ソーラーパネルの雨対策は何が必要なの?
発電効率の低下を抑えるためのヒントを解説しているから、見てみよう!
ソーラーパネルの雨対策の必要性
太陽光発電システムの発電量は、入射する太陽光の量に比例します。エネルギー源である太陽光が最も降り注ぐ晴天時の発電量を100%とすると、曇天時・雨天時は残念ながら以下のとおり低下します。
項目 | 晴天時 | 曇天時 | 雨天時 |
---|---|---|---|
発電量 | 100% | 40~60% | 5~20% |
梅雨時期や台風シーズンを考えると、これでは太陽光発電システムを設置する意味があるのか?と思われがちですが、それでも落胆する必要はありません。
近年、多くのメーカーが発電効率の良い強固なソーラーパネルの開発研究を進めていますし、悪天候時の対応策を知って適切な対策を施すことで、発電量の低下を抑えることは可能なのです。
雨対策として何をするべきか確認していきましょう。
ソーラーパネルの雨対策
総務省統計局の統計や国土交通省の報告を見ると、日本各地の快晴日の年間平均日数はわずか29日程度(2019年)と報告されており、日本は梅雨期・台風期を中心に雨がいかに多い国であるかが分かります。
人間側の都合で天気を変えることはできませんから、雨や曇りでも発電する太陽光パネルを導入するにはそれなりに事前準備が不可欠です。以下にて雨対策で重要な4つのポイントを解説していますから、一つずつ見ていきましょう。
曇天時の発電量をシミュレーションする
太陽光パネルの発電量は、メーカーの性能や地域などによって変わりますので、購入前に悪天候など様々な要因を考慮したシミュレーションを行っておく必要があります。主に、以下のような方法で発電量をシミュレーションできます。
- 販売店・設置業者へ直接依頼する
- 販売店・設置業者のツールを活用する
- 太陽光発電関連企業のサービスを利用する
- 自分で手計算する
ただし、自分で手計算してシミュレーションするには限界があります。細かな情報を個人で取得するのは難しいので、ネット上で利用できる無料サイトを活用したり、メーカーなど専門業者に問い合わせてアドバイスしてもらう方法がおすすめです。
メーカー側に直接アドバイスをもらう場合は、晴・曇・雨の日照時間を含めたデータが組み入れられているかも確認してください。一部の悪徳業者は、実際の発電量と乖離したシミュレーションデータを提示してくるケースもありますので注意が必要です。
設置業者に依頼する前に、実績・評判・サービス概要をチェックするなどして、誠実な業者にシミュレーションしてもらい、曇りや雨に強い太陽光パネルを紹介してもらいましょう。
発電効率が良い太陽光パネルを選ぶ
セル別の出荷量では、「結晶シリコン系・単結晶」の太陽光パネルが世界で最も使われていますが、曇りや雨の日を考慮した発電効率の良さで選ぶなら「化合物半導体・CIGS系」の太陽光パネルがおすすめです。
CIGS系は、セルが独立しており、日が当たる部分だけでも効率的に発電できます。さらに夏場の高温時でも発電性能が高く、コスト面から見てもメリットが多い製品と言えます。
太陽電池モジュールの発電効率は、季節や温度、日射の強度、パネルの角度などの条件により変化しますので、居住地域や家に合ったソーラーパネルを選ぶことが大切です。以下は、太陽光発電モジュールの種類と特徴をまとめたものです。
項目 | 主な特徴 | ||
---|---|---|---|
シリコン系 | 結晶シリコン |
単結晶 |
|
多結晶 |
|
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薄膜シリコン |
|
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化合物半導体 | ⅢーⅤ族 |
|
|
CbTe系 |
|
||
CIGS系 |
|
雑草を処理する
庭などに太陽光パネルを設置する「野立て」の場合は、晴天の時に発電ロスが起きないよう雑草を処理しておくことも大事なポイントです。
雑草が太陽光パネルよりも高く成長し、パネルの一部を覆ってしまうと部分的に影ができます。影になったパネルの部分は発電出来なくなり、その結果、発電効率が低下してしまいます。他に以下のことを予防する目的で、定期的な雑草処理をおすすめしています。
