蓄電池って普及していないの?
蓄電池の普及率を見てみようね♪
蓄電池の普及率を日本と世界で比較
一般家庭においても太陽光パネルが設置された住宅をよく見かけますが、太陽光発電と併用すると、より高い効果が期待できる蓄電池は一体どれくらいの普及率なのでしょうか。
ここでは、日本と世界の蓄電池の普及率について紹介していきます。
日本の普及率
蓄電池が一般家庭に普及し始めた2011年から2019年までの推移を見ると、前年比を割ったのは2016年のみで、その他は前年比約150%で増加している傾向にあります。
年度 | 出荷台数 | 対前年 |
---|---|---|
2011年 | 1,939台 | – |
2012年 | 1万1,449台 | 590% |
2013年 | 1万6,559台 | 145% |
2014年 | 2万3,716台 | 143% |
2015年 | 3万7,560台 | 158% |
2016年 | 3万4,569台 | 92% |
2017年 | 4万9,481台 | 143% |
2018年 | 7万3,594台 | 149% |
2019年 | 11万5,000台 | 156% |
しかし、併用すると効果が高まる太陽光発電の普及率は2017年時点で8.7%と発表されており、普及率は決して高くないといえるでしょう。
また、普及している地域にも差があり、普及率上位は日照量が多い九州地方の県が占めており、反対に積雪が多い東北地域には少ない傾向にあります。
世界の累計導入量
日本での普及が思うように進まないように、世界規模で見ても蓄電システムの普及率はまだまだというところでしょう。
(株)三菱総合研究所が発表した、2019年における蓄電システムの世界累計導入量は下記のとおりです。
国名 | 再エネ併設・系統用 | 業務・産業用 | 家庭用 | 合計 |
---|---|---|---|---|
中国 | 5.5GWh | 20.0GWh(基地局UPS含む) | 0.02GWh | 25.5GWh |
日本 | 1.2GWh | 6.0GWh(基地局UPS含む) | 2.4GWh | 9.6GWh |
アメリカ(CA州) | 2.1GWh | 0.2GWh | 0.2GWh | 2.5GWh |
ドイツ | 0.5GWh | 0.1GWh | 1.8GWh | 2.4GWh |
オーストラリア(豪州) | 0.6GWh | 0.5GWh | 0.4GWh | 1.5GWh |
英国 | 0.8GWh | 0.01GWh | 0.1GWh | 0.9GWh |
太陽光発電システムと同様に、蓄電池でも圧倒的な普及率を見せたのは中国です。ほかの5ヶ国の累計導入量を合計しても遠く及びません。これは驚異的な数字です。
日本も健闘しているけど、中国との差は凄いね!
単純に人口数が桁違いというのも大きいよね!国土も日本の何倍もあるしさ!
全体数で見ればあまり普及が進んでいないように感じる蓄電システムですが、ビジネスとしては確実に活性化しており、家庭用蓄電池の世界市場は2030までに451億ドルに達するでしょう。
また、専門家の見解では欧州において蓄電池システムが急速に普及すると予想されており、その鍵を握るのはEV(電気自動車)だと言われています。
欧州でのEVの普及率は年々拡大しており、家庭用ではなく車載用の蓄電池が大きな注目を集めているのです。
日本の蓄電ビジネスはアメリカや欧州より一回り遅れているのが現状ですので、国と企業がタッグを組んでEVを推奨していくなどの工夫が求められます。
EV購入における補助金周りの整備も必須だと言えるでしょう。
蓄電池はなぜ普及しないのか?
