太陽光発電はクリーンエネルギーへの転換を進める日本において、重要な位置を占めています。しかし、その恩恵を受ける一方で、台風などの自然災害がもたらすリスクにも目を向けなければなりません。
特に台風によって太陽光パネルが飛散し、事故を引き起こすケースが散見されるようになってきました。
このような太陽光発電所の事故は、周辺の対象外土地だけでなく、通常生活圏内における安全性にも影響を及ぼし得ます。
本記事では、そんな太陽光発電の台風被害を実際の写真とともに紹介しつつ、オーナー側が検討すべき対策を解説します。
台風で太陽光パネルが飛んだ事故事例
台風による被害で、太陽光パネル(ソーラーパネル)が飛ばされてしまった事故事例を見ていきましょう。
次の記事では、こういった被害も含めた上で「太陽光発電をつけてよかった」という意見、「やめときゃよかった」という意見をまとめています。併せて参考にしてください。
屋根に設置した太陽光パネルの落下事故
引用:朝日新聞
佐賀県にて、台風24号による強風の影響で、太陽光パネルが落下した事故事例です。
太陽光パネルを支える架台ごと外れてしまっており、お隣の家の屋根に引っかかった不安定な状態となっています。
当然、近隣住民に迷惑をかけることになりますし、場合によっては相手方の住宅の修理費用も負担しなければいけません。
太陽光パネルが割れた事故事例
引用:メガソーラービジネス
千葉県にて、台風の強風により飛ばされた木材が、太陽光パネルに突き刺さって割れてしまった事故事例です。
ここまで強烈な割れ方は滅多にないにしても、飛来物による太陽光パネルの破損被害は、毎年一定数報告されています。
場合によっては、破損が原因で太陽光パネルが発火することもあるので、非常に危険です。
メガソーラーのパネルが飛ばされた事故事例
引用:JAPAN UPDATE
沖縄県沖縄市で、マンションの屋上に設置したソーラーパネルが台風により駐車場に落下した事故事例です。
こういった台風被害を防ぐためにも、実績ある施工業者を選ぶことが非常に重要です。
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台風が原因で発生する太陽光発電設備の被害例
台風の強風・暴雨により発生する、主な被害事例は以下のとおり。
- ソーラーパネルが強風により飛散
- 風圧や飛来物の衝突による破損
- 接続部の強度不足による設備の変形
- 強風によるソーラーパネルの落下
- 暴雨による施工箇所からの雨漏り
弁償で済む話なら良いですが、人を怪我させれば大きな問題に発展します。だからこそ、日頃からの点検や、被害が出る原因を知ることが大切です。
ソーラーカーポートは強風の吹き上げで特に被害に遭いやすいため、後悔しないよう注意が必要です。
太陽光パネルが破損する原因
台風の影響でソーラーパネルが破損してしまう原因は、主に2つに分けられます。
- 施工不良や設計上のミス
- メンテナンスを怠った
どちらも事前に防ぐことができるものですので、事故につながらないようにしっかりと確認を行いましょう。
太陽光パネルの施工不良や設計上のミス
工事する際に、施工不良で本来発揮されるはずの耐久性が保持できない場合、暴風暴雨による影響で、浸水したり破損したりすることがあります。
素人施工業者による無資格工事の結果、台風によるパネル落下事故が発生した事故事例。
出典:Big Street
正当な業者が設置工事を行っていたとしても、設置する上で出された耐久度が、当該エリアで発生する台風に耐えることができなかった事例も珍しくありません。
そのため、太陽光発電システムを導入する際には、自分の地域で過去に起こった台風の規模なども考慮に入れて太陽光発電を設計してくれる、実績・経験ある業者に見積もりをとることが大切です。
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メンテナンスを怠った
メンテナンスを怠ったことで、台風時にそれが顕在化することがあります。
過去の事故事例では、太陽光発電の各パーツを接続しているボルトのゆるみが原因という事故もありました。
留め具が外れてモジュールが脱落した事故事例。
出典:スマートジャパン
太陽光発電システムを支えるボルトは、各パーツをしっかりと固定するのにとても重要な役割をしています。
経年劣化や緩みを放置していると、台風が来たときに太陽光パネルが飛んで行ってしまったり、変形や落下による破損の原因となります。
これは自然災害ではなく、メンテナンスを怠ったことによる人災です。
太陽光発電は本来、風速が強い台風被害に遭っても、飛ばされないように設計されています。
太陽光発電の設置方法や場所の指定は、メーカーによって厳格に行われているのですが、メンテナンスを怠ると、この限りではなくなってしまいます。
飛ばされて破損した太陽光パネルは破棄することになり、1枚あたりの処分費用も高額になるため、定期メンテナンスは欠かさずに実践しましょう。
台風が来たときの対処法
台風が実際に来てから焦っても、今からできることは何もありません。
台風時に畑の様子を見に行った農家さんが事故に遭うことが多いように、台風が来てからアレコレしようとしても、余計な事故を招くだけです。
警察によりますと山都町の坂本スミ子さん(78)が畑の様子を見に行った後、連絡が取れておらず捜索が続いています。山都町では午前6時までの1時間に90.5ミリの猛烈な雨が観測されました。
引用:熊本朝日放送
台風被害を防ぐためには、問題が発生する前に対策を講じておくことが重要なのです。
台風被害を防ぐ2つの対策
台風で発生する事故を防ぐには、下記の2点を押さえることが大切です。
- 地域の災害リスクを調べる
- 保険に加入する
余計なトラブルを防ぐためにも、確認していきましょう。
地域の災害リスクを調べる
太陽光発電をこれから導入したいと思っている方や、すでに導入している方も、太陽光発電を設置している地域にどのような災害のリスクがあるのかしっかりと把握して対策を施すことが重要になります。
その際に、国土交通省や各自治体が発表しているハザードマップが大変役に立ちます。
太陽光パネルを設置する前にこういった周りの環境・状況を徹底的に調査し、台風などの自然災害の危険のリスクが低い地域で太陽光発電を導入することが理想的です。
気象ニュースからも対象地域の過去の災害時例を確認すると、より精度の高い災害予想が立てられます。
それを踏まえて信頼のおける施工会社と綿密に相談し、どんな太陽光パネルやどんな方法で設置するか決定しましょう。
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保険に加入する
自然災害の規模によって太陽光発電システムの設備が損壊すると、再び稼働させるには大きな費用がかかります。
そうなると太陽光発電を設置する前にシミュレーションしていたコストや発電量にプラスして費用がかかるため、投資した金額の回収結果に大きな誤差が出てしまいます。
事業で言うところの赤字になる可能性もありますので、万が一に備え、災害時の損失を補填できる保険の加入をオススメします。
とはいえ、保険にも種類があり、どれを選べばいいか分からない人も多いことでしょう。中には自然災害に対応していない保険もあるので、安易に選ぶことは避けてください。
台風などの自然災害に対応していない保険
太陽光発電を設置する時に耳にするメーカー保証ですが、こちらは停電や自然災害による損失には対応していません。
何故ここでご紹介したのかと言いますと「メーカー保証」という名称なので、広範囲にわたるトラブルに対応している保険だと勘違いしやすいからです。
台風被害は自然災害なので、残念ながら保証はありませんので注意しましょう。
自然災害に有効な保険
メーカー保証は自然災害、停電などによる損失に対応していませんでしたが、それらに対応する保険はそれぞれ広範囲な損害を補償する内容になっています。
災害内容 | 火災保険 | 動産総合保険 |
---|---|---|
風災・雪災・雹災 | ○ | ○ |
水災 | ○ | ○ |
火災・落雷・爆発 | ○ | ○ |
盗難 | 補償範囲外 | ○ |
電気的事故・機械的事故 (ショート・スパークなど) |
○ | 補償範囲外 |
不測かつ突発的な事故 (飛来物による損傷など) |
補償範囲外 | ○ |
覚えておいてほしいのは、近隣の建物や人に被害を与えてしまった場合です。
台風によってソーラーパネルが飛散して、ほかの建物や人に被害を与えてしまった場合など、他者へ損害を与えた場合に補償が受けられる賠償責任保険があります。
自分だけの被害ならまだ我慢できるかもしれませんが、他者への損害は被害のケースによって、高額な賠償金を支払わなければならず、太陽光発電の所有者も大きな損失を受けます。
近隣住民との関係も悪くなりかねませんので、太陽光発電を設置する周辺の住宅や人通りの多さなどを考慮し、可能な限り賠償責任保険にも加入しましょう。
ちなみに、自然災害が原因で太陽光発電が停止してしまった際に売電保証を行っている「休業補償保険」という保険も存在します。発電量が減ったことによる売電収入の損失を補填してくれるので、万一の際にも安心です。
台風や落雷などの被害が懸念される地域の人は、こういった保険も視野にいれると良いでしょう。
ソーラーパネルの台風被害は対策可能
太陽光パネルは、台風による発生する強風で、飛ばされてしまったり、落下事故につながることもあります。
そういった事故を防ぐためには、定期的なメンテナンスや、実績ある施工会社を選ぶことが大切です。
また、万一の事故のときに備えて、損害を補填してくれる保険に入ることも忘れてはいけません。
太陽光発電が飛ばされて売電できなくなる状況に陥らないように、安全運営を心がけましょう。