太陽光発電100坪あたりの収入は、いくらかな?ほんとに採算とれるの?
太陽光発電の100坪あたりの収入はいくら?
100坪あたりの収入は、1年間でおよそ60.8万円となります。
FIT(固定価格買取制度)を使って20年間買い取ってもらった場合、20年間でおよそ1,216万円(60.8万円×20年)の収入が見込める計算になります。
100坪分のソーラーパネルの初期費用の総額が1,100万円かかるとすれば、20年間で約116万円の利益が残り、その後も太陽光発電を稼働させ続ければ、利益はさらに大きくなっていきます。
20年間の収益 | 初期費用 | 利益 |
---|---|---|
1,216万円 | 1,100万円 | 116万円 |
ただし、この数字はあくまで目安です。
パネルの枚数やパーツ製品の性能、日当たりによって価格は変化します。あくまで参考程度にしましょう。
今回用いた計算式は、下記のとおり。
今回の計算式には、下記のデータを用いました。
- 1kWhあたりの売電価格
- 太陽光パネルの価格
- FIT(固定価格買取制度)の期間
- 100坪あたりの面積
1kWhあたりの売電価格
年度 | 売電価格/1kWh(税込) |
---|---|
2023年度 | 16円 |
2022年度 | 17円 |
2021年度 | 19円 |
太陽光パネルの価格
kW数 | 1kWの発電量 |
---|---|
1kW | 約27.5万円 |
FIT(固定価格買取制度)の期間
kW数 | 売電期間 |
---|---|
10kW未満の場合 | 10年間 |
10kW以上の場合 | 20年間 |
100坪あたりの面積
坪数 | 面積 | 畳分換算 |
---|---|---|
1坪 | 約3.3㎡ | 約2畳分 |
100坪 | 約330㎡ | 約200畳分 |
太陽光発電の坪数別の収入比較表
坪数によってどれほど収支が変わってくるのか、一覧でご確認ください。なお、売電単価は2023年の売電単価1kWhあたり16円で計算したデータです。
設置面積 | 設置容量 | 年間発電量 | 初期費用 | 坪単価 | 年間売電収入 | 20年間の収入 | 20年間の収支 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
100坪 | 40kW | 38,000kWh | 1,100万円 | 11万円 | 60.8万円 | 1,216万円 | 116万円 |
150坪 | 50kW | 57,000kWh | 1,375万円 | 9.16万円 | 91.2万円 | 1,824万円 | 449万円 |
200坪 | 67kW | 76,000kWh | 1,842万円 | 9.21万円 | 121.6万円 | 2,432万円 | 590万円 |
300坪 | 100kW | 114,000kWh | 2,750万円 | 9.16万円 | 182.4万円 | 3,648万円 | 898万円 |
500坪 | 167kW | 190,000kWh | 4,592万円 | 9.18万円 | 304万円 | 6,080万円 | 1488万円 |
1,000坪 | 333kW | 380,000kWh | 9,157万円 | 9.15万円 | 608万円 | 1.216億円 | 3003万円 |
1,500坪 | 500kW | 570,000kWh | 1.37億円 | 9.13万円 | 912万円 | 1.824億円 | 4540万円 |
上記の買取価格は、毎年変動します。あくまで参考程度にとどめておきましょう。
一括見積りできるサイトで比較したり、工務店や施工業者では無料見積もりを出してもらうと良いでしょう。
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太陽光発電の運用方法
太陽光発電には、土地を自分で購入して自営で運用する方法と、他人に土地を借して太陽光発電を設置してもらう土地貸しという2つの運用方法があります。
運用方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
自営 | 収益が大きい | 初期費用がかかる |
土地貸し | 初期費用は不要 | 収益が小さい |
自営で運用する
自営での運用とは、土地も太陽光発電設備も自前で用意して、太陽光発電を運用することです。
売電収入の全てがあなたのものになりますので、収益重視の方は自営で運営するのがおすすめ。
ただし、土地や太陽光発電設備を購入する必要性があるため、太陽光発電を運用するためには、多額の費用が必要になります。
設定費用のローンが組めるような資金に余裕がある方にとっては、最適な方法と言えますが、初期投資として下記のような設備を導入する必要があります。
- 太陽光パネル(ソーラーパネル)
- パワーコンディショナー
- 発電モニター
- キュービクル式高圧受電設備
