「太陽光発電に土地貸しをしたら収入はどれくらいなの?」と悩んでいる方が多いみたいね。
遊んでいる土地があるなら、使っていなくても土地の管理はしなくちゃいけないし、何もしないのはもったいないわ!
土地を貸して太陽光発電とかに使ってもらえば、初期費用もかからなくて負担が少ないのかな?
太陽光発電の土地貸しがどういったものか、収入の相場がどれくらいかを解説していくね♪土地の活用方法の参考にしてね!
太陽光発電の土地貸しとは
太陽光発電においての「土地貸し」とは、文字どおり太陽光発電設備を設置するための用地として、所有している土地を貸すことを指します。
売電収入は太陽光発電の事業者の利益になりますが、土地の所有者に土地賃借料が支払われる点や、間接的に再生可能エネルギーの普及に関われる点がメリットです。
契約内容によりますが、賃貸料は1年単位で支払われるケースもあります。
事前に賃料や貸出期間など契約書に記載されている条件を漏れなく確認すれば、トラブルを防げます。
太陽光発電の土地貸しの収入相場
太陽光発電の土地貸しで得られる収入は、土地の広さで変わります。
また、土地にかかる固定資産税は所有者に納税義務があるため、収益から差し引きが必要です。
この章では、土地貸しによる収入の相場と固定資産税の確認方法について説明します。
坪別の収入
用地の坪数別に、太陽光発電の土地貸しによる収入額を比較してみます。
実際の賃料は相場を参考にして当事者同士で話し合って決めますが、ここでは10kW以上50kW未満の場合の土地賃借料の平均値1平方メートルあたり218円/年を基に計算します。
100坪の用地を貸し出す場合の土地賃借料を算出する計算式は、以下のとおりです。
330平方メートル(100坪)×218円≒72,000円(年間の土地賃借料)
坪数 | 収入 |
---|---|
100坪 | 年間72,000円 |
300坪 | 年間216,000円 |
500坪 | 年間360,000円 |
上記の表は、10kW以上50kW未満の太陽光発電の前提で土地賃借料を算出していますが、出力容量が大きくなると金額が変わるため、参考程度にとどめてください。
固定資産税の求め方
太陽光発電では、土地と設備の両方に固定資産税が課税されます。
土地にかかる固定資産税を算出するための計算式は、以下のとおりです。
土地評価額×税率=固定資産税 |
地方自治体が公表している固定資産課税台帳に記載されている土地評価額に、地域ごとに決まっている税率を乗じた金額が固定資産税の課税額になります。
例えば以下のように条件を仮定した場合の固定資産税は、14万円になります。
- 土地評価額1,000万円
- 税率1.4%
毎年1月1日時点の土地所有者に、固定資産税が課税される決まりです。
太陽光発電の土地貸しに向くタイプ
太陽光発電は土地の周辺環境が発電量に大きく影響するため、どのような用地でも借り手がみつかるわけではありません。
太陽光発電の設置に向いている用地であれば、土地貸しにも向いている土地と言えます。
この章では、土地貸しに向いている土地の特徴について詳しく解説します。
日照時間が長い
太陽光パネルは日が照っていないと発電できないため、日照時間が長く日射量が多い土地かどうかは重要なポイントです。
日照時間は太陽の光が地面に届いている時間、日射量は太陽光エネルギーの量を指します。
日照時間も日射量も、太陽光パネルでの発電量への影響が大きいです。
日照時間が長く、日射量が多い用地は安定した発電量を確保できるため、太陽光発電の土地貸しに向いていると言えます。
日当たりが良い
影ができず、日当たりが良い用地も太陽光発電の土地貸しに向いています。
土地の周辺に背が高い樹木や建物があると、設置した太陽光パネルに影ができて発電量が低下する原因になり十分な売電収入を得られません。
太陽光発電は影の心配がない土地に設置したいと考える事業者が多いため、日当たりが良い土地は人気が高く借り手が見つかりやすいです。
電柱が近くにある
電力会社の電柱が土地の近くに建柱されている土地も、太陽光発電の土地貸しに向いていると言えます。
太陽光パネルで発電した電気を売電するためには、太陽光発電システムと電力会社の電柱をケーブルで接続する系統連系を行います。このため、太陽光発電所の近くに電力会社の電柱が必要です。
