せっかく太陽光発電を設置したのに発電しない!ソーラーパネルの不具合が原因なの?
太陽光発電が発電しない原因は様々にあるの。原因をひとつずつ確認してみよう!
太陽光発電が発電しない原因がソーラーパネルにあるケース
太陽光発電は、ソーラーパネルに照射された光エネルギー(太陽光)をパネルの半導体によって電気エネルギーに変換するものです。
そのため、太陽光発電が発電しない場合、まず疑うのはソーラーパネルの不具合です。具体的な例を見てみましょう。
表面の汚れ
太陽光パネルは屋根または周囲に遮るもののない空き地(野立て)に設置するため、風や雨などの影響を受けやすくなります。
ただし、砂や埃のような細かい汚れは、むしろ風や雨によって落ちてしまうので問題ではありません。
太陽光発電の発電を下げてしまう直接の原因となる汚れとは鳥のフンや枝、紙、落葉などの飛来物です。こうした汚れはパネルの上に付着したままになるので、その部分には太陽光が当たらなくなり、発電量に影響を与えてしまいます。
経年劣化
太陽光パネルの期待寿命は20~30年と長く、それに伴いメーカーも保証期間を10年ないし15年と定めているケースが多いです。
しかし、どのような製品であっても使い続けるうちにパフォーマンスが落ちてしまうのは仕方のないことで、ソーラーパネルも例外ではありません。
太陽光パネルに使用されている半導体は故障する可能性はかなり低いものの、パネルを接続している電線やフレームは長期間の使用によって劣化したり、外部からの衝撃で故障する可能性があります。
太陽光発電が発電しない原因がパワーコンディショナーにあるケース
パワコンは太陽光発電で発電した電気を、家庭などで使えるように変換する装置です。
太陽光発電の要といえますが、普段はその存在を意識することは少ないのではないでしょうか。
しかし、太陽光発電がいきなり発電しなくなった、発電量が極端に落ちたなどの事例が発生した場合はパワコンになんらかのトラブルが起こっている可能性が高いです。
低い変換効率
変換効率とは、太陽光パネルが発電した直流電力を、家庭で使える交流電力に変換する際の効率を数値化したもので、数値が高いほうがロスがなく電気を変換できます。
太陽光発電メーカーのパワコンの多くは変換効率が94~96%となっていますが、なかには98%のメーカーも。京セラのパワコンの場合は、95.5~96%の変換効率となっています。
変換効率が極端に低くなると、当然ながら太陽光を電気に変えられません。「晴れているのに思ったほど発電しない」といった場合はパワコンの故障が理由かもしれないので、異常がないか確認してみましょう。
落雷・雨水による停止
太陽光パネルは地面よりも高い屋根や周囲に何もない平地に設置することが多いですが、実は落雷が直接パネルに落ちるという被害(直撃雷)は極めて稀です。
それよりも配電線や木、地面などに落ちた雷が送電線を伝って建物内の電化製品に被害を及ぼす(誘導雷)確率のほうが高いです。
雷が落ちたと思ったら突然テレビが消えた、電子レンジがショートしてしまったなど、自ら経験したり聞いたことがあるのではないでしょうか。
パワコンも電化製品のため、同様に被害に遭う可能性があります。
また、落雷時は雨が激しく降っていることが多いですが、パワコンを設置している場所に浸水が起こると雨によって配線がショートしてしまう恐れも。
こうした状況を避けるため、パワコンには避雷針が設置されており、一定以上の電圧がかかると稼働を自動停止中にして機械の損傷を防いでいますが、被害が大きい場合にはトラブルが発生してしまう可能性があるでしょう。
寿命
パワコンの寿命は一般的に10~15年ですが、テレビや冷蔵庫などの家電と同様に、必ずしもその期間の稼働が担保されているわけではありません。場合によっては7~8年で故障してしまったり、20年以上問題なく使えることもあります。
とはいえ、長く使えば使うほど内部の部品などが摩耗し、小さなトラブルを抱えている可能性は高くなります。
パワコンの性能が落ちてしまうと発電量にも影響するだけではなく、ある日突然動かなくなってしまうことも。目に見えない劣化による発電をロスを回避するためには、寿命を見極めて新しいパワコンに交換してしまうのもひとつの方法でしょう。
太陽光発電が発電しない原因が環境にあるケース
太陽光発電の発電量は、太陽光パネルを設置する条件によって大きく左右されます。
そのため、太陽光発電を始めたいと思っても、以下の条件によっては断念せざるを得ない場合もあります。
短い日照時間
太陽光発電の発電には、太陽光パネルに太陽光が当たる必要があります。つまり日照時間が長いほど発電量は増え、反対に日照時間が短ければ思うように発電量は得られません。
日本は南北に長い地形をしており、北海道と沖縄では気候がかなり違います。地域によって日照時間に差があるので、太陽光発電を導入する場合には、まずは住んでいる地域の日照時間を調べてみましょう。
影
周囲を高い建物で覆われていたり木があるなどの場合は、常時太陽光パネルに影が入り、太陽光が当たらなくなります。
