- 太陽光パネルの重さで屋根が壊れたりしないのか?
- 平常時は大丈夫でも、地震のときに屋根が崩れたりしないか?
太陽光パネルの設置を検討している人であれば、必ずと言っていいほど上記のような疑問が浮かぶことでしょう。
本記事では、そんな太陽光パネルの重さを見ていきます。
住宅の強度への影響も紹介するので、暮らしの安全性を確保する意味でも、必ずご確認ください。
太陽光パネルの重さはどれくらい?
太陽光パネルの設置はエコロジーな生活の一歩ですが、その重さについて気になる方も多いでしょう。
太陽光パネルの重量を計算しておかないと。染み込んだ雨水の重みと合わせて崩落?
— 佐藤智 (@hMqtWLSKQhd6YRI) July 6, 2021
太陽光パネル1枚あたりの重量は約15kg
標準的な太陽光パネル1枚あたりの重さは、約15㎏です。
15kgというと4歳時の子供と同程度の重さになります。
4kWの住宅用の太陽光発電の場合、最大出力200kWのパネルの必要枚数は20枚程度なので、単純計算でパネル全体の重さは約300㎏にもなります。
一般的な太陽光パネルの重さの目安
重さは目に見えるものではないので、300㎏と言われても想像がつきにくいもの。
そこで身近にある300㎏のものを調べてみました。
- グランドピアノ
- アザラシ
- 道産子(北海道和種の馬)
- ハーレー(バイク)
- 一般的な5ドアの冷蔵庫(100キロ)×3
屋根の上に冷蔵庫が3台、もしくはグランドピアノが一台載っていると考えると、太陽光パネルの重量を想像しやすいのではないでしょうか。
実際は重量計算を行った上で、重さが分散されるように設置しますので、イメージ画像のように屋根が壊れてしまうことはありませんが、300kgの重量物が屋根に乗るイメージは掴んでいただけたかと思います。
メーカー別の太陽光パネルの重量
太陽光パネル1枚の重さや大きさは、メーカーや製品によって違います。
主要メーカーと製品を一覧にまとめたので参考にしてください。
メーカー | 製品名 | 型番 | パネル1枚の重さ | サイズ(寸法) |
---|---|---|---|---|
シャープ | ブラックソーラー | NQ-256AF | 17.0㎏ | 1318×990×46mm |
パナソニック | HIT | P252αPlus | 15.0㎏ | 1580×812×35mm |
京セラ | ルーフレックス | KJ270P-5ETCG | 17.1㎏ | 1470×990×36mm |
三菱電機 | なし(型番のみ) | PV-MA2500N | 16.0㎏ | 1657×858×46mm |
東芝 | Vシリーズ | LPV-200V-BLK-J | 15.7kg | 1318×983×46mm |
フジプレアム | 希 | FCT-225Y3 | 9.5㎏ | 1482×985×35mm |
ソーラーフロンティア | なし(型番のみ) | SF185-S | 18.5㎏ | 977×1257×35mm |
長州産業 | Bシリーズ | CS-340B81 | 16.2㎏ | 634×1003×35mm |
カナディアンソーラー | なし(型番のみ) | CS6V-225MM | 15.5㎏ | 1324×984×40mm |
Q-cells | なし(型番のみ) | Q.PEAK DUO-G9 | 19.0㎏ | 1673×1030×32mm |
太陽光パネル1枚あたりの重さは、およそ10~20kgであることがお分かりいただけるでしょう。
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太陽光パネルを屋根に載せても大丈夫な理由
FITの前身となる余剰電力買取制度が始まった2009年に太陽光パネルを設置した住宅では、2023年の時点で14年が経過してますが、太陽光パネルによる屋根の破損や損壊が問題視されている様子はありません。
太陽光パネルを屋根に載せても大丈夫な理由について、詳しく解説します。
重量が分散して負担が軽減される
太陽光パネルは、屋根一面に一枚ずつ縦横に並べて設置します。
