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ドイツの太陽光発電の失敗から分かること|日本は大丈夫なのか

ドイツの太陽光発電の失敗 Q&A
ひかり
ひかり

これからの日本のエネルギー問題が心配だわ。

てんか
てんか

日本でも、太陽光発電でエネルギー問題を解決しようと叫ばれているわね。

ひかり
ひかり

でも、ドイツでは太陽光発電が失敗したと言われてるじゃない。

てんか
てんか

ドイツを引き合いにしてドイツ人の声を交えながら、日本の太陽光発電の未来を考えてみようか!

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太陽光発電に対する不安

天然資源の乏しい日本は、エネルギー問題とも密接に関係しています。

日本はエネルギーの多くを海外からの輸入に頼っており、有事により日常生活の電気料金の高騰を招く可能性があるからです。

有事の事例としては、2022年2月末に始まったロシアによるウクライナ侵攻。近年、中国による台湾進行の危機が高まり、ロシアによるウクライナ侵攻と絡めて日本の危機感をあおるコメントが多いようです。

資源を海外に頼る日本だからこそ、生活資源としてなくてはならない電気を個人家庭で発電する太陽光発電の導入が一躍脚光を浴びているのです。

ひかり
ひかり

ドイツでは、すでに太陽光発電導入政策は失敗したと言われているんだよね。

てんか
てんか

ドイツでの太陽光発電政策の失敗を例にとることで、日本の太陽光発電の未来についても色々分かることがあるのよ。

そもそも太陽光発電とはどんなものか

太陽光発電とは、シリコン半導体などに太陽光が当たると発電する仕組みを利用して、太陽の光エネルギーを直接電気に変換するシステムをいいます。

太陽光発電とは

出典:岡谷酸素株式会社

石油や天然ガスなどは「化石燃料」と呼ばれるのに対し、太陽光発電は「再生可能エネルギー」と呼ばれます。

再生可能エネルギーは繰り返し利用でき、貯蔵量が有限の化石燃料と違い、ほぼ無限に利用可能と言っても良いもので、ほかに風力発電などが代表的です。

再生可能エネルギーとは

出典:しらかわソーラーパネル

再生可能エネルギーのメリットはCO₂が発生しない点にあり、脱炭素社会の実現が国際的な流れになっている現在、太陽光発電は理想的な発電システムとして注目を浴びています。

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日本とドイツのエネルギー消費の比較

日本とドイツはともに工業国として第二次世界大戦後に発展した経済大国ですが、再エネ問題についてはドイツのほうが先進国です。

日本とドイツの各エネルギーによる、電源構成を確認してみましょう。

2021年のドイツ連邦環境庁の報告では、2019年には再生可能エネルギーの依存度が39.7パーセントに達します。

対して、日本では再生可能エネルギーの依存度はたったの16.6パーセントにとどまっています。

日本とドイツの電源構成の比較

出典:原子力産業新聞

一言でいえば、再生可能エネルギーの依存度がドイツでは4割程度、日本では2割未満にとどまっているといえます。

ちなみに、ドイツの発電比率の内容は、以下のとおり。

ドイツの発電比率

出典:原子力産業新聞

風力発電が最も盛んな国にも関わらず、それでも太陽光発電の依存度はドイツのほうが日本よりも高いのです。

ひかり
ひかり

日本とドイツの太陽光発電の割合がほぼ同じなら、ドイツの問題は日本の太陽光発電の未来を考える良いサンプルになるわね。

ドイツの太陽光発電が失敗と言われる理由

再生可能エネルギーの利用に意欲的なドイツ、地球環境に優しいというのがお国自慢だったドイツ人たちですが、太陽光発電については失敗だったとの声が聞かれます。

失敗と言われる理由は様々です。

対立する政治観や国際問題、市場の動向などこの問題についての識者の意見は錯綜しています。

ここからは、ドイツの太陽光発電が失敗した理由を、エネルギー供給の不安定さ財政問題の2つから考えてみます。

太陽光発電はエネルギー供給システムとして不安定

ドイツは、今年末までに国内の原発稼働停止を決定し、さらには石炭などの火力発電設備も2038年までに稼働停止することを決定しました。

ドイツの電源構成を、すべて再生可能エネルギーで賄おうと考えています。

しかし、再生可能エネルギーの一番のデメリットは「コントロール不可能」な点にあります。

ドイツのシンクタンクであるエネルギーバランス作業グループの2020年の報告は「2019年にドイツの再生可能エネルギーの依存が伸びたのは、天候が安定していたため、ドイツ国内の電力需要量が5パーセント減ったため」と分析しています。