これでは発電は見込めませんので、太陽光発電の設置は諦めるしかないでしょう。また、太陽光発電の設置時は周りに建物などがなくても、開発が進んで突如、高い建物が建つ可能性は0ではありません。周辺環境は自分の思うようにはならないケースもあるので、こういった点が不安な人は太陽光発電の設置を見送ったほうが良いでしょう。
なお、太陽光発電協会(JPEA)の見解では、薄い影であれば影がない状態に比べて発電量は落ちるものの、散乱光によってある程度の発電は得られるとのこと。
つまり、影の濃さや出現する時間の長さなどによっては、影があるからといって必ずしも太陽光発電に不向きではないといえます。
屋根の向き
太陽光発電が適している方角は南向きです。
「太陽は東から昇って西に沈むのだから、東向きや西向きが良いのでは?」と思いますが、北半球にある日本は南向きの日照時間が一番長くなり、続いて東向き・西向きとなります。ただし、東向きは日没時はほとんど太陽光は当たらず、反対に西向きは日の出時には光が当たりません。
南向きの屋根に設置された太陽光パネルは、日の出や日没までの長い時間に渡りパネルに太陽光が当たるだけではなく、一日のなかで太陽光が最も強くなる正午の時間帯の太陽光も得られます。
南向きの屋根のパネルの発電量を100%とした場合、北向きは66%まで低下してしまうため、太陽光発電の販売業者や施工業者は基本的に北向きの屋根にパネルは設置しません。
屋根の形状
形状が複雑な屋根の場合、太陽光パネルを置くスペースが確保できず、発電量に影響を与えます。また、太陽光パネルは長方形または正方形なので、三角屋根では置ける枚数が少なくなってしまいます。
日本の住宅には様々な形状の屋根が採用されていますが、太陽光パネルの設置に向いている形状は以下のとおり。
- 切妻屋根
- 片流れ屋根
- 陸屋根
これらの屋根は一面あたりの面積が広く、屋根の形状が長方形となっているので、より多くのソーラーパネルを設置できます。
太陽光発電が発電しない状況を回避するには
太陽光発電を設置した後で想定を下回る発電量になってしまっても、それを改善する手立てはなかなかありません。
悔しい思いを避けるには、太陽光発電に向いている条件に合っているのか、費用をかけて太陽光発電を設置前に入念に調べておく必要があります。
平均日照時間を調べる
地域ごとの日照時間は、政府統計の総合窓口(e-stat)で見られます。2021年の調査では、雨の日や積雪量が多い東北、北陸地方は日照時間が短いと分かります。
また、NEDOの日照量データベースでは地域ごとに月別や年平均の日照量が分かります。
どちらもお住まいの地域の日照量について、詳しい情報が得られるサイトですので、太陽光発電の設置を検討している人は必ず見ておくと良いでしょう。
発電量のシミュレーションをする
発電量のシミュレーションは、太陽光パネルメーカーの各社や見積もりサイトなどで無料で行えます。
地域を指定するだけの簡易的なものから、グーグルマップで住宅を特定し、屋根の面積や向き、地域の日照量のデータなどを元にして算出されるものまで様々にあります。
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また、より正確なデータを得たいのであれば、販売業者に現地調査を依頼してみましょう。
出張距離などによって有料となる場合もありますが、太陽光発電の設置後に発電せず「こんなはずじゃなかった」と後悔するよりは良いのではないでしょうか。
なお、農林水産省から、年間予想発電量の計算方法が以下のとおり掲示されています。
年間予想発電量(kWh/年)=設置面の1日の年平均日射量×損失係数(0.73)×システム容量×365÷1 |
北海道札幌市(システム容量4.5kWと仮定)の場合、計算式に当てはめると3.93×0.73×4.5×365÷1となり、年間予想発電量は約4,712kWhとなります。
屋根の面積を調べる
家族3~4人が暮らす住宅の場合、日中の電気を太陽光で賄うには4~5kWの容量が必要とされます。
4~5kWの太陽光パネルを屋根設置するには、20~30㎡の面積が目安となるため、建物の屋根の面積を調べて4~5kWの容量のパネルが設置できるか確認してみましょう。
なお、太陽光パネルのメーカーによってパネル一枚あたりの大きさや出力が異なります。同じ5kWでも、シャープはパネルが19枚で面積は24㎡、パナソニックは20枚で24㎡(どちらもスタンダードモデル)と、面積は変わらないのにパネル1枚分の差が生じる結果となりました。
屋根にかかる影をチェックする
南向きに高い建物や木がある場合、その建物や木の影が太陽光パネルにどのくらいかかっているのか確認してみましょう。
影がかかる範囲がごく一部であれば、一般的に住宅用太陽光パネルに使用されている単結晶系パネルではなく、薄膜系CISパネルを選ぶと影響を最小限に抑えられます。薄膜系CISパネルは1枚の出力は単結晶系パネルよりも下がってしまうものの、影に強く、価格が安いという特徴があります。
太陽光発電の発電低下を防ぐ対策
太陽光発電で十分な発電量を得るには、発電効率が良い状態を維持する必要があります。
それでは、太陽光発電の発電効率を維持するには、一体どのようなことに気をつけると良いのでしょうか。