さらに太陽光パネルは架台と呼ばれるレールの上に設置されます。
レールを屋根に留める支持点を複数置くことでバランスよく荷重がかかり、パネルの重さが一点に集中しません。
太陽光パネルより屋根瓦のほうが重い
部材 | 1㎡あたりの荷重 |
---|---|
太陽光パネル | 11~13㎏ |
化粧スレート材 | 25㎏ |
瓦 | 45㎏ |
太陽光パネルの1㎡あたりの重さは、瓦と比べて4分の1程度。化粧スレート材の半分程度の重さしかありません。
太陽光パネルよりも4倍重い瓦は日本では古くから使われており、寺院や城、古民家などでよく見かけますが、今よりも耐震性に考慮された建物ではないにも関わらず、長い月日を経ても建物や家屋を壊すことなく存在しているケースが多数あります。
瓦よりも軽い太陽光パネルが屋根を潰してしまう可能性は低いと言えるでしょう。
太陽光パネルに建築確認は不要
国土交通省は、屋上に太陽光パネルを設置する場合に、屋内として使わない場合には原則として建築確認は不要としています。
つまり国として「太陽光パネルが設置された屋根にかかる荷重が、建物に対して重大な問題を引き起こす可能性は低い」と考えていることが伺えます。
積もった雪は自然に落ちる
雪が降る地域では、「太陽光パネルに雪が積もると屋根にかかる負担が大きくなるのでは」と心配になるかもしれません。
しかし、雪国の住宅の多くは、雪が自然に落ちるように屋根に傾斜がついていますし、そもそも太陽光パネルの表面は一般的な屋根材に比べて滑りやすくなっています。
太陽光パネルに積もった雪は自然に滑り落ちるため、屋根に負担になることはありません。
太陽光パネルを載せても地震の影響はないの?
瓦よりも軽く、国(国土交通省)がガイドラインで建築確認不要としている太陽光パネルは、仮に地震が起こった場合でも問題はないのでしょうか。
エルラインという
太陽光パネル会社の
営業が凄まじいんだが一戸建て住宅に
太陽光パネルを設置する
メリットとデメリット
両方あると思うんだよね話を聞いている限り
確かに電気代は安くなる
15年間の保証もあるしかし台風や地震時のリスクも
少なからずあるだろうに
皆さんどう思いますか?— アオバトあみい🐦1stアカウント🐦 (@AobatoAmie) January 18, 2023
耐震性は低下する
屋根の重さは、耐震性に影響します。
屋根の重さ | 地震時 | 耐震性 |
---|---|---|
屋根が軽い | 建物の重心が下がって揺れが少ない | 耐震性が高い |
屋根が重い | 建物の重心が高くなり揺れが大きい | 耐震性が低い |
そのため、太陽光パネルを設置すると、設置していない屋根に比べて耐震性は低下します。
耐震性を下げないためには、耐震診断を受けて補強が必要と診断されたら耐震補強工事を行ってください。
新築の場合は、太陽光パネルの設置を想定した構造計算を依頼しましょう。パネルの重さが加味された屋根の耐荷重で設計・建築することで耐震性を維持できます。
築年数が経過した家は注意が必要
屋根材などによって変わりますが、築年数が経過した屋根はおおよそ次の順で劣化が進行していきます。
- 塗装が剥がれる(色落ちする)
- コケやカビが生える
- ヒビが入る
- 割れたり、隙間ができる
劣化した屋根の上に太陽光パネルを設置するのは危険です。
また、太陽光パネルのメーカーによって、パネルの設置条件に屋根の野地板の厚さを12mm以上としているところもあります。古い家の野地板は薄いべニア板の可能性もあるので注意してください。
古い家の屋根では、野地板の上(屋根材の下)に張り付けるルーフィングシートに耐久性の低いものが使われていたり、劣化が進んでいる場合があります。ルーフィングシートは防水の役目を担うため、きちんと機能していないと雨漏りや腐食の原因となります。
屋根の塗装は築10年目までに一度目を行い、以後は5~10年が目安。築年数が10年以上の家で一度も屋根のメンテナンスをしていない場合は、太陽光パネルの設置の前に屋根の塗装や修繕を行う必要があり、怠ると地震によってパネルの倒壊や家屋の損壊を招く恐れがあります。
