太陽光発電について調べていたら、保険加入すべきって出てきたよ!
メーカーの保証じゃ足りないのかな?
メーカーも保証はしてくれるけど、破損や廃棄などの事態はカバーできないよ!補償外のトラブルや、保険の選び方を解説していくね♪
太陽光発電の保険に加入すべき?
太陽光発電のメーカー補償外のトラブルに備えたいのであれば、保険に加入したほうが安心です。
メーカーは、製品や出力に関する保証はしてくれますが、ほかの事態はカバーできません。
また、資源エネルギー庁の「事業計画策定ガイドライン(太陽光発電)」では、修繕や廃棄に備え、火災保険・地震保険に加入努力を行うように記載されています。
太陽光発電システムを安全に利用するためには、保険に加入するべきといえるでしょう。
太陽光発電のメーカー保証範囲
太陽光発電の保険について解説する前に、メーカーの保証範囲を押さえておきましょう。
導入時点でメーカーが保証してくれている範囲を知れば、必要な保険を検討するときに役立つね!
メーカーの保証範囲は、おおむね下記の2つに分けられます。
- 製品保証
- 出力保証
それぞれの内容について、詳しく見ていきましょう。
製品保証
製品保証とは、製造過程に欠陥や不良が発生した場合に、損害を補償してくれるものです。
初期不良や故障といった内容だよ♪
家電の保証に近いイメージだね!
無償であれば10年前後の保証が多いですが、有償であれば15年以上など、より長期的にサポートしてくれるメーカーもあります。
初期費用の回収にかかる期間が10年前後である点を考慮すると、必要最低限の保証といえるでしょう。
太陽電池モジュールとパワーコンディショナーの両方で、修理か代替品との交換を選べるケースが多いです。
出力保証
出力保証とは、システムの発電量が一定値を下回った場合に、交換や修理に応じてくれるサービス。
10年保証のメーカーが多いですが、パナソニックや長州産業などでは、所定の手続きを踏めば25年もサポートしてくれます。
最大出力が80%以下になると、出力保証の対象となるケースが多いです。
ここまで解説した製品保証と出力保証は、心強いサポートにはなりますが、全てのトラブルを補填してくれるわけではありません。
太陽光発電のメーカー保証外になるトラブル例
太陽光発電のメーカー保証が受けられないトラブルとして、下記のようなものがあります。
- 災害や事故による破損
- 太陽光パネルの飛散による第三者への損害
- 廃棄費用
- 第三者による破損や盗難
- 発電停止による収入低下
災害や事故による破損
災害や事故による破損は、メーカーでは補償されません。
この項目でいう災害や事故とは、下記のようなケースを指します。
- 豪雨
- 積雪
- 落雷
- 火災
- 野生の動物による飛来物など
特に豪雨による水害は、平均気温の上昇に伴って件数が年々増加しており、太陽光発電システムからみても大きなリスクです。
1時間の降水量が80mm以上になる豪雨の年間発生回数は、1975年から右肩上がりに増えています(内閣府「防災情報のページ」)。
また、雪の重みに耐えきれず、ソーラーパネルが破損したケースもあります。
1㎥あたりの屋根に積もる雪は300kgにもなるといわれ、ソーラーパネルの負担もさることながら、屋根にかかる負担も非常に大きいです。
ソーラーパネルを20枚設置しているとすれば、雪も含めて屋根にかかる重みは600kg以上にもなるんだね!
過去に台風や雪で被害が出た地域では、架台や住宅の破損に備えて、保険加入を検討したほうが良いよ!
太陽光パネルの飛散による第三者への損害
台風や強風で太陽光パネルが屋根から吹っ飛び、第三者へ損害を与える可能性もあります。
特に施工不良やメンテナンス不足といった問題があると、災害時に思わぬ事故となって表面化してしまいます。
近隣の住民に怪我をさせてしまう事態となれば、治療費や慰謝料などが必要になるでしょう。
信頼できる業者に施工を依頼するほか、定期的にメンテナンスを行うことも重要です。
しかし、万全を期しても、圧倒的な自然のエネルギーを受ければ、太陽光パネルが破損する可能性は十分に考えられます。
第三者への被害に備えるためには、損害賠償保険への加入を検討したほうが良いね!