世界的に見ても導入量は決して少なくない日本ですが、それでも普及率は8.7%と全体の割合を見ると芳しくありません。
蓄電池はなぜ導入件数が伸びないのか、その理由について解説していきます。
導入費用が高額
まず挙げられるのが、導入費用が高額であることです。
本体代と工事費込みで150万円~250万円となることが多く、導入に踏み切れない家庭は少なくありません。
電気代の節約や売電による収入を考えれば長期的にプラスとなりますが、初期費用を回収できるかどうかの不安が普及を妨げる要因になっているといえるでしょう。
「蓄電池の元がとれないのではないか」と不安になっている人は、下記のページも参考にしてください。
メリットをきちんと把握できていない
価格の安い電気代の夜間プランの利用や売電、災害時に備えることができるなど多くのメリットがある蓄電池の導入ですが、これらメリットをきちんと理解できておらず導入に踏み切れない人も少なくありません。
単純なメリットだけではなく、ライフスタイルに合わせた運用方法の把握や長期的な運用を視野に入れることで意識を変えることができるでしょう。
経済効果の計算をしていない
蓄電池を導入することによる、具体的な経済効果を計算していないことも普及しない要因として挙げられます。
例えば蓄電池を設置していると電力会社の夜間プランが利用でき、日中よりも安い電気代で蓄電池に貯めることが可能です。
蓄電池に貯めた電気を電気代の高い日中に使用することで、電気代を浮かすことができるのです。
具体例を出すと、1kWhあたり日中の電気代が32円、夜間帯は14円だとします。その差額は18円であり、8kWhの容量を持つ蓄電池であれば144円お得に電気を貯めることが可能です。これを1ヵ月(30日)運用すると4,320円となり、年間にして51,840円になります。
安い金額で貯めた電気を日中帯に使用できるだけではなく、売電による収入や電力会社から供給される電気の使用量を抑えることで再エネ賦課金を節約できるなど、経済効果は他にもあります。
導入に踏み切れない人は、元が取れる年数や初期費用回収後の経済効果を計算してみると良いでしょう。
悪徳業者のよる訪問販売被害が後を絶たない
残念なことに、悪徳業者の訪問販売が後を絶たず、太陽光発電や蓄電池に対してネガティブなイメージを持っている人もいます。
保証期間や補助金の具体的な説明がされないことや、根拠もなく月に数万円の効果があることを謳うなどその手口はさまざまなです。
訪問販売自体、太陽光発電や蓄電池導入のきっかけになるため、必ずしもすべての業者が悪いわけではありませんが、導入を検討する際にはきちんと下調べすることはもちろん複数社を比較することも重要です。
導入実績が豊富でアフターフォローが手厚い業者を選ぶことで、被害に遭わず安心して導入することができます。
売電単価の下落
蓄電池導入において、売電をすることによってローン返済に充てることを考えている人も多いことでしょう。
しかし、売電単価は年々下落していることから、従来よりも売電収入を得にくくなっている状況にあります。
しかし、単価が下落しているからといって売電による収入でローンを支払えないわけではなく、蓄電池によって節約できた電気代をローン返済に充てることも可能です。
電気代は年々高騰しているため、蓄電池導入によって得られる利益を正しく把握するようにしましょう。
蓄電池に関する知識を持ち合わせていない
蓄電池は精密機械ゆえに「すぐに壊れる」「メンテナンス費用が高い」といったランニングコストがかかるイメージを持たれがちです。
しかし、実態は雨風にされされても大丈夫な頑丈な作りであり、蓄電池の寿命も約30年と長期にわたります。
また、修理費においても保証期間内であれば補償してもらえるため、期間が長い業者に依頼することで不安を払拭することができるでしょう。
設置場所の確保が難しい
蓄電池は1辺1mほどのサイズであることから、設置場所の確保が難しいと感じている人もいることでしょう。
しかし、最近では高性能でコンパクトな家庭用蓄電池も登場してきており、従来よりも設置場所の確保がしやすくなっています。
もちろんサイズ感だけで決めることはできませんが、どのような大きさのものがあるのか、一度チェックしてみると良いでしょう。
蓄電池への関心は高まっている?