電力会社の電柱が近くにない場合のデメリットは、3つあります。
- 電力会社に新たに電柱を建ててもらうための費用がかかる
- 電力会社が電柱を新設するための設計に半年以上時間がかかる
- 遠い場所の電柱と系統連系する場合、太陽光発電所内に設置する構内柱建柱の費用が高くなる
電柱が遠いと上記のようなデメリットがあるため、近くに電柱がある用地は太陽光発電を設置しやすく土地貸しに適しています。
落ち葉や降雪が少ない
落ち葉や積雪があるかどうかも太陽光発電を設置する土地選びで、必ず確認したいポイントです。
太陽光パネルに落ち葉が落ちたり、雪が積もったりすると影ができて発電量低下の原因になる可能性があります。
垂直積雪量が200cmを超える地域では、雪の重さが太陽光パネルに負荷をかけることも考えられます。
周辺に落葉樹が生えていないまたは積雪量が少ない場所が、太陽光発電の土地貸しに向いていると言えるでしょう。
自然災害が少ない
台風や落雷など自然災害の被害に遭いにくい土地が、太陽光発電の設置に適しています。
強風に煽られて飛んできたものが太陽光発電設備に当たって機器が故障したり、雷が落ちた影響でパワコンの電源が自動でOFFになったりする可能性があるからです。
自然災害による被害に遭うと、一時的に発電が停止して業者や保険会社とのやり取りなど対応に追われます。
このため、自然災害が少ない土地は、太陽光発電の土地貸しにも向いています。
地盤が強い
太陽光発電設備の架台は、基礎にあたるスクリュー杭を地面に打ち込んで設置します。
地盤が緩いとこのスクリュー杭が地面に固定されず基礎の役割を果たせなくなるため、以下のような対策が必要です。
- 地中の浅い層だけが緩い場合は、スクリュー杭を長くする
- 羽根付きのスクリュー杭に変更する
- スクリュー杭を打ち込む場所の土にセメントを混ぜる
- コンクリート基礎にする
地盤の強度を確認するための引き抜き試験を行った上で、架台メーカーと適切な対策方法を検討します。
地盤が強い土地と比較すると地盤が弱い土地では工事期間が長くなったり、初期費用が高くなったりする点がデメリットです。
このため、地盤が強い土地のほうが太陽光発電の土地貸しに向いていると言えます。
土地が広い
広い用地には規模が大きい太陽光発電設備を設置できるため、太陽光発電所の土地として人気です。
産業用の50kWの太陽光発電を設置するためには、150坪前後の土地の広さが必要と言われています。
設備の容量が大きければ、売電収入も増えるため、土地が広ければ土地貸しの需要があると考えられます。
土地が平らである
太陽光発電を設置する土地は、東西南北全ての方向に対して水平な状態が理想です。
平らな土地に太陽光発電を施工するのが一番コストが少なく、発電量を多く得られるように太陽光パネルを設置できるためです。
土地が傾いていると、状態を確認しながら造成作業や傾きに対応した架台の設計が必要になりコストが発生します。
造成作業が不要で環境への負担が少なくできる平らな状態の場所が、太陽光発電の土地貸しに向いています。
海から距離がある
海に近い場所に太陽光発電を設置する場合、太陽光パネルやパワーコンディショナ、集電箱、架台の全てに塩害対策が必要になります。
塩害地域での設置に対応した製品は機種が少なく、価格も割高で故障のリスクも高くメリットが少ないです。
このため、海岸から2キロメートル以上距離がある通常地域であれば、太陽光発電の土地貸しに適していると言えます。
水害リスクが少ない
水害のリスクがある土地への太陽光発電の設置は、おすすめされていません。
そもそも、氾濫の可能性がある河川付近には太陽光発電を設置できない決まりです。
地方自体が公表している各エリアのハザードマップで、水害の危険がない土地になっていれば太陽光発電の土地貸しが可能です。
近隣住民の理解が得られる
太陽光発電において、近隣住民から反対の声がないことはとても重要です。
土地や太陽光発電所の所有者は、その地域に住んでいないケースがあります。
近隣住民は太陽光発電が設置されることで、日常生活に良くない影響が出ることを懸念して反対している可能性が高いです。
