物価高騰が続く中、自宅の屋根を活用して太陽光発電による賃料収入を得る「屋根貸しビジネス」に注目が集まっています。
この仕組みは、太陽光発電事業者が全ての費用を負担して太陽光パネルを設置し、屋根を貸し出した物件所有者に一定の賃料を支払うというもの。
発電した電力は太陽光発電事業者のものとなりますが、屋根を貸すことで賃料という名の不労所得が得られる新しいビジネスモデルです。
本記事では、そんな日本における屋根貸しの賃料相場を見ていきましょう。
毎月の固定収入を増やすひとつの手段として、視野に入れてみてください。
太陽光発電で屋根貸しをする賃料相場
太陽光発電を活用する家庭が増えている今、屋根貸しの相場も注目されています。
屋根を貸すだけで得らえる対価について、どのくらいの収入がもらえるのか確認していきましょう。
面積で決める相場
クールネット東京の資料によると、屋根貸しの太陽光発電の賃料は、面積1㎡あたり年間100~300円ほど。ただし、地域によっては500円や700円などバラつきもあるので、お住まいの地域の相場を調べてみると良いでしょう。
また、面積の計算を屋根全体で行う場合は、太陽光パネルの設置部分のみで計算するよりも、1㎡あたりの単価が安くなる傾向にあります。
売電収入の割合で決める相場
クールネット東京の資料では、賃料を売電収入の割合で決める場合は、売電収入の5~10%が相場。
売電収入はその月の発電量によって左右されるため、貸主に支払われる賃料は従量制となり、発電量が少ないと賃料も低く、発電量が多いと賃料が高くなる特徴があります。しかし、これでは貸主のリスクが多いことから、一般的には売電収入の変動分を加味した上で賃料を設定します。
また、収入面のリスク以外にも、屋根貸しには意外と大きなリスクが複数ついて周ります。
詳しくは太陽光発電の屋根貸しリスク7選にて紹介していますので、併せてご覧ください。
具体例を計算
太陽光発電の面積に賃料の相場をかけると、年間に得られるおよその賃料が計算できます。
以下に、面積別の賃料を掲載しているので参考にしてください。
なお、賃料は相場の間をとり、200円と設定しています。メーカーによって太陽光パネルのサイズや発電量が変わるため、設置に必要な面積はあくまでも平均値となることをご了承願います。
太陽光発電の容量 | 必要な屋根の面積 | 年間の賃料 |
---|---|---|
1kW | 約12㎡ | 2,400円 |
3kW | 約22㎡ | 4,400円 |
5kW | 約36㎡ | 7,200円 |
10kW | 約69㎡ | 13,800円 |
30kW | 約350㎡ | 70,000円 |
一般的な住宅用太陽光発電は3kW~5kW。年間の賃料は10,000円に満たないケースがほとんどと分かります。
もちろんこれは一例ですので、この数倍の賃料が得られる住宅も実際に存在します。
それでは、どのような住宅が屋根貸しの賃料相場が高くなりやすいのでしょうか?
太陽光発電の屋根貸し相場が高い家の5つの特徴
特に高額な利益が見込める家には共通の特徴があります。
屋根貸しの価格が高くなる家の5つの特徴を紹介しましょう。
屋根の形状が複雑ではない
屋根の総面積が広くても、複雑な形状では太陽光パネルが設置できない部分が多くなります。屋根材に瓦などを使用している場合も、設置コスト自体が高くなってしまうので注意してください。
屋根の形状でおすすめなのは、勾配をつけた2枚の屋根面が三角形の形状をしている切妻屋根、もしくは屋根が一面のみで一方向から流れる片流れ屋根。
屋根が南に向いている
屋根が北向きの場合は日光が得られないので、南向きもしくは東・西向きの必要があります。
引用:太陽光ポータル
築年数が浅く、20年以内に改修工事が不要の物件
築年数が浅い物件は、屋根貸しの契約期間中に建物の劣化による修繕のリスクが減るため、発電事業者にとっては安心材料のひとつになります。
新耐震基準に適合している
1981年6月1日に改正された新耐震基準も、築年数に関わる大きな判断材料。
1981年以前に建てられた建物は新耐震基準を満たしていないため、地震が起こった場合に倒壊や損壊の恐れがあることから、契約時に貸主は正確な情報を発電事業者に提出してください。
通常、契約期間中に太陽光発電が原因で行ったトラブルについては発電事業者が責任を持ちますが、貸主の説明が不十分であった場合には責任が問えなくなる可能性があります。
屋根の面積が広い
屋根により多くの太陽光パネルを設置できれば発電量も増えるので、一般住宅よりも工場や商業施設、屋上のあるマンションなど面積が広い物件のほうが屋根貸しには適しています。
太陽光の屋根貸しの契約書におけるチェックポイント
屋根貸しの契約後にトラブルに巻き込まれないためには、契約時にしっかりと契約書を確認しておく必要があります。
特に以下の2点は、自身が納得できるまで、発電事業者と話し合いをしてください。
- 損害賠償の責任
- 契約終了後の保証期間
また、契約書を後から読み返してみると記憶が曖昧になってしまうかもしれません。大事な内容はメモを残しておく、音声で保存しておくなどの対処も考慮しましょう。