まだまだ普及率は全体で見ると少ない蓄電池ですが、世間の関心はどのようになっているのでしょうか。
ここでは、蓄電池に対する関心の高まりについて解説していきます。
防災への意識
2011年の東日本大震災をはじめ、台風や地震、洪水など毎年自然災害が発生しています。
災害規模にもよりますが、これによって停電することは珍しくなく、日常に電化製品が溢れている現代において電気が使用できないことは致命的です。
太陽光発電と併用することによって、電力会社から電気が供給されない状況であっても発電することができ、蓄電池に貯めておけば夜間でも使用することができます。
電気が使えるか否かは生活において重要な要素であることから、蓄電池に対する関心は高まっているのです。
蓄電池用の補助金復活
蓄電池設置によって、補助金が受けられることも関心が高まっているポイントです。
各自治体から補助金が交付されていますが、条件を満たすことで上限15万円を超えて受け取りできるケースも珍しくありません。
東京都においては上限42万円まで受け取れる可能性もあり、初期費用の半分近くを補助金で賄うことにも期待が持てます。
初期費用の高さが導入のネックになっていた分、補助金復活は普及率増加の後押しとなることでしょう。
卒FIT者の拡大
FIT制度の期間を満了した卒FIT者が拡大していることも、蓄電池への関心の高まりに影響しています。
卒FIT者になると売電価格が下がるため、自家発電した電気を売るよりも自家消費した方がお得であることから、電気を蓄えられる蓄電池に注目が集まっているのです。
年々電気代は高くなっていることを見ても、太陽光発電をはじめとする自家発電と蓄電池は今後も増加することが予想できるでしょう。
電気自動車の普及
各メーカーから電気自動車が次々に登場しており、経済産業省は補助金をつけて普及を促しています。
蓄電池は電気自動車の充電にも使用できることもあり、需要が高まってきています。
ガソリンスタンドをはじめとする充電スポットに行かず、自宅で充電できることは経済的にも大きなメリットが得られるため、電気自動車の購入を検討している人は蓄電池の設置も検討してみると良いでしょう。
蓄電池を普及されるためには何が必要か
関心が高まっている蓄電池ですが、より一層の普及を目指すためには何が必要なのでしょうか。
ここでは、蓄電池が普及されるために必要なものを紹介していきます。
価格を抑えるためのメーカー(企業)努力
蓄電池の導入において最大のネックとなっているのは、その初期費用の高さです。
従来よりも技術力が進歩したことにより、徐々に価格は下がってきていますが、リーズナブルな価格帯というにはまだまだ遠いです。
より普及させるためには手が出しやすい価格帯にまで下げられるよう、コストの削減や生産性の向上といったメーカー努力は必要不可欠であるといえるでしょう。
蓄電池の価格が下がれば、蓄電池はやめたほうがいいという意見も少なくなるはずです。
電力の自家消費を促す取り組み
電力不足や電気代の高騰、再生可能エネルギーへの関心によって自家発電した電力の自家消費に注目が集まっていますが、より浸透させるためには国が積極的に促進するための政策を打ち出す必要があります。
具体的に、補助金の価格向上や交付されるための条件のハードルを引き下げるなどが挙げられるでしょう。
メーカ努力同様、初期費用の壁が低くなるほど手が出しやすくなるため、普及も進むことが見込めます。
今後は世界的に蓄電池の普及が進んでいく
蓄電池の日本における普及は、世界的に見ても上位に位置しており関心が高まっています。
しかし、国内での普及率を見ると全体の10%以下と低く、まだまだ少ない利用率です。
初期費用の高さから導入のタイミングを見計らって二の足を踏んでしまう人も多いですが、電気代の削減や補助金などお得に導入する方法を把握しているとハードルは非常に低くなります。
長期的に見ると、初期費用の回収以降は大きくプラスになるため、導入に悩んでいる人は一度経済効果の計算や設置のメリットの把握をしてみてはいかがでしょうか。