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メガソーラーは環境破壊につながる?普及と両立させる方法や活用事例

メガソーラーは環境破壊につながる Q&A
ひかり
ひかり

メガソーラーが環境破壊をしているから、メガソーラーをやめろという意見があるみたいだね。

てんか
てんか

メガソーラーの発電所から発生する電磁波で気持ち悪いというトラブルもあるみたい。

ひかり
ひかり

太陽光発電は環境に優しい発電方法だけど、メガソーラー反対の理由には何があるのかな?

てんか
てんか

一番は森林伐採での環境破壊を心配している声が多いわね。でも、最近では、メガソーラーと環境保護を両立させる取り組みが進んでいるのよ。

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メガソーラーとは

メガソーラーとは、大規模な太陽光発電所のことです。

設置容量は1,000kWを超えており、住宅向けの太陽光発電の100倍以上の規模になります。年間の発電量は約100万kWh以上と言われています。

何百、何千という枚数の太陽光パネルを設置するため、2ヘクタール以上の広さの土地が必要です。1ヘクタールの広さが畳約5,482枚分ですので、2ヘクタールでは畳が約10,964枚ということになります。

身近にある畳に置き換えてみても枚数が桁違いで、メガソーラーにはとにかく広大なスペースが必要ということが分かります。

メガソーラーは環境破壊につながる?

メガソーラーの建設が環境を破壊しているという反対の声もあります。

メガソーラーが環境破壊につながると言われている理由は、次のとおりです。

  • 森林伐採
  • 土砂崩れ
  • パネル生産時の二酸化炭素排出
  • 不法投棄などの廃棄問題

それぞれの理由がどのようなことか説明していきます。

森林伐採

メガソーラーの建設には、平坦でさらに広い土地が必要です。

日本は、国土面積に対する太陽光発電の導入率が世界でトップになっています。

森林伐採を行わずにメガソーラーを建設できるような土地は、日本には残っていないと言って良いでしょう。

エコなエネルギーを求めて建設しているメガソーラーなのに、環境を破壊するのは本末転倒だという意見があって当然と言えます。

土砂崩れ

メガソーラーを建設する前の土地に木が生えている場合、地面よりも上の木を伐採するだけでは地中に根っこが残ります。

根っこが残っていると太陽光発電の設備を土台として支える杭の打設ができないため、伐根も必要です。

とはいえ、山や森の保水力は地中に根が這っていることも含めて保たれているので、伐根すると地盤が弱まり土砂崩れの危険性があるのでは?と懸念されています。

いかに環境に負荷を掛けずに太陽光発電を設置できるかが、メガソーラー普及の課題と言えるでしょう。

パネル生産時の二酸化炭素排出

CO2ペイバックタイムという指標をご存知でしょうか。

CO2ペイバックタイムとは、工業製品の製造時に排出するCO2をどれくらいの期間製品を稼働させれば、製造時に排出したCO2をペイできるのかを表しています。

一般的には、2~4年程度で発生した分のCO2を回収できると言われていますが、中国で製造している太陽光パネルだと回収に10年掛かるという試算結果もあります。

今や中国メーカーの太陽光発電が世界で普及していますので、生産時の二酸化炭素排出量の削減が急務になっています。

不法投棄などの廃棄問題

太陽光パネルを構成する部材には有害物質が含まれているため、産業廃棄物として適切に廃棄する必要があります。

太陽光パネルの寿命は20~30年と言われており、今後20年の間に廃棄するパネルが増えて廃棄場がひっ迫するのではないかと懸念されています。

産業廃棄物の処分には、当然費用が掛かります。

本当は廃棄しなくてはいけない太陽光パネルを放置したり、不法投棄したりする事業者が出てくることを防ぐため、2022年7月から廃棄費用の積み立てが義務化されました。

熱海土石流との関係

2021年7月3日、熱海市で大規模な土石流が発生しました。

この直後、熱海の土石流は近隣にあるメガソーラーの環境破壊が原因ではないか?という憶測が飛び交いました。

ニュースでも連日、メガソーラーが原因だという前提で報道されていたため、悪い印象が植え付けられた方もいるのではないでしょうか。

熱海の土石流とメガソーラーの関係について説明していきます。

熱海の土砂崩れの原因はメガソーラー?土石流の責任は太陽光発電なのか?
熱海はメガソーラーが原因で土砂崩れが発生したとSNSなどで話題になっていますが、果たしてあの悲惨な事故は、本当に太陽光発電を設置したことにより発生したものなのでしょうか?もしもそうなら、責任の所在はどうなっているのでしょうか?そんな熱海の土石流と太陽光発電の関係を見ていきましょう。

メガソーラーの影響という説がSNSに浮上

熱海市での大規模な土石流の起点から20~30メートル離れた位置にメガソーラーの発電所があります。

このため、ネットやSNS上では「土砂崩れはメガソーラーの影響で起きた」という意見が飛び交いました。

その後の静岡県の調査で、メガソーラーの建設地が土砂崩落の起点ではないということが判明しており、熱海の土石流についてはメガソーラーが原因ではないことが分かっています。