廃棄費用
自然災害で太陽光発電設備に損害を受けると、パネルの交換より規模を縮小したほうが、費用が安いケースもあります。
しかし、太陽光発電の廃棄費用は撤去工事や処分にかかる金額が高く、人件費だけでも10万円以上が必要です。
廃棄費用はメーカー保証の範囲外なので、災害時に思わぬ出費となってしまうかもしれません。太陽光パネル1枚あたりの処分費用がいくらかかるのか知っておきましょう。
また、いつか訪れる廃棄のタイミングに備えて、保険に入っておくと安心です。
東京海上日動火災保険では、募集期間が限定されているものの、廃棄費用もカバーする保険を販売しています。
第三者による破損や盗難
第三者による破損や盗難を受けても、メーカー保証の範囲外です。
太陽光発電の部品を転売する目的で、ケーブルやパネルが盗難される被害は、複数件報告されています。
引用:ANN NEWS
防犯カメラの設置も有効ですが、リアルタイムに盗難を予防できないとなると、修理や交換の費用が発生してしまいます。
盗難の他に、石を投げられてパネルが破損するケースもあるみたい!
第三者による破損や盗難に備えるためには、火災保険への加入を検討したほうが良いでしょう。
発電停止による収入低下
発電停止による収入低下も、メーカー保証の範囲外です。
発電停止による収入低下とは、破損や故障時などに設備が止まり、売電できなくなってしまうこと。
多くの人にとって、太陽光発電の導入費用は売電収入も見込んだ金額ですから、発電停止の期間が長期化すると、経済的に痛手となってしまいます。
休業保険に入っておくと、故障時など発電停止の期間が長引いても、保険金が支払われるよ♪
太陽光発電の保険と補償内容
太陽光発電のトラブルに備えられる保険は、大きく分けて下記の5つです。
- 火災保険
- 動産総合保険
- 休業保険
- 地震保険
- 施設賠償責任保険
それぞれの保険の補償項目について、下記の表にまとめました。
名称 | 火災保険 | 動産総合保険 | 地震保険 | 休業保険 | 施設賠償責任保険 |
---|---|---|---|---|---|
補償項目 |
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売電収入の補償 |
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各保険の相場や内容については、下記の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
太陽光発電の保険の選び方
太陽光発電で必要な保険を選ぶときは、下記のポイントを押さえることが重要です。
- メーカー保証と重複した範囲の保険には入らない
- 災害リスク
- 第三者への人的被害リスク
- 保険料
メーカー保証と重複した範囲の保険には入らない
太陽光発電の保険を選ぶときは、メーカー保証と重複したものに入らないようにしましょう。
このとき、メーカー保証が充実しているところを選んでおくのがおすすめです。
メーカー保証がしっかりしたところを選べば、加入する保険は最低限の範囲に留められるので、結果として保険料が節約できるからです。
例えばパナソニックの太陽光発電システムは、自然災害に対しても15年の補償が付いているよ!
パナソニックのメーカー保証は、地震や盗難については補償外であるものの、本来なら火災保険の補償範囲をカバーしてくれているため、加入すべき保険を軽くできるでしょう。
ほかのメーカーを利用する際も、自然災害をカバーしてくれるか、販売店に確認してみると良いです。
メーカー補償や加入済みの保険内容を確認し、重複しているサービスに申し込まないようにすれば、最低限の保険料でトラブルに備えられます。
居住地域の災害リスクを把握する
自宅の災害リスクを考慮したうえで、必要な保険を選びましょう。
居住地によって、備えるべき災害リスクは異なるためです。
例えば沖縄に住んでいるなら台風に備えるべきですが、北海道であれば台風より雪害への備えが重要でしょう。
自治体が公開しているハザードマップを活用し、居住地域の災害リスクを把握したうえで、火災保険や地震保険の加入を検討しましょう。
火災保険と地震保険の保証内容の違いを、下記の表にまとめました。
火災保険の保証内容例 | 地震保険の保証内容例 |
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特に火山や海沿いに近い住宅であれば、地震保険の加入を検討したほうが良いね!
