雪国にソーラーパネルを設置したら、雪の影響を受けるのかな?
そうだね。雪による影響はいくつかあるね。
雪国ではソーラーパネルを使えないの?
雪対策をしてソーラーパネルを設置すれば雪国でも成功できるから、早速詳細を確認していこう。
ソーラーパネルに雪の影響はある?
雪国にソーラーパネルを設置しても、あまり発電できないのではないか?とお考えではないでしょうか。
確かに、雪の影響が全くないとは言えません。
ソーラーパネルへの雪による影響は、次のようなことが考えられます。
- 発電量低下を招く
- 太陽光発電設備や建物の損傷
- 落雪による事故
それぞれの影響について、詳細を説明していきます。
発電量低下を招く
太陽光パネルの上に雪が降り積もったままだと、パネルに影ができるので発電量が低下してしまいます。
今日は久しぶりに晴れ間がありましたが、屋根にはまだまだ雪が…。しばらく太陽光発電は得られそうにありません😇 pic.twitter.com/sZTVXPpFAX
— りょうパパ@積水ハウスシャーウッド (@zP24gq8fNK0mMhN) January 28, 2023
しかし、太陽光パネルに影を作るのは雪だけではありません。
鳥の糞が落ちてパネルの影になったり、伸びすぎた雑草がパネルを覆ってしまったりする可能性もあります。
一般的に、雪の日は晴れている日と比べると日射量が少ないので、発電量が低下する傾向があります。
太陽光発電設備や建物の損傷
雪の重さで負荷が掛かり、太陽光発電の設備や建物が損傷してしまう可能性があります。
太陽光パネル1枚だけの重量は、15~20kgほどです。
この重さの物を何枚も住宅の屋根に乗せ、更に水分を含んだ重さのある雪が太陽光パネルの上に降り積もったら相当な重量ですので、太陽光パネルや屋根が破損する事故に繋がりかねません。
落雪による事故
雪が降った後に晴れて気温が高くなると、住宅の屋根に積もった雪が解けて屋根の下に自然に滑り落ちることがあります。
この雪が屋根から滑り落ちる時に、近くに人がいたらトラブルになってしまうかもしれません。
太陽光パネルって普通の屋根に比べると雪が滑り落ちやすく、実際に落雪した雪の塊が人に直撃して怪我をしたという事故があるそうです。 pic.twitter.com/OG2TcpB5v3
— りょうま (@ryoma09012) January 26, 2023
積雪地域に住宅用の太陽光発電を設置するときは、落雪による事故などのリスクにどう対応するかなどを事前に検討する必要があります。
ソーラーパネルの積雪被害はある?
2023年に発生した大雪は、まだ記憶に新しい方も多いのではないでしょうか。
2023年の大雪では、短い時間で大量の雪が降り積もったことが特徴で、各地で記録的な積雪量となりました。
短時間で大量に雪が降ったため、太陽光パネルから雪が落ちる前にどんどん雪が降り積もり積雪荷重で架台に大きな負荷が掛かり、太陽光発電設備全体が倒壊する事故が発生しています。
ソーラーパネルは雪の重みにも弱い
昨年に続き「令和4年の大雪」も太陽光に爪痕
滋賀や群馬で倒壊
2022/05/03https://t.co/iPj5BZfL07 pic.twitter.com/e0ErIxHvZY— 無条件ベーシックインカム&住民投票 (@democracy_2008) January 24, 2023
これは、記録的な大雪が降った時に起きた事故です。
例年どおりの積雪量であれば施工時に雪の対策を行い、こまめに雪かきなどの予防をしていれば積雪による太陽光発電設備倒壊の被害は十分に防ぐことができます。
太陽光発電は雪国には不向き?
雪国に太陽光発電を設置するのは不向きなのでしょうか?