森林伐採による土石流の懸念は増加

熱海市の土石流では、崩落の起点付近にあるメガソーラーとの因果関係はないと調査結果が出ています。

しかし、メガソーラーは建設時に森林伐採を行っており森林の保水力が弱まって土石流発生の原因になるのではないかという懸念が強くなっています。

環境問題に配慮した工事をすることが、メガソーラーの課題と言えるでしょう。

環境破壊以外の問題点

メガソーラーの建設では、環境破壊以外にも問題があると指摘されています。

指摘されているのは、次のようなことです。

  • 住民とのトラブルが起こる
  • 景観破壊につながる
  • 地域経済に寄与しない

どのようなことが問題なのか、詳しく見ていきましょう。

住民とのトラブルが起こる

メガソーラー建設地付近の地域住民とトラブルになることがあります。

地域の住民からの反対理由には、下記のような声があります。

  • 景観が悪くなる
  • パネルからの反射光を懸念している
  • 森林伐採するから土砂の流出を心配している

地域住民への説明会を開いて納得してもらったと思っても、再び反対の声があがるケースもあります。

このような反対の声については、都度対応をして解決していくほかありません。

地域の住民の生活に配慮しながら工事を進めていくことが再生可能エネルギー普及のための課題になっています。

景観破壊につながる

メガソーラー建設における地域住民とのトラブルの中で、景観破壊に関するトラブルが一番多いと言われています。

豊かな自然がある風景を大切に生活している地域住民にとって、太陽光パネルで景観が破壊されるのは許しがたいという意見になって当然です。

景観法が定められている地域では特に、太陽光の設備が景観を破壊してしまわないか?計画段階から検討する必要があります。

地域経済に寄与しない

地方にメガソーラーを建設しても、地域経済が活性化しないという問題点が指摘されています。

例えば火力発電所や原子力発電所ならば、発電所を稼働させるために雇用が生まれます。

しかし、太陽光発電は不動産取得税と固定資産税が入るだけで、災害時に地域住民が電気を使うこともできません。

メガソーラーは環境破壊になるだけで、地域に貢献しないビジネスだと言われています。

メガソーラーのメリット

問題点が目立ってしまっているメガソーラーですが、メリットもあります。

メガソーラー導入のメリットには、次のようなことがあります。

  • クリーンエネルギー
  • SDGs達成に有効
  • 売電収入
  • 空き地の活用

それぞれの詳細を説明していきます。

クリーンエネルギー

メガソーラーの最大のメリットは、クリーンエネルギーな点です。

発電の過程で二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギーは、地球環境を守っていくうえで重要な役割を担っています。

クリーンエネルギーを作り出せるメガソーラーは、火力発電や原子力発電に電力の供給を頼りきっている日本の現状を変えるための有効な手段になると考えられます。

SDGs達成に有効

SDGsとは、2015年9月に国連総会で採択された、2030年までにより良い国際社会を世界が目指すための目標です。

メガソーラーは、目標の一つである「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」の達成に有効です。

環境問題など解決が必要な課題はありますが、発電時に二酸化炭素を排出しないメガソーラーは、SDGsの目標達成に貢献できると期待されています。

売電収入

メガソーラーは設備の規模が大きいのでその分高い売電収入が得られ、金額は1,000万円台になると言われています。

FIT制度により、20年間は固定価格で電力が全量買い取りされるため、安定した収入になります。

規模が大きい分、初期費用も億単位で掛かりますが、安定した売電収入があるので初期費用の回収に予定よりも時間がかかるという失敗もなく、発電所を運営できることがメリットです。

空き地の活用

空き地にメガソーラーを建設して活用する取り組みがあります。

例えば倒産したゴルフ場の跡地に、メガソーラーを設置するといったケースです。

空き地の活用事例として駐車場経営などがありますが、需要がない地域では駐車場経営をしても収入がなく空き地を有効活用できないかもしれません。

太陽光発電は導入時に初期費用が掛かりますが、FIT制度で長期間安定した収入が得られ、空き地の活用として失敗がない事例と言えます。

メガソーラー活用事例

企業がメガソーラーを導入し、活用している取り組みがあります。

どのように活用されているのか、事例を紹介していきます。

関西国際空港

関西国際空港では、アジアの空港で最大級の空港発電所として2014年2月から稼働しています。

滑走路の脇とターミナルビルの屋根に約73,000枚もの太陽光パネルが設置されており、年間で8,600tの二酸化炭素が削減できるのです。

ターミナルビルで発電した電気は、空港施設で利用されています。

東京電力

東京電力リニューアブルパワー株式会社では、3つのメガソーラーを保有しています。

設置場所 名称
神奈川県川崎市 浮島太陽光発電所
神奈川県川崎市 扇島太陽光発電所
山梨県甲府市 米倉山太陽光発電所

浮島太陽光発電所と米倉山太陽光発電所の隣には行政が運営するPR施設が併設されていて、太陽光発電を始めとしたエコや発電方法について学習できるほか、太陽光発電所が見渡せる展望スペースがあります。

