畳1枚分の面積と、ほぼ同じくらいです。
身近な物に置き換えてみると、太陽光パネルの大きさもイメージしやすいですね。
パネル間の面積(クリアランス)
アレイとアレイの間の通路の面積を「離隔」または「クリアランス」と言います。
クリアランスを広く取るとメンテナンスがしやすいだけでなく、前のアレイが後ろのアレイに影を作るのを避けることができます。
クリアランスは、太陽光パネルを設置する場所の、冬至の日の9時と15時の日陰の長さを元に検討します。
施工業者や販売会社で離隔距離を算出するツールを持っていますので、業者に相談して決めると良いでしょう。
産業用は外周面積も重要
産業用の太陽光発電の場合は、外周面積の確保も重要です。
なぜなら、隣地との境界から内側1m程度の位置にフェンスを設置する必要があるのと、メンテナンス用の通路としてのスペースを確保する必要があるからです。
フェンスを太陽光パネルの近くに設置すると、フェンスがパネルの影になってしまいます。
また、フェンスの隙間から手を伸ばしても設備には触れられないくらいフェンスと設備の距離が離れている必要があります。
メンテナンスでは、草刈り機を使用することもありますので、通路は狭すぎないようにする必要もあります。
外周面積も意識しながら設置する太陽光パネルの枚数やレイアウトを検討するようにしましょう。
太陽光発電の設置面積を求める計算式
希望の太陽光発電の設置容量から、土地の必要面積を求めることができます。
反対に、所有している土地にどれくらいの設置容量の太陽光発電を設置できるかを計算することもできます。
それぞれをどのように計算するか、解説していきます。
設置容量から求める計算式
先に導入する太陽光発電の設置容量を決めてから、必要な設置面積を求める方法を説明します。
計算式は、「①設置容量×②1kWあたりの必要面積+③外周面積」です。
例えば設置容量50kWの太陽光発電を最低限の面積で設置したい場合、①設置容量は「50kW」になります。
②1kWあたりの必要面積は、10~15平方メートルと言われています。今回は、最低限の面積で設置したいので、「10平方メートル」で計算します。
太陽光パネルを設置するためだけに必要な面積は、①50kW×②10平方メートル=500平方メートルになります。
次に、③外周面積は、太陽光パネルを設置するためだけの土地の四方に1mずつ取ることにします。
先ほど計算した500平方メートルの土地の形が正方形だとすると外周を含めた土地の面積は、
(25m+2m+2m)×(25m+2m+2m)=27m×27m=729平方メートルですね。
設置容量50kWの太陽光発電を設置するための必要面積は、729平方メートルということになります。
土地面積から求める計算式
土地の面積が先に決まっている場合は、土地の広さから太陽光発電システムの設置容量を算出します。
先ほどの、設置容量から設置面積を求めたときと逆の順に計算していきます。
計算式は、「(①土地全体の面積-②外周面積)÷③1kWあたりの必要面積」です。
土地全体が、南北方向(縦)に27m、東西方向(横)に27mの広さの土地に設置できる太陽光発電の設置容量を求めてみます。
①土地全体の面積は、27m×27m=729平方メートルです。
②外周面積は、先ほどと同様に太陽光パネルの四方に1mずつあると考えます。
太陽光パネルの設置に使える面積は、(27m-1m-1m)×(27m-1m-1m)=25m×25m=500平方メートルと計算できます。
③1kWあたりの必要面積を10平方メートルとすると、729平方メートルの土地に設置できる太陽光発電の設置容量は、500平方メートル÷10平方メートル=50kWになります。
住宅用太陽光発電では10kW以上の設置は難しい?
住宅用の太陽光発電は、設置容量が10kW未満と決まっており、3kW~5kWが主流です。
ルール上は、9.9kWまでなら住宅の屋根に太陽光パネルを設置できますが、よほどの坪数と屋根の広さがある住宅でない限り物理的に難しいでしょう
一般的には約35~40坪くらいの敷地の住宅で、3~4人家族でしたら設置容量は4.5kW~5kWが適切と言われています。
産業用太陽光発電の設置に必要な土地面積
産業用の太陽光発電を設置するためには、どれくらいの土地面積が必要なのでしょうか?
