「パワコン容量ってどう計算するの?」と悩んでいる方が多いって本当なのかしら?
同じ住宅用のパワコンでもメーカーや機種によって容量が違うケースもあるから、選び方が分からないと考えている方は多いかもしれないわね。
パワコン容量の選び方が分からない方は、どうやって太陽光発電を始めたら良いの?
パワコン容量の選び方が分かるように、パワコンの機能やどのように容量を決めたら良いかを解説していくね。
パワーコンディショナーの機能とは
「パワーコンディショナー」略してパワコンは、太陽光発電システムに欠かせない機器の1つです。
パワコンは太陽光パネルが発電する中で、複数の役割を持っています。
ここでは、パワコンに備わっている機能にはどのようなものがあって、どのような働きをしているのか詳細を説明します。
太陽光電力の変換
私たちの家庭に電力会社から供給されている電気は、全て「交流電流」です。
一方で、太陽光パネルで発電しただけの状態の電気は「直流電流」のため、そのままでは電力として利用できず自家消費も売電もできません。
この直流電流を、交流電流に変換するのがパワコンです。
引用:CHANGE
パワコンがなければ、太陽光パネルで環境に配慮した電気を作っても使えない事態になってしまいます。
系統連系保護機能
パワコンには、系統連系のトラブルを回避する機能が備わっています。
系統連系とは、太陽光発電システムと電力会社の設備をケーブルでつないで、発電した電気を売電できるようにすることです。
太陽光発電システムで何かトラブルが起きた際に、パワコンの系統連系保護機能が働いて電気の出力を遮断します。
パワコンが検知するトラブルは、以下の3つです。
- 周波数の上昇または低下
- 過電圧または電圧不足
- 系統電力の停電
これらのトラブルが起因する電気系統の事故を、パワコンが防いでくれています。
最大電力追従制御機能(MPPT)
最大電力追従制御機能(MPPT)は、太陽光パネルが発電した電気が最大・最適になるように自動で制御する機能を指します。パワコンには、このMPPT機能が搭載されています。
天候の変化や機器にかかる負荷によって太陽光パネルでの発電量が上昇したり下降したりするため、常に最大の電気を引き出せるように調整するのがパワコンのMPPT機能です。
パワコンのMPPT機能で発電量を制御することで、太陽光発電での効率良い発電を実現しています。
パワコン容量の計算方法
一般的にパワコンと太陽光パネルは、同じくらいの出力容量の機器同士を組み合わせます。
1枚あたりの出力が250Wの太陽光パネル20枚を設置すると仮定したら、合計の出力容量は5,000W(5kW)です。
この場合、パワコンは5kW前後の製品を選ぶと機器同士にかかる負荷を減らせます。
一般的に、パワコンの容量は5.5kWの製品が多い傾向です。
パワコンの選び方
パワコンを選ぶ際にチェックしたいポイントは、変換効率や容量だけではありません。
サイズや静音性などパワコン選びで注目したいポイントは、いくつもあります。
項目ごとに確認が必要な事項が分かれば、パワコン選びでの失敗を回避できます。
どのような点に注目してパワコンを選べば失敗が少ないのか、詳しく見て行きましょう。
変換効率
パワコン選びでは、変換効率が重要なポイントです。
変換効率とは、太陽光パネルが作った直流電流を交流電流にパワコンが変換する際、どれくらいのロスがあるかを表しています。
一般的に変換効率が、95%〜97%の間のメーカーが多い傾向です。
発電した電気が100%電気として使えたり、売電できたりするわけではないため、変換効率の数値が高いパワコンを選んで発電量を確保することが大切になります。
定格出力
定格出力は、1台のパワコンが出力できる電力の容量を表しています。
単位は「ワット(W)」で、パワコンの性能を示す性能の1つです。
太陽光発電システムに合った適切な定格出力のパワコンを選択すれば、効率良く安定した発電量が得られます。
パワコンの出力だけが大きいといったことがないように、最適な定格出力の機器を選ぶことが重要です。
過積載の可否
パワコンを選ぶ際、過積載ができるかどうかの確認も欠かせないポイントになります。
