ネットで見たんだけど、太陽光発電の買取制度が終わっちゃうんだね!困るわー!
そのネタ、嘘よ!
確かに太陽光発電の買取制度が終わるって言う人もいるけど、現時点では正式な発表はないし、何の問題もないわ!
太陽光発電の買取制度はいつまで?
上記のようにお考えの人も多いのではないでしょうか。
しかし、現時点では2023年のFIT買取価格まで発表されており、家庭用なら10年、産業用なら20年後まではFITが適用できるのでご安心ください。
FIT制度が終わった11年目以降については、東京電力などの民間の電力会社においても、単価は低くはなりますが、FIT期間終了後にも電力の買取は継続することができます。
例として、東京電力エナジーパートナーの買取条件としては下記のとおりです。
項目 | 内容 |
---|---|
買取単価(変動します) | 1kWhあたり8.50円 |
契約期間 | FIT期間満了日の翌日から1年間の自動更新 |
対象エリア | 関東 |
このような電力買取プランはほかにも存在しており、FIT期間が終了しても売電することができるので安心と言えるでしょう。
FIT(固定価格買取制度)は終了する?
現時点ではFIT終了の予定はありませんが、FIT終了が囁かれているのは事実です。
なぜ売電できなくなると言う噂が立ったのでしょうか。
それは下記が原因だと考えられるので、解説していきます。
2019年問題が誤解を招いた
2009年11月から、FITの先駆けとなる「余剰電力買取制度」が始まり、10年後の2019年に買取制度の満期を迎えた太陽光発電が沢山出てきました。
これがいわゆる「2019年問題」で、新聞に「廃止」「終了」というワードが並んだために誤解を受けてしまいました。
初めて買取制度の満期を迎え電力の買取終了後、この先どうして行くのかが不明瞭だったことが問題視されてしまったのです。
もちろん2019年に買取制度の満期を迎えようと、太陽光発電は稼働でき、売電することは可能です。
ただ電力の買取価格は下がってしまうので、注意が必要になります。
再エネ賦課金の高騰
再エネ賦課金とは、2012年にスタートした再生可能エネルギー発電促進賦課金の略で、FITによる電力の固定価格を維持するために、私たちが毎月の電気料金で負担しています。
再エネ賦課金は年々上昇しており、開始当初の15倍も負担が増えました。
実は再生可能エネルギーの普及が進むにつれて、私たちの負担は増えていくのです。
2023年5月からまた再エネ賦課金が値上げされるので、SNSなどでは「再エネ賦課金をやめて原発を稼働しろ」との声も上がっています。
しかし、東日本大地震で住む場を追われた方達のことを思うと、再エネ賦課金は必要と言えるでしょう。
これから太陽光発電を設置する人への注意事項
FITは現在のところ終わらないのはわかりましたが、これから太陽光発電に参入しようと考えている人に、お伝えしたいことがあります。
注意事項を押さえて、後悔のない太陽光発電にするためには何が必要か、確認しましょう。
初期費用回収のシュミレーションをする
太陽光発電の初期費用は、間違いなく高額になるでしょう。
FIT期間中の10年〜20年間にできるだけ早く初期費用を回収することが、太陽光発電の重要項目と言えます。
早く初期費用を回収できれば売電による収益を早く得られるようになるので、シミュレーションはしっかりと、確実に行う必要があります。
- 年間でどれだけ売電収入を得られるか
- 融資額はいくらか
上記によって初期費用の回収期間を割り出しておきましょう。
太陽光発電の初期費用は年々下がっており、土地付きの太陽光発電所も運用可能です。
さらにソーラーローンや助成金を活用することで、初期費用0円で運用を始めることもできます。
そうなると収益がまるっと利益になるので、魅力的ですね。