太陽光パネルを設置すると危険な家とは
1981年6月1日に施行された建築基準法の改正では、震度6~7度の揺れが起こっても家屋や建物が倒壊・崩壊しない耐震基準となっています。これを新耐震基準といい、2024年時点でも継続して適用されています。
古い住宅への太陽光パネル設置は非推奨
1981年6月1日以前に適用されていた耐震基準は旧耐震基準となり、該当する家屋や建物は現在の耐震基準を満たしていないため、太陽光パネルの設置は推奨されていません。
新耐震基準であっても築年数が長く経過している場合は、太陽光パネルの設置は慎重に検討しましょう。
住宅の建設年数だけでなく屋根の耐用年数も関わってくる
屋根の耐用年数は屋根材によって変わりますが、およそ30年です。
1982年に建てられた住宅は新耐震基準を満たしていますが、築年数は2024年の時点で40年超え。メンテナンスをしっかりと行っていたとしても、古い屋根に重い太陽光パネルを載せるのは危険と考えられます。
太陽光パネルの重さを軽減する方法
太陽光パネルの各メーカーは、軽量化や発電効率の向上を目標に企業努力を続けています。しかし、ユーザー側が知識不足では、努力の成果をいかすことはできません。
屋根への負担を少しでも減らすには、以下の方法を検討してみましょう。
軽量型の太陽光パネルを設置する
フジプレアムの希シリーズは、女性でも1人で持てる超軽量化を実現しています。
太陽光パネルが軽いほど屋根への負担は少なくなるので、耐震性を下げたくない場合は軽量型の太陽光パネルを優先的に設置するのがよいでしょう。
なお、一般的な太陽光パネルの設置では、重さによって耐震等級が引き下げられる可能性があります。
耐震等級とは「住宅性能表示制度」の基準の一つで、以下の3つに分かれています。
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耐震性が高い耐震等級3警察署や消防署など防災拠点となる建物に適用され、最も耐震性が高い。耐震等級1の建物と比べて1.5倍の力の地震に耐えられます。
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中程度耐震等級2長期優良住宅の基準となる等級で、病院や学校にも適用されています。耐震等級1の建物と比べて1.25倍の力の地震に耐えられます。
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耐震性が低い耐震等級1現行の建築基準法で定められた最低限の耐震性ですが、震度6~7の揺れでも建物の倒壊・崩壊しません。
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住宅の耐震等級自体が3であっても、太陽光パネルの重さによっては2や1へと等級が下がるかもしれません。
しかし、希シリーズのような軽量パネルであれば、その心配も少なくなるでしょう。
高性能のパネルを選択して設置枚数を減らす
太陽光パネルが太陽光が持つ自然エネルギーを、電気エネルギーに変換する割合を変換効率(発電効率)といいます。
数字が高いほど太陽光を電気に変換できるため、変換効率の高い太陽光パネルを選べば同じ発電量でもパネルの枚数を抑えることができます。
架台の重量を検討する
住宅の屋根に太陽光パネルを設置するには、屋根置き型と屋根一体型の2種類があります。
屋根置き型は屋根の上に太陽光パネル専用の架台を設置する必要があり、架台の重さは1㎡あたり7㎏程度。太陽光パネル1㎡あたりの重さ12~16㎏の約半分となっています。
架台の重さも加味すると、屋根にかかる重さは1kWあたり100㎏と考えるとよいでしょう。
システム容量 | 架台を含めた太陽光パネルの重さ |
---|---|
3kW | 300kg |
4kW | 400kg |
5kW | 500kg |
一方、屋根一体型は屋根材に太陽光セルを埋め込んでいるので、パネルを載せる架台を置く必要がありません。
肝心なのは太陽光パネルより施工業者の質?