ほかにも、土地も必要になりますし、状況に応じて必要なパーツをセットで購入することもあります。また、メーカーによって価格も性能も様々です。交換時期も含めて、事前に見積りを依頼しましょう。
ちなみに、維持費については、資源エネルギー庁が資料をまとめています。
資源エネルギー庁の資料によると、産業用太陽光発電設備の維持費の平均値は0.54万円/kW(2020年1月~9月)となっています。
土地貸しで運用する
土地の所有者が、太陽光発電事業者へ土地を貸すことで収入を得る方法もあります。土地貸しのメリット・デメリットは、下記のとおり。
メリット | デメリット |
---|---|
初期投資ゼロで土地活用できる | 自営運用に比べて収益性が低い |
節税できる | 契約中は土地を別の用途に使えない |
土地の管理が不要 | 土地の売却が難しい |
設置や維持コストの負担は事業者(借り手) | 途中で契約を打ち切るとペナルティーが課せられることもある |
賃料は、貸し手と借り手の話し合いによって決定されます。一般的には、1㎡(もしくは1坪)あたりの単価で計算されます。
経済産業省が発表した年間賃料の目安としては、1㎡あたり150円程度が相場金額となっています。
仮に発電規模が33kWの場合で、100坪を土地貸しした場合を見てみましょう。
10kW~50kWの土地賃借料の平均値が218円なので、100坪(330㎡)×218円÷12=5,995円となります。
つまり一か月あたりの賃料収入は、6,000円ほどになります。
期間 | 収益 | 計算式 |
---|---|---|
1年間 | 72,000円 | 6,000円×12か月 |
20年間 | 144万円 | 72,000円×20年 |
20年間で収益が150万円を切るとなると、自営で運営するよりかなり減ります。
土地貸しは、自己資金に余裕がない方には適していますが、土地を売却する可能性がある方にはおすすめできません。
なぜなら、太陽光発電の土地貸しは、通常20年以上で契約が結ばれ、その間は土地を使用する権利は事業者に渡るため、契約中はほかの用途に使うことができなくなるからです。
事業者とのトラブルを避けるためにも、契約期間や内容などは必ず書面で明記しておくことが大切です。
太陽光発電の設置に向いているのはどんな土地?
太陽光発電で大きな収益を得るためには、効率よく発電する太陽光パネル選びも大切ですが、太陽光発電を設置する場所も大切です。
どのような土地であれば効率よく収益を上げられるのか、見ていきましょう。
広大な土地
太陽光発電は、面積が広ければ広いほど発電量が増えます。発電量が増えるとその分、収益性も高くなります。
さらに面積が広ければ、導入単価が下がることもメリットです。郊外エリアなどの田舎では、地価が安く手に入ることもあります。
例えば北海道のように建物がなく非常に広大な地域は、太陽光発電の設置に向いている土地と言えるでしょう。
傾斜のない土地
傾斜のある土地にパネルを設置するとなると、補強工事が加わり莫大な費用がかかります。
日本の国土の約7割は、山地・丘陵地です。
毎年、台風や地震の影響で地滑り被害が各所で発生しています。被害額は、年々増加しているとも言われています。
過去には、雑木林で覆われていた山間部を開拓してメガソーラーを設置したことが原因で、想定外の土砂崩れを招いた事例があります。
また、傾斜を利用した果樹園や農地の所有者とのトラブル事例も起きています。
十分な太陽光が得られる土地
日当たり良好な土地は、その分収益性も高くなります。
もし近隣に高い建物や森林があると、それらが壁となって十分な日光を集めることができません。
積雪量が多い地域もおすすめできません。太陽光発電で成功したい方は、年間を通して太陽光が得られる土地を選びましょう。
電柱が設置されていて送電が可能な土地
発電した電力を送電することで、初めて電気が使えるようになります。
無駄な出費を抑えるためにも、近くに電柱や電線がある(送電の環境が整っている)土地を選びましょう。
もし送電の環境が整っていない土地にソーラーパネルを建設する場合は、別途自腹で電柱を設置しなければなりません。送電については、事前に電力会社に確認しておきましょう。
地盤が安定している土地
自然災害に備えて、土砂崩れや地滑りの被害が少ない土地を選びましょう。地盤が強く、安定している土地を選べば、設備の破損リスクを抑えることができます。
地盤が安定しているかどうかは、防災ハザードマップで確認することができます。
ちなみに、「地盤の強い47都道府県ランキング」のベスト&ワーストの3県は以下の通りです。
順位 | 都道府県 |
---|---|
1位 | 沖縄県 |
2位 | 群馬県 |
3位 | 福島県 |
45位 | 岡山県 |
46位 | 新潟県 |
47位 | 高知県 |
参考:災害ハザードマップ
海から離れている土地
海に近い場所は、塩害の被害が予想されます。塩分を含む潮風の影響で、パネルやパワーコンディショナ―などの設備がサビやすくなるのです。
塩害対策などの設備の劣化に伴う修理を繰り返せば、その分余計な出費もかさむでしょう。