2020年のFIT法改正で全量売電のルールが変わった
2019年までは、50kW未満の住宅用太陽光発電などの小規模発電所でも、電力の全量買取が可能でしたが、2020年以降は小規模発電所で発電した電力の30%は自家消費するというルールに変更されました。
2020年度から産業用の太陽光発電のkW数によって売電価格も変わり、2019年までは地域によって売電価格が違いましたが、2020年のFIT改正法により全国一律の売電価格に変わりました。
FIT制度は毎年更新されますので、売電価格をしっかり確認する必要があります。
さらに2022年4月から、FIP制度がスタートしました。
50kW以上と1MWの太陽光発電はFIT制度かFIP制度のどちらかを選ぶことができ、1MW以上の太陽光発電は、FIP制度に移行になります。
このように、太陽光発電の制度はどんどん進化していくので、チェックを欠かさないようにしましょう。
出口戦略を綿密に立てる
太陽光発電投資を始めたは良いけど、出口が見えていないと不安ですよね。
FITによる固定買取価格の期間は10年〜20年なので、その期間に初期費用を回収し、利益を出す必要があります。
太陽光発電投資はいつまでに初期費用を回収するかをシミュレーションし、卒FIT後の出口戦略を綿密に立てる必要があ流と言えるでしょう。
出口戦略とは、電力の固定価格買取期間が終わった後どうするかを考えることです。
出口戦略 | メリット | デメリット |
---|---|---|
自家消費する | FIT期間が終了しても、自家消費なら関係ない。 | 設備の維持費用がかかる。 |
電力会社と契約して売電する | 収益が得られる。 | FIT期間が終了後なので、売電価格が大幅に下がる。 |
太陽光発電設備を売却する | 撤去費用が不要。 | FIT期間終了後の物件は買い手が付きにくい。 |
太陽光発電設備を撤去する | 設備の維持費用から解放される。 | 撤去費用がかかる。 |
これらの中から、自分のライフスタイルに合った出口、メリット・デメリットを考慮して決める必要があります。
家庭用太陽光発電の10年後とは?
家庭用のFIT期間は10年間ですので、電力の固定価格買取期間が終わった10年後は一体どうなるのでしょうか。
実は電力を自家消費したり、太陽光設備を撤去したりと様々な選択肢があります。
ここでは、太陽光発電を導入して10年後の未来にどうすべきか提案させていただきます。
電力は売らずに消費する
電気を自家消費することにより、昨今の電気料金の高騰が続く世の中の流れに乗らなくて済みます。
世界情勢が不安定な昨今、電気料金の高騰は今後も続いて行くことが考えられますので、今必要なのは蓄電池を導入して電気を蓄え、電力を購入する必要のない暮らしと言えるでしょう。
昼間、蓄電池に貯めた電気を夜消費することでまかなえますし、災害の多い日本で停電時に蓄電池があると電気が使えるのでとても便利です。
蓄電池があれば自宅に充電設備が導入できるという点から、今後EV車の導入も検討してみる価値はあります。
EV車自体にも大容量のバッテリーが搭載されており、蓄電池のような使い方も可能で、災害時やキャンプの時など電気を利用することができて便利です。
余剰売電を継続する
余剰売電を継続することは、正直に申し上げるとおすすめではありません。
近年の電気代の高騰により、卒FIT後は売電するより自家消費することをおすすめしたいです。
なぜなら売電価格は年々下がっているのに、電気料金は年々上がっているので、余剰売電のメリットは少ないと言えるでしょう。
余剰売電はFIT期間中はメリットはありますが、FIT期間終了後の売電収入は約80%下がってしまいます。
卒FIT後は蓄電池を導入し、電気を自家消費するのが一番の節約になると言えます。
産業用太陽光発電の20年後とは?
