住宅に自然エネルギーを導入して、環境に貢献しつつ節約できたら素敵だよね!地熱発電も良さそうだけど、デメリットはあるのかな?
地熱発電のデメリットはいくつかあるけど、「地中熱」という形で住宅に活用されているよ♪仕組みや家庭利用の方法も併せて紹介していくね!
地熱発電の仕組み
そもそも地熱発電とは、地下から発生する熱を利用して発電する仕組みです。
地球の中心部は5,000~6,000度の熱を持っていると言われますが、その熱を直接活用することは、現在の技術ではできません。
しかし、地表に出ているマグマだまりを熱源として活用すれば、エネルギーを生み出すことが可能です。
マグマだまりとは、1,000度以上の熱で岩が溶けている部分だよ。
温泉や噴気孔の近くなどに多く分布しているよ!
マグマだまりの近くには、雨水が浸透して蒸気や熱水が溜まっている「地熱貯留層」があります。
地熱発電では、地熱貯留層の付近に井戸を掘削し、取り出した蒸気でタービンを回転させ、発電しています。
発電の以下の3つの方式について、詳しく見ていきましょう。
方法 | 適しているタイプ |
---|---|
シングルフラッシュ方式 | 200~350度の高温の蒸気と熱水 |
ドライスチーム方式 | 蒸気のみ |
バイナリー方式 | 80~150度の中温の蒸気 |
シングルフラッシュ方式
シングルフラッシュ方式とは、日本で最も使用されている方法であり、200~350度の高温である熱水を汲み上げるのに適しています。
地中の水蒸気を蒸気と熱水に分離させたあと、蒸気によってタービンを回し、電気を発生させています。
分離させた熱水は、地下に戻される仕組みです。
ドライスチーム方式
ドライスチーム方式は、ほぼ熱水がない地熱貯留層に適している方法です。
蒸気が乾燥しているから、ドライスチームという名称なんだね♪
シングルフラッシュ方式では、水蒸気と熱水を分離させましたが、ドライスチーム方式では熱水がないため、そのままタービンに送って発電します。
ドライスチーム方式を採用した発電所は、国内では岩手県の松川地熱発電所のみです。
バイナリー方式
バイナリー方式は、取り出した蒸気が十分な熱を持っていない場合に適している方法です。
沸点が低い液体を地中から取り出した蒸気で加熱し、より多くの蒸気を発生させてタービンを回します。
バイナリー方式では、ペンタンやアンモニアなどの沸点が低い液体を用いるよ♪
ペンタンは、沸点が36度なんだね!
蒸発させた媒体は、凝縮器でもう一度液体に戻し、再利用されます。
地熱発電のデメリット
地熱発電のデメリットについて、下記の4つにまとめました。
- 発電効率が低い
- 地盤沈下を引き起こすリスクがある
- コストが高い
- 住民の理解を得にくい
それぞれ詳しく見ていきましょう。
発電効率が低い
地熱発電は、他の自然エネルギーに比べて発電効率が低いのがデメリットです。
代表的な発電方法と、発電効率を下記の表にまとめました。
発電方法 | 発電効率 |
---|---|
水力発電 | 80% |
火力発電 | 55% |
風力発電 | 40% |
太陽光発電 | 20% |
地熱発電 | 10~20% |
このなかでは、地熱発電が一番発電効率が低いんだね!
発電効率が低い理由は、発生させる水蒸気の温度が比較的低いためといわれているよ!
地盤沈下を引き起こすリスクがある
地熱発電は地下水を汲み上げるため、地盤沈下を引き起こすリスクがあります。
地盤沈下は、地下水の通り道がなくなると、地面全体が下がってしまうことで起きるとされています。
地盤沈下が起きたら、建物が傾いちゃうし、地下の水道も壊れちゃう!
地中の水を流せなくなるから、少し雨が降っただけで浸水被害が起こるリスクもあるんだよ!
コストが高い
地熱発電は、発電所を開発するコストが高いです。
他の自然エネルギーと、地熱発電の建設費用を表にまとめました。
発電方法 | 建設費用/1kWあたり |
太陽光(事業) | 20.8 万円 |
風力 | 34.7 万円 |
中水力 | 33~90万円 |
地熱 | 79 万円 |
太陽光発電と比べると、約3.8倍の費用がかかるんだね!
太陽光発電が20年使えるのに対して、地熱発電は30年以上稼働できるといわれているけど…それでも初期費用が莫大だよね。
住民の理解を得にくい
地熱発電は自然破壊につながる恐れがあり、住民の理解を得にくいです。
発電所の建設にあたって、下記のような問題が想定されます。
- 大規模な工事なので、建設中の騒音が大きい
- 国立公園や温泉付近が適しているが、発電所の建設は景観を損ねる
- 温泉が枯渇する可能性がある
地熱発電は地下深くから熱を取り出すから、温泉に悪影響を与えるリスクがあるんだね!