近隣住民から反対の声があがっているうちは、地方自治体から工事の許可がおりず太陽光発電を始められない事態になるかもしれません。
このため、太陽光発電の設置について近隣住民から理解を得られていれば土地貸しに向いていると言えます。
夏場でも高温になりにくい
夏場に気温が上がりにくい地域は、太陽光発電の設置に適しています。
太陽光パネルは表面温度が25℃よりも高くなると徐々に発電効率が下がるからです。
季節の影響をあまり受けずに、年間を通して一定の発電量を保てる地域は、太陽光発電の土地貸しに向いています。
太陽光発電の土地貸しに向いていないタイプ
太陽光発電を設置する場所としておすすめできない用地は、土地貸しにも向いていません。
この章では、太陽光発電の土地貸しには向かない土地の特徴を紹介します。
土地が狭い
賃貸で借りる土地に太陽光発電を設置する場合、住宅用ではなく産業用になるためシステムの容量が大きくなります。
容量が大きいと設置する太陽光パネルの枚数も増えるため、広い土地が必要です。
最低でも10kWの太陽光発電設備が設置できる60坪強の広さがないと、借り手が付きにくく土地貸しには向かないでしょう。
住宅街である
住宅街での産業用太陽光発電の設置は、近隣住民からクレームが入ったりトラブルになったりする懸念があるため、おすすめできません。
実際に「反射光が眩しい」「夏場に住宅内の温度が上がった」などの理由で、訴訟になった事例があります。
太陽光発電の土地貸しには、住宅街ではなく田舎にある土地のほうが向いていると言えます。
アクセスが悪い
土地に辿り着くまでの道路が整備されていない場所や、離島などは太陽光発電の設置に向いていません。
太陽光発電でトラブルがあった時に駆け付けにくいだけでなく、道路が整備されていないと太陽光パネルや架台を現地まで搬入できず施工自体できない可能性が高いです。
現地までのアクセスが良くない土地は、土地貸しには向かないでしょう。
太陽光発電の土地貸しで収入を得るメリット
空いている土地を太陽光発電向けに土地貸しをすれば、賃貸として収入を得られる点が1番のメリットです。
土地貸しには収入がある以外にも、相乗効果で得られるメリットがあります。
この章では、土地貸しで得られるメリットについて説明します。
収入と節税になる
所有している用地を太陽光発電向けに土地貸しすると、将来的に相続税を節税できます。
理由としては、土地を太陽光発電の用途に貸すことで土地評価額が下がるためです。
土地評価額が低くなった分が税金から差し引かれるため、相続税に課税される金額を抑えられます。
土地の管理負担が減る
所有している土地は、空き地にしていても雑草の管理など定期的にメンテナンスが必要です。
忙しいと自宅以外の場所のメンテナンスをする時間は取りにくいですが、土地貸しをすれば借り手が用地を利用する中で除草などを対応してくれます。
所有地を管理する負担を減らせる点が、土地貸しをするメリットの1つです。
初期費用が安めである
初期費用に関しては、土地を貸す側ではなく借りる側のメリットに該当します。
太陽光発電やアパート・マンション経営などの投資をする際、設置する設備の他に土地を購入する費用もかかります。
土地を賃貸にすれば、購入するよりも初期費用を抑えられる点が土地を借りるメリットです。
使っていない土地が環境対策になる
空き地になっている土地を太陽光発電用に土地貸しすれば、環境保護対策として有効活用できます。
太陽光発電などの再生可能エネルギーによる発電所を増やせば、火力発電や原子力発電が排出している二酸化炭素の量を減らせます。
間接的にでも、地球環境の保護に貢献できる点は太陽光発電に土地貸しをするメリットと言えるでしょう。
太陽光発電の土地貸しで収入を得るデメリット
所有地を太陽光発電向けに土地貸しをする際、デメリットになる点もあります。
マイナスになる点を把握していれば、トラブルを避けやすくなります。
どのようなデメリットがあるのか、詳細を見ていきましょう。
高収入は見込めない
土地貸しは、使っていない用地を貸し出して相場に応じた賃料を得るのみの事業のため、収益はそれほど高くありません。
土地を利用して大きな収益を得たいとお考えの場合は、収益が少ないと思われるでしょう。