10kW以上の産業用太陽光発電の場合、卒FITは20年後です。
家庭用より10年長いですが、卒FIT後は産業用太陽光発電施設を一体どうすれば良いのでしょうか。
発電所の運用を継続する
20年後も発電所の運用を続ける場合、電力会社と契約して売電を継続する必要があります。
しかし2012年にスタートしてから20年後は2032年になるので、正直に言いますと未来のことはまだ確定しておらず、20年後に事業者自らが電力会社と売電価格を決めることになるでしょう。
発電所の運用を続ける場合、以下のことも考慮する必要があります。
- 太陽光システムのメンテナンス
- パワーコンディショナの交換
- 固定資産税
売電価格が納得できる価格の場合は、発電所の運用を続けるのもひとつの手と言えるでしょう。
発電所を売却する
上記の場合、太陽光発電所の売却を考えましょう。
高く売却するポイントは以下になります。
- メンテナンスがきちんとされており、設備の状態が良い
- 売電の実績が良い
- 周辺の環境が良い
- メーカー保証内
売却に関しては、実績と評判がある企業にお願いすることをおすすめします。
FIP制度という新たな選択肢
2022年4月より、FIP制度がスタートしました。
FIP制度はうまく利用すると、売電収入を増やせる可能性があります。
少々複雑なFIP制度を、分かりやすく解説していきます。
FIP制度とは
FIP制度とは、売電の際にプレミアム価格(補助金)が加算される制度のことです。
プレミアム価格(補助金)は20年間固定で基本的には変動しません。
考え方としては、上記のようになります。
FITは20年間買取価格が固定されますが、FIP制度は買取価格が株のように変動するので、売る時期によってプラスになったりマイナスになったりします。
簡単にメリット、デメリットをまとめました。
メリット | デメリット |
---|---|
蓄電池を活用することで、売電価格が高い時に売ることができる | 収益の見込みが立てにくい |
工夫次第で高収益を目指せる | 株のように変動するため、企業努力が必要 |
ドイツなどの再生可能エネルギーに特化した国では、下記の3種類が導入されています。
- プレミアム固定型FIP
- 上限・下限付きプレミアム固定型FIP
- プレミアム変動型FIP
日本ではプレミアム固定型FIPと、プレミアム変動型FIPの2種類になります。
どちらにしてもメリット・デメリットが存在しますので、しっかりと比較・検討する必要があるでしょう。
FIP制度適用の条件
50kW以上の発電所は、FIP制度の対象になります。
50kW〜1,000kW未満はFIT制度かFIP制度を選択することができ、1,000kW以上はFIP制度適用です。
一度手続きをしてFIP制度に移行すると戻れませんので、FIT制度とFIP制度のどちらがお得かしっかりと利益を見直し、メリット・デメリットを考慮する必要があります。
FIPはFITよりも利益が増えるケースがある
FIP制度は、発電した電気をすぐに売電せずに、買取価格の高い時間帯を狙って売電することが重要です。
そのため、蓄電池は必須アイテムになります。
日照が確保できる昼間に発電した電気を蓄電池に貯めておいて、買取価格の高い時間帯を狙って売電することでFITよりも利益が増えるケースがあります。
蓄電池は高額ですが、国や地方自治体から補助金を受けることができますので、ぜひ活用しましょう。
太陽光発電を導入して経済効果を実感しよう
近頃の異常とも言える電気代高騰により太陽光発電システムを導入し、電力を自給自足するメリットが高まっています。
世界情勢は不安定なので、今後も電気代高騰は続くでしょう。
2023年のFIT買取価格まで発表されており、家庭用なら10年、産業用なら20年後まではFITが適用できるので、安心して投資を行えると言えます。
また、家庭用でも産業用でも優良業者を引き当てることが何よりも重要でしょう。
理由としては、長い太陽光発電設備運用期間に、困った時にすぐに対応してくれるか、わからないことを分かりやすく教えてくれるか、結局は人と人の繋がりを大切にできるかが重要と言えるからです。
優良業者とは大手であるとか、値段で見るものではなく、信頼関係に重視して選ぶ必要があるでしょう。
固定価格買取制度って終わるんだよね。太陽光発電を始めるの遅かったな。