温泉や旅館で生計を立てている方からすると、枯渇のリスクがあるものには賛成しにくいよね…
地熱発電のメリット
ここまで地熱発電のデメリットについて触れてきましたが、一方でメリットもあります。
この項目では、地熱発電のメリットについて、下記の5つにまとめました。
- 有害物質の排出量が少ない
- 発電時に出る蒸気や熱水を再利用できる
- 天候や昼夜関係なく供給できる
- エネルギー源が枯渇しない
- 輸入に頼らなくて良い
それぞれのメリットについて、詳しく見ていきましょう。
有害物質の排出量が少ない
地熱発電は、二酸化炭素をほぼ排出しないため、クリーンなエネルギーです。
発電方法別の二酸化炭素排出量を、下記の表にまとめました。
発電方法 | 二酸化炭素排出量(1kWhあたりのグラム数) |
---|---|
石炭火力発電 | 975.2 |
石油火力発電 | 742.1 |
太陽光発電 | 53.4 |
風力発電 | 29.5 |
原子力発電 | 21.6 |
地熱発電 | 15.0 |
地熱発電の15.0という数字は、設備建設のためなど間接的な排出量なので、直接的な排出量はほぼゼロです。
地熱発電は環境問題に向き合ううえで、非常に有用なエネルギーといえるでしょう。
発電時に出る蒸気や熱水を再利用できる
発電時に出る蒸気や熱水は、農業用ハウスや地域の暖房などに再利用できます。
例えば岩手県の松川地熱発電所付近には、農業用ビニールハウスが並び、寒い時期でも温水を利用して室内を温めています。
東北の冬は厳しい寒さだけど、蒸気や熱水の再利用によって、1年中農業を行えるんだね!
暖房機能に使われた温水は、その後ビニールハウス周辺の融雪に使用されるため、無駄になるところがありません。
天候や昼夜関係なく供給できる
地熱発電は、天候や昼夜関係なく電力を供給できるのがメリットです。
例えば太陽光発電は日射量に左右されるため、天候不良時や夜間は発電できません。
一方で、地熱発電は地中の熱を利用するので、安定した発電が可能であり、ベースロード電源として期待されています。
ベースロード電源とは、コストが安く安定した供給ができる電力のことだよ。この割合が高いと、停電のリスクも減らせるよね♪
エネルギー源が枯渇しない
地熱発電は、石油や原子力発電所のウランのように、数に限りがあるわけではありません。
マグマだまりの熱を利用するため、エネルギー源が枯渇する心配はないといえます。
一方で、現在使用している燃料は、このままのペースで使うと150年以内に使い切ってしまうといわれています。
燃料 | 残り期間 |
---|---|
石油 | 50年 |
石炭 | 134年 |
天然ガス | 53年 |
ウラン | 137年 |
枯渇の心配がない地熱発電は、今後のエネルギー源として期待値が高いです。
輸入に頼らなくて良い
日本は世界で3番目に多い地熱資源を有しているため、地熱発電が普及すれば、エネルギーを輸入に頼らず良くなります。
2019年度の日本のエネルギー自給率は12.1%であり、他国への依存度が大きいです。
自給率が低いと、飢饉が起きたり情勢が不安定になったりしたら、どんどん価格高騰しちゃう!
地熱資源を有効に活用できるようになれば、燃料が高騰しても、国内で安く電力を確保できるよね♪
地熱発電を住宅で利用する方法は限定的
ここまで、地熱発電のメリット・デメリットについてお伝えしてきましたが、住宅ではどのように活用できるのでしょうか。
地熱貯留層がある場所は限られているほか、導入コストも高いため、地熱発電を利用している住宅向けのシステムはありません。
ただ、「地中熱」を利用したシステムはあり、冷暖房や換気の機能として活用されています。
地中熱は、地下10~15mの浅い部分にある熱エネルギー。
その浅い部分では、夏も冬も温度が一定に保たれているんだよ♪
地中熱が住宅でどのように利用されているのか、機能別に見ていきましょう。
冷房
地中熱は、冷房機能として活用できます。
室内の熱を地中に放出すれば、少ない電気で住宅を冷やすことが可能です。
冷房の熱を屋外に排出しないので、ヒートアイランド現象の原因にならないメリットもあります。
ヒートアイランド現象は、都市部のほうが郊外より気温が高い現象だよ!
東京だと100年前より平均気温が約3度も上がってるんだって!
ヒートアイランド現象は、自動車やエアコンなど排熱の増加も原因であるといわれているよ!
地中熱利用促進協会によれば、地中熱によるヒートポンプシステムを導入した東京都心のオフィスビルでは、年間の電気代を49%も削減できています。
地中熱システムを利用した冷房は、節電と快適さを両立できる機能といえるでしょう。
暖房
地中熱は冷房だけでなく、汲み上げて暖房としても利用できます。
例えば、株式会社コロナの「家庭用地中熱ヒートポンプ冷温水システム」では、使用する電気の2~4倍のエネルギーで暖房が使用可能です。
環境省の「令和2年度地中熱利用状況調査の集計結果」によれば、地中熱利用システムの普及件数は、北海道がトップであるため、暖房機能として重宝されているとうかがえます。
通常のエアコンが利用できない-15度以下の酷寒地域でも利用可能だよ♪
北海道でヒートポンプの普及率が一番多いのも納得だね!
換気・花粉対策
地中熱を利用したシステムは、換気や花粉対策にも効果的です。
株式会社ジオパワーシステムでは、地中のパイプで空気を循環させて、チリや花粉・ホコリを底部の水に吸着させ、綺麗にするシステムを提供しています。
公式サイトによると、花粉程度の大きさのチリは90%以上除去できるというデータがあります(参考「空気をきれいに~粉塵が水に吸着~」)。
利用者の感想によると、花粉症や喘息の症状が緩和したという人もいたので、高い効果がありそうだね!
地熱発電はデメリットがあるが将来性もある
本記事では、地熱発電のデメリットについて、仕組みやメリットにも触れながら解説してきました。
地熱発電は、マグマだまりの周辺にある地熱貯留層から、蒸気や熱水を取り出して発電する仕組みです。
高いコストや、発電効率の低さなどのデメリットがある地熱発電は、他の自然エネルギーに比べて普及が進んでいません。
とはいえ、火山大国である日本の地熱資源は世界でも上位レベルに多いため、安定した電力供給という視点からすると、地熱発電の期待値は大きいです。
住宅では地中熱による冷暖房システムが利用されていますので、電気代対策として導入するのも良いかもしれません。