過積載とは、パワコンよりも太陽光パネルの容量を大きくして、朝や夕方などの発電量が少ない時間帯にも安定した発電量確保を目的とする設置方法です。
過積載にするとパワコンに負荷がかかるため、耐性があるパワコンを選ぶ必要があります。
サイズ・大きさ
住宅用の太陽光発電では、屋内にパワコンを設置するケースが一般的です。
ブレーカーの近くにパワコンを設置するため、パワコンのサイズは大きすぎないのが理想です。
玄関や浴室の脱衣所にパワコンを設置する事例が多いですが、どちらも広いスペースではないため、設置場所に合うサイズを選ぶようにしましょう。
静音性
パワコン選びでは、稼働時の音が静かかどうかも重要なポイントの1つです。
太陽光パネルが発電する日中は、パワコンも常に運転しています。
住宅用の太陽光発電で屋内にパワコンを設置しているケースでは、日中に在宅する家族がいると稼働音が気になるという意見もあがりかねません。
パワコンの音が気にならないようにするためには、図書館や昼間の住宅地くらいの騒音値の40デシベル程度の製品を選ぶのがおすすめです。
塩害対応
屋外設置用のパワコンを海からの距離が近い場所に設置する場合、塩害に対応した機種を選ぶ必要があります。
塩害地域かどうかは、海岸からの距離や地域で決まります。一般的な塩害地域は、以下の表のとおりです。
海岸からの距離 | 地域 |
---|---|
500mまで | 重塩害地域 |
500mから2kmまで | 塩害地域 |
太陽光発電の設置場所が塩害地域に該当するか判断が難しい場合は、メーカーに問い合わせた上でパワコンを選ぶと良いでしょう。
電力の供給方式
電力の供給方式とは、電力会社から電力の供給を受ける方法のことです。
電力は大きく分けて、以下の2つの方式で供給されています。
電力供給方式 | 単相 | 三相 |
---|---|---|
電圧 | 100Vまたは200V | 200V |
用途 | 住宅 小規模施設 |
工場 商業施設 メガ発 |
特徴 | 一般家庭に供給されている電気 | 安定した電力供給が受けられる |
一般家庭の電力は単相方式で供給されているため、住宅用の太陽光発電に利用するパワコンは単相式に対応した種類を選びましょう。
設置場所
一般的なパワコンの設置場所は、以下のとおりです。
太陽光発電の種類 | パワコンの種類 | パワコンの設置場所 |
---|---|---|
住宅用 | 屋内用 | ブレーカー付近 |
産業用 | 屋外用 | 太陽光パネルの下 |
基本的に屋内設置用のパワコンはコンパクトサイズで製造されていますが、設置場所の広さに合わせて邪魔にならないサイズを選ぶと良いでしょう。
自立運転機能
パワコンの自立運転機能とは、停電が起きたときに太陽光パネルが発電した電気を使える機能のことです。
停電時に家中の電気を賄えるわけではありませんが、スマホの充電や照明などには利用できます。
蓄電池と太陽光発電を併用しない場合は、自立運転機能が付いたパワコンを選べば災害への備えになって安心です。
メンテナンスの手軽さ
住宅用の太陽光発電のパワコンは、基本的に屋内に設置するため手軽にメンテナンスできます。
産業用の太陽光発電ではパワコンを屋外に設置するため、ほこりなどの汚れが付きやすいです。
パワコンに汚れが付着したまま長期間放置していると、電気の変換効率が下がったり、故障の原因になったりします。
パワコン選びでは、メンテナンスのしやすさも大切なポイントになります。
価格
2022年度に設置された住宅用太陽光発電で、パワコンの平均価格は1kWあたり42,000円だったと経済産業省がまとめています。
FIT制度が始まった2012年頃と比較すると、太陽光発電設備の価格は年々値下がりしています。
業者から見積もりを取得した際は、価格が高すぎないかなどをチェックして相場よりも高い金額で販売していないかなど確認するようにしましょう。
パワコンのトラブル例
パワコンの故障などが原因で、発生する可能性があるトラブルの事例を紹介します。
以下のような場合は、パワコンが故障している可能性があります。
- 発電量が急激に減った
- パワコンのディスプレイにエラーコードや警告メッセージが表示されている