損害賠償の責任
屋根貸しの太陽光発電において損害賠償が懸念されるのは、主に次の3つのケースです。
- 太陽光発電の設置工事時や災害で、太陽光発電が破損・故障した場合の修理や撤去費用
- 太陽光発電の設置工事や災害で、建物が倒壊・損壊した場合の修繕費用
- 太陽光発電の設置によって、周辺の住民とトラブルが発生した場合の発電事業者の対応や賠償
建物の倒壊や損壊が太陽光発電の設置が原因なのか、建物自体の劣化によるものなのかは詳しく調査しなければ分かりません。専門家の調査にかかる費用や、調査の間の仮住まいの費用の負担は発電事業者と貸主のどちらが行うのか、きちんと決めておく必要があります。
また、太陽光発電によって周辺住民とトラブルが起こった場合、発電事業者が個別に住民宅を訪問して詳しい説明や謝罪を行ってくれるのかなど、あらゆる事態を想定し、それに対する責任の所在を明確にしてください。曖昧だと、住宅の所有者に責任が追及される可能性が高いです。
契約終了後の保証期間
屋根貸しの契約期間終了後に設備を撤去する場合、工事に対する保証期間や範囲を明確にしておきましょう。
屋根に空けた穴の修繕工事が不十分で雨漏りが起こっても、保証期間が短すぎたり、範囲が狭すぎると保証の対象外となってしまいます
また、無償譲渡で引き取るのであれば、太陽光発電システムのメーカー保証期間を必ず確認してください。多くのメーカーでは太陽光パネルの保証期間は20~25年、パワコンは5~10年です。契約期間終了のタイミングによっては保証が受けられず、修理や交換が実費となる可能性があります。
太陽光発電の屋根貸しを始める方法
屋根貸しの太陽光発電に興味があり、もっと詳しく話を聞いてみたり、実際に始めたい場合はどうしたら良いのでしょうか。
屋根貸しの太陽光発電の始め方を詳しく解説します。
屋根借りを行っている事業者を探す
発電事業者には、主に以下の2つのタイプがあります。
- 自らが設置した発電所のみで事業を行っている
- 自らが設置した発電所だけではなく、屋根を借りて発電事業を行っている
このうち、屋根貸しの契約ができるのは屋根を借りて発電事業を行っている場合です。屋根貸しの太陽光発電に対応している事業者を探すには、インターネットにて「屋根貸し 太陽光発電 事業者名」や「0円ソーラー 事業者名」で検索してみましょう。
なお、0円ソーラーには屋根貸し以外に(電力販売)PPAやリースも含まれるので、発電事業者が行っているのはどのタイプなのか確認してください。
現地調査・見積もりを行ってもらう
屋根貸しに対応している発電事業者を見つけたら、連絡をして事業に関する説明を聞いた後、現地調査を依頼して見込まれる発電量などを確認してもらいます。
現地調査では、地域の気候や屋根の向き・形状などから太陽光発電の発電量をシミュレーションします。
「現地調査を行わずとも、おおよその発電量の目安は分かるのでは?」と思うかもしれません。
しかし、同じ北海道でも札幌市と帯広市では年間の雨量や日照時間などが違うため、現地調査を行わずに太陽光発電の運用を行うのはリスクが大きすぎます。現地調査は必ず行うようにしてください。
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複数社と比較した上で契約する
発電事業者との契約は一社の見積もりで判断せず、必ず複数から見積もりをとって検討してください。発電事業者によって使用する太陽光発電のメーカーや施工会社が違うため、同じ条件でも見積もりに差が生じることがあるからです。
見積もりは無料の場合がほとんどなので(一部有料もあるので注意)、躊躇わずに複数に依頼しましょう。
また、複数を比較すると、対応の丁寧さや誠実さなど、見積もり書だけでは見えてこない部分がわかります。太陽光発電は長期間の契約になるので、困ったときに気軽に相談できたり、真摯に対応してくれる担当者がいれば心強く感じるでしょう。
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太陽光発電の屋根貸しは魅力的だが大きな収入は見込めない
太陽光発電の屋根貸しは、投資金額の回収リスクを負うことなく、比較的手軽に不労所得が得られるメリットがありました。
太陽光パネルやシステムに不具合があっても、その責任や修繕は太陽光発電事業者が被ってくれるので、ここだけ見ると、利用者にとっては導入しない理由がないとも言えます。
ただし、収入としては大きな金額が見込めず、限定的です。
資金に余裕がある方なら、長い目で見ると自分で太陽光発電を設置したほうが資産が増える可能性も大いにありますので、そういった選択肢も視野に入れると良いでしょう。
現在は昔ほど太陽光発電の設置費用は高くなく、太陽光パネルの性能も向上していることから、太陽光発電の電力だけで生活して、その上で売電収入を得ることも可能です。
まずは設置費用の無料シミュレーションからお試しください。
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