自治体のハザードマップを使えば、災害時の震度や家屋全壊率なども分かるから、日頃から備えておこう♪
災害リスクを考慮したうえで、居住地域に合った保険を選びましょう。
第三者への人的被害リスクを考える
第三者への人的被害リスクが高いなら、損害賠償保険への加入を検討すべきです。
太陽光発電システムが第三者へ損害を与えた場合、修理費や治療費を支払わなければなりません。
台風や強風により太陽光パネルが破損すると、周囲の住民に怪我や感電のリスクがあります。
メガソーラーのパネルが台風で飛ばされた事故事例
引用:JAPAN UPDATE
反対に、郊外に住んでいて隣家との距離が非常に遠いのであれば、人的被害のリスクは比較的低いといえるよね!
第三者への人的被害リスクがどれくらいなのか把握し、ケースに応じて損害賠償保険に加入しましょう。
保険料を比較する
最後に、支払う保険料の金額も重要なポイントです。
例えば三井住友海上火災保険と、ソニー損保で火災・地震の保険をシミュレーションすると、下記の結果が算出されました。
保険名 | 三井住友海上火災保険 | ソニー損保 |
---|---|---|
1年 | 98,310円 | 71,876円 |
5年 | 491,550円 | 359,380円 |
1年で見ると26,000円ほどの差額ですが、保険加入期間が長期に渡れば、大きな開きが出ます。
もちろん細かい点で異なるところはあるものの、最終的には保険料の負担も考えて、保険を選ぶと良いでしょう。
太陽光発電の保険を提供している保険会社
この項目では、太陽光発電にも使える保険を提供している会社として、下記の5つを紹介していきます。
- 三井住友海上火災保険
- 損保ジャパン
- 東京海上日動
- あいおいニッセイ同和損害保険
- ソニー損保
三井住友海上火災保険
三井住友海上火災保険で、ソーラーパネルに適用できる保険は、下記のとおりです。
- GK すまいの保険
- GK すまいの保険 グランド
なお、「特定機械設備水災補償特約」をつければ、水災の事故条件に該当しない場合でも、洪水や土砂崩れによる補償として保険金が支払われます。
公式サイトによれば、「GK すまいの保険」の保険料例は下記のとおりです。
所在地 | 東京都 |
---|---|
タイプ | 持ち家・戸建て |
構造 | 木造:H構造 |
延床面積 | 100㎡ |
建築年月 | 2022年10月 |
建物の保険金 | 2,000万円 |
家財の保険金 | 1,000万円 |
1年の保険料:地震保険とセットの場合 | 98,310円 |
損保ジャパン
損保ジャパンで、ソーラーパネルに適用できる保険は、下記のとおりです。
- 火災保険
- 地震保険
公式サイトの「保険料クイック試算」を使ったシミュレーション結果を、下記の表にまとめました。
所在地 | 東京都 |
---|---|
タイプ | 持ち家・戸建て |
構造 | 木造:H構造 |
延床面積 | 100㎡ |
建築年月 | 2022年10月 |
建物の保険金 | 2,000万円 |
家財の保険金 | 1,000万円 |
1年の保険料:地震保険とセットの場合 | 77,320円(ベーシックⅱ型) |
東京海上日動
東京海上日動では、ソーラーパネルに火災保険を適用できます。
プラン例やシミュレーション機能は、公式サイトにありませんでした。
あいおいニッセイ同和損害保険
あいおいニッセイ同和損害保険では、ソーラーパネルに火災保険を適用できます。
公式サイトには、火災保険のシミュレーション機能はありませんでしたが、地震保険のみ試算できました。
所在地 | 東京都 |
---|---|
タイプ | 持ち家・戸建て |
構造 | 木造 |
建物の火災保険金 | 2,000万円 |