太陽光発電の寿命は20~30年と言われており、業者との付き合いも長期に渡ります。
施工不良やトラブルなどで後悔することのないよう、ユーザー側は優良業者と悪徳業者の見極めをしっかりと行う必要があります。
優良業者は現地調査を綿密に行う
現地調査を行わず、図面の見積もりだけで契約を進めていく業者は信頼に値しないと言い切ってよいでしょう。
なぜなら、現地調査を行わなければ、悪条件で太陽光発電を設置することになりかねないからです。
優良な業者は、現地調査で以下の点を重視してチェックしています。
- 日照に問題はないか
- 屋根の強度が設置に適しているか
- 家屋の強度に問題はないか
- パネルが十分に置ける屋根の面積があるか
- 屋根が劣化していないか
- 周囲に影を作る建物や木などがないか
丁寧な工事で耐震性の低下を防ぐ
現地調査によって屋根の劣化や家屋の耐震性が低いと分かれば、設置工事の前に屋根や家屋の補強を行います。
いつ来るか分からない地震に対して、できるかぎりの備えをしておくことが大切で、優良な業者はその点をとても重視しています。
現地調査を行わずに太陽光パネルを設置してしまえば、劣化した屋根や耐震性の低い家屋に太陽光パネルを取りつけてしまい、地震によって太陽光パネルが落ちたり家屋が崩壊してしまう恐れがあるでしょう。
実績と評判を兼ね備えていれば倒産のリスクがない
優良な施工業者と悪徳業者を選別する方法の一つに、実店舗の有無があります。
実店舗を出すには、国や自治体、不動産などへ事業を行う許可を得る必要があり、実店舗がある業者はそれだけの信用を得ていることにもつながるのです。
また、実店舗がある業者は、地域に根ざしているので真摯で誠実な対応を行います。何か問題が起こればお客様が直接店に来るのですから、雑な対応は行えません。そもそもクレームを受けることがないよう、工事には細心の注意を払っています。
こうした業者には当然ながら多くの依頼が入るため、倒産することはありません。
一方で実店舗がない業者は問題が起こってもすぐに連絡がつかず、対応してもらえない可能性があります。
実店舗がない業者が全て悪徳業者ではありませんが、最初から工事代金を持ち逃げするつもりで実店舗を持たないケースもあるため注意が必要です。
太陽光パネルの設置業者を選ぶポイント
太陽光発電を有意義に運用するには、優良な設置業者を選ぶ必要があります。
ここからは、設置業者の選び方をご紹介しましょう。
理想は自社施工型
自社施工では、販売会社が設置工事までを一貫して行います。
太陽光発電の契約を結ぶ営業担当者と実際に工事をする職人は同じ会社の社員なので、会社の評判を落とすことになるような不誠実な対応はしません。
また、販売会社と施工会社が一緒のため、中間マージンが発生せず金額を安く抑えることができます。
一方で、販売会社と施工会社が違う外注施工型の場合は元請けである販売会社と下請けである施工会社の間に中間マージンが発生するため、金額が高くなります。
さらに儲けを出そうとして、材料費をごまかしたり手抜き工事を行う施工会社がいるのも事実。
販売担当者との意思疎通が上手く行われておらず、契約した内容と違う作業を行うなどのミスが起こる可能性もあります。
ただし、外注施工型であっても施工会社の工事内容や品質などをしっかりとチェックする販売会社であれば大丈夫でしょう。問題は施工会社に工事を丸投げする販売会社がいることです。
契約の話をしている段階では、販売会社が誠実であるかどうかは分かりません。
そのため、外注施工型よりも自社施工型の業者を選んだほうが安心できるでしょう。
取り扱いメーカーが複数ある
太陽光パネルのメーカーによって、変換効率や耐久性、価格、保証内容などが違います。
また、パネルのサイズや形状にも差があるので、屋根の面積や形などによってはA社のパネルなら必要枚数載せられてもB社のパネルは載せられない、ということも起こります。
しかし、販売会社が1つのメーカーしか取り扱っていなければ、希望に合うパネルを選ぶことができません。
複数の取り扱いメーカーがあれば、それぞれのメリット・デメリットを検討し、最適なソーラーパネルを設置できます。
100棟以上の実績がある
施工実績が多い施工会社を選ぶ主なメリットには次の2つがあります。
- ユーザーからの様々な要望に応えているため、ほかでは難しい設置も対応できる可能性が高い
- 実績の数だけユーザーから選ばれていることになり、品質やサービスが良いと想定できる
どれだけの数を以て施工実績が多いと評価するかは人によって分かれるところですが、3メーカーの取り扱いで1メーカーあたり30~50棟であれば施工実績は90~150棟となり、判断材料として十分ではないでしょうか。
太陽光パネルの重さより悪徳業者のほうが危険
新築の住宅もしくは築浅で新耐震基準をクリアしている中古住宅であれば、屋根に太陽光パネルを設置しても壊れる心配はありません。
それよりも、築年数が古い住宅に対して、現地調査や耐震補強工事を行わずに太陽光パネルを設置しようとする悪徳業者と契約をしてしまうほうが危険です。
太陽光発電を安心して導入するには、複数の見積もりをとって優良業者を選ぶようにしましょう。
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