設備の寿命を長持ちさせるためにも、海から離れている土地を選ぶことを強くおすすめします。
災害被害の少ない土地
毎年全国的に、台風や地震、洪水などによる自然災害が頻発しています。
突風によるパネルの破損、浸水で電気系統の損傷が懸念されます。
台風による飛来物で太陽光パネルが割れた事故事例
引用:メガソーラービジネス
災害時に対応した損害保険に加入することも可能ですが、余分な出費を避けるために、災害被害の少ない土地を選びましょう。
災害が少ない地域の確認には、国土交通省のハザードマップポータルサイトの活用がおすすめです。
太陽光発電運用のための土地探しで注意したいこと
太陽光発電の土地探しでは、日当たりの良い広大な土地のほうが発電効率が高く、有利です。
土地選びの際には、自治体の動向も注意したいところ。
例えば、神戸市。景観を損ねるという理由から、ソーラーパネルの設置に規制をかけている自治体です。
設置規制を設けている地域かどうか、今後の自治体の動向に注意しながら土地探しをしましょう。
ほかにも太陽光発電の土地選びには注意点がありますので、ご紹介します。
書面に有効活用できない土地面積が含まれている
土地の面積には、太陽光発電システムを設置できない場所が含まれていることがあります。
例えば下記のような土地です。
- 崖など急な斜面がある
- 敷地内に段差がある
- 土地の形がいびつ(三角地・細長い土地)
- 傾斜が北側にある
有効活用できない土地では、そもそもパネル自体が設置できなかったり、補強工事のために余計な出費が予想されます。仮にソーラーパネルが設置できても、効率よく発電できなければ意味がありません。
無駄な出費を抑えるためにも、書面や資料に記載された面積を鵜呑みにせず、実際にその土地を見て判断するようにしましょう。
登記面積と実際の面積に誤差がある
登記簿謄本に記載されている面積と実際の土地面積が違うことがあります。
取引方法が、登記売買と実測売買のどちらになっているか確認しておきましょう。
売買の種類 | 詳細 |
---|---|
登記売買 | 土地が登記面積で売買される |
実測売買 | 実際の土地の面積で売買される |
登記面積よりも実際に使える面積は狭かったというケースもありますので、リスク回避のためにも、事前に面積の誤差を把握しておきましょう。
坪数(平米数)に適した太陽光発電の設置方法
坪数によって、太陽光発電の適切な設置方法があります。具体的に見ていきましょう。
50平米
50平米(50㎡)の広さは、基本的に、5~6kW程度が標準的です。ただし、50平米(50㎡)であっても、10kWのパネル面が設置可能。
発電した分を全て売電したい場合は、最低50平米(㎡)が必要になります。
電気代を最大限に削減して、コスト回収の可能性が十分にある面積です。建物の屋根に設置すれば、景観を損なうこともありません。
そのため、自宅を新築で建設する際に、ソーラーパネルを設置するご家庭も増加しています。
30~100坪
30坪=約100㎡、100坪=約330㎡です。
100坪あれば、パネル100枚以上の接続設置も可能で、産業用としての設置が十分可能な面積になります。30kWの発電容量で、年間63万~75万円程度の収入が見込まれます(税別21円/kWhの場合)。
坪単価も比較的安いので、十分な収益が期待できる広さと言えます。
200坪
200坪(約660㎡)であれば、パネル167枚以上が設置可能です。
また、50kW未満に容量を抑えることができます。50kW未満であれば、高圧扱いにならないため、キュービクルなどの設置が不要です。
メンテナンスなどの手間もコストもかからないため、運用するのにメリットが多い広さと言えます。50kWの設置容量で、年間105~125万円程度の収入が見込めます(税別21円/kWhの場合)。
500坪~
本格的に太陽光事業をお考えの方は、500坪(約1653㎡)からがおすすめです。
50kW以上になると、キュービックの設置やメンテナンスは必要ですが、売電収入も十分に見込めます。
年間収入の目安は、下記のとおり。
坪数 | 売電収入 |
---|---|
500坪 | 608万円 |
1000坪 | 1,216万円 |
1500坪 | 1,824万円 |
ただし、設置できる電圧には決まりがあり、高圧が設置できない土地もありますので、地域を管轄する電力会社に相談しましょう。
3000坪~
3000坪=約9917㎡=約1ha(ヘクタール)です。この規模があれば、いわゆるメガソーラーの設置が可能です。
メガソーラーとは、1000kW(1MW)出力を超える発電規模で、設置に必要な面積は1~1.5haと言われています。
農林水産省では、再生可能エネルギーの導入を促進していることから、広大な田んぼや畑などの上にソーラーパネルを設置しているところもあります。
ただし、500坪と同様に高圧の設置が必要になりますので、設置できる地域かどうか電力会社に確認した上で検討しましょう。
太陽光発電の年間発電量はどれくらい?