これは裏返すと、太陽光発電を含む再生可能エネルギーによる発電システムは、常に天候といった不安定要素に左右されることになります

それゆえ、現在は石炭などの化石燃料による火力発電を併用しながらドイツ国内の電力需要に対応、供給量の不足を調整しているのが現実です。

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太陽光発電システムに移行するインフラ設備には多額の費用が必要

風力発電がメインのドイツで、国内需要に必要な電力を賄うためより太陽光発電の割合を増やそうとすれば、太陽光発電設備の増設や送電システムの改善など多額の費用が必要です。

また、完全に再生可能エネルギーによる発電システムに移行した場合、電力不足を補うために海外からの電力輸入は避けられないでしょう。

多額のインフラ投資や電力輸入のための財政問題がドイツに起きるのは必然です。

現に1990年から20200年にかけて、ドイツは総額で再生可能エネルギーへの1,000億ユーロ超の投資を行ってきました。

そして、現在も250億ユーロの準備金が残っていると言われますが、仮に追加投資してもそれだけですべてのインフラ投資には足りないと言われています。

太陽光発電に対するドイツ人の生の声

政府批判に定評ある「Spiegel」というドイツの大手新聞社は、軒並み「政府の太陽光発電の拡大が遅れており、しかも拡大目標値が低すぎる」といった論調の記事が多いです。

その中で興味深かったのは、2021年4月にシュテファンシュルツ氏が寄稿した批判記事です。

より大きな太陽光発電システムの所有者が自分で電気を使用する場合、EEGの追加料金の割引料金を支払わなければならない。

引用:DER SPIEGEL

本稿では割愛したFIT(固定価格買取制度)の欠陥についての批判なのですが、太陽光発電を推進するための経済的メリットが十分ではないということを表しています。

また、今年からドイツでは、家屋を所有する者にソーラーパネル設置を法律で義務付けられます。

設置義務により、自宅の屋根にソーラーパネルを設置した30代男性は「自宅で必要な電力は賄えない」とYoutubeで太陽光発電の不便さを嘆いていました。

続けて彼は「ソーラーパネル設置に25000ユーロかかり、うち4000ユーロは借金したのだが、毎月のローン返済に苦しんでいる」と不満をぶちまけていました。

ひかり
ひかり

人から見た太陽光発電の失敗の大きな理由は、投資しても失敗する点と、国民の負担が大きい点にあるのね。

ドイツの太陽光発電の失敗から分かること

ドイツの太陽光発電が失敗したと言われるのは、エネルギー供給が不安定なこと、そして財政問題にあると考えられます。

もちろん、政治的価値観の違いによる評価や太陽光発電で生み出した電力売買の投資(FIT)がうまく機能していないといった理由もあります。

それでも、エネルギー供給の不安定さと財政問題の2点を本記事で取り上げたのは、太陽光発電の恩恵を受ける一般市民の視点から考える失敗の理由と思われるからです。

太陽光発電は日本のエネルギー供給の希望となるのか

ひかり
ひかり

ドイツの失敗を聞くと、日本での太陽光発電に期待はもてないね。

てんか
てんか

そんなことないわよ。日本では太陽光発電は十分希望があるわ。

太陽光発電はエネルギー供給に不安定さがあり、ドイツでは失敗の理由となりましたが、日本ではドイツと異なり完全な再生可能エネルギーへの移行は目指していません。

日本では火力発電の撤廃や原発の稼働停止という事情はなく、従来どおりの併用で電源構成を行っていくものと推測されますので、日本においてはエネルギー供給の不安定さという問題はクリアできます

次に、太陽光発電には多額の費用が必要という財政問題については、以下の2点が太陽光発電の失敗の理由でした。

  • ドイツは再生可能エネルギーへの完全移行のためのインフラ投資
  • FITに応じるための十分な資金が足りなかった

しかし、日本では再生可能エネルギーへの完全移行は行われず、国民の投資目的のソーラーパネル設置、売電買取に応じるだけの資金の不足の問題はありません。

こういったことから、太陽光発電は日本のエネルギー供給の希望となるのではないでしょうか。

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