- ホットスポット現象
- 動物による被害
- 景観の悪化
など
ホットスポット現象とは、雑草の影などによって長期的に発電できない状況が続き、パネルの一部もしくは全体は発熱し不具合が起きること。故障すれば発電損失につながるので注意が必要です。
また、雑草を長期間放置すると動物が住みつくことも考えられます。万一、動物がケーブルなどの配線類を噛んでしまうと火災や漏電被害につながり大変危険です。
雑草で景観が悪化すれば周辺住民とのトラブルに発展する可能性もありますから、これらを防ぐためにも定期的に雑草を抜いておきましょう。定期的な雑草を抜くのが面倒だという場合は、防草シートや砂利・砕石を敷いておくのも有効です。
パネルの汚れを定期的に落とす
汚れている太陽光パネルよりも綺麗な太陽光パネルの方が多く発電しますから、パネルの設置後に定期的なメンテナンスや清掃を行うことは大切です。ソーラーパネルを汚すものとして、以下のようなものがあります。
- 鳥の糞
- 落ち葉
- 火山灰
- 黄砂
- 埃
など
太陽光パネル設置後はしばらくは綺麗ですが、時が経つにつれて汚れも溜まってきます。少しの汚れくらいなら雨が流してくれるものの、枯れ葉やごみなどが付いたままだと太陽光が当たらず発電量が低下するだけではなく、最悪な場合はホットスポット現象が起こり故障や発火の原因にもなります。
太陽光パネルを洗浄することによって低下していた発電量を元に戻すことも可能ですから、ぜひ定期的にパネルをクリーニングしましょう。
solar-jp.net/1805
太陽光パネルのクリーニングに関する注意点
ソーラーパネルの汚れは雨で自然に落ちることもありますが、それでも目立つ汚れは自分で掃除したり、専門業者に依頼する必要があります。
ここでは、クリーニングに際して注意すべき点を解説します。
雨が降ると汚れは落ちるが取れない場合もある
太陽光パネルの汚れは、基本的には雨で落ちるように設計されていますが、鳥の糞や枯れ葉がこびりついてしまった場合は、雨が降るだけでは落としきれません。
ドローンを飛ばして太陽パネルの汚れを確認すると良く分かりますが、特に架台の部分やソーラーパネル下側の汚れが顕著に見られます。パネルの表面には静電気の影響で集まった砂埃だけでなく、雨が降って傾斜に雨水が溜まり泥汚れが残ることがあります。
このような部分の汚れは放っておいても綺麗にはなりませんから、定期的にチェックしてお手入れする必要があります。
クリーニングは業者に依頼する
パネルの表面であれば、ガラス用洗剤を水で薄めてマイクロファイバーモップなどで汚れが目立つところだけ掃除することもできますが、自分で屋根の上を掃除するのは転落事故の可能性もあり大変危険です。自分で掃除することで、かえってパネルを傷付けることもあります。
ですから、専門業者に依頼した方が様々なリスクが回避できて安全です。モジュールなどの汚れを発見したときは、販売店やメーカーに掃除方法などを確認・クリーニングを依頼するなどして、長期的に発電効率を保ちましょう。
依頼するタイミングは梅雨明けが良い
太陽光パネルのクリーニングに最適な時期は、梅雨明けです。
春先は、常に花粉や黄砂などがパネルに付く時期なのでクリーニングには向きません。梅雨明けの時期であれば、梅雨に降った雨でパネルの汚れが比較的取れているため、掃除も比較的ラクで効率的。
そのため、専門業者に洗浄依頼をしたとしても通常より費用が抑えられる可能性も。天候を味方に付けて効率良くクリーニングすれば、経済的にも発電効率の保持にも役立つでしょう。
ソーラーパネルの雨対策を行い発電量の低下を抑えよう
空模様は人間の力では変えることはできませんが、定期的に雑草の処理をしたり、パネルの防水仕様やクリーニングを施すことで長期的に効率よく発電させることは可能です。
発電量が低下しづらい太陽パネルを探し当てるためには、雨対策を考慮した事前シミュレーションも不可欠。お住まいの地域に詳しい業者に丸投げする前に、まずは自分でもネット上のサービスを活用して日照時間を調べたり、住宅に最適なパネルを検討しておくことも大切です。
無料見積もりサイトを利用するなどして専門家のアドバイスも参考につつ、天候に左右されない(=雨・曇りに強い)発電効率の良い太陽パネルを導入してくださいね。