太陽光発電のパターン別の年間発電量を比較してみましょう。
屋根タイプと野立てタイプを比較
傾斜屋根にソーラーパネルを設置した場合と野立てタイプでは、発電量に多少違いがあります。
種類 | 設置場所 | 1㎡あたりの年間発電量 |
---|---|---|
屋根タイプ | 傾斜屋根 | 150kWh~230kWh |
野立てタイプ | 地上 | 115kWh |
1坪と100坪を比較
1坪と100坪あたりの年間発電量は、以下のとおりです。
坪数 | 年間発電量 |
---|---|
1坪 | 約250kWh~380kWh |
100坪 | 約25,000kWh~38,000kWh |
パネルの性能が高く、日照時間が長ければ、その分発電量も増加します。
太陽光発電の運用を成功させるための秘訣
安定した収入を得るためには、いくつかポイントがあります。
太陽光発電の利回りは10%前後だとすると、10年ほどで初期費用を回収することも夢ではありません。
発電効率の高いソーラーパネルを導入して、早期回収を目指しましょう。
事前の土地調査は念入りに行う
太陽光発電の運用にむいている土地かどうか、事前にご自身で確認しておくことが大切です。
基本的に、市街化調整区域では建物を立てることはできませんが、太陽光発電システムの設置は可能です。
なお、田んぼや畑など農地を利用して設置する場合は、農地転用の手続きが必要です。
ただし、ソーラーシェアリング(農地として運農しながら太陽光発電を導入する方法)の場合は、農地転用は不要です。
このように、手続きや仕組みを理解しながら進めるには専門的な知識が必要です。
自分で調べるだけでなく、専門会社に事前調査してもらうと安心です。
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収支のシュミレーションを綿密に確認する
太陽子発電システムを設置してから、コストを回収するのに最低10年かかることもあります。
節約効果を最大限にするためにも最適なプランを選び、しっかり収支をチェックしておきましょう。
下記のような一般相場を知ることも大切です。
- 初期のパーツ購入費用
- ランニングコスト
- 定期点検
- 修理費用
- 固定資産税
- 所得税
例えば点検・修理について、容量が50kW以下であれば、4年に1回程度の点検(費用は約2万円)で済みます。
一方、50kW以上のパネルを設置する場合は、法定点検が義務化されているため、点検費用として年間約50万円を見込んでおく必要があります。故障などの不具合が生じた場合は、別途修理費もかかります。
そのほか自営で運営する場合は、固定資産税や所得税がかかります。売電によって年間20万円以上の収益があった場合は、課税対象になります。
このように、専門会社と相談しながら、将来の収支のシミュレーションを確認しておくことが重要です。
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セキュリティーシステムを導入する
太陽光発電装置のパーツ(ケーブルなど)の盗難被害についても対策が必要です。
引用:ANN NEWS
特に産業用など大規模に始めたい方は、監視カメラの設置などセキュリティーシステムの導入も検討しましょう。
防犯技術は日進月歩を続けており、定点カメラなども販売されています。現在では、タブレット、パソコン、スマホのインターネットを介して、遠隔地からリアルタイムで映像を確認することも可能です。
初期費用を抑えるために優良業者を探す
初期費用を抑えるためには、複数のサイトや業者による相見積もり比較が必須です。
設置費用に加えて、メンテナンスや保証、税金などの諸経費を含めた総額で比較しましょう。
そこで重要なのが、施工業者選びです。
施工業者を選ぶ際は、実績と信頼のある企業を選ぶようにしましょう。
仮に初期費用が安く済んでも、基礎工事がしっかりされていなければ後に無駄な出費がかさみます。
安定した収益を得るためにも、トラブルが少なく、サポートの実績や経験が豊富な業者かどうかを客観的に判断することが大切です。
面倒な事務手続きについてもアドバイスしてくれるようなお客様の立場で助言してくれる優良の施工業者を選びましょう。
太陽光発電はリスクの少ない土地活用法
太陽光発電の収入や、土地選びのポイントなどについてまとめて解説しました。
しっかりと事前調査しておけば、太陽光発電は、簡単でリスクの少ない投資と言えます。
マンションやアパート建設などの不動産事業と比べて、建設費用やランニングコストは少額で済みます。また、駐車場経営のように集客を心配することもありません。
一度設置すれば、長期的に安定した収益が得られるのが太陽光発電の魅力です。
また、FIT(固定価格買取制度)という国の再生エネルギー事業支援制度もあるため、安心して始めることができます。
太陽光発電を効果的に運用することで、電気代の節約はもちろん、将来にむけた希望ある土地活用であることを知っていただけたら幸いです。