- 電源ランプが点灯していない
- パワコンから異音や異臭がする
過熱によって自動的に運転を停止したり、落雷の影響で故障したりすることがパワコンのトラブルの原因です。
このようなトラブルは、定期的にメンテナンスを行って都度対策をしていれば発生の可能性を減らせます。
パワコンに少しでも異常を見つけたら、業者に点検を依頼するようにしましょう。
パワコンが故障する原因
パワコンは電化製品のため、長期間運転させていると様々なことが起因して故障します。
故障した状態のまま発電を続けると、火災などの大きな事故につながりかねません。
この章では、パワコンの故障に繋がる要因にどのようなものがあるか紹介します。
是非、パワコンの異常を早期に発見して、トラブルを防ぐための参考にしてみてください。
経年劣化
パワコンが故障する原因の1つに経年劣化がありますが、これは避けて通れません。
長く使用していると徐々に発電効率が下がり、寿命を迎えます。
経年劣化のスピードを少しでも緩やかにするために、定期点検やメンテナンスを確実に実施して問題が起きそうな箇所を減らす対策が必要です。
パワコンの経年劣化による不具合を発生しにくくするためには、安心して定期点検やメンテナンスを任せられる業者に依頼できるかが重要になります。
施工不良
施工不良も、パワコンが故障する原因になります。施工不良が起きる要因は、以下のとおりです。
- 配線間違い
- ケーブルの接続ミス
ケーブルを接続する箇所は、防水テープを巻きつけて雨水などが内部に侵入しないように処理をします。
しかし、この処理がうまくできていないとケーブルの接続ミスとなり、雨水が入り込んで配線ショートなどの故障に繋がります。
太陽光発電の施工実績が豊富な業者を選ぶのが、施工不良による故障発生の回避策です。
自然災害
雷が近くに落ちると、パワコンが故障する可能性があります。
落雷の衝撃でパワコン内部で過電圧が発生すると、回路や電子部品がダメージを受けるからです。
避雷器を設置すれば過電圧を防ぐ効果があるため、パワコンを保護できます。
落雷が多い地域では、接地や絶縁での対策や定期点検の実施が自然災害によるパワコンの故障を防ぐためのポイントになります。
パワコンに関してよくある質問
太陽光発電の導入を検討されている方が、パワコンについて疑問に思われている内容をまとめました。
ここでは、よく質問されている疑問への回答を紹介します。
メーカーの一覧やランキングが知りたい
パワコンのメーカーや機器のタイプを一覧で比較したい、といった質問が多く独自のランキングが公表されています。
シェア率が高いメーカーの順位や、機能面で順位をつけるなどランキングの内容は様々です。
以下の記事では、パワコンの変換効率が95%以上ある上位のメーカーランキングを一覧で紹介していますので、パワコン選びの参考にしてみてください。
過積載によるデメリットは?
太陽光発電でパワコンよりも太陽光パネルの出力容量が大きい過積載にする場合、以下の3つのデメリットが考えられます。
デメリット | 内容 |
---|---|
初期費用が高くなる | 設置する太陽光パネルの枚数が増える分、価格が上がります。 |
ピークカットされる | パワコンの容量を超えた発電量があると、自家消費も売電もできずにカットされます。 |
メーカーの保証が受けられない可能性がある | 過積載を推奨していないメーカーのパワコンで不具合が起きた場合、保証期間内であっても無償保証の対象外になります。 |
デメリットになる点を考慮した上で、過積載にするかどうか慎重な検討が必要です。
パワコン容量の選び方を知り太陽光発電を始めよう
ここまで、パワコンの機能や容量の選び方について解説してきました。
太陽光発電システムの出力容量に合ったパワコンの容量にすると、ピークカットされる電力がなく効率的に発電できます。
電化製品であるパワコンは、長期間運転していると故障のリスクが高くなるためこまめなメンテナンスが重要です。
自宅の屋根に太陽光発電を導入するか検討中の方は、本記事でパワコン容量の選び方を理解していただいた上で販売店への問合せから初めてみてはいかがでしょうか。