兵庫・加西市逆池水上メガソーラー発電所

兵庫県加西市の逆池(さかさまいけ)で、2015年6月から当時としては世界最大規模の水上メガソーラー発電所の稼働が開始されました。

水に太陽光パネルを浮かせる形式の水上メガソーラーは、周囲に影ができにくく、森林伐採をせずに太陽光発電を始められるというメリットがあります。

兵庫・姫路メガソーラー発電所

兵庫 · 姫路メガソーラー発電所は、塩田跡地で遊休地になっていた土地にメガソーラーを建設し2015年12月から運転を開始しています。

空き地を有効活用している事例の一つです。

京セラ製の太陽光パネルが39,600枚設置されていて、年間発電量は約1,216万kWhが見込まれています。

瀬戸内Kirei未来創り合同会社

瀬戸内Kirei未来創り合同会社は、岡山県瀬戸市の錦海塩田跡地に建設した「瀬戸内Kirei太陽光発電所」の運転を2018年10月から開始しました。

広い敷地に90万枚の多結晶シリコン型の太陽光パネルが設置されていて、最大で約235MWの電力供給が可能と言われています。

瀬戸内Kirei太陽光発電所が稼働することで、瀬戸内市の年間の二酸化炭素排出量の半分にあたる約192,000tの二酸化炭素が削減できています。

メガソーラー普及と環境保護を両立させるには?

クリーンエネルギーであるメガソーラーの普及と環境保護を両立させる方法を考えていく必要があります。

両立のために考えられる対応策は、次のようなことがあります。

  • 耕作放棄地の活用
  • ソーラーシェアリング
  • 廃棄費用の積立
  • ガイドラインへの対応
  • 住宅用システムの導入

どのようなことか、詳細を説明していきます。

耕作放棄地の活用

耕作放棄地をメガソーラーの発電所として活用する案があります。

しかし、その土地の地目が農地の場合は農業以外に利用できないため、「農地転用」という地目変更の申請が必要になります。

ただ、日本の食料自給率低下を防ぎたいという方針もあり、農地転用の許可が下りにくいという現実があります。

既に耕作が放棄されている土地のため農地転用しても食料自給率が低下することにはならないのですが、審査や条件がとても厳しいと言われています。

ソーラーシェアリング

ソーラーシェアリングとは、農地にソーラーパネルを併設して農業と太陽光発電で土地をシェアをする取り組みを指します。

太陽光パネルで作物に必要な日射量を調節したり、発電した電気を農業で利用したりしています。

環境破壊にならず、クリーンなエネルギーが確保でき、農業も営めるソーラーシェアリングはSDGsの観点からも期待が高い取り組みです。

廃棄費用の積立

2022年7月から太陽光パネルの廃棄に備え、固定価格買取制度を利用している事業者に対して廃棄費用の積み立てが義務化されました。

太陽光パネルが寿命を迎えた後、大量の太陽光パネルが不法投棄されるのではないかと懸念されています。

太陽光パネルには有害物質が含まれているため、万が一不法投棄されてしまうと環境破壊につながりかねません。

適切に処分、リサイクルされるように廃棄費用の積み立てが義務化されています。

ガイドラインへの対応

太陽光発電には、エネルギー資源庁が策定した「事業計画策定ガイドライン」があります。

トラブルなくメガソーラーを運営するためにはガイドラインの遵守が重要です。

ガイドラインの中で周辺環境への配慮するべき事項として次のようなことが挙げられています。

  • 太陽光発電の設置工事中、設置後に周辺環境に害がないようにする
  • 設置容量20kW以上の場合は、必要事項を記載した標識を掲示する
  • 第三者が発電所内に立ち入れないようにフェンスを設置する
  • 高圧以上の太陽光発電設備の場合は、電気機械器具や母線が危険である旨を表示する

住宅用システムの導入

大規模な設備を必要とするメガソーラーの設置には広い土地が必要です。

国土面積に対しての太陽光発電導入率が高い日本では、森林伐採をせずにメガソーラーを普及させることは厳しいと言えます。

森林伐採をせずに空いているスペースを有効活用する方法としては、住宅の屋根に太陽光パネルをできるだけ設置することが考えられます。

メガソーラーには環境破壊リスクと同時にメリットがある

ここまでメガソーラーについて解説してきました。

メガソーラーの建設に広い土地を必要とすることで、環境破壊のリスクを懸念する声もありますが、同時に遊休地を有効活用したり、クリーンエネルギーの普及ができたりというメリットもあります。

地球に優しいエネルギーとして注目されているメガソーラーですが、自然と共存する方法を探りつつ、いかに普及していくかがメガソーラーの課題と言えます。

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