太陽光発電への土地貸しは、固定の安定した収入を得ながら空き地を有効活用したいとお考えの方に向いています。
多用途への活用や売却がしづらくなる
太陽光発電への土地貸しは、固定価格買取制度のFIT期間と同じ20年間の契約になるケースが多いです。
この期間中は、ほかの用途に土地を活用できず、売却もできません。
土地貸しの契約を途中で解除するとなると、太陽光発電の事業者にとっては損失しかないため、高額な違約金が発生する可能性があります。
最低20年は太陽光発電以外のことに土地を利用する必要がないかをしっかりと検討して、土地貸しをするかどうかを決めるようにしましょう。
借り手との交渉が必要になる
土地貸しにおいてトラブルが起きた場合は、貸し手と借り手の双方で対応が必要になります。
仲介業者を介さない場合は、土地の管理や賃貸料金について直接交渉を行います。
このような、借り手やトラブルなどへの対応が必要になる点が土地貸しのデメリットです。
太陽光発電で土地貸しをする際の注意点
太陽光発電向けの用地として土地貸しを開始する前に、必ず確認していただきたい点があります。
ここで紹介する注意点を確認すれば、土地貸しでの失敗をなくせるでしょう。
それでは、土地貸しの前に確認したいポイントを説明していきます。
事前に土地の状態を調査する
土地の借り手を探す前に、所有地が太陽光発電に適しているかを確認するため現地調査が必要です。
太陽光発電に不向きな土地の場合、借り手が見つからない可能性が高いです。
事前の現地調査で太陽光発電を導入してOKな土地で、十分な発電量が見込めると判断できた場合に土地貸しをすると良いでしょう。
農地転用は自由にできるとは限らない
土地には、宅地や田、畑など種類があります。
農地になっている土地は、現在は荒地の状態でも基本的に農業以外の用途に使えない決まりです。
ただし、農地転用の手続きをすれば太陽光発電を設置できる可能性があります。
農地には青地と白地の2種類あり、白地であれば農地転用の申請に許可が下りやすいです。
青地の場合は、農地転用の申請が通らないケースが多いため、太陽光発電の土地貸しに利用できないことも考えられます。
不当に安い価格で契約させられる可能性がある
土地を借りる側は、少しでも安い金額で借りたいと考えているものです。
しかし、借地料には1平方メートルあたり150円という相場があるので、この金額を目安にして賃料を決めるようにしましょう。
借り手から提示される価格が低すぎると感じたら、相見積もりを取って比較できるようにすれば価格の交渉材料にできるのでおすすめです。
太陽光発電の土地貸しに関してよくある質問
太陽光発電の土地貸しについての質問とその回答を、紹介します。
ほかの方が疑問に思われている点も、土地貸しをするかどうかの検討の参考にしてみてください。
トラブルが起きる例は?
太陽光発電への土地貸しで考えられるトラブルは、近隣住民からのクレームなど何かしらの問題が起きたときに土地の所有者も責任を問われる可能性があることです。
太陽光発電設備が起因するクレームであれば、基本的に太陽光発電の事業者が対応しますが、状況によっては所有者が巻き込まれる可能性もゼロではありません。
やめた後の土地はどうなる?
土地貸しによる太陽光発電をやめた後の土地をどうするかは、借り手との話し合いで決まります。
太陽光発電の事業者が設備を解体・撤去・処分して更地になれば、所有者は自由に土地を使えるようになります。
ただし、同一住所で新たに太陽光発電を設置しても、FIT制度の単価は利用できないため注意が必要です。
電気代削減のための自家消費目的の太陽光発電再設置であれば、土地を有効活用できるのでおすすめです。
太陽光発電の土地貸しによる収入は大きくないが節税になる
ここまで、太陽光発電の土地貸しをした場合の収入の相場や、向いている土地などを紹介してきました。
太陽光発電の設置に適していると言われる土地であれば、土地貸しに向いています。
ただし、土地の借地料としての収入のためそこまで大きい収益にはなりませんが、相続税にかかる税金節約の効果があります。
空いている土地を有効活用したいとお考えの方は、本記事を参考にして太陽光発電向けの土地貸しを始められてみてはいかがでしょうか。