家財の火災保険金 | 1,000万円 |
1年の保険料:地震保険のみ | 24,660円~41,100円(建物) 12,330円~20,550円(家財) |
ソニー損保
ソニー損保では、ソーラーパネルに火災保険を適用でき、過去には雹災で補償を受けている事例もあります。
公式サイトでシミュレーションした結果を、下記の表にまとめました。
所在地 | 東京都 |
---|---|
タイプ | 持ち家・戸建て |
構造 | 木造:H構造 |
延床面積 | 100㎡ |
建築年月 | 2022年10月1日 |
建物の保険金 | 2,000万円 |
家財の保険金 | 1,000万円 |
1年の保険料:地震保険とセットの場合 | 71,876円(水災補償なし) |
太陽光発電の保険を適用させる手順
この項目では、太陽光発電の保険を適用させる手順をまとめています。
- 保険会社へ連絡
- 施工業者に修理見積もり
- 必要書類を提出
- 保険会社による調査・説明
- 保険金の支払い額の通知
- 施工業者へ修理依頼
万が一のトラブルで慌てないように、今のうちに手順をチェックしておきましょう。
保険会社へ連絡
メーカー保証外のトラブルが発生したら、まずは保険会社へ連絡しましょう。
必要な準備は、オペレーターが案内してくれるよ♪
災害時は、保険会社の連絡先がすぐに見つけられない可能性もあります。
スマホに連絡先を登録したり、いつでも見える位置に電話番号のメモを貼っておくと、いざというときに慌てず済みます。
施工業者に修理見積もり
次に、施工業者に修理や交換を見積もってもらいましょう。
この段階で、見積書と損害状況が分かる写真を準備します。
保険金の金額に影響するため、写真は損害部分がよく分かるように撮影してもらいましょう。
屋根上の写真を自分で撮影できないときは、無理せず業者に頼ろうね!
必要書類を提出
保険の手続きに必要な書類は、下記のとおりです。
書類名 | もらえる場所 |
---|---|
保険金請求書 | 保険会社(所定の書類) |
印鑑証明書 | 区役所等の窓口、コンビニエンスストアなど |
委任状 | 自作 |
罹災証明書 | 自然災害:自治体 火災:消防署 |
事故内容報告書 | 保険会社(所定の書類) |
建物登記簿謄本 | 法務局 |
修理見積書 | メーカー・施工業者 |
損害明細書 | 保険会社(所定の書類) |
写真 | 自分で撮影 場所によっては業者に依頼して撮影してもらう |
保険金直接支払指図書または証 | 保険会社(所定の書類) |
場合によっては、追加の書類提出を求められます。
保険会社による調査・説明
書類を提出したあとは、保険会社による契約の説明や、損害の状況調査の段階です。
保険金の支払い額の通知
保険金の支払額が決定されたら、通知が入ります。
保険の請求手続き期間は30日以内と定められているため、およそ1ヶ月で保険金を受け取れます。
ただし、権利発生から3年以内に請求しないと、時効になるので注意が必要です。
施工業者へ修理依頼
保険金を無事に受け取れたら、施工業者へ修理依頼を行いましょう。
以上が、太陽光発電のトラブル発生時に保険を適用させる流れです。
太陽光発電の保険はトラブル発生時の味方
本記事では、太陽光発電の保険について、トラブル例や選び方にも触れながら解説してきました。
太陽光発電を導入するなら、メーカー補償外の事態に備えて、保険に加入しておくべきです。
メーカー保証には、製品保証と出力保証がありますが、破損や盗難には対応できません。
また、近年増加傾向にある自然災害では、破損したパネルが飛散するケースがあり、第三者への損害リスクもあります。
賠償責任保険や休業保険も視野に入れつつ、太陽光発電の保険を検討しておきましょう。