結論としては、決して不向きということはありません。北海道などの雪国でも、太陽光発電を設置するメリットは十分にあるのです。
- 太陽光パネルに熱に弱い性質があるため、気温が低い方が発電効率が高くなる
- 台風が滅多に来ないので、強風で飛んできた飛来物で機器が破損する被害が少ない
例えば長野県は夏に涼しく、冬には降雪もある地域ですが、発電量のランキングにおいて全国で上位という結果があります。
夏に日射量が多いことと、発電に適した気温が続くことが長野県で発電量が多い理由です。
雪国が太陽光発電に向いていないとは、決して言えません。
ソーラーパネルの雪対策
雪国にソーラーパネルを設置する場合は、雪対策が必須になります。
お勧めの雪対策は、次のとおりです。
- 除雪対策済みのソーラーパネルを選ぶ
- 雪止めで落雪防止
- 定期的に雪かきをする
- ソーラーパネルに傾斜をつけて雪を落ちやすくする
- パネルや架台の高さに気を配る
それぞれの雪対策について、詳細を見ていきましょう。
除雪対策済みのソーラーパネルを選ぶ
雪国では除雪対策されているソーラーパネルを選ぶことをお勧めします。
ソーラーパネルの上に約2.5mの積雪があっても耐えられるパネルや、パネル自体に融雪機能を持たせた太陽光発電システムなどがあります。
メーカー | 特徴 |
---|---|
カナディアン・ソーラー・ジャパン株式会社 | 積雪荷重5400Paと積雪が構造物に加える重さへの耐性が高いパネル |
株式会社環境システムヤマノ | パネル自体に融雪機能を持たせた逆電流加熱システムを装備した融雪太陽光発電システム |
株式会社エスパワー | 降雪センサーが雪を感知した際に、融雪システムが作動してパネル自体が発熱して雪を融かす太陽光発電システム |
ソーラーパネルメーカー毎の商品の特徴を理解したうえで、降雪量や屋根の形状にあったパネルを選ぶようにしましょう。
雪止めで落雪防止
住宅用の太陽光発電の場合、屋根の上に設置したソーラーパネルに降り積もった雪が滑り落ちることがあります。
万が一、雪が滑り落ちた先に人がいると大変危険です。
雪国で住宅用の太陽光発電を設置する場合は、必ず雪止めを設置して落雪防止対策をしましょう。
雪止めの種類としては、雪止めネットの設置がお勧めです。
定期的に雪かきをする
ソーラーパネルの雪対策として、雪かきも有効です。
ソーラーパネルの上に雪が積もったままでは、パネルに影ができ、せっかく晴れていても発電量が減ってしまいます。
雪かきをすることで、冬でも晴れていれば発電量を確保できるのです。
ソーラーパネルの表面に傷を付けないように、細心の注意を払いながら雪かきをするようにしましょう。
ソーラーパネルに傾斜をつけて雪を落ちやすくする
野立ての太陽光発電は、架台に角度を付けてソーラーパネルを設置し、傾斜を15度以上にすればパネルから雪が自然と滑り落ちるようになります。
土地の広さにもよりますが、傾斜を付けてソーラーパネルを設置するときは、アレイとアレイの間の距離をある程度広く取る必要があります。
引用:SoRA
前のアレイが後ろのアレイのパネルに影を作ることもあるからです。
最適な傾斜は、施工に詳しい業者と相談して決めると良いでしょう。
パネルや架台の高さに気を配る
積雪地域で野立て太陽光発電を設置するときは、地面からパネル下端までの高さを100cm以上にすると雪対策になります。
地面に積もった雪の上に、パネルから滑り落ちた雪が重なると、通路の積雪の高さがパネルよりも高くなり、通路の雪でパネルに影ができるのを防ぐためです。
雪国では、パワーコンディショナーも雪に埋もれないように、地面から100cm以上高い位置に設置する必要があります。
土地に余裕がある場合は、除雪がしやすいようにアレイとアレイの間広くとることも有効です。
雪国で太陽光発電の設置を成功させる方法
雪国に設置する太陽光発電で失敗しないためにはどうすれば良いのでしょうか?