土地の広さ別に解説していきます。
最低100平方メートル以上
産業用の太陽光発電を設置する場合、最低でも100~130平方メートル以上の土地が必要です。
この広さの場合、10kW程度の設置容量が適しています。
設置容量は少なめですが、初期費用が抑えられるメリットがあります。
発電量が少なくても、固定価格買取制度で20年間売電できるため、十分に初期費用を回収できるでしょう。
高圧なら500平方メートル以上が理想
50kW以上の高圧で運営する場合は、500平方メートル以上の広さが必要です。
規模が大きくなる分、初期費用やメンテナンス費用が掛かるというデメリットもありますが、50kW以上の設置容量なら全量売電ができるため、十分な収入を得ることができます。
高圧連系には、接続契約の申込みをした順番に接続の容量を確保していくというルールがあります。
接続の空き容量が申込みよりも少ない場合に、後から申込みがあった発電所を先に連系することはなく、接続できる系統が増えるまで連系ができません。
高圧の連系ができない地域が増えているため、現在の状況を確認しながら施工を進めるようにしましょう。
大規模なら1,600平方メートル以上が必要
1,600平方メートル以上の土地があれば、設置容量150kW以上の大規模な発電所の運営ができます。
容量が大きいので発電量も多くなりますが、費用が掛かる点と高圧連系ができない可能性がある点では、高圧と同じデメリットです。
運用開始前に念入りにシミュレーションを行って、収入と支出のバランスを確認しておくことと、系統連系の最新情報を確認しておくことが大切です。
メガソーラーは10,000平方メートル以上が必要
メガソーラーには、10,000平方メートル以上=3,000坪以上の土地が必要です。
設置容量1,000kW(1MW)を超える規模になります。
メガソーラーも高圧連系になりますので、連系が進められない可能性があります。
太陽光発電設置の土地探しにおける注意点
太陽光発電を設置するための土地を探すときに注意したい点がいくつかあります。
土地探しにおける注意点は、次のとおりです。
- 有効面積を確認する
- 実際は登記面積より狭い場合がある
- 必ず現地を視察する
- 日当たりや電柱の有無を確認する
それぞれの詳細を説明していきます。
有効面積を確認する
有効面積の確認はとても重要です。
広い土地であっても、全ての場所が太陽光発電の設置に適した状態になっているとは限らないので、有効面積の広さを確認する必要があります。
有効面積を狭める原因には次のようなことがあります。
- 敷地内に法面(傾斜)や段差がある
- 土地の形状が太陽光パネルの設置に適していない
太陽光発電の設備は、地面が平らな土地に設置したいので、敷地内に段差はないほうが良いです。
多少の段差なら造成工事で平らな地面に近づけることができます。
法面は、土砂が崩れやすいので法面に架台を設置することができません。このため、法面を避けて太陽光パネルを設置しなければならず、法面があると有効面積が狭くなります。
また、土地の形状が細長い、あるいは三角形のような土地は有効面積が少なく、太陽光発電の設置に向いていません。
実際は登記面積より狭い場合がある
登記上の面積と実際の土地の面積が相違していることがあります。
法務局に保管されている古い記録しか土地の情報がない状態で登記が行われている場合に、実際の面積が違うという事例が起こっているのです。
登記上の面積だけを元に太陽光発電の施工計画を立ててしまうと、実際の土地の面積が登記面積よりも狭かった場合に、予定よりも小さい容量の設備に変更しなければならず、事業の収支計画が崩れてしまいます。
最初に測量を依頼し、地積測量図を取得して正しい土地の面積を確認したうえで太陽光発電の施工計画を立てるようにしましょう。
必ず現地を視察する
現地の視察は、必ず行いましょう。
周辺にパネルに影を作るような背の高い木や建物がないか、地盤や土地の形状が太陽光発電の設置に適しているか、などの環境を確認することも効率よく発電するために重要です。
現地を確認せずに土地を決めてしまうと、土地の形状に合わせると少ない枚数の太陽光パネルしか設置できない、想定外の影で思ったよりも発電量が少なかったという事態になりかねません。
地盤が緩い土地の場合は、地盤調査や引き抜き試験を行ったうえで太陽光発電の施工計画を立てる必要があります。
日当たりや電柱の有無を確認する
現地確認の際は、日当たりや近くに電力会社の電柱があるかどうかも必ず確認しましょう。
日当たりの良し悪しは、発電量に影響します。
また、近くに電力会社の電柱があるか否かの確認も必要です。
近くに電柱がない場合、電力会社に新しく電柱を建柱してもらう必要があり、売電を開始するまでに時間が長く掛かることに加え、電柱の建柱費用が追加で発生してしまうからです。
産業用の太陽光発電設備はフェンスの設置義務がある?
産業用の太陽光発電では、フェンスの設置が義務付けられています。
太陽光発電が設置されている場所は、夜間に人目に付きにくい場所に位置していることが多いため盗難被害に遭いやすいです。
また、動物の侵入も相次いだため、2017年にフェンスの設置が義務付けされました。
設置面積を把握して太陽光発電を効率良く導入しよう
ここまで、太陽光発電の設置に必要な面積について説明してきました。
土地の面積で設置できる太陽光発電の容量が変わります。
同じ面積でも施工の仕方を工夫すれば、より多くの太陽光パネルを設置できて発電量も増やせます。
最適なプランを提案してくれる業者と一緒に太陽光発電の導入を検討されてみてはいかがでしょうか。