シャープが太陽光発電から撤退って本当?
ソーラーパネルの修理や保証はどうなるのか確認していこう!
シャープが太陽光発電から撤退?
2015年の報道では、シャープは価格競争激化で採算が悪化したことを理由に太陽光パネルの生産を停止する方針を発表。
シャープは太陽光パネル事業から撤退し、事業をソーラーフロンティアに売却する方向で調整に入ったという記事も出回り、人々の不安を煽りました。
東京新聞webでも、以下のような記事がありました。
経営再建中のシャープは太陽光パネル事業から撤退し、事業をソーラーフロンティアに売却する方向で調整に入った。
引用:東京新聞web
改めて報道を確認しておきましょう。
太陽光発電事業からの撤退が報道される
液晶パネルの採算性悪化や中国メーカーによる安価な太陽光パネルの出現によって、太陽光パネル事業の収益が悪化。2015年時点では、シャープは太陽光発電事業から撤退する旨の内容が各誌で報道されました。
報道の背景として、中国メーカーの太陽光パネルはシャープよりも1kWあたり約5万〜10万円ほど安く購入できることから、価格競争に敗れてしまったことが最大の理由だとされています。
シャープは国内でもトップクラスの太陽光パネルメーカーですが、中国勢に対抗できず、国内の太陽電池市場は固定価格買い取り制度(FIT)での価格見直しによってピークアウト。撤退後は主力取引行の資本支援を得て、2016年3月期中に構造改革を実行する構えを示していました。
台湾企業に買収されたものの販売・開発は継続か
結果的にシャープは太陽光発電から撤退はせず、台湾企業の鴻海(ホンハイ)に買収されることになりました。
引用:東京新聞web
鴻海はアジア・ヨーロッパなど海外にも生産拠点があり、電子パーツの製造で受託製造サービスを行う世界最大級の企業。このような世界トップレベルの企業に買収されたのですから、今後もシャープの太陽光発電事業がなくなることは考えにくいと思われます。
実際、シャープの公式サイトでは太陽光発電システムの販売ページもありますので、販売や研究開発は引き続き継続されるものと考えて良いでしょう。
シャープのソーラーパネルの修理や保証はどうなる?
太陽光パネル製品の使用年数は一般家電製品よりもかなり長いため、故障のリスクは常に考えておかなかればなりません。
シャープが鴻海に買収された後も、保証や修理はきちんと継続されていますから安心して良さそうです。公式サイトに記載されている保証や修理について見ていきましょう。
修理
シャープの「まるごと15年保証」に加入しておけば、太陽光発電システムが発電しないといったトラブルが発生した場合でも、手頃な料金で修理が依頼できます。保証期間中であれば、何度でも保証を利用可能です。
保証対象は以下のように発電システムを構成する機器全般となっており、システム容量によって保証金額が変わります。
項目 | 保証対象機器 |
---|---|
15年保証 |
|
無償&有償保証
太陽電池モジュールの出力値については、10年保証(無償)と15年保証(有償)の2つの制度から選べます。設置したシステム容量に応じて、以下のとおり保証してもらえます。
項目 | 有償・無償 | 保証期間 | 公称最大出力 |
---|---|---|---|
10年保証 | 無償 | お渡し日~10年 | 90% |
15年保証 | 有償 | お渡し日~10年 | 90% |
11年~15年 | 85% |
出力保証だけでなく、10年間の自然災害補償も付きます。自然災害でパネルが壊れてしまった場合も修繕費用を保証してくれるのは安心ですね。
自動回答や故障診断などのアフターサポートあり
公式サイトでは、太陽光発電システム・蓄電池システム・HEMSの故障診断ナビページがあり、自分でもマニュアルに沿って故障の診断可能です。
アフターサポート画面では、故障診断のエラーコードが細かく一覧表示されるので探しやすく、さらに自動回答の質問チャットがあるので気軽に問い合わせできる点は非常に助かります。
太陽光発電事業から撤退した他メーカーリスト
2000年頃の太陽光発電事業といえば、シャープ、パナソニック、三菱電機の大手メーカー4社で世界シェア50%を占めており、持続可能な再生可能エネルギーとして注目されていました。
しかし、中国が太陽電池モジュールの生産に一気に参入し始めたことがきっかけで、2014年後半頃から産業用の需要に変調の兆しが出始め、国内の太陽光発電メーカーが次々と撤退。
2019年の太陽光発電メーカーの出荷量ランキングのトップ10には、中国メーカーが8社もランクインするなど、中国の太陽光発電市場は急成長する一方で、2021年の日本の世界シェアは約1%に留まっています。撤退を余儀なくされたメーカー3社を見ていきましょう。
ソーラーフロンティア
ソーラーフロンティアのCIS薄膜系太陽電池は、グッドデザイン賞特別賞を受賞するなど他メーカーと比較しても発電量が多い割に安い価格帯が特徴でしたが、2021年に国内生産を完全終了。
その後、中国メーカーによるOEMに切り替えることを発表し、自社製品ではなく競合他社製品を製造することで販売コストを大幅に抑えています。撤退後もアフターサポートなど長期保証は存続する模様です。
東芝
東芝は2010年に太陽光発電システムの事業を開始し、これまでに国内で10万戸以上の販売実績がありましたが、2021年に販売を終了。
東芝の太陽光パネルは「Sシリーズ」と呼ばれる単結晶型シリコンは、日射量の少ない朝や曇天&雨天時にも一定の発電量を確保するなど太陽光の有効利用が強みでした。住宅用の太陽光発電システムの販売と施工には20年以上の実績があっただけに、残念です。
三菱電機
2020年3月、三菱電機は太陽光発電に関連する自社ブランド機器の製造・販売から全面撤退を発表しています。
ただし、自社ブランド機器のアフターサービスについては、今後も継続する方針に変わりはなく、購入時の保証書記載内容に基づき従来通り対応してもらえます。
シャープは太陽光発電から撤退していないが子会社となった
シャープは2016年8月、鴻海(ホンハイ)グループに対して約3,888億円の第三者割り当てによる新株式発行を行い、事実上鴻海が筆頭株主となりました。結果的にシャープは太陽光発電から撤退はしなかったものの、シャープは鴻海グループの子会社となったのです。
シャープの太陽光パネルの既存客にとっては、まさに「寝耳に水」状態だったかもしれませんが、保証制度やアフターサポートは引き続き行われ、公式サイトでは引き続き太陽光発電システムの販売も行っていますから、ひとまず安心しましょう。
今後も引き続き、ものづくりを巡る日本社会と世界の動向には注視していきたいところです。