メンテナンス・発電量モニタリングを定期的に行う
太陽光発電のベストな状態を保つには、日常点検と定期的なメンテナンスが欠かせません。
日常点検ではパネル表面の汚れやフレームの破損、パワコンの音や振動などをチェックしましょう。
また、モニターで発電量を確認し、発電量が急に低下していないか確認する習慣を身に着けると、小さなトラブルを見つけやすくなります。小さなトラブルをそのままにしておくと、発電量が落ちていることに気づかないまま運用を続けてしまうので損をするだけではなく、大きなトラブルへと発展して修理代が高額になる恐れも。
定期的なメンテナンスは、専門業者に依頼して行ってもらうものです。メンテナンスが義務化されていたのは産業用太陽光発電のみでしたが、2017年4月1日の改正FIT法により10kW未満の住宅用太陽光発電のメンテナンスも義務化されました。具体的な頻度は決められていないものの、一般的には以下の頻度でメンテナンスを行うのが良いとされています。
- 太陽光発電設置後1年目
- 5年目
- 9年目
- 以降4年ごと
特に9年目のメンテナンスは、パワコンの保証期間が過ぎる1年前であるため、必ず行うタイミングといえます。
駆け付け対応がある業者を選ぶ
太陽光発電のシステムに不具合が生じたとき、素人が適切な対応をとるのは難しいもの。
「急に発電量が減った」「パワコンから音がする」など、急を要する事態に専門業者がすぐに来てくれたら安心ではないでしょうか。
メンテナンス業者には、サービスとして駆け付け対応を行っているところがあります。駆け付け対応には、すぐに現場に向かいトラブルの原因を探る一次対応と、より詳しく調査をして原因や解決策を提案してくれる二次対応があり、多くの業者では一時対応は無料で行っているため、メンテナンス業者を選ぶ際の参考にしてください。
なお、駆け付け対応といっても必ず即日対応とならないケースもあります、太陽光発電の設置地域や依頼の混雑状況などから、翌日~3営業日以内の対応となるケースもあるので注意しましょう。
長期保証がある業者を選ぶ
一般的に太陽光パネルの保証は10~20年、パワコンは5~10年の保証をつけているメーカーがほとんど。
太陽光発電は20~30年の長期運用が基本となるので、保証期間が長いと万が一のトラブルが起こっても安心です。どのメーカーでも有償で保証期間を延長できるので、検討するのが良いでしょう。
ただし、これらの保証期間はあくまでもメーカー保証。いくらメーカー保証がしっかりとしていても、メンテナンスや修理を行う業者が施工実績が少なかったり、適当な工事しか行わないところだと、いざというときに適切な対応をしてもらえなくなります。
業者を選ぶ場合は、実績や信頼性などを必ず確認しましょう。
発電量のモニタリングはどこを見る?
太陽光発電の小さなトラブルを見つけるには、発電量のモニタリングが欠かせません。
とはいえ、太陽光発電を設置したときに販売業者からモニターの見方を聞いていても、毎日行っていなければそのうち忘れてしまうでしょう。
発電量に異常かないか調べるには、モニターの発電量を見るだけなので簡単です。設置容量4.5kWなら、発電量も4.5kW前後(気象条件などによって多少の誤差はある)であれば問題なく稼働しています。
反対に設置容量と比べて発電量が極端に低いのであれば、太陽光発電に何らかのトラブルが起こっていると考えられるので、早急に販売業者やメンテナンス業者に連絡をしましょう。
太陽光発電が発電しない状況になったら
パワコンから異音がする、パネルが破損しているなど、明らかに発電量が落ちる原因が目に見える場合は、すぐに適切に対処を行えます。
しかし、パワコンの内部の電源基盤や制御基板、冷却ファンなどは、太陽光発電の運用中は常に稼働しているので部品の劣化や消耗が激しい箇所ですが、目視はできません。
そのため、太陽光発電が発電していないにも関わらず、その状況に気づけないまま運用を続けてしまえば、その間の売電は止まる事態になってしまいます。パワコン自体は故障しても保証期間内であれば無償で修理や交換ができますが、売電の保証はありません。
少しでも「いつもと違う」と感じたら、すぐに業者に連絡をして点検・修理を依頼しましょう。
太陽光発電が発電しない状況を回避しよう
太陽光発電の設置後に毎日モニターを観察して、パネルやパワコンの状態をチェックする人は多くはありません。
大きな異常がないと「大丈夫だろう」と思ってしまいがちですが、機械である以上、使い続けていれば必ず小さなトラブルが起こっていると仮定し、発電しない状況を放置してしまうことのないようにしましょう。
太陽光発電に不具合やトラブルが発生したときは、メーカーの相談窓口やお客様サポートへ連絡をしてください。修理や点検が必要な場合は保証を受けられるか確認をし、実費での修理が必要あれば、業者に連絡をして価格などを相談しましょう。
なお、シャープでは太陽光発電システムや蓄電池において「故障かな?」と感じたときに、症状やエラー表示などで対応策が探せる「故障診断ナビ」をサイト内に設けています。サイトを読んでおくだけでも、いざというときに慌てずに対処ができます。