雪国での太陽光発電設置を成功させるのにお勧めの方法は、次のとおりです。
- 雪国で実績が豊富な施工業者を選ぶ
- 雪止めを利用してソーラーパネルの設置枚数を増やす
- 発電シミュレーションを綿密に行う
- 自然災害も保証してくれる保険に加入する
- 補助金制度を利用して初期費用を抑える
それぞれの方法の詳細を説明していきます。
雪国で実績が豊富な施工業者を選ぶ
雪国での太陽光発電の施工実績が豊富な施工業者に依頼しましょう。
実績が多ければ、たくさんの事例を知っているからです。
雪が多い地域ではどのように施工すれば効率よく発電できるかなどを熟知しているので、疑問点にしっかりと回答してもらえる可能性が高く、安心して太陽光発電の施工を任せられます。
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雪止めを利用してソーラーパネルの設置枚数を増やす
屋根の雪止めの設置の仕方を工夫すれば、ソーラーパネルの設置枚数を増やすことができます。
単純に、パネルの枚数が増えれば発電量も増えます。
軒先にネットタイプの雪止めを設置すれば落雪の心配もなくなり、事故を防止できます。
また、屋根の大きさに合わせてパネルの設置の仕方を設計できるタイプのソーラーパネルや、屋根材自体がソーラーパネルになっている商品も発売されています。
メーカー | 特徴 |
---|---|
シャープ | サイズや形状が異なるソーラーパネルを屋根の大きさに合わせて組合わせて設計でき、最大限に屋根を有効活用してパネルを設置できる |
一条工務店 | 屋根材自体がソーラーパネルになっている「屋根一体型」パネルで、スマートで無駄なく大容量発電が実現 |
発電シミュレーションを綿密に行う
購入前の発電シミュレーションは、とても重要です。
太陽光発電の購入を検討する時に、物件紹介の一つで業者から発電シミュレーションが提示されます。
この発電シミュレーションに、冬場の降雪量や年間の日照時間などデメリットとなる部分が考慮された内容になっているか?などをしっかり確認するようにしましょう。
万が一、雪国ならではのデメリットが考慮されていないシミュレーションを元に収益予測を立ててしまうと、思ったより発電しないといった事態になりかねません。
購入する物件を決める前に十分なシミュレーションを行い、デメリットをクリアできているか検討することが太陽光発電で成功できるポイントの一つです。
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自然災害も保証してくれる保険に加入する
太陽光発電では、任意保険への加入が必須になります。
なぜなら、メーカーの無償保証は自然災害での故障は対象外だからです。
住宅用の太陽光発電の場合に加入を検討したい保険の種類をご紹介します。
保険の種類 | 保証対象 |
---|---|
住宅総合保険 | 住宅火災保険よりも広い範囲の事故が保証の対象。 自然災害による事故も対象になる。 ただし、地震や津波などの天災は保証の対象外。 |
火災保険 | 太陽光パネルは火災保険の対象になる。 ただし、地震が原因の火災、津波による天災は保証の対象外。 |
個人賠償責任保険 | 太陽光発電に起因した事故が原因で、第三者に損害を与えてしまったときの 損害賠償に対応している保険 |
様々な問題が起きることを想定して、自分に合った保険を選ぶと良いでしょう。
補助金制度を利用して初期費用を抑える
太陽光発電システム導入には、国が行っている補助金制度を利用できることがあります。
太陽光発電導入への国からの補助金制度は、2013年に一度終了しましたが、2021年に復活しています。
2021年に復活した補助金制度には、下記の条件がありました。
- 蓄電池とセットで使う
- FITで売電しない
2024年も太陽光発電単体の導入には補助金が出ていません。
今後も太陽光発電と蓄電池をセットで導入する場合には、補助金が利用できる可能性があります。
蓄電池は昼間に発電した電気を貯めておいて夜に使うことで電気代を節約でき、売電収入がなくても太陽光発電と蓄電池の購入費用をある程度回収できると言えます。
ソーラーパネルは雪の多い地域でも活用できる
雪が多い地域でも、適切に対策していればソーラーパネルのメリットを受けながら活用できることを説明してきました。
寒い地域で発電効率が高かったり、住宅の屋根にソーラーパネルを設置すれば電気代の節約ができたり、雪国ならではのメリットもあります。
雪国だから太陽光発電を設置できないと諦めずに、メリットに目を向けて太陽光発電の導入を検討